スラムに堕ちた追放聖女は、無自覚に異世界無双する~もふもふもイケメンも丸っとまとめて面倒みます~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
120 / 170
10 祭りの夜

10ー2 女神の祝福です!

しおりを挟む
 10ー2 女神の祝福です!

 エリクさんに手をひかれて玄関を出て階段を降りていくとデッキの船着き場にノマさんが船を寄せていた。船にもクルの花が飾られていて華やかだ。私は、衣装に気をつけつつエリクさんのエスコートで船に乗り込んだ。
 これが、ほんとの結婚式だったらなぁ。
 ちょっと夢想しているとノマさんが船をこぎだした。私は、船の舳先の辺りに腰かけていた。
 船は、『ヴェータ』沼の中央通りを抜けて森の船着き場を目指す。
 静かな朝だ。
 光が差すなかを船は、滑るように湖面を進んでいく。
 と中央通りに出ると両側にはえたクルの木の上の家や商店から住人たちが船に向かってクルの花を投げてきた。
 「ユイ様、きれい!」
 「おめでとうございます!」
 口々に祝いの言葉を投げ掛けられるが、結婚するのは私ではない。
 私は、すんとしたままみなに手を振った。
 花びらが飛び散り、夢の中のように美しい。
 ふと後ろを伺うとエリクさんと目があった。エリクさんは、私に微笑みかける。
 うぉっ!
 早朝のイケメン爆弾が炸裂!
 私は、頬が熱くなるのを隠すように前を向いた。
 そのまま、進んでいくとじきに森の船着き場が見えてくる。
 岸辺でクーノが待っているのが見えた。
 ノマさんが船を寄せるとクーノがすかさず私の方へと手を差し伸べる。私は、クーノの手をとると式服の裾を気にしながら岸へと飛び移る。
 「綺麗だ、ユイ」
 クーノが私をエスコートしながら囁く。褒めなれていないので私は、胸が高鳴るのを止められない。
 私の歩く道には、『ヴェータ』沼の青で染められた道ができていた。両側に並んだ神龍族の女性たちがクルの花を私が歩む先に投げかける。
 なんだか、ほんとに私が花嫁みたいだな!
 視線を感じて横を向くとクーノが私を見つめていた。妙に優しげな瞳に心臓が跳ねる。
 まったく!
 クーノのくせに生意気な!
 私たちは、神龍族の街の中央の広場までいき、そこにある女神の像の前に作られた台の上に上った。
 一斉に広場を取り囲んだ何組かの花嫁花婿と観客たちから歓声があがる。
 私は、花嫁花婿を見回した。
 それぞれが好みのドレスに身を包んでいる。ただ、色は、濃淡はあれど『ヴェータ』沼の青一色だった。
 遠くにエリクさんとキンドさんの姿もある。そして、その横には見たこともない中年のおじさんの姿があった。
 あれ、誰?
 そう思いながらも私は、儀式を始めるように側に控えていたデミル神官に促されてすぅっと深呼吸をした。
 クーノは、もう、台を降りており今、みなの前に立っているのは私1人だ。
 私は、もう一度みなを見回すと祝福の言葉を告げた。
 「ここに今日、集った新しい夫婦となる者たちに幸いがあらんことを!」
 私は、胸の前で手を組み、目を閉じる。
 どうか、みなが幸せになりますように。
 どっとどよめきが起こる。
 目を開けると。
 空から白いフワフワしたものが降ってくるのがみえた。
 「信じられない!」
 背後でデミル神官が声を漏らした。
 「女神の祝福です!ユイ様」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?

エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。  文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。  そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。  もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。 「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」  ......って言われましても、ねぇ?  レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。  お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。  気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!  しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?  恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!? ※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。

処理中です...