正しい子供の作り方

トモモト ヨシユキ

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2 転生者は、愛されたい。

2ー8 試合

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 2ー8 試合

 ロイドがポリドール伯爵家に来たのは病弱な伯爵に代わって領地経営をするためだった。
 そのため、ロイドは、しばらくポリドール領に留まることになるのだという。
 僕は、それが心強くて。
 それになんだか嬉しい。
 ロイドは、僕のことを将来妻にしたいとか言ってるけど、それは、無理だということはわかっている。
 それでも僕は、今のロイドの気持ちを信じたかった。
 でも。
 僕は、ロイドとの関係を深めることに躊躇いがあって。
 それは、ここが僕の職場だということもあったけど、何より、幼いフェリオス様との約束のことがあったから。
 フェリオス様との約束のことをロイドは、知らない。
 知らない筈なんだけど。
 なぜか、ロイドは、職務の合間に度々勉強部屋に顔を出すようになった。
 たぶん、かわいい甥っ子や姪っ子のことが心配なんだろうな。
 フェリオス様もティーナ様もロイドにはすごく懐いてるし。
 特にフェリオス様は、よくロイドに剣術で指南を願い出ていた。
 その日もフェリオス様は、ロイドに試合を申し込んでいた。
 「この試合に僕が勝ったらダニーのことを諦めてこの地を去れ!」
 ええっ?
 僕は、そのフェリオス様の言葉にちょっと驚いていた。
 でも、フェリオス様は、おませさんだから。
 よく意味がわかってないことも多いみたいだし大丈夫だろう。
 僕は、ロイドと対峙しているフェリオス様を暖かい目で見守ることにした。
 ロイドは、学業も立派だけど剣術も優秀だったしフェリオス様にとってはいい教師になるだろう。
 僕は、残念ながらそっちはあまり得意ではないし。
 木陰で見守っているとロイドが僕をちらっと見てからちょっと肩をすくめた。
 「まだ、諦めてないのか?いった筈だ。ダニーは、俺のものだと」
 ロイドが練習用の木剣の切っ先をフェリオス様の方へと向けた。
 うん。
 ロイドって芝居っ気もあるんだね。
 フェリオス様のごっこに付き合ってあげるとか、ほんといい叔父さんだな。
 だけど、ロイドは、勝負に厳しい。
 夕方にはフェリオス様は、ぼろぼろに打ち負かされていた。
 途中から僕がはらはらするぐらいに二人は、激しく打ち合っていたし!
 まあ、ロイドがちゃんと手加減してくれていたのでフェリオス様は、かすり傷しか負ってないけどそれでもけっこう大人げないかも。
 ちょっと引いてる僕にロイドがそっと囁いた。
 「あいつに気を許すなよ、ダニー」
 はい?
 どういうことですか?
 僕は、目をぱちくりしてしまう。
 ロイドは、井戸の脇で汗を流しながら僕を諭した。
 「あいつ、フェリオスにあまり甘い顔をするな。つけこまれるぞ」
 「なんにだよ?」
 僕は、ロイドの方をできるだけ見ないように乾いた布を手渡した。
 ロイドの裸なんて珍しいわけでもないのになぜか、顔が熱くなる。
 彼は、筋肉質には思えないが脱ぐとけっこうすごい。
 引き締まった彫刻のような美しい肉体をしている。
 
 
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