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辻褄合わせ
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ここ最近の三木乃助の朝は、胸へと手をやることから始まっている。
どうやら心の臓は、元気に動いているようだ。
「俺は生きているな……」
一瞬だけ緊張が緩み、思わず『はぁー』と安堵の息を吐いてしまう。
だが警戒心を途切れらせてはいけない。
すぐさま屋敷中の探索を開始する。
丁寧に厠の奥まで見回すのはもちろんだ。
「居ないみたいだな……」
少しだけ安心したら、急いで顔を洗う。
もちろん何度も振り返り、背後に誰も立っていないかを確認する徹底ぶりだ。
「大丈夫だよな……」
こういった安堵を繰り返し、安全を確信したら、ようやく朝飯となる。
ただし手早く米を丸めて握り飯とし、食わずに笹に包んで城へと持って行く。
今現在で安心して飯を食えて、一番に身の安全を図れる場所はどこなのか?
それは奉公する城、だからこそ懸命に走って向かう。
息を切らせ疲れ切り到着すると、もはや食う気など失せていた。
これは仕方ない。
小幡景憲からの追及を躱してから、もう三日が過ぎている。
しかし未だに、その影に怯えていた。
「お父よ、早く帰って来てくれんか……」
そう米沢にいるはずの父仁左衛門を想いながら、一人不安な日々を過ごしている。
しかし裏腹に、その父は現在忙しく充実した日々を過ごしていた。
もう大関家の一員として完全に認知され、主たる田鶴からは絶対の信頼を置かれ、また家中の者達からは信用を集めていた。
俺の人生の中で、最も充実した日々だ!
そう思えてならなかった。
何よりも最近奉公している先、三木乃助と同じ軍学好きの神徳左馬介である。
飯を作れば良いと雇われたが、そう手間の掛かるような男ではなかったのだ。
然も朝は握り飯を三つ、具は要らず白米を握るだけで良く、あとは具無しの味噌汁だけ。
昼も同様であり、夜は酒の肴を作るだけだ。
しかも仁左衛門に相伴も頼んで来るから毎日が酒盛り三昧だった。
「本日の肴は何かな?」
「『けんさ焼き』と『わっぱ煮』でございます」
「けんさ焼きと⁉︎
亡き不識庵謙信公が握り飯を剣の先に刺して焼いたという、あれですな!」
「誠に刺したかは……」
「良い良い、そのような謂れも一興ですからな!」
この神徳左馬介、伊豆国の生まれらしいが、味に対してはこだわりは無かった。
むしろ初めて出会う味に対して大いに興味を示し、仁左衛門が作った料理は喜んで食べてくれる。
なんと良いお人だ! と仁左衛門は思っていた。
しかし一方で不思議な人だとも思っている。 それは銭の使い方だ。
「その『わっぱ煮』に古酒を合わせると良いような気がして来た。
よし、ちょっと買って来る!」
そう言って間の隅に置いた壺の中から、これまた銭を無造作に掴み出掛けてしまった。
ちなみに古酒とは、琉球泡盛のことである。
いわば異国の酒であり、江戸や堺辺りでは高級品として取引されていた。
従って、ここ米沢で手に入れようとするなら、倍以上の値段を必要とする。
おそらく、上杉家中の重臣達でも飲んではいないだろう。
「濁酒でも十分に合うのだが……無理に銭を使わずとも……」
そう仁左衛門は感じざるへない、この日だけでないからだ。
左馬介は、その日の気分で銭を大量に使う。
時には着れもしない女物の高価な西陣織の小袖を買って、暫く眺めた後に妙へくれてやったらしい。
ある時には、高価とされた『相州広光』作の大小を買い、暫く眺め飽きると甚五郎へくれてやったりもしていたらしいのだ。
このように、まったく勘定などせずに仇のように銭を使っている。
「なぜ、あのように銭を遣うのだ?
