正しい子供の作り方

トモモト ヨシユキ

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1 転生者は、隠されたい。

1ー8 傷ついた瞳

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 1ー8 傷ついた瞳

 僕たちは、しばらく睨みあっていた。
 不穏な空気が流れたが、すぐにラキアスさんの声がして僕は、はっとした。
 「フェリオス様!」
 ラキアスさんが駆けつけてきて地面に座り込んでいる少年を助け起こす。
 はい?
 この少年が伯爵様の嫡男?
 僕が驚いていると少年がラキアスさんの手を振りほどいて走り去っていった。
 ため息をつくラキアスさん。
 僕は、上半身裸なのを思い出して慌てて窓の下に姿を隠す。
 顔を拭くためにメガネも外していたし!
 見られたかな?
 僕は、そっと這いずって洗面台まで戻るとメガネをかけ、白いシャツを羽織った。
 「トールズ先生?」
 外から呼び掛けられて僕は、窓辺に戻って外を見た。
 背の高いラキアスさんが窓から顔を出した僕を少し見上げて困惑した表情を見せる。
 「すみません。フェリオス様がまさか、あなたの部屋を覗こうとするなんて思いもしなくて。きちんとフェリオス様には、私から言い聞かせるのでどうかお許しください」
 「いえ」
 僕は、軽く笑った。
 「大丈夫ですから。あまりキツく叱らないであげてくださいね」
 僕が別に怒っていないとわかってラキアスさんは、ちょっとホッとしているみたいだった。
 窓越しに話すのもなんなので、とラキアスさんが後で執務室まで来て欲しいと言ったので僕は、着替えがすんだら再び彼の執務室を訪れることになった。
 白いシャツと黒い細身のズボン、それに薄い上着という格好に着替えると僕は、ラキアスさんの執務室へと向かった。
 ラキアスさんは、困った顔をして僕を迎えた。
 「ほんとに坊っちゃまがご迷惑をおかけして申し訳ございません」
 「いいんですよ」
 僕は、ソファに腰かけると正面に座っているラキアスさんを見つめた。
 僕が認識阻害の魔道具を使っていること、気付いたかな?
 ラキアスさんは、僕をじっと見つめると口を開いた。
 「お坊っちゃま、フェリオス様は、ちょっと問題がある方でして。我が儘というか、乱暴者というか。もともとは、活発でしたが思いやりのあるお子だったのですが3年前に奥さまが亡くなられてからというもの、聞き分けがなくなられてしまってほんとに手を焼いているのです」
 そうなんだ。
 僕は、黙ってラキアスさんの話を聞いていた。
 まあ、よくある話だ。
 きっと母親が亡くなり、父親も病弱でかまってくれないからといってちょっと荒れているのかも。
 僕は、さっきの黒髪の少年のことを思い浮かべた。
 前髪で隠れていたが青い瞳は、きれいで。
 どこか、傷ついたような目をしていた。
 
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