魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
29 / 38

29 全ての魔王を制覇する!

しおりを挟む
     恐怖の魔王  エイシェスは、ほんとにいい奴だった。
   毎日、朝早くに起き出して、郊外にある農園に通って農作業を手伝ってくれていた。
    なんでも、母親は、農民だったとかで15才になってダンジョンの主になるまでは農民だったらしい。
    「今もダンジョンで畑を作っている。私は、商才もないし、ダンジョン運営もうまくないからな。食ってくためには、畑でも作るしかない」
    うん。
   俺、なんか思うんだけど、魔王って大変なんだよね。
   王様とかなら領民から税金をとれるけど、魔王は、領地もないし、まず、生活の基盤を確保することが必要になるわけだけど、与えられてるのはダンジョンだけだし。
    手下がいれば、手下のことも食べさせなきゃだし。
   本当に、資金繰りに困っている魔王は多い。
   実は、あのミハイルにやられた双子も、生活に困っていたらしくって、それもあって俺を拐ったらしい。なんでも身代金を要求するつもりだったとか。
   そこは、ダメだから。
   誘拐は、ダメ!
   今は、とりあえず、うちで物資の支援をしているけど、そのうち、きちんとダンジョン運営を教えないとと思っている。
   邪神は、そこのところをどう思っているんだろう。
   10人の子供たちっていっても、みんながみんなダンジョン運営がきちんとできる訳じゃないし。
    事実、貧乏で困ってる魔王の方が多いし。
  恐怖の魔王  エイシェスの弟たち、億劫の魔王  テイラーと睡魔の魔王  カイルも貧乏らしい。
   それ故に、2人は、ある日、近くの街道を通りかかった馬車を襲って一人の女を誘拐したのだという。
    「私は、止めたんだが、あいつら、金に目が眩んでやってしまったんだ」
   本当!
   ダメだから、誘拐は!
   で、結局、その誘拐した女の人に2人は、翻弄されている、ということだった。
   「なんでまた、翻弄って・・」
    と俺がきくとエイシェスは、俺に説明してくれた。
   「その女は、実は、弟たちを騙すために送り込まれた聖女だったんだ」
     はい?
   俺は、耳を疑った。
   なんで、聖女が魔王退治なんてしてるの?
   「イスミル王国は、勇者召喚のついでに聖女も召喚したんだが、その聖女というのがくせ者だった」
    エイシェスは、語る。
   「なんでも、魅了の力を持っているとかで、全ての人が彼女の思うがままになってしまうらしい。その力を使って魔王を翻弄しているというわけだ」
   「だから、翻弄って」
    おれが呆れていると、エイシェスは、力説した。
   「ほんとに、翻弄されてるんだよ!だって、我々、3兄弟の同盟を無視して戦わせてるし、絶対、あの女に騙されてるんだ!」
    マジで?
   聖女って、そういうキャラだったっけ?
   もっと、こう、癒してみたり、ポーション作ったり、そういうんじゃねぇの?
   「とにかく、その件は、俺たちに任せて、あんたは、ゆっくりしてて」
    俺は、エイシェスを客としてもてなすつもりだったんだが、エイシェスは、毎日、農地に行って仕事を手伝ってくれてるといいうわけだった。
    「どう思う?イグドール」
    俺は、イグドールにスライム通信できいた。
   「嘘をつくような奴にはみえないけどな」
     「うん、イスミル王国の聖女、か」
      イグドールが首を傾げた。
    「聖女が単身、魔王攻略に出てくるなんてこと、ありえないんだが」
   「俺も、そう思う」
    俺は、イグドールに言った。
   「魔王が2人も聖女に翻弄されてるって、信じられない」
   「少し、こっちで調べてみる。その聖女様のことを、な」
   イグドールが言ってから、俺に訊ねた。
   「そろそろ、私のものになる決意は固まったか?ハジメ」
   「固まってないから」
    俺は、スライム通信を切った。
    
