残されたキヅナ

里桜

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成長日記

幼稚園

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小山白ゆり幼稚園。
2人がかつて通っていた幼稚園。
寂しがり屋で人見知り。親と離れると泣いてしまう2人を心配した2人の親は、年少保育はなしにして、年中保育から始めることにした。
2011年4月10日。
2人の初めての登園日。
東日本大震災から1ヶ月が経ったこの頃。
ニュースの盛り上がりは少し治まり、2人が住んでいる東京都は、もう日常に戻しつつあった。
そんな頃、2人はピカピカの制服を着て、両親と6人で、入園式と書かれたボードの前でピースをしていた。
親と離れる時、2人の親はどんなに泣いてしまうのか心配していたが、実際、2人は一瞬たりとも泣くことはなく、2人で元気に「行ってきまーす!」と言って飛び出していった。
「心配なかったみたいだね」
「ですね!よかった」
そう言って2人の両親は笑った。

その入園式から3日後、最初の登園日があり、その日も2人は元気に家を飛び出していき、幼稚園で朝の歌を教えてもらって、同じクラスでいつものように人形で遊んでいた。
その時、同じクラスの折原ゆうが、楓の人形を奪った。
「あっ」
楓も里桜も、気が弱い。
2人とも初対面の人に怒るほどの勇気はもちあわせていなかった。
「なんだよこの人形。俺、こんな汚いお人形初めて見た」
ゆうは、中学生の兄がいることもあり、とても口が悪い。
「汚くなんかないよ。りおのおかーさんが買ってくれたの。」
楓がやっとのこと声を出した。
「え、お前って親いんの?俺、アイツらとお前の親がいないって話してたんだけど。死んだんじゃないの?」
ゆうが水道の方で仮面ライダーのおもちゃを持って遊んでいる男の子たちを指さして言った。

そう。里桜の母親は、母親をやめた。
まだ生きていて、連絡も取れるし、病院でバリバリ薬剤師として働いている。
しかし、里桜の母親は里桜のことが嫌いだった。
里桜の後に、紗理奈と美咲の2人の子供を産んだが、2人のことは受け入れ、育てたものの、里桜は0歳2ヶ月の頃、見放された。母親、佳奈は、里桜を家に置いていき、逃げ出したのだった。
それを、里桜の祖母、文乃が発見し、連絡すると、いらないと言い張り、聞かなかった。
それから、文乃がしばらく面倒を見ていると、10歳差の妹、当時12歳の優亜が里桜の事を可愛がり始めた。
そして、ある日言った。
「私、この子の面倒見たい。ずっとここで育てたら、お母さん、大変でしょ?私、自分で子供産みたいとは思ってなかったし、家も残ってるんだから、向こうの家でこの子と2人で住みたい。責任もって育てるから。いいでしょ?お願い!」
そういって、優亜は里桜を引き取った。
里桜は小さいが、その事を祖母から聞いた。
楓も、楓の親から聞いていて、小さいなりに、楓と里桜は、よく2人で里桜の母親の話をしていた。

