侯爵様、主人公はあちらです!~BLマンガの継母に転生したんだが、主人公と攻略対象者が溺愛してくる~

トモモト ヨシユキ

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6 新しい町

6ー1 生存者

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 6ー1 生存者

 馬車は、昼前頃にクルシキの辺りに到着した。
 辺りは、一面、土砂に覆われていて町のあったような形跡は、見つけられなかったが御者が言うには、この辺りが恐らくクルシキの町のあった場所だろうということだった。
 「特に魔物は、いないようだな」
 リュートが馬車の窓から外を見て呟く。
 俺も窓から外を覗き見るが、土砂の山があちこちにある他には、まったくの無だった。
 大きな岩があちこちに転がっており、所々に折れた木々などが突き出ている。
 「これは、酷い」
 俺とリュートは、馬車の外へと降りた。
 季節は、冬だがここ数週間は、この辺は、春のような暖かい日が続き山からの雪解け水が流れていた。
 「たぶん雪が溶けてその水が大量に流れて土砂が崩れたんだろう」
 リュートが遠くにある削れた山肌を指差して話す。
 このクルシキの町は、林業の町だった。
 周囲を山に囲まれている盆地で住民たちは、切り出した木々を加工して売って生計をたてているものがほとんどだったという。
 俺たちは、何か町の名残が残されていないかと辺りを探りながら山の方へと向かって歩いたが、そこに町があった証になるようなものは1つも見つからなかった。
 「全て土砂に埋まってしまったのか」
 俺は、岩の間を流れている水でぬかるんでいる地面を辺りに落ちていた木切れで掘り返してみた。
 泥の中から汚れた木製の壊れた人形が出てきた。
 端切れで作られたドレスを着た木の人形を俺は、拾い上げる。
 きっと、これで遊んでいた子供がいたのだろう。
 それも全てが土砂に流されてしまった。
 山の方を調べていたロングィユが俺たちを呼ぶ声が聞こえて俺は、立ち上がった。
 ロングィユは、俺たちに手を振りながらこちらへと走ってくる。
 「こっちへ!」
 ロングィユは、俺とリュートに山の方を指差して叫んだ。
 「人が残されています!」
 生存者がいた!
 俺とリュートは、顔を見合わせるとロングィユの指差す方へと駆け出した。
 もう、災害があってから2週間以上が過ぎている。
 正直、生存者がいるとは思ってはいなかった。
 ロングィユは、俺たちを岩肌がむき出しになった崖の下の方へと導いた。
 そこは崖の上から滝のように水が流れ落ちてちょっとした沼か何かのようになっている場所だった。
 「こちらです!」
 俺たちは、ロングィユの後に続いた。
 ロングィユは、水が流れ落ちる岩場の奥へと入っていく。
 流れ落ちる水に俺たちは、びしょ濡れになっていたがかまわず進んでいく。
 巨大な岩の割れ目の奥に入っていった俺たちの前に薄暗い空間が広がっていた。
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