   それから、数日後。
   イグドールが俺のもとを訪ねてきた。
   「イグドール」
    俺が彼を出迎えるとイグドールは、俺の匂いをクンクン嗅いできた。
   「なんか、聖女の匂いがする」
    「だ、だって、俺、聖女だし」
    俺がイグドールを押し退けながら言うと、イグドールは、なおもクンクンしながら俺を押さえつけた。
    「そういうんじゃない。なんか、お前の中の魔王の部分が弱まって、聖女の部分が強くなってるってことだ」
    イグドールは、俺がしている腕輪を見てきいた。
   「それは、なんだ?」
   「腕輪、だけど」
   俺が答えると、イグドールは、俺の腕をとってそれを見た。
    俺は、言った。
  「もらったんだけど、前からしてただろ?」
   「誰に、もらった?」
    「ヴィスコンティに、だけど」
    「あいつか」
     イグドールが露骨に嫌そうな顔をした。
   「なんか、その腕輪は、嫌な感じがする。前は、感じなかったが、だんだん力を増しているような気がする」
     マジで?
   イグドールが俺の手から腕輪を奪い取ろうとしたから、俺は、イグドールの手を振り払った。
   「やめて!これは、大切なものなんだ!」
    「ハジメ」
     イグドールが少し、傷ついた様な表情を浮かべて俺を見ていた。
   「すまん、お前がどんどん魔王でなくなっていく様な気がして」
   俺が魔王でなくなる?
   「そんなわけがないだろ?」
    俺は、イグドールに言った。
   「俺は、ルファスの肉体を持っている欲望の魔王、だ。それは、変わりようがないだろ」
   「それは、そうなんだが」
    イグドールは、俺をじっと見つめる。
    「本来、魔王の肉体に聖女の魂が入るなんてこと、あり得ないことだ。そんなことになれば、聖女の魂に堪えられず魔王の肉体が滅んでしまう。だから、最も弱くって魔王としては、下の下であったルファスの肉体が選ばれたのだろうな。それでも、本当なら、肉体が堪えられない筈なんだ」
     「そうなの?」
    俺は、目をしばたかせた。
   「なんで、俺、平気なの?」
   「たぶん、特別な加護でもあるんだろうな」
   イグドールが答えた。
     特別な加護?
      「邪神の?」
    「さあ、私には、わからん」
    イグドールが俺から目をそらした。
    「ところで、お前が言っていたもう1人の聖女のことだが」
    その聖女の名は、アイリというらしい。
   「おそらく異世界人だ」
    イグドールが言った。
   「聖女がこの世界で生まれることは、まずないからな」
    そうなんだ。
   俺は、イグドールの話をききながらお茶を入れて、それをイグドールに渡した。
   イグドールは、お茶の香りを嗅ぐと溜め息をついた。
   「あいつのとこの茶か?」
    「うん」
    俺は、イグドールに頷いた。
   「気に入っちゃってさ」
   「まったく、そんな風だから商人の神ルファスとか呼ばれるんだぞ。しっかりしろ、ハジメ。お前は、魔王なんだからな」
    イグドールが俺に説教を始める。
   「お前は、だいたい、商売がうますぎるんだ。だから、そんな名で呼ばれてしまうんだ」
    「別に、商売がうまいってことは、悪いことじゃないし」
    「いや、悪だ!」
    イグドールが叫んだ。
   「いいか、魔王というのはな、もっと闇に潜んで生きなきゃいけないんだよ。それを街なんて作って国とも親しんだりして、ほんとに、お前でなければ私が攻め滅ぼしているところだぞ!」
    マジで?
   俺は、イグドールに言った。
   「なんで?魔王は、闇に潜んでなきゃならないのに、ろくな生活手段も与えられてないし、みんな、ダンジョン経営が下手だし、生活に困ってる奴もいるんだよ?なんで、邪神は、魔王を作るくせに生活能力を与えないわけ?」
   「うっ・・」
    イグドールが俺の言葉に怯んだ。
   「そんなことは、私は、知らん」
   「ねぇ、イグドール」
    俺は、きいた。
   「俺、邪神にもう一度会いたいんだけど」
    「はぁ?」
    イグドールが驚いた様子で俺を振り返った。
   「邪神グラディナードに、か?」
    「どうすれば会えるのかな?」
    俺が訊ねると、イグドールが答えた。
   「簡単だ。この魔王の戦いの刻を勝ち抜けば、邪神に会うことができるだろう」
   えっ?
   俺は、イグドールを見た。
   「俺に魔王の頂点に立てっていってるの?」
   「そうだな」
    イグドールが答えた。
  「お前なら可能だろう。全ての魔王を制覇したとき、邪神グラディナードは、再び、お前の前に現れる」
    マジか?
   全ての魔王を制覇するなんて、俺にできるわけ?
    
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました

すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。 第二話「兄と呼べない理由」 セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。 第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。 躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。 そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。 第四話「誘惑」 セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。 愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。 第五話「月夜の口づけ」 セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...