侯爵様、主人公はあちらです!~BLマンガの継母に転生したんだが、主人公と攻略対象者が溺愛してくる~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
50 / 111
5 領主代理

5ー10 絶対、はずさない

しおりを挟む
 5ー10 絶対、はずさない

 翌日、俺とリュートは、ラインズゲート侯爵家の馬車でクルシキへと向かった。
 俺たちの馬車の後ろを救援物資を積んだ荷馬車が続く。
 騎士たちに先導されて俺たちは、馬車を走らせた。
 クルシキまでは、領都ジルトニアからおよそ半日ほどの距離だ。
 一刻も速く町へ向かいたい。
 そう俺は、思いつつ熱い吐息を漏らした。
 「どうした?アンリ」
 リュートが俺の顔を覗き込んでくる。
 俺は、思わず涙目になっていた。
 昨夜。
 俺は、リュートに抱かれるのを拒むためにリトからもらったラトグリフさんの用意してくれたという薬をリュートに盛った。
 その結果。
 俺は、リュートに抱き潰されていた。
 なんで?
 「すまなかった、アンリ」
 リュートは、俺に謝った。
 「初めてのことだし、手加減するつもりだったんだが、できなかった」
 早朝、リュートは、まだぐったりとしてベッドに横たわっていた俺を抱き上げてキスをした。
 「お前があまりにもかわいくて」
 嘘です!
 俺は、ぎりぎりと歯軋りしていた。
 絶対にあの薬が怪しい!
 何が俺が慣れない旅で眠れなかったら、だ!
 絶対、あれは、怪しげな薬だったに違いない!
 俺は、朝一で薬の小瓶を窓から外へと投げ捨てた。
 こんな怪しい薬を盛ったなんてばれたら、どんなことされるか!
 俺は、生まれたての小鹿のようにぷるぷるなりながらもなんとかリトに頼んで身支度を整えようとした。
 けど、それをリュートが阻んだ。
 リュートは、自ら俺の体を清め服を着せると馬車まで俺を抱いて運んでくれた。
 というか、みんなの目が痛いし!
 被災地への救援に向かうっていう日に歩けないとか!
 それも、前日、抱き潰されて!
 恥ずかしすぎて!
 俺は、静かに怒っていた。
 リュートは、俺に妙に優しくて。
 馬車の中でも俺を離すことなくかいがいしく世話を焼いてくれた。
 けど!
 俺は、誤魔化されはしない!
 これは、リュートが悪い!
 俺がふて腐れてリュートを無視していたらリュートがしゅんとしてしまった。
 「すまない、アンリ。ほんとに私が悪かった。許してくれ」
 リュートに素直に謝られて俺は、ちょっと驚いていた。
 なんか。
 大型犬?
 というか犬じゃなくて狼っぽいけどな。
 でも、必死に反省している姿がなんだか憎めない?
 「はずしてくれたら、許してあげます」
 俺は、ぼそっと呟いた。
 リュートは、飛び付いてくる。
 「何をはずして欲しいんだ?アンリ」
 何をって!
 決まってるじゃん!
 「あ、の、リング、を」
 俺が思いきって言うと、リュートは、すげぇいい笑顔になる。
 「ダメだ」
 はいっ?
 なんで?
 リュートは、俺の唇にキスをする。
 ちゅっと音をたてて俺の唇を吸うとリュートは、俺に囁いた。
 「絶対、はずさない」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

余命半年の俺を、手酷く振ったはずの元カレ二人が手を組んで逃がしてくれません

ユッキー
BL
半年以内に俺は一人寂しく死ぬ。そんな未来を視た。きっと誰も悲しむ人は居ないだろう。そう思っていたから何も怖くなかった。なのにそんな俺の元に過去手酷く振り、今では世界的スターとなった元カレ二人がやってきた。彼らは全てを知っていた。俺がどうして彼らを振ったのか、そして俺の余命も。 全てを諦めた主人公と、主人公を諦めきれないイケメンサッカー選手とシンガーソングライターの再会が導く未来は?

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

推し変したら婚約者の様子がおかしくなりました。ついでに周りの様子もおかしくなりました。

オルロ
BL
ゲームの世界に転生したコルシャ。 ある日、推しを見て前世の記憶を取り戻したコルシャは、すっかり推しを追うのに夢中になってしまう。すると、ずっと冷たかった婚約者の様子が可笑しくなってきて、そして何故か周りの様子も?! 主人公総愛されで進んでいきます。それでも大丈夫という方はお読みください。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

処理中です...