「なんで、、知ってるの、、?」
楓がゆうに尋ねた。
「やっぱそーなんだ」
ゆうは仲がいいらしき5人に伝え、5人は里桜を見て笑った。
「いるよ」
里桜が口を開くと、ゆうたちが笑いを止めて里桜の方を見た。
「は?」
「りおのおかーさん。家に、ちゃんといるもん。ほんとーのおかーさんじゃないけど、優しいんだよ?今日だって、よーちえん終わったら迎えに来てくれるんだもん」
楓はそれに乗っかり、「りおちゃんのおかーさん優しいもんね~」と言って人形遊びに戻った。
すると、何も言い返せなくなったゆうが機嫌を損ね、人形の手を持って振り回した。
「本当のお母さんじゃないんだろ?そんなんお母さんじゃねーよ。本当のお母さんじゃないって、じゃあ本当のお母さんはどこにいるんだよ。見せてみろよ。」
先生は他の子に鍵盤ハーモニカを教えている。
年中さんにもなると、年少さんの頃はいた、補助の先生がいなくなり、先生は担任の先生1人だった。
手が回りきっていない、この教室の中で、2人とゆうが出会ったのは、いわゆる、最悪の出会いであり、2人を強くするきっかけにもなった。
里桜は、楓が一番大切にしている人形が振り回されていることに怒って、それを見ていた。
楓は泣き出した。
幼稚園は楽しいところだと思っていたのに、なんでこんなに悲しい思いをしなければいけないのか。
幼稚園に行っていなかったのもあり、里桜以外の友達と話すこと自体初めてだった。
「泣いてる」
そう言ってゆうたち6人は、楓を指さして笑った。
すると、里桜が勇気を出して立ち上がり、ゆうの手から人形を強引に奪った。
「は?奪ってんじゃねーよ」
その声を後ろに、里桜は泣いている楓の手を掴み、「行こ」と言ってしゃがんだ。
楓は頷き、2人は雲が一面に広がる今にも雨が降り出しそうな外に出て、人形を持って、スクーターが入れてある、階段の下のスペースに行きついた。
「かえちゃん、大丈夫!お人形壊れてないよ!」
りおはニコニコしながらそういう。
「りおちゃん、ありがとう!大好き!!」
楓は里桜に抱きついて泣いた。
そうしていると、いつの間にか楓は泣き止む。
「あの子、お人形で遊びたかったのかなぁ」
「でも、なんかちっちゃい角みたいなのが生えでる人持ってたよ」 
「そっちの人形の方が好きかなぁ」

その頃、教室では、お遊びの時間が終わり、みんなで給食を食べる時間になっていた。
「あれ、誰か、今日入ってきたりおちゃんと楓ちゃん知らない?」
その先生の問に、鍵盤ハーモニカを練習していたうちの一人でもある、渡辺翔華が答えた。
「向こうでお人形持ってる子?」 
「あ!そうだね!ありがとう!」
この時間は外に出ていい時間ではなかった。
先生は外に出て、2人のところに行った。
「楓ちゃん、りおちゃん、先生が出ていいって言うまでは、教室でちゃダメだよ~」
2人は顔を見合わせてから、先生の方を見て同時に頭を下げ、「ごめんなさい」と言った。
「教室だと楽しくなかった?」
「人形、男の子に取られて、怖くて、かえちゃんが泣いちゃったから、外の方がいいなってなって、、」
「ゆうくんかな、とりあえず戻ろっか」
先生に連れられて戻っている間、楓と里桜は、「ゆうくんって言うんだね」と言って教室の中のゆうを見ていた。
教室に入って、先生は「ゆうくん!2人にいじわるしたでしょ!仲良く遊ばないとダメっていつも言ってるよね?」といい、ゆうを叱った。
「はぁい」
先生の前になると妙に素直になるのがゆうだった。

午後、幼稚園の積み木で遊んでいると、ゆうが2人が積み上げた積み木を倒し、「へっ」と言って笑った。
2人が黙って積み直していると、絵を描いていた翔華が2人の方によってきて、ゆうを叱った。
「ゆうくん、意地悪ばっかしちゃだめでしょ!」
「またお前かよ、別に良くね?」
「じゃあ私もうゆうくんに給食のヤクルトのコップあーげないっ!」
「は?しょーがねーな。分かった分かった」
ゆうは2人のことを睨むと、5人の元へ走っていった。
「ごめんね。あの子意地悪なの。」
「いじわる??」
「うん、気にしないでね」
そう言って、翔華は席に戻った、
「いじわるってなんだろう」
「い、じ、わ、る、なんだろう」
2人にはいじわるの意味が気になって仕方がなかった。