そもそも出所は……」
そこが最も疑問だった。
左馬介は職などしておらず、ただ遊ぶか軍学書を読んだり筆写している。
偶にふらふらと出掛けて行くが、そうは多くはない。
従って銭など稼いでいる様子は、まったく無かった。
ただ奉公に来て以来、一度だけ来客があり、何やら大きな包みを持って来たことはある。
受け取る際に見せた左馬介の苦虫を噛み潰したような顔が印象に残っていた。
「銭が入っておったのか……」
そう考えたが詮索する訳にも行かず、また銭遣いについて咎める訳にも行かず、ただ傍観するしかなかった。
だが、この疑問はその夜に解消される。
しかも本来の米沢を訪れた目的、『小幡光盛』と『小幡下野守』と関連していたのだ。
「やはり古酒は、よう酔いが廻りおるわ」
「左馬介様、飲む手が早過ぎますぞ」
「けんさ焼きもわっぱ煮も美味すぎてなぁ!」
そう言ってくれるのは嬉しいが、この飲み方を見ていると、何故だか可哀想になって来てしょうがない。
普段は明るい左馬介が、どこか暗い影を醸し出しているように見えて仕方ないのだ。
いや、これが本当の神徳左馬介で普段は偽りかとも考えてしまう。
……その時だ。
「仁左衛門殿……俺が不思議か?」
不意に飲む手を止めて聞いて来た。
一瞬、気取られたかと焦ったが、ちょうど良い。
問われた以上は遠慮なく聞いてみた。
「左馬介様は、なぜ急かされたように銭をお遣いなさる?」
「ほぉー……そのように見えるのですか?」
「はい、まるで銭を憎んでおるように」
「そこまで察しておられるか、これは参ったな。
ただ銭というよりも、送って来る人の性根が気に入らないのですよ」
「送って来る人の性根が?」
「その男からすれば、銭は詫びでしょうよ」
わざわざ銭を送って来る理由。
単純に考えれば、生活が困窮させぬようになどの良心からが一般的だ。
しかし左馬介への銭は詫び、慰謝料とでもなっているのだろう。
そうなると銭の分だけ、その男には相応の罪があるということになる。
それは、どれだけの罪なのか⁉︎
答えは古酒の味と反比例する、苦々しい顔をした左馬介が物語っていた?
やがて苦し紛れのように一杯飲み干すと、それとも誰かに聴いて欲しかったのか、その事情を話し始めた。
「俺には双子の兄がおりましてな」
「双子の兄君が、これはまた珍しい……。
あっ⁉︎ いや失礼」
「いや、本来なら俺は世に居ない者。 双子は忌子と言われておりますからな」
「すまぬことを……」
「良い良い。
だが、どうして居ると思う?」
「さっぱりと……」
「生まれた途端に喋ったそうです」
これには驚きしか無かった。
普通は生まれた途端に大声で泣き、泣かなければ死産の証拠とされる。
なのに喋っただと……。
この時点で驚きの声を上げそうになったが、また失礼かとも思い、黙って話の続きを聴く。
「父の判断で生かされたのです。
神仏の生まれ変わりかもしれんと思われたらしい。 おかげで家の者達には随分と嫌われましたよ」
「賢明な父君ですな」
「そうでも無かったのです」
そこから左馬介は古酒を三杯立て続けに
煽った。
当人からしても、話し辛いのだろう。
「そんな俺だからか、学問に才を現すなど容易かった。
家の者は、掌を返して褒め上げてくれましたよ」
「左馬介様を観ているとわかるような気も……」
「だが、そうなれば誰が損をします?」
「……あっ、兄君様か!」
双子で生まれ、通常なら処分されるはずの弟に才があった。
だが優先されたはずの兄は、普通であったと言いたいのだ。
「学問なら俺より遥か下。
だが剣や槍なら上だったのも、また事実」
「ならば何も問題は……」
「時流が悪かったのです」
「時流とは?」
「太閤が天下を手中に収めおった」
太閤、豊臣秀吉であった。
その彼が天下を手中に収めたとされるのは、北条征伐(小田原征伐)以後のこととなる。
「誰しもが、後に起こる『関ヶ原合戦』や『大坂の役』なんて考えもせずに、もう戦国は終わったと考えた」
ここから、また三杯の古酒を煽り出した。
よほど忌まわしき思い出なのだろう。
酔いなのだろうか、徐々に口調が荒くなっていく。
「時悪くして俺達の上、家を継いだ兄二人が立て続けに死んだのです。
だから家は、どちらかが継がねばならなくなった」
「……」
「俺は兄で良かった。
なのに、兄は負い目を感じ始めてしまった」
「武勇確かな兄君様ならば、ご立派に……」
「平和の到来で、武より学だと勝手に考えたのさ。
秀忠様付き小姓になっておったのに、出奔してしまわれた」
「さぞ兄君様も、お辛かったでありましょうな……」
「おかげで家は主無きままだ……。
申し訳なくて、俺も継がなんだからな……」
「それは哀しきことに……」
この時代、家系が途絶えるなど由々しきことであった。
死よりも不名誉とされている。
なのに双子の兄弟とはいえ、どちらも継がずに家は絶えたのだ。
よほど悔しい想いをされたに違いなく、また兄のことで悩まれ続けたに違いないだろう。
そう思い、慰めの盃を傾けようと徳利を持ち上げた時だ。
いきなり左馬介が立ち上がり、猛烈に怒り出した。
「……なのにだ!
突如帰って来たかと思ったら、『大坂の役で武功を立てたから、やっぱり家督を継ぐことにする!』などと平気な顔をして抜かしおった、あの馬鹿ふざけておるのか⁉︎」
思わず、はぁ⁉︎ となった。
とんでもないどんでん返しだ。
「さっ、左馬介様⁉︎」
「いや……そこは許そう。
俺には初めから継ぐ気など無かったのだ。
目は瞑ってやる。
許せんのは、俺が面白半分に書いていた軍学書擬きを盗みやがった!
