100 / 145
101.座った着地点
しおりを挟む「ねぇメイ!聞いてよ」
「何よ凛、来てそうそう。京利さん、今日もお元気そうで何よりです」
「来てくれてありがとう、高梨くん。ゆっくりしていってくれ」
京利への挨拶が終わったメイを引っ張って、ソファに連れていき座らせる。因みにメイが京利を呼ぶとき四ノ宮様だとオレも四ノ宮様なわけで、京利様になったんだけど、オレはなんとなくの直感で、『京利さん』で定着させることにした。あんまり呼ばないでほしいけど。これはちょっとした嫉妬だ。まぁそのうち慣れるだろう。逆にメイを『高梨さん』と呼ぶのもどうかと思ったんだけど、それはメイの未来のパートナーに任せることにした。
「あのね、オレ達の凛真がね、天才かