正しい子供の作り方

トモモト ヨシユキ

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1 転生者は、隠されたい。

1ー6 事情ですか?

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 1ー6 事情ですか?

 「君の話はロイドから聞いているよ」
 ラスタ・フォル・ポリドール伯爵は、青白い顔をした黒髪に青い瞳の人物だった。
 若くて健康だった頃は、きっと男前だったのだろう。
 僕を見てポリドール伯爵は、少し目を細めて笑みを浮かべた。
 「ああ。君を見ていると死んだ妻のことを思い出す。彼女も君と同じ、見事なストロベリーブロンドをしていた」
 僕は、困惑してしまう。
 亡くなった奥方に似ているとか、どういう風に受け止めればいいのか。
 ポリドール伯爵は、僕を見て何か言いたげに口を開こうとしてそのまま激しく咳き込んだ。
 「大丈夫ですか?」
 駆け寄ろうとした僕を執事が押し止めるとそっと囁く。
 「伯爵様は、お疲れです。後のお話はあちらで」
 僕は、伯爵をちらっとうかがうと促されるままに部屋を出た。
 その執事の執務室らしい部屋へと通されてお茶をすすめられ、僕は、カップを手に取った。
 熱いお茶は、甘い香りがして美味しかった。
 「何から話せばいいものか」
 イケオジ執事は、ソファに腰かけている僕の前の椅子に腰かけると僕のことをじっと見つめた。
 「目がお悪いので?」
 「ああ」
 僕は、メガネをくいっと押し上げる。
 「ちょっと近眼で」
 僕は、学園を卒業しても父がくれた認識阻害のメガネをつけ続けていた。
 イケオジ執事は、こくりと頷くと話し始めた。
 「あなたに家庭教師を勤めていただく子供たちは、少し複雑な事情がある方たちでして」
 うん。
 僕は、じっと彼が続けるのを待った。
 イケオジ執事は、ふぅっと吐息をつく。
 「お二人の母上様であるラビエラ様が3年前にお亡くなりになったのですが、以来、兄上であるフェリオス様が妹であるティーナ様にお辛く当たるようになられて。それと同時に家庭教師を追い出すようになられたのです」
 はい?
 僕は、小首を傾げる。
 家庭教師を追い出す?
 「それは・・・フェリオス様が?」
 「そうです」
 イケオジ執事は、続けた。
 「あなたで5人目の家庭教師です」
 マジですか?
 僕は、ちょっとだけここにきたことを後悔し始めていた。
 僕の様子を察したらしいイケオジ執事が慌てて言った。
 「しかし、フェリオス様もティーナ様も基本的にはよいお子なのでご安心ください」
 イケオジ執事は、僕ににっこりと笑みを浮かべて見せた。
 「きっとあなたなら大丈夫かと思われますし」
 
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