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4 魔法学園の花ですか?(3)

4ー8 不寝番

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 4ー8 不寝番

 辺りにいい匂いが漂い始めると離れた場所で休んでいたお王女殿下たちがやってきた。
 「うまそうじゃないか」
 アウラ王女殿下が唾を飲んだ。
 「オルナムは、料理も得意なんだな。いい婿になる」
 「そうだな」
 バルトレット王女殿下が口元を歪める。
 「いい私の夫となることだろう」
 「それは、どうですかね?」
 アウラ王女殿下がへらへらと笑った。
 「確か、エルガーナ辺境伯家は、姉上との婚約破棄を願い出ていた筈では?」
 「そんなことは、認めん!」
 二人が喧嘩をしそうになったので俺は、器に料理を持って二人に渡した。
 二人は、空腹だったのか、とても王族とは思えない勢いで食べ始めた。
 「うまっ!さすが、私のオルナム!料理も天才だな!」
 「うまい!だが、お前のものではない!これは、私の婚約者だ!」
 仲がいいのか、悪いのかよく理解できない二人を見て俺は、ため息をついた。
 俺は、ロタや護衛の騎士たちにもスープパスタとパンを配った。
 王女殿下たちのためのテントを設営し終わった騎士達は、喜んで俺の作った料理に舌づつみを打った。
 その夜は、俺たちは、交代で火の番をすることになっていた。
 だが、王女殿下たちは、爆睡しているし。
 てか、護衛の騎士たちがかわりに不寝番をしてるし。
 「そういうの、よくないんじゃ」
 俺が騎士のお姉さんに言うと困ったような笑顔を浮かべた。
 「しかし、これが我々の仕事ですから」
 お姉さんは、ラナさんという名だった。
 新米の騎士で、まだ、故郷から出てきて半年ぐらいだとか。
 いきなり王女殿下の騎士になるなんてきっと優秀な人なのに違いない。
 なのに、こんな荷物運びみたいなことさせられて気の毒な。
 俺がそう言うとその騎士さんは、笑顔で応じた。
 「私は、戦うことしかできないのです。あなたのように料理などできない。そして、人は、できることをがんばるしかないのです」
 いい人だな、おい。
 俺は、こんな女を嫁にしたいんだよ。
 なのに。
 俺の回りに集まる求婚者といえばあの王女殿下たちしかいないんだからな。
 俺のため息と共に夜は更けていった。
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