<キーンコーンカーンコーン>
幼稚園終わりのチャイムが鳴った。
支度をしてクラスの人達が親を待っていると、学校帰りの優亜と、楓の母親、良子が1番に迎えにきた。
「こんにちは~」
「ゆう、親いんじゃん」
「違うあれもう1人のやつの」
「石原楓の母です」
「鈴木里桜の母です」
教室がザワつく。
楓と里桜は、手を繋いですぐに教室の外に出ていった。先生はゆうたちの声を聞いた母親たちが困っているのをみて、気まずそうな顔をしていた。
「おかーさん、ごめんね、あのね、ゆうくんって子にね、りおのほんとーのおかーさんがいないこと知っててね、それでね、あとね、かえちゃんが、おかーさんが買ってくれたみみちゃん持ってたんだけどね、それ取られてね、みみちゃんぐるぐる回されちゃったの。」
りおは今にも泣き出しそうな顔になって優亜に言った。
「泣いちゃったの?」
「ううん、かえちゃんが泣いちゃった」
「かえちゃんが泣いちゃったの?」
「楓が?」
「だって、ゆりちゃん、やさしいのに、あの男の子が、ほんとーのおかーさんじゃないとダメってゆーから、楓、いつも、たのしーから、悲しくなっちゃったんだ」
亜は今まで、里桜が、自分が本当の母親ではないと知っていることを知らないでいた。
文乃が里桜にその事を話し、話したことを誰も優亜に伝えなかった。
「里桜、知ってたの?」
「うん」
「誰に教えてもらったの?」
「おばーちゃん」
「あぁ」
良子が優亜の背中を優しく撫でる。
その様子を見兼ねた先生が、4人の元に近寄ってきて、「すみません」と言って頭を下げた。
「あ、ねー、おかーさん、いじわるってなぁに?」
ゆりは無邪気に優亜に質問する。
優亜はそれどころではなかった。
過呼吸になりそうで、頭が真っ白で、とても人と会話ができるような状態ではなかった。
「家に帰ってから調べよっか」
良子が先生に頭を下げ、優亜を支えながら進んだ。
それに楓と里桜もついて行き、その後の教室は険悪な空気になった。
「ゆう、ほんとにあいつ親いなかったな」
「だろ?」
「なに、いたじゃん。ゆうくんたち目悪いの?」
翔華が口を挟むと、クラス全員の視線が翔華に向く。
「なんだお前」
「優しそうなお母さんがいたじゃん。ちゃんと。」
「親戚かお姉ちゃんじゃねーの?」
「そうだとしても、あんなに大切に育ててくれてるんだから、お母さんでしょ」
「意味わかんね~」
「ばーか」
「は?お前ぶっ殺すぞ?」
ここでやっと先生が口を挟む。
「ぶっ殺すとか言葉使わない!!」
「先生の根性無し」
誰にも聞こえない声で、翔華はそう呟いた。

その頃、4人は家に向かって帰る途中の道にいた。
「おかーさん!ブランコやりたい!」
「かえでもかえでも!!」
2人は親の許可を取る前に、手を繋いでブランコの方に向かっていった。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫です、ありがとうございます」
「顔色悪いよ」
「いや」
「無理しないでよ?」
「はい」
優亜の心の中は複雑だった。
本当のお母さんを知らない里桜は、自分のことを本当のお母さんだと思っていると思って、ずっと、ずっと接してきた。
いつの間に、本当のお母さんが優亜出ないと気づいていたりおは、一人で悩んでいたりしなかっただろうか。
目の前で無邪気にブランコを揺らしている里桜は、どれだけ悩んできたんだろう。
優亜は、今年高校受験があることもあり、楓の母親に、里桜の世話を任せることが多かった。
「やった!楓の方が高いよ!!」
「えー!りおだって高いもん!」
きゃはきゃは言いながらブランコを漕いでいるりおの姿を見て、いっその事家族になってしまいたいと思った。
自分が、本当にりおの母親だったら、どんなに幸せだったか。
「優亜ちゃん」
「はい」
「こんな時に悪いんだけど、私、敬語使われるの好きじゃなくて、なんて言うのかな、優亜ちゃんとも、ママ友的な感じで、ゆるーく付き合いたいし、もっと仲良くなりたいと思うから、タメ口で話してもらえると嬉しいな、なーんて思ってるんだけど、どうかな?」
「それでいいんですか?」
「うん」
「じゃあそうします」
良子の天然感満載のタイミングのおかしさに、優亜は笑った。
楓の父親は、暴力を振るう人だった。
楓も、何度も何度も暴力を受けたことがある。
今は弁護士として、偉い地位に立っていて、泊まりで仕事をすることが多いため、楓と里桜はどちらかの家に集まって、一緒に暮らしている。
里桜は、父親、母親から愛情を貰ったことがない。
自分は愛されていない。
そんなことを思ったことは1度もなかった。
優亜がいたから。
15歳の小さな母親、優亜の暖かい愛情を受け、元気にのびのびと、明るい子に育った。
複雑な家庭環境下に生まれた楓と里桜は、自分たちの家の環境が悪いとか、変わっているなんて、一瞬たりとも思ったことはなかった。
「かえできょーはりーちゃんちがいい!!」
「いーよ!」
「おかーさん!きょーりーちゃんちね!」
里桜と楓はブランコから降り、2人の気分で手を繋いでどんどん家への道を進んでいく。
優亜と良子はいつも振り回されっぱなしだったが、それはそれで楽しくもあった。
家に着いた頃には、優亜の機嫌も戻り、すっかりいつもの賑やかさが鈴木家の中に響き渡っていた。
17:00をすぎた頃、優亜が突然口を開いた。
「あ、里桜?今日からね、私、塾行くことになったから、夜、遅くなっちゃうんだ。だから、先に寝ててね?」
「じゅく??」
「なにそれー!かえでも行きたい!たのしいとこ??」
「お勉強するとこだよ」
「りおもおべんきょういく!!」
「かえでも!!」
「2人は一緒にお家で遊んでようね~」 

