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第4章 社交界の陰謀

4ー18 悪役ですか?

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 4ー18 悪役ですか?

 「待て!お前たち!」
 スライムに変えられたクリスタが跳ねながら俺たちの後を追ってきた。
 「私を置いていくつもりか!」
 「あらあら」
 リータがクスクスと笑った。
 「B級冒険者様なら一人でなんとかできるんでしょう?」
 「た、頼む」
 クリスタが俺たちの足元にすがり付いた。
 「頼むから置いていかないで」
 うん。
 どうしたものかな。
 俺が考えているとチヒロがクリスタを抱き上げた。
 「ここに置いていったら魔物と間違えられて殺されちゃうかもしれない。連れていってあげようよ、ロイド」
 「チヒロは、甘いな」
 俺は、チヒロのことを見て微笑む。
 チヒロは、ぷぃっとそっぽを向くとすねたように言った。
 「だって、クリスタがいないと僕たちが攻略したって証人がいなくなるじゃないか」
 「それもそうだな」
 俺は、クリスタを睨んだ。
 「連れていってやるからありがたく思うことだな」
 「は、はいぃっ!もちろんですぅ」
 スライムとなったクリスタがチヒロの腕の中でぷるぷると震えながら応えた。
 俺たちは、クリスタの案内で3階層のボス部屋を目指した。
 途中オークやらゴブリンやらと遭遇したが俺たちと戦う前に相手が逃げ出していったため戦闘にはならなかった。
 「さすが主さん、魔物がその覇気を恐れて逃げていくわ」
 リータがにこやかに言うと、ユーリスたちが感心した様子で俺を見た。 
 「戦わずして勝つとはすごいです!」
 「さすがはロイド様です」
 こんな感じで俺たちは、さくさくと進んでいった。
 3階層の奥の重厚な扉の前まで来るとクリスタが告げた。
 「ここがこのダンジョンのボス部屋です、ロイド様」
 いつの間にかへりくだって俺のことを様付けで呼ぶようになったクリスタがチヒロの腕の中からそっと身体の一部を伸ばして扉のノブに触れた。
 「このボス部屋の扉には鍵がかかっています。この扉を開ける鍵はこの付近にいる魔物が持っている筈です」
 「ああ?」
 俺は、手を前にかざすと扉を精霊魔法で吹き飛ばした。
 「なんだって?」
 「い、いえ・・その、なんでもありません」
 俺たちは、薄暗い部屋の中へと入っていった。
 クリスタが小声で囁く。
 「気をつけてください、みなさん。ブルードラゴンは、物音に敏感ですから静かに」
 「暗いな」
 俺が手を振ると周囲がぱっと明るくなった。
 と。
 部屋の奥から低い猛獣の唸り声が聞こえてきた。
 「我が眠りを妨げるのは、誰だ?」
 「ひぃぃっ!」
 クリスタがぷるん、と震え上がった。
 「はやく!逃げて!殺されるぅ!」
 俺は、制服の上着を脱ぐとそれをリータに渡し腕捲りしながら部屋の奥へと向かって歩いていく。
 「さて、お楽しみの時間だな」
 「ロイド様、まるで悪役ですわよ」
 アーリアがくすっと笑った。
 ユーリスも呆れた様子で俺を見ていた。
 「あまり酷いことはしないで下さいね、ロイド様」
 
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