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445.地獄の門番〜ギディアスside
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「最後まで聞いて欲しいな、バルトス。
私はルドルフにも君の天使にも、望まない婚姻をさせたくはないんだ。
もちろん婚約もだ。
けれどアリーは、この国の貴族令嬢だからね。
これ幸いと、そんな事を唆すこの国の貴族だって……」
「ほう、例の教会よりイグドゥラシャ国より先に、この国を消すべきだったか」
殺人鬼どころか、実行済みの殺戮者的顔だ。
極寒どころか、部屋なのにつららができてきたよ。
本気の顔で私を見るの、止めて欲しいな。
私にとって、君は親友だからね。
悲しくなってしまうよ?
「……だからね、そうならないようにイグドゥラシャ国の王太子には健康を取り戻して、その地位を確固たるものにさせたいんだ。
ついでに恩も売っておきたいし、幸いな事に今、私の手元には素晴らしい天使の贈り物がある」
「……天使の」
天使という言葉に、殺気は和らいだと思ったけど、嫉妬の眼差しで歯噛みするのは、止めて欲しい。
中身が何かなんて、先に臭わせたんだし、君はとっくに知ってたでしょう。
羨ましがるとか、そんな代物じゃないよね?
「……けれどできるだけ内々に、それもあの国から王女が消えている間に、早急に動く必要がある」
「妨害工作に出かねない、古狸がいるからか」
「それは……どうだろうね。
秘密主義者が多くて、未だに現実的な確定には至らない」
そう、グレインビル家はもちろん、バルトスが古狸と揶揄する自分の父親も。
中でも君の天使はその中心人物なのは間違いなくて、器用な癖に他人への守り方となると、とても不器用だから、途方に暮れそうだよ。
「とにかく、あの国で王太子に取って代わろうとしていた主勢力は第1王女だ。
なのに他国との摩擦が大きくなったこの状況で、第1王女がいなくなり、ザルハード国でタイミング良く第1王女とは姉妹だからか、とても良く似ている第2王女が現れた。
そして数年前の誘拐事件では、シルヴァイト=ルーベンスが何かの魔具で少年となった。
王太子の病名は伏せられているけれど、第2王女は心臓に疾患を持っている。
いつぞやその王女は、この国で行方不明になっていたけれど、レイヤードがルドルフに言った通り、アリーから光る苔を受け取った話を広めると、すぐに現れた。
そしてイグドゥラシャ国の王太子に渡すようにとの言伝てと共に、アリーはその苔で作ったらしい薬を私に贈ってきた。
下手をすると年単位で点在していた出来事も、こうして整理していけば、繋がってくるよね。
もちろん常識的な考えでは繋がらないんだろうけど、アリーは非常し……ゴホン。
常識なんて超越した、素晴らしい天使だ」
非常識って言おうとした時、睨むの止めて欲しい。
とりあえず最後の言葉で機嫌が治ったのか、部屋の温度低下は止まってくれたけれど。
「ふっ、俺の可愛い天使だからな」
ドヤ顔だ。
そんなんだから、未だに婚約者の1人もいないんだぞ、バルトス。
「バルトスは王女がアリーを狙っていると考えているのかい?
そこがまだわからない。
目立つ上に、何かと邪魔な行動を取るから目をつけたのか、それとも個人的な理由で目障りに感じているのか」
「さあな」
私の直感では、そのどちらもだ。
けれど個人的な理由となると、検討もつかない。
国も違うし、接点は無かったはずだ。
「コオウって言葉を聞いた事はないかな?」
「コオウ?」
「そう。
ない?」
「知らん。
天使に関わる事なら話せ」
「アリーには赤子の時から記憶があるよね?
何て?」
「何も」
「バルトス」
「本当だ。
天使は俺を愛し過ぎて、自分の過去に関する全てを徹底的に隠蔽しているからな。
俺達家族に危険が及ぶ何かがある事でなら、必要だと感じれば話しているだろう。
だがそうでない事以外は、必要なしと判断すれば絶対に話さない。
ただ……」
__ビュウッ。
え、何が起こった?!
いきなり部屋が凍結した?!
慌てて自分の周りの風を温める。
流石にこれは数分もせずに凍死するよ?!