塾。優亜にとって、人生の分かれ目、高校受験の年だった。
優亜が学校の先生に勧められたのは、都内でダントツ偏差値の高い、都立日比谷高校だった。
しかし、優亜はそれを断った。
「私、西高校に行きたいです。」
都内での進学校、都立日比谷高校、都立西高校、都立国立高校の3校は、最も難しい学校だと言われている。
しかし、優亜の成績は毎回オール5。
学年の中での成績も毎回ダントツトップ。
まさに天才型とも言われる出来っぷりだった。

「これからは、お風呂も、夜ご飯も、ねんねも、楓ちゃんの家と一緒にするってことにしてもらったから、いい子にするんだよ?」
「ずーっとかえちゃんといっしょ?」
「うん」
「やったぁー!!」
「やったぁー!!」
「じゃあ、よろしくお願いします!あ、お願い!行ってきまーす」
「頑張ってね!」
「がんばれー!」
そう言って優亜が出ていって、楓たちは家の中でかくれんぼをし始めた。
最初はりおが鬼。
楓は里桜の部屋のぬいぐるみに混じって隠れていた。
「もーいーかーい!」
「もーいーよー!」
里桜が探している間、楓はすることがない。
楓は里桜の部屋に優亜が飾った、楓と里桜の二人の写真を眺めていた。
近所の小山白山公園で、ブランコに乗って、2人が見つめあっているタイミングで、優亜が撮ったものだった。
ふと視線を下げ、優亜がよく勉強している机の下を見ると、小さい、小学3年生くらいの優亜と、今の優亜くらいの、女の人と、里桜の祖母、文乃の3人の写真が落ちていた。
楓は、その写真に手を伸ばし、眺めていた。
「みーつけた!」
「うわぁ!」
驚いた楓は、その写真を離してしまった。
「なにそれ~」
「なんかね!落ちてたのぉ」
「おかーさんとばあばだ!この人だぁれ?」
「しらなぁい」
里桜は自分の実の母親の顔を知らない。
実の母親を指さして、たずねる。
「かえちゃんまま~、これだぁれ?」
「ん~?」
そう言って覗き込んだ良子は対応に困り、えっとねぇ、を繰り返していた。
なぜ一日でこんなにも、この話絡みの話が出てきてしまうのか。
とても疑問だった。
「うーん、里桜ちゃんのお母さんだよ」
「えっ!?」
幼稚園児二人の間に5秒ほど沈黙があった。
「そっかぁ、お母さんこんな人だったんだ~」
里桜はそう言って笑い、2人はかくれんぼをやめてお風呂に入った。
「焦った焦った」
良子はそう呟いて食事作りを再開した。

