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第4章 社交界の陰謀

4ー7 専門学校ですか?

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 4ー7 専門学校ですか?

 「SSクラスの魔石ですか?」
 ユーリスが驚きを隠せずに俺にきいた。
 「そんなもの、どうやって手に入れるんですか?」
 SSクラスの魔石とは、数千年の時を生きた魔物からでないと手に入らない。
 そんな魔物は、めったにいないのだ。
 俺は、神都ライヒバーンの力を使って探してみた。
 神都ライヒバーンの力は絶大だ。
 地上の全てのSSクラスの魔物を探し出すことが可能だった。
 俺は、その内数体を神都ライヒバーンの魔霊光弾砲つまりレーザーみたいなもので狙い撃ちして倒した。
 それを『ヒポクラティス』商会に頼んで回収してもらった。
 「これだけの魔石があれば国家をつくれますよ」
 マイヒナが興奮を隠せない様子で俺に告げた。
 だが、俺がこの魔石を手に入れたのはそんなことのためではない。
 これが空船のために集められたと知ると、マイヒナは、さらに興味を持った様だった。
 「空を飛ぶ船ですか」
 マイヒナは、にんまりと笑った。
 「そんなものが実用化されれば世界の物流に革命が起きますよ」
 そういうことで俺の空船開発は、『ヒポクラティス』商会の全面的な協力のもと進められることになった。
 「でも、空飛ぶ治療院を造れば運営するための人材が必要になるのではないですか?」
 ユーリスが訊ねてきた。
 うん。
 それは、俺も頭が痛いところだった。
 この世界の病や怪我の治療は、教会や神殿が一手に引き受けている。
 だから、当然、優秀な治癒師や薬師は、彼らのもとにいるわけだった。
 それを何人か引き抜きたいのだが、そんなことをすれば教会や神殿に喧嘩を売るようなものだ。
 どうしたものか。
 「教会や神殿に所属してない術者を探してみてはいかがでしょうか」
 おずおずとユーリスの隣から今回同じパーティになった女子が口をはさんだ。
 「それができればいいんだが」
 残念ながら在野の術師で優秀な者は、そんなにいない。
 俺がそう考えていることを察したのかチヒロが俺に訊ねた。
 「なら、魔法学園の卒業生をスカウトしてみたら?」
 「それは、無理だろう」
 俺は、答えた。
 「学園生たちは、未熟だし、すぐには現場で役立つかどうかわからない」
 すぐに使い物になるような学生は、在学中から教会・神殿の声がかかっている者が多い。
 「最初から専門知識を教えてあげればいいじゃないか」
 チヒロの言葉に俺は、目から鱗の気分だった。
 確かにそうだ。
 人材がいないなら育てればいい。
 俺は、マイヒナに頼んで医療の専門学校を創設することにした。
 そこに世界中の魔法学園の卒業生で希望するものを集めて学んでもらうことにする。
 数年計画になるが喉から手がでるほど欲しかった人材が手に入るわけだった。
 
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