勇者は、今夜も眠れない~邪神の呪いを解くための番なのに年下賢者が甘やかすのをやめません~

トモモト ヨシユキ

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1 呪われた勇者

1ー2 勇者の誕生

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 1ー2 勇者の誕生

 『強くあれ、そして、正しくあれ』
 それが騎士団長であった父、クレランス・ベイスの教えだった。
 それは、ベイス侯爵家3男である俺、エイン・ベイスにとっての呪い。
 幼い頃よりいつかは、家を出て己の力量のみで生きていかなくてはならないことがわかっていたからか、父は、上の2人の兄に対するよりも厳しく俺には接していたように思う。
 俺は、何事においても2人の兄たちに勝ることはなかった。
 剣にしろ学業にしろ、俺は、十人並みだったが、それを父がどうこう思うことはなかった。
 俺は、ベイス家にとっていらない子供だったからな。
 長男は、跡取りであり大切にされる。
 次男は、長男に何かあったときのためのスペアとして大切にされる。
 だが、3男の俺には、誰も目もくれることはなかった。
 剣の鍛練も、学業も。
 全て俺は、おまけだった。
 優秀な兄たちに比べれば俺は、とるに足らない存在だった。
 それが変化したのは10歳の時。
 このロマンシア王国においては全ての国民は、10歳になったときに神の神託を受けることになっていた。
 神託では、神官より祝いの言葉とともにそれぞれの神より与えられたスキルが明かされる。
 それによってこれからの人生が決まるので親も子もみな、必死である。
 が。
 俺は、なんの期待もされてはいなかったし、俺も特には何も望んではいなかった。
 望むことは、俺にとっては、罪だった。
 俺ごとき人間が何かを望むなんて許されない。
 それまでの人生で学んでいた。
 だから、俺は、神に何も望んではいなかった。
 だが。
 神託で俺は、『勇者』という神託を受けたのだ。
 それは、数百年に1人という珍しい貴重なスキルで。
 『勇者』は、この閉塞感に包まれた世界を変革する者だった。
 このロマンシア王国のある大陸には、いくつかの国があり、その国々の中心には、巨大な暗黒の森があった。
 その森には、邪神がいる。
 邪神の力は、この世界を分断しており、年々、世界を侵食していっていた。
 いづれ、世界は、邪神によって滅ぼされる。
 そんな諦めのもと、人々は生きていた。
 そこに現れたのが俺という者だった。
 『勇者』は、唯一、邪神に対抗しうる存在とされていたため、『勇者』の神託を得た俺は、その時から人々の期待を一身に背負うこととなった。
 それまでベイス家のいらない子だった俺は、突然、世界を救う者となったのだ。
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