エロくてすみません。~礼次郎編~

トモモト ヨシユキ

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    人が集まってきて、ざわめきが高まってきた。眩いライトの中に、沢村に手を引かれて、晴が現れた。
   晴は、裸だった。
   俺にそっくりな、俺の弟。
  晴。
   俺は、晴を見つめた。
   晴は、すぅっと深呼吸をしたと思うと、言った。
   「お願いします」
   晴は、明るい光の中で、その場にひざまづいた。すぐに、さっき事務所で見かけたちゃらそうな赤毛の男が晴に歩み寄っていった。
   男は、手に赤い麻縄を持っていた。
   「それじゃ、いくで、ハルちゃん」
   その男は、晴を縛り上げていった。俺は、知らないうちに息を詰めて、その光景に見入っていた。
   赤毛の男の手で、晴は、動きを封じられ、吊り上げられて、腰を突き上げて、つま先立ちになっていた。
   俺の鼓動が早まっていく。
  あれは、俺じゃない。
   なのに、まるで、縛られて、身動きもとれずに、衆人の監視の目にさらされているのは、俺自身であるかのような気がして、俺は、ため息をついた。
     「沢村、入ります」
   さっきの男が、裸で縛られた晴の前に、自分も裸になって、立っていた。
   これから、始まるのだ。
   俺は、息を飲んだ。
   晴が、いよいよ、俺の目の前で、あの男に抱かれようとしていた。
   沢村は、いきなり、晴の口へと自分自身を押し込んだ。
   晴は、苦しそうに呻き声を漏らして、懸命に堪えていた。
   沢村は、晴の口を犯し、言った。
   「出すぞ、ハルちゃん」
   「んぅっ・・」
   沢村は、晴の顔面に向けて、精を放った。晴は、それを受け止めた。そんな、晴に対して、沢村は、笑って言った。
   「ハルちゃん、すげぇ、淫乱っぷりだな。顔射されて、立たせてるなんてな」
  「あっ・・」
   晴が頬を染めるのを見て、沢村は、囁いた。
   「ハルちゃん、エロすぎ。もう、たまらないな」
   「ふぅっ・・んぁっ・・」
   沢村が晴の口へと指を入れると、晴は、それをしゃぶり始めた。唾液を垂れ流して、沢村の指をしゃぶっている弟の姿を見て、俺は、衝撃を受けていた。
   それは、俺の知らない晴の姿だった。
   沢村が、後ろに回り込んで、晴の腰を掴んだ。
   「いくぞ、ハルちゃん」
   「んぁあっ!」
   沢村に後ろから貫かれて、晴が嬌声を上げた。
   「あぁっ・・んぁっ・・だめぇっ・・そんなに、深く、突いちゃ、いやぁっ!」
   晴の狂態に、俺は、思わず目を反らせた。その姿は、春名に突かれて喘ぎ声を漏らす、俺自身と重なり、俺は、自分自身が高まってくるのを感じていた。
   「だめぇっ!見て、兄さん」
   その時、晴が、俺に向かって、叫んだ。
   「僕を見てぇ!」
    「晴」
    俺は、狂い哭く晴の姿を見つめた。
   その姿は、まさしく、俺自身の姿だった。
   俺は、ズボンの下で俺自身が痛いぐらい固く立ち上がっているのを感じていた。
    晴。
   俺は、自分自身を抱き締めていた。
   俺の、大切な、弟。
   双子の、弟。
   もう一人の、俺。
   沢村が叫んだ。
  「ハル、一緒に、いけ!」
   「あぁあっあっ!だめぇっ、も、いっちゃう!いくぅっ!」
   晴の上げた声と共に、俺も、服の下でいってしまっていた。
   「あ、あっ・・晴・・」
   俺は、涙を流していた。
   俺の、幼かった弟は、もう、いない。
   俺自身の分身である、晴は、もう、どこにもいないのだ。
   俺たちは、たった今、別々の、俺たちになったのだ。
   撮影が終わって、晴を縛っていた縄が解かれた。俺は、晴に駆け寄って、晴の体を抱き締めた。
   「晴・・」
   「兄さん・・」
    俺は、しばらく黙って、晴を抱いていた。
   それは、俺の分身としての晴との決別の前の最後の俺の足掻きだった。
  晴をこのまま離せば、俺は、どうなってしまうのか、俺には、わからなかった。
  だが、いつまでも、このままでいるわけにはいかなかった。
   俺は、名残を惜しみつつ、晴から体を離した。すかさず、沢村が、晴の体に毛布をかけて抱き上げ、晴を俺から連れ去っていった。
   俺は、去っていく、二人に呼び掛けた。
  「あの」
   俺は、振り向いた沢村に言った。
  「晴を・・弟を、よろしくお願いします」
   沢村は、にっこりと笑って、言った。
  「もちろんです」
   終わった。
  俺は、その場を逃げるように後にした。
  下着の中でいってしまって、俺は、気持ち悪さを感じていたが、そのまま、家へと駆け出した。
   晴は、俺の手から、巣立っていった。
  俺は、一人ぼっちだった。
  息を切らせて、家へと逃げ帰った俺は、ベットの上に倒れ込んだ。
   俺は。
   俺は、これから、どうしたらいいのだろうか。
  この世界に、たった一人ぼっちの、俺。
   俺は、枕に顔を押し付けて嗚咽した。
  ひとしきり泣いて、気づくと、携帯が鳴っていた。
   春名からだった。
  俺は、ゆっくりと携帯を手に取り、電話に出た。
   「ああ、レイちゃん。撮影、どうやった?」
   「春名さん」
   俺は、春名の声に、思わず、涙が溢れるのを留めることができなかった。
   「どうしたんや?レイちゃん」
   春名が、慌てた様子で言った。
   「もしかして・・やっぱり、なんか、されたんか?」
   「違います」
   俺は、春名に言った。
   「そんなんじゃ、ないんです」
   「だったら、なんで、レイちゃんが、泣いとるんや?」
   「それは・・」
   俺は、口ごもった。
   「春名さん」
    「なんや?レイちゃん」
   「今から、行っても、いいですか?」
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