「父には、何かしら、話したらしいが、なぁっ」
言葉1つ1つを噛みしめるように、腹の底から地獄の門番みたいなヤバい声出すの、止めて欲しい。
私はルドルフにも君の天使にも、望まない婚姻をさせたくはないんだ。
もちろん婚約もだ。
けれどアリーは、この国の貴族令嬢だからね。
これ幸いと、そんな事を唆すこの国の貴族だって……」
「ほう、例の教会よりイグドゥラシャ国より先に、この国を消すべきだったか」
殺人鬼どころか、実行済みの殺戮者的顔だ。
極寒どころか、部屋なのにつららができてきたよ。
本気の顔で私を見るの、止めて欲しいな。
私にとって、君は親友だからね。
悲しくなってしまうよ?
「……だからね、そうならないようにイグドゥラシャ国の王太子には健康を取り戻して、その地位を確固たるものにさせたいんだ。
ついでに恩も売っておきたいし、幸いな事に今、私の手元には素晴らしい天使の贈り物がある」
「……天使の」
天使という言葉に、殺気は和らいだと思ったけど、嫉妬の眼差しで歯噛みするのは、止めて欲しい。
中身が何かなんて、先に臭わせたんだし、君はとっくに知ってたでしょう。
羨ましがるとか、そんな代物じゃないよね?
「……けれどできるだけ内々に、それもあの国から王女が消えている間に、早急に動く必要がある」
「妨害工作に出かねない、古狸がいるからか」
「それは……どうだろうね。
秘密主義者が多くて、未だに現実的な確定には至らない」
そう、グレインビル家はもちろん、バルトスが古狸と揶揄する自分の父親も。
中でも君の天使はその中心人物なのは間違いなくて、器用な癖に他人への守り方となると、とても不器用だから、途方に暮れそうだよ。
「とにかく、あの国で王太子に取って代わろうとしていた主勢力は第1王女だ。
なのに他国との摩擦が大きくなったこの状況で、第1王女がいなくなり、ザルハード国でタイミング良く第1王女とは姉妹だからか、とても良く似ている第2王女が現れた。
そして数年前の誘拐事件では、シルヴァイト=ルーベンスが何かの魔具で少年となった。
王太子の病名は伏せられているけれど、第2王女は心臓に疾患を持っている。
いつぞやその王女は、この国で行方不明になっていたけれど、レイヤードがルドルフに言った通り、アリーから光る苔を受け取った話を広めると、すぐに現れた。
そしてイグドゥラシャ国の王太子に渡すようにとの言伝てと共に、アリーはその苔で作ったらしい薬を私に贈ってきた。
下手をすると年単位で点在していた出来事も、こうして整理していけば、繋がってくるよね。
もちろん常識的な考えでは繋がらないんだろうけど、アリーは非常し……ゴホン。
常識なんて超越した、素晴らしい天使だ」
非常識って言おうとした時、睨むの止めて欲しい。
とりあえず最後の言葉で機嫌が治ったのか、部屋の温度低下は止まってくれたけれど。
「ふっ、俺の可愛い天使だからな」
ドヤ顔だ。
そんなんだから、未だに婚約者の1人もいないんだぞ、バルトス。
「バルトスは王女がアリーを狙っていると考えているのかい?
そこがまだわからない。
目立つ上に、何かと邪魔な行動を取るから目をつけたのか、それとも個人的な理由で目障りに感じているのか」
「さあな」
私の直感では、そのどちらもだ。
けれど個人的な理由となると、検討もつかない。
国も違うし、接点は無かったはずだ。
「コオウって言葉を聞いた事はないかな?」
「コオウ?」
「そう。
ない?」
「知らん。
天使に関わる事なら話せ」
「アリーには赤子の時から記憶があるよね?
何て?」
「何も」
「バルトス」
「本当だ。
天使は俺を愛し過ぎて、自分の過去に関する全てを徹底的に隠蔽しているからな。
俺達家族に危険が及ぶ何かがある事でなら、必要だと感じれば話しているだろう。
だがそうでない事以外は、必要なしと判断すれば絶対に話さない。
ただ……」
__ビュウッ。
え、何が起こった?!
いきなり部屋が凍結した?!
慌てて自分の周りの風を温める。
流石にこれは数分もせずに凍死するよ?!
「父には、何かしら、話したらしいが、なぁっ」
言葉1つ1つを噛みしめるように、腹の底から地獄の門番みたいなヤバい声出すの、止めて欲しい。
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