おまけに改変までしやがって!」
「とにかく落ち着いて下され!」
こう宥めようとした時だ。
余計に怒らせたのか、想像外のことを叫んだ。
それは仁左衛門が米沢に来た目的そのものだった。
「仁左衛門殿、今はその名で呼ばんでくれ!
俺の本当の名は『小幡昌重』なのだ!」
「小幡昌重⁉︎
えええっ、小幡と!」
目の前にいる『神徳左馬介』は『神徳左馬介』ではなく、仁左衛門が探し求める『小幡』だと名乗り出したのだ
これには、さすがに大声を出し聞き返す。
「小幡昌重という名が本当なのですか⁉︎
ならば、どうして偽名などを?」
「あの馬鹿……兄小幡景憲が俺の軍学書擬きに変に改変をしてしまったからだ!
『小幡昌重』などと名乗っておれば、上杉から怪しまれるではないか!」
その後に続く左馬介、いや小幡昌重の話は軍学などという高尚なものからは、程遠い馬鹿下駄ものだった。
小幡景憲は歴史の改変や家系の改竄、更には存在すらしていない人物の作成などを加えて、その軍学書擬きを大袈裟に盛ったのだ。
それだけなら良い。
しかし昌重が気づかぬ間に大名どころか将軍家や公家達まで流布させ、もはや収拾の付きようのない状況にしてしまっていたらしい。
要は嘘を、派手にばら撒いたのだ。
聴いていて、その軍学書擬きとは三木乃助が勝手に筆写した軍学書だと気づいてきた。
あれは確かに盛りすぎている。
だが、あの時に聴いた中に登場する人物達は、既に亡き者ばかりだ。
ならば護摩化せないことはない。
「『これが事実だ!』とでも押し切れば良いのでは?」
かって三木乃助から聴いた大概の軍学書なんてものは、大昔の話ばかりだ。
今更手間暇掛けて調べようとは、誰もしないだろう。
そう考えたが、これは大きな間違いらしい。
登場させてはならない家系、最近の人物を載せてしまったゆえに厄介となっているのだ。
「それは出来ん……あの馬鹿、調子に乗って我が小幡家まで盛りおった」
「それのどこに不都合が?」
「小幡光盛。
光盛叔父の偽者の存在が邪魔しておる。
なんとかしようと米沢まで来たが、どうにも出来ん」
「光盛様が偽者⁉︎ あの小幡光盛様は偽者か⁉︎」
「んっ⁉︎
あやつを知っておるのか?」
「はい、上杉家に奉公しておった際に少々ご縁を」
「そうか、あやつは光盛叔父に仕えておった元従者よ」
「ええっ!」
武田家が滅び行く時、確かに小幡光盛本人は上杉家を頼り越後へ落ち延びようとしていた。
だが途中で落武者狩りに遭い、一人生き残った従者が小幡光盛を騙り、越後にやって来たが真相らしい。
「……確かに武将にしては『烏踊り』が上手かった。
にしても、上杉の誰一人気づかなんだとは。 ……なんと滑稽な」
「偶々運が良かったのだ。 小幡家には不都合だがな!
なにしろ仁左衛門殿のように、あやつを知っている者は未だに多くいるのだ。
もし本気で探られれば嘘の露見などすぐとなる。
別に兄の評判など気にもしないが、我が一族の評判まで落とされては敵わんわ!」
なるほど。 だとすると女達が調べてくれた謎の男とは小幡景憲だったのかもしれない。
おそらくは、小幡光盛本人だと思って訪ねてみれば、まったくの別人だった。
だから、焦って証拠を燃やしたが真相なのだろう。
ならば、この小幡昌重は何故米沢にいる必要がある?
何か理由が、これらとは別にあるのだろうか?
そう思っていると、これも話してくれた。
いや、ここから協力を求められたと言って良い。
「ここまで話した以上、仁左衛門殿に頼みたいことがある」
「俺に出来ることならば」
「あの改変されてしまった軍学書擬きの最大の問題、『小幡下野守』などという訳の分からない架空の人物を登場させてしまっていることだ」
想像していた人物の名だ。
これには、驚きも無く答えてしまう。
「はぁ、確かに誰だとは思っておりました」
「んっ、知っておるのか⁉︎」
「はい、実は……」
ここで仁左衛門は、米沢に来た目的を昌重に打ち明けた。
ここまで話した昌重は、信用のたる人物だと思えたからだ。
元が息子三木市助が稲垣重綱から軍学書擬きの筆写を頼まれたことから始まり、更には無断で筆写したことなども包み隠さず話した。
「やりおるな、息子殿は!」
「はぁ……軍学には興味大あり気でして」
けたけたと笑い出す昌重を見て、改めて正解だったと確信した。
もし不都合だと思うなら、三木乃助の詮索を始め、小幡景憲に伝達させるだろう。
しかし、それが無い。
もう昌重の中で、軍学書擬きの流布は諦めたことなのだろう。
「書いた本人が了承致すゆえ、それは安心なされよ。
何かあれば、俺自身が出張って釈明もしよう!」
「ありがとうございます。
でっ、その頼みとは?」
「存在無き『小幡下野守』の存在を作りたい」
「どうやって?」
「まずは仁左衛門殿に越後で噂を振り撒いて貰いたい。 小幡下野守が居た事実を作って欲しいのだ」
そこから話す昌重の話、いや謀略は大掛かりながら簡単で意外なものだった。
『越後に居た時点で小幡光盛には隠し子がいたらしい。
しかし母が謙信公に背き裏切った大熊朝秀の家臣筋ゆえ、その存在を隠して知人夫妻に預けられていた。
やがて成長し父を知り、米沢まで来たが既に死去していた。
仕方なく、現在は上杉家中大関家で料理役にて奉公しているそうだ。
片身として『相州広光』の脇差と立派な京小袖を持っているらしい』
「このような感じの噂を流して欲しい。
しっかり越後にも流しておかんと、すぐに上杉家に見破られてしまうからな」
「……一つ聞いても?」
「どうぞ」
聞いていると思い当たってくる人物がいた。
いや越後の出、そして大関家と料理役と出た時点で、もう山口甚五郎しかいないのだ。
「まるで、甚五郎を言うておるようにしか聞こえんのですが……」
「そう、山口甚五郎殿を言うておるからな」
これには唖然となるしかない。
山口甚五郎を『小幡下野守』に仕立てようとしているのだ。
確かに大熊朝秀は、不識庵謙信公時代に反旗を翻し甲斐へと走った裏切り者だった。
上杉家とっては最も許し難い人物であるから、越後に落ちてきた小幡光盛が隠し子としていても不思議ではない。
しかも武田は滅び、同じくして朝秀自身は亡くなっている。
もしかしたら身内あたりは落ち延びたかもしれないが、死んで孫あたりの代にはなっているだろう。
もう誰も確かめようの無いことなのだ。
これなら話の筋道としては成り立ち、更に母を『その家臣筋』と曖昧にしながらも、相州広光の脇差や京の小袖などで証拠を固めている。
これなら誰も疑わないだろう。
だが、どうして山口甚五郎なのだ?
確かに生まれは越後、言っては悪いが武士とは言い難い足軽の出、五人兄弟の末っ子だと聞いたことはあった。
だが他国の米沢にいる時点で、他の兄弟や親類との付き合いは無くなっているだろう。
それらを考えていけば護摩化しの効く人物とは言える。
しかし、そのような人物なら他にもいるはずだ⁉ 何故、甚五郎なのだ?
その答えは昌重が綻んだ顔をして教えてくれた。
「あの男は義理人情に厚く、嫁の妙殿も頭が良く人あたりも良い。
どうせ仕立てるなら、あのような夫婦にしたい。
お節介で優しい夫婦が、我が家の身内に一組くらい居ても良いではないか」
なるほどとは思った。
銭金勘定無しで大関家への義理を尽くしている夫婦なのだ。
誠実な甚五郎なら疑われるなど少なく、また頭の良い妙なら探られても上手く誤魔化していくだろう。
だいたい大関家は断絶の憂き目に遭ったとはいえ、上杉家にとって信用のある家系血筋なのだ。
それらも考慮し謀っているのではとさえ思えてしまう。
「どうだ、やってくれるか?」
「もちろんでございます……ただ甚五郎めは何と?」
最も重要なことだ。
山口甚五郎がやると言わねば成立は無いにも拘らず、その意思が話の中に一切出て来ない。
まさかと思いつつ確認するが、その懸念は当たっていた。
目と口を大きく開けたかと思うと、忘れていた! といった顔をし出したのだ。
「まだ言うてはおらん……その辺のことも頼みたい!」
「さようでございましたか……」
越後で噂を広めるなんてのは、どうとでも出来る。 そんなの俺には簡単だ。
しかし、どう甚五郎を説き伏せるのかの方が最大の難関となるな。
おそらく、俺一人では確実に断ってくるはずだ。
だいたい、あの妙が承知するはずがない。
そう考えていると、二人を説得しうる人物を思い付いた。
彼女を話に加われば、二人は確実に納得するだろう。
「左馬介……いや昌重様、この件に一人巻き込んでもよろしいでしょうか?」
「ほぉー……思い当たる方がおられるのか?」
「はい、大関家奥方田鶴様を巻き込みとうございます!」
大変な辻褄合わせが始まろうとしていた。
どうやら心の臓は、元気に動いているようだ。
「俺は生きているな……」
一瞬だけ緊張が緩み、思わず『はぁー』と安堵の息を吐いてしまう。
だが警戒心を途切れらせてはいけない。
すぐさま屋敷中の探索を開始する。
丁寧に厠の奥まで見回すのはもちろんだ。
「居ないみたいだな……」
少しだけ安心したら、急いで顔を洗う。
もちろん何度も振り返り、背後に誰も立っていないかを確認する徹底ぶりだ。
「大丈夫だよな……」
こういった安堵を繰り返し、安全を確信したら、ようやく朝飯となる。
ただし手早く米を丸めて握り飯とし、食わずに笹に包んで城へと持って行く。
今現在で安心して飯を食えて、一番に身の安全を図れる場所はどこなのか?
それは奉公する城、だからこそ懸命に走って向かう。
息を切らせ疲れ切り到着すると、もはや食う気など失せていた。
これは仕方ない。
小幡景憲からの追及を躱してから、もう三日が過ぎている。
しかし未だに、その影に怯えていた。
「お父よ、早く帰って来てくれんか……」
そう米沢にいるはずの父仁左衛門を想いながら、一人不安な日々を過ごしている。
しかし裏腹に、その父は現在忙しく充実した日々を過ごしていた。
もう大関家の一員として完全に認知され、主たる田鶴からは絶対の信頼を置かれ、また家中の者達からは信用を集めていた。
俺の人生の中で、最も充実した日々だ!
そう思えてならなかった。
何よりも最近奉公している先、三木乃助と同じ軍学好きの神徳左馬介である。
飯を作れば良いと雇われたが、そう手間の掛かるような男ではなかったのだ。
然も朝は握り飯を三つ、具は要らず白米を握るだけで良く、あとは具無しの味噌汁だけ。
昼も同様であり、夜は酒の肴を作るだけだ。
しかも仁左衛門に相伴も頼んで来るから毎日が酒盛り三昧だった。
「本日の肴は何かな?」
「『けんさ焼き』と『わっぱ煮』でございます」
「けんさ焼きと⁉︎
亡き不識庵謙信公が握り飯を剣の先に刺して焼いたという、あれですな!」
「誠に刺したかは……」
「良い良い、そのような謂れも一興ですからな!」
この神徳左馬介、伊豆国の生まれらしいが、味に対してはこだわりは無かった。
むしろ初めて出会う味に対して大いに興味を示し、仁左衛門が作った料理は喜んで食べてくれる。
なんと良いお人だ! と仁左衛門は思っていた。
しかし一方で不思議な人だとも思っている。 それは銭の使い方だ。
「その『わっぱ煮』に古酒を合わせると良いような気がして来た。
よし、ちょっと買って来る!」
そう言って間の隅に置いた壺の中から、これまた銭を無造作に掴み出掛けてしまった。
ちなみに古酒とは、琉球泡盛のことである。
いわば異国の酒であり、江戸や堺辺りでは高級品として取引されていた。
従って、ここ米沢で手に入れようとするなら、倍以上の値段を必要とする。
おそらく、上杉家中の重臣達でも飲んではいないだろう。
「濁酒でも十分に合うのだが……無理に銭を使わずとも……」
そう仁左衛門は感じざるへない、この日だけでないからだ。
左馬介は、その日の気分で銭を大量に使う。
時には着れもしない女物の高価な西陣織の小袖を買って、暫く眺めた後に妙へくれてやったらしい。
ある時には、高価とされた『相州広光』作の大小を買い、暫く眺め飽きると甚五郎へくれてやったりもしていたらしいのだ。
このように、まったく勘定などせずに仇のように銭を使っている。
「なぜ、あのように銭を遣うのだ?
そもそも出所は……」
そこが最も疑問だった。
左馬介は職などしておらず、ただ遊ぶか軍学書を読んだり筆写している。
偶にふらふらと出掛けて行くが、そうは多くはない。
従って銭など稼いでいる様子は、まったく無かった。
ただ奉公に来て以来、一度だけ来客があり、何やら大きな包みを持って来たことはある。
受け取る際に見せた左馬介の苦虫を噛み潰したような顔が印象に残っていた。
「銭が入っておったのか……」
そう考えたが詮索する訳にも行かず、また銭遣いについて咎める訳にも行かず、ただ傍観するしかなかった。
だが、この疑問はその夜に解消される。
しかも本来の米沢を訪れた目的、『小幡光盛』と『小幡下野守』と関連していたのだ。
「やはり古酒は、よう酔いが廻りおるわ」
「左馬介様、飲む手が早過ぎますぞ」
「けんさ焼きもわっぱ煮も美味すぎてなぁ!」
そう言ってくれるのは嬉しいが、この飲み方を見ていると、何故だか可哀想になって来てしょうがない。
普段は明るい左馬介が、どこか暗い影を醸し出しているように見えて仕方ないのだ。
いや、これが本当の神徳左馬介で普段は偽りかとも考えてしまう。
……その時だ。
「仁左衛門殿……俺が不思議か?」
不意に飲む手を止めて聞いて来た。
一瞬、気取られたかと焦ったが、ちょうど良い。
問われた以上は遠慮なく聞いてみた。
「左馬介様は、なぜ急かされたように銭をお遣いなさる?」
「ほぉー……そのように見えるのですか?」
「はい、まるで銭を憎んでおるように」
「そこまで察しておられるか、これは参ったな。
ただ銭というよりも、送って来る人の性根が気に入らないのですよ」
「送って来る人の性根が?」
「その男からすれば、銭は詫びでしょうよ」
わざわざ銭を送って来る理由。
単純に考えれば、生活が困窮させぬようになどの良心からが一般的だ。
しかし左馬介への銭は詫び、慰謝料とでもなっているのだろう。
そうなると銭の分だけ、その男には相応の罪があるということになる。
それは、どれだけの罪なのか⁉︎
答えは古酒の味と反比例する、苦々しい顔をした左馬介が物語っていた?
やがて苦し紛れのように一杯飲み干すと、それとも誰かに聴いて欲しかったのか、その事情を話し始めた。
「俺には双子の兄がおりましてな」
「双子の兄君が、これはまた珍しい……。
あっ⁉︎ いや失礼」
「いや、本来なら俺は世に居ない者。 双子は忌子と言われておりますからな」
「すまぬことを……」
「良い良い。
だが、どうして居ると思う?」
「さっぱりと……」
「生まれた途端に喋ったそうです」
これには驚きしか無かった。
普通は生まれた途端に大声で泣き、泣かなければ死産の証拠とされる。
なのに喋っただと……。
この時点で驚きの声を上げそうになったが、また失礼かとも思い、黙って話の続きを聴く。
「父の判断で生かされたのです。
神仏の生まれ変わりかもしれんと思われたらしい。 おかげで家の者達には随分と嫌われましたよ」
「賢明な父君ですな」
「そうでも無かったのです」
そこから左馬介は古酒を三杯立て続けに
煽った。
当人からしても、話し辛いのだろう。
「そんな俺だからか、学問に才を現すなど容易かった。
家の者は、掌を返して褒め上げてくれましたよ」
「左馬介様を観ているとわかるような気も……」
「だが、そうなれば誰が損をします?」
「……あっ、兄君様か!」
双子で生まれ、通常なら処分されるはずの弟に才があった。
だが優先されたはずの兄は、普通であったと言いたいのだ。
「学問なら俺より遥か下。
だが剣や槍なら上だったのも、また事実」
「ならば何も問題は……」
「時流が悪かったのです」
「時流とは?」
「太閤が天下を手中に収めおった」
太閤、豊臣秀吉であった。
その彼が天下を手中に収めたとされるのは、北条征伐(小田原征伐)以後のこととなる。
「誰しもが、後に起こる『関ヶ原合戦』や『大坂の役』なんて考えもせずに、もう戦国は終わったと考えた」
ここから、また三杯の古酒を煽り出した。
よほど忌まわしき思い出なのだろう。
酔いなのだろうか、徐々に口調が荒くなっていく。
「時悪くして俺達の上、家を継いだ兄二人が立て続けに死んだのです。
だから家は、どちらかが継がねばならなくなった」
「……」
「俺は兄で良かった。
なのに、兄は負い目を感じ始めてしまった」
「武勇確かな兄君様ならば、ご立派に……」
「平和の到来で、武より学だと勝手に考えたのさ。
秀忠様付き小姓になっておったのに、出奔してしまわれた」
「さぞ兄君様も、お辛かったでありましょうな……」
「おかげで家は主無きままだ……。
申し訳なくて、俺も継がなんだからな……」
「それは哀しきことに……」
この時代、家系が途絶えるなど由々しきことであった。
死よりも不名誉とされている。
なのに双子の兄弟とはいえ、どちらも継がずに家は絶えたのだ。
よほど悔しい想いをされたに違いなく、また兄のことで悩まれ続けたに違いないだろう。
そう思い、慰めの盃を傾けようと徳利を持ち上げた時だ。
いきなり左馬介が立ち上がり、猛烈に怒り出した。
「……なのにだ!
突如帰って来たかと思ったら、『大坂の役で武功を立てたから、やっぱり家督を継ぐことにする!』などと平気な顔をして抜かしおった、あの馬鹿ふざけておるのか⁉︎」
思わず、はぁ⁉︎ となった。
とんでもないどんでん返しだ。
「さっ、左馬介様⁉︎」
「いや……そこは許そう。
俺には初めから継ぐ気など無かったのだ。
目は瞑ってやる。
許せんのは、俺が面白半分に書いていた軍学書擬きを盗みやがった!
おまけに改変までしやがって!」
「とにかく落ち着いて下され!」
こう宥めようとした時だ。
余計に怒らせたのか、想像外のことを叫んだ。
それは仁左衛門が米沢に来た目的そのものだった。
「仁左衛門殿、今はその名で呼ばんでくれ!
俺の本当の名は『小幡昌重』なのだ!」
「小幡昌重⁉︎
えええっ、小幡と!」
目の前にいる『神徳左馬介』は『神徳左馬介』ではなく、仁左衛門が探し求める『小幡』だと名乗り出したのだ
これには、さすがに大声を出し聞き返す。
「小幡昌重という名が本当なのですか⁉︎
ならば、どうして偽名などを?」
「あの馬鹿……兄小幡景憲が俺の軍学書擬きに変に改変をしてしまったからだ!
『小幡昌重』などと名乗っておれば、上杉から怪しまれるではないか!」
その後に続く左馬介、いや小幡昌重の話は軍学などという高尚なものからは、程遠い馬鹿下駄ものだった。
小幡景憲は歴史の改変や家系の改竄、更には存在すらしていない人物の作成などを加えて、その軍学書擬きを大袈裟に盛ったのだ。
それだけなら良い。
しかし昌重が気づかぬ間に大名どころか将軍家や公家達まで流布させ、もはや収拾の付きようのない状況にしてしまっていたらしい。
要は嘘を、派手にばら撒いたのだ。
聴いていて、その軍学書擬きとは三木乃助が勝手に筆写した軍学書だと気づいてきた。
あれは確かに盛りすぎている。
だが、あの時に聴いた中に登場する人物達は、既に亡き者ばかりだ。
ならば護摩化せないことはない。
「『これが事実だ!』とでも押し切れば良いのでは?」
かって三木乃助から聴いた大概の軍学書なんてものは、大昔の話ばかりだ。
今更手間暇掛けて調べようとは、誰もしないだろう。
そう考えたが、これは大きな間違いらしい。
登場させてはならない家系、最近の人物を載せてしまったゆえに厄介となっているのだ。
「それは出来ん……あの馬鹿、調子に乗って我が小幡家まで盛りおった」
「それのどこに不都合が?」
「小幡光盛。
光盛叔父の偽者の存在が邪魔しておる。
なんとかしようと米沢まで来たが、どうにも出来ん」
「光盛様が偽者⁉︎ あの小幡光盛様は偽者か⁉︎」
「んっ⁉︎
あやつを知っておるのか?」
「はい、上杉家に奉公しておった際に少々ご縁を」
「そうか、あやつは光盛叔父に仕えておった元従者よ」
「ええっ!」
武田家が滅び行く時、確かに小幡光盛本人は上杉家を頼り越後へ落ち延びようとしていた。
だが途中で落武者狩りに遭い、一人生き残った従者が小幡光盛を騙り、越後にやって来たが真相らしい。
「……確かに武将にしては『烏踊り』が上手かった。
にしても、上杉の誰一人気づかなんだとは。 ……なんと滑稽な」
「偶々運が良かったのだ。 小幡家には不都合だがな!
なにしろ仁左衛門殿のように、あやつを知っている者は未だに多くいるのだ。
もし本気で探られれば嘘の露見などすぐとなる。
別に兄の評判など気にもしないが、我が一族の評判まで落とされては敵わんわ!」
なるほど。 だとすると女達が調べてくれた謎の男とは小幡景憲だったのかもしれない。
おそらくは、小幡光盛本人だと思って訪ねてみれば、まったくの別人だった。
だから、焦って証拠を燃やしたが真相なのだろう。
ならば、この小幡昌重は何故米沢にいる必要がある?
何か理由が、これらとは別にあるのだろうか?
そう思っていると、これも話してくれた。
いや、ここから協力を求められたと言って良い。
「ここまで話した以上、仁左衛門殿に頼みたいことがある」
「俺に出来ることならば」
「あの改変されてしまった軍学書擬きの最大の問題、『小幡下野守』などという訳の分からない架空の人物を登場させてしまっていることだ」
想像していた人物の名だ。
これには、驚きも無く答えてしまう。
「はぁ、確かに誰だとは思っておりました」
「んっ、知っておるのか⁉︎」
「はい、実は……」
ここで仁左衛門は、米沢に来た目的を昌重に打ち明けた。
ここまで話した昌重は、信用のたる人物だと思えたからだ。
元が息子三木市助が稲垣重綱から軍学書擬きの筆写を頼まれたことから始まり、更には無断で筆写したことなども包み隠さず話した。
「やりおるな、息子殿は!」
「はぁ……軍学には興味大あり気でして」
けたけたと笑い出す昌重を見て、改めて正解だったと確信した。
もし不都合だと思うなら、三木乃助の詮索を始め、小幡景憲に伝達させるだろう。
しかし、それが無い。
もう昌重の中で、軍学書擬きの流布は諦めたことなのだろう。
「書いた本人が了承致すゆえ、それは安心なされよ。
何かあれば、俺自身が出張って釈明もしよう!」
「ありがとうございます。
でっ、その頼みとは?」
「存在無き『小幡下野守』の存在を作りたい」
「どうやって?」
「まずは仁左衛門殿に越後で噂を振り撒いて貰いたい。 小幡下野守が居た事実を作って欲しいのだ」
そこから話す昌重の話、いや謀略は大掛かりながら簡単で意外なものだった。
『越後に居た時点で小幡光盛には隠し子がいたらしい。
しかし母が謙信公に背き裏切った大熊朝秀の家臣筋ゆえ、その存在を隠して知人夫妻に預けられていた。
やがて成長し父を知り、米沢まで来たが既に死去していた。
仕方なく、現在は上杉家中大関家で料理役にて奉公しているそうだ。
片身として『相州広光』の脇差と立派な京小袖を持っているらしい』
「このような感じの噂を流して欲しい。
しっかり越後にも流しておかんと、すぐに上杉家に見破られてしまうからな」
「……一つ聞いても?」
「どうぞ」
聞いていると思い当たってくる人物がいた。
いや越後の出、そして大関家と料理役と出た時点で、もう山口甚五郎しかいないのだ。
「まるで、甚五郎を言うておるようにしか聞こえんのですが……」
「そう、山口甚五郎殿を言うておるからな」
これには唖然となるしかない。
山口甚五郎を『小幡下野守』に仕立てようとしているのだ。
確かに大熊朝秀は、不識庵謙信公時代に反旗を翻し甲斐へと走った裏切り者だった。
上杉家とっては最も許し難い人物であるから、越後に落ちてきた小幡光盛が隠し子としていても不思議ではない。
しかも武田は滅び、同じくして朝秀自身は亡くなっている。
もしかしたら身内あたりは落ち延びたかもしれないが、死んで孫あたりの代にはなっているだろう。
もう誰も確かめようの無いことなのだ。
これなら話の筋道としては成り立ち、更に母を『その家臣筋』と曖昧にしながらも、相州広光の脇差や京の小袖などで証拠を固めている。
これなら誰も疑わないだろう。
だが、どうして山口甚五郎なのだ?
確かに生まれは越後、言っては悪いが武士とは言い難い足軽の出、五人兄弟の末っ子だと聞いたことはあった。
だが他国の米沢にいる時点で、他の兄弟や親類との付き合いは無くなっているだろう。
それらを考えていけば護摩化しの効く人物とは言える。
しかし、そのような人物なら他にもいるはずだ⁉ 何故、甚五郎なのだ?
その答えは昌重が綻んだ顔をして教えてくれた。
「あの男は義理人情に厚く、嫁の妙殿も頭が良く人あたりも良い。
どうせ仕立てるなら、あのような夫婦にしたい。
お節介で優しい夫婦が、我が家の身内に一組くらい居ても良いではないか」
なるほどとは思った。
銭金勘定無しで大関家への義理を尽くしている夫婦なのだ。
誠実な甚五郎なら疑われるなど少なく、また頭の良い妙なら探られても上手く誤魔化していくだろう。
だいたい大関家は断絶の憂き目に遭ったとはいえ、上杉家にとって信用のある家系血筋なのだ。
それらも考慮し謀っているのではとさえ思えてしまう。
「どうだ、やってくれるか?」
「もちろんでございます……ただ甚五郎めは何と?」
最も重要なことだ。
山口甚五郎がやると言わねば成立は無いにも拘らず、その意思が話の中に一切出て来ない。
まさかと思いつつ確認するが、その懸念は当たっていた。
目と口を大きく開けたかと思うと、忘れていた! といった顔をし出したのだ。
「まだ言うてはおらん……その辺のことも頼みたい!」
「さようでございましたか……」
越後で噂を広めるなんてのは、どうとでも出来る。 そんなの俺には簡単だ。
しかし、どう甚五郎を説き伏せるのかの方が最大の難関となるな。
おそらく、俺一人では確実に断ってくるはずだ。
だいたい、あの妙が承知するはずがない。
そう考えていると、二人を説得しうる人物を思い付いた。
彼女を話に加われば、二人は確実に納得するだろう。
「左馬介……いや昌重様、この件に一人巻き込んでもよろしいでしょうか?」
「ほぉー……思い当たる方がおられるのか?」
「はい、大関家奥方田鶴様を巻き込みとうございます!」
大変な辻褄合わせが始まろうとしていた。
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