正しい子供の作り方

トモモト ヨシユキ

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2 転生者は、愛されたい。

2ー7 秘密

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 2ー7 秘密

 僕が身支度して食堂に行くとみな、もう揃っていた。
 「遅かったな、ダニー」
 ロイドが立ち上がって隣の席の椅子をひいてくれた。
 「ありがとう」
 礼をいって腰かけようとするとフェリオス様と目があった。
 微笑みかけるとふいっとそっぽを向かれてしまう。
 朝食後、ロイドが僕を遠乗りに誘ってくれたが、フェリオス様が間に割り込んできた。
 「お前の仕事は、僕に勉強を教えることだろう?」
 「お勉強されますか?」
 僕が訊ねるとフェリオス様が胸を張って答えた。
 「もちろんだ!」
 僕は、フェリオス様に手を引っ張られて勉強部屋へと連れていかれた。
 そこにはティーナ様の姿もあった。
 舌打ちしてティーナ様を睨み付けるフェリオス様に涙ぐむティーナ様。
 僕は、二人の間に入るとフェリオス様に話した。
 「幼い女の子をいじめるような方は、貴族学園には入学できませんよ?」
 むむっとフェリオス様が口をひき結んだ。
 彼は、何か言いかけたが黙ってそのまま自分の席についた。
 「で?何の勉強をするんだ?ダニー」
 それから僕たちは、簡単な子供用の昔話が書かれた本を一緒に読んだ。
 フェリオス様は、このレベルの本は問題なく読めることがわかったので午後からは、もう少し年端のいった子供用の書き取りの本を図書室で探してきてみた。
 お茶の声をかけに来たラキアスさんが信じられないという表情で僕たちを見ていた。
 お茶の後は、自由時間にする。
 ラキアスさんと執務室でこれからの予定を話し合うが、ラキアスさんは僕の手をぎゅっと握りしめて涙を浮かべていた。
 「こんなことがあるなんて!あの、フェリオス様が大人しく勉強を?しかもティーナ様を泣かせもせずに!信じられない!」
 「言っただろう?」
 執務室に顔を出したロイドがにやりと口許を歪める。
 「ダニーには問題児を引き付ける魔力のようなものがあるんだよ」
 僕たちは、これからのフェリオス様とティーナ様の勉強のおおまかな予定を決めた。
 僕は、午前中を勉強にあて、午後は、剣や魔法の鍛練や自由時間にするように進言した。
 フェリオス様もティーナ様ももっとやりたいことをやらせて差し上げる方がいいだろうと思ってのことだ。
 まだまだ幼いティーナ様には、お昼寝もさせたいし。
 夕食後、ロイドと僕が食堂でお茶を飲んでいたらラキアスさんが嬉しそうに近づいてきた。
 「フェリオス様が!はやく貴族学園に行きたいとお話になられて!」
 「そうなんだ」
 僕は、ちょっと苦笑してしまった。
 ロイドは、そんな僕をじとっと見ていたが、ラキアスさんが去った後で僕に訊ねてきた。
 「いったいどんな手を使ったんだ?ダニー」
 「秘密」
 僕は、指を唇にあててくすっと笑った。
 
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