それからも、ゆうの2人に対してのいじめは収まらなかった。
しかし、毎日毎日、翔華が2人のことを守ってくれた。
順調に日々がすぎ、2月10日になった。
優亜の受験の日。
楓、里桜、良子の3人は、幼稚園の前に、車たたで優亜を送りだした。
「おかーさん!がんばってね!」
「がんばってー!!」
「ありがとー!頑張る!」
「じゃあ、そろそろ行くね、優亜ちゃん、本当に頑張って!応援してる!」
「ありがとう!」
優亜が手を振って車を見届けるのを、2人は見えなくなるまで目で追いかけ続けた。
幼稚園から帰ると、丁度優亜が家についた所だった。
家に優亜がいることが分かると、3人同時に「どうだった!?」と頭を寄せあって聞いた。
「明日にならないと合格発表出ないよ~」
「ぶ~」
もし落ちていても、優亜はお茶の水大学付属高等学校に受かっている。

夜、寝る時、楓が急に泣き出した。
「かえちゃん!どうしたの!」
「りおちゃん楓とずっと一緒にいて!お願い!」
「ずっと一緒にいる!」 
「ほんとー?」
「うん!」
「りおちゃん大好き~!」
「りおもかえちゃんのこと大好きー!」
「りおちゃん」
「ん?」
「楓可愛くない?」
「かえちゃんはかわいいよ!妖精さんだもん!」
楓がこんな質問をしたのには理由があった。
この日、りおが翔華と鍵盤ハーモニカを練習している間、楓は10分だけ里桜と離れていた。その間を見計らったゆうが、楓に言った。
「りおって可愛いんだぞ」
「知ってるよ!りおちゃんはね、可愛いの!」
「お前と釣り合ってない」
「つりあってないってなぁに?」
「お前は可愛くないから、りおはそのうち離れてくよ。可愛くないお前のこと嫌いになって、可愛い子と一緒にいるようになるんだぞ」
「え、かえで、可愛くないの?」
「おう」
「りおちゃんと、いつまで一緒にいれる?」
「もーすぐわかれるんじゃね」
「え!、、やだ」
「だったら可愛くなれよ」
「どうやってなるの?」
「元が悪いからダメか。かわいそ」
楓は泣きそうになったが、りおがいない所で泣いても、甘える人がいないことに気づいて、我慢した。

「かえちゃんどーしたの?」
「んぇ?」
「元気じゃないかえちゃん」
「あのねぇ」
「うん」
「うーんと」
「ゆーくんかなんかにまたなんかされたの?だいじょーぶ?」
「ゆーくんは楓のこときらいだって、可愛くないんだって楓。だからね、里桜ちゃんは楓のこと嫌いになっちゃうんだって。もーすぐ。だからね、悲しいの。楓、りおちゃんと、ずっと、ずーーっと、ずーーーーーっと、おばあちゃんになっても、一緒にいて仲良くして、一緒に遊びたいから、だから、りおちゃんに嫌いになられるのがこわいから、だから、楓、里桜ちゃんと同じくらいかわいくなりたい」
塾帰りの優亜は良子と一緒に、2人にバレないように息を殺して、その話を聞いていた。
りおはどうやって答えるのだろう。
幼稚園に行っていなかった、複雑な友人関係が初めてな2人にとって、初めての壁た
「かえちゃんはかわいーよ?りおはかえちゃんかわいーとおもう!りおはかえちゃんのこと大好きだもん!ずーっと一緒にいるっ!!」
りおの素直な答えが、純粋な気持ちが、1番楓の気持ちを楽にした。
優亜と良子も、そのりおの言葉を聞いて、この2人は永遠に親友でいられる。そう確信した。
「でもかえで、ゆーくんにあんなこと言われちゃった」
「ゆーくんなんてきにしちゃだめなの!りおのいったことだけ覚えてればいいの!りおが、かえちゃんかわいーって言ったら、かえちゃんはかわいーの!」
「りおちゃん、」
「ふん!」
「ありがとっ!!」
へへんっと笑ったりおは、楓と同じベットに入り、楓に抱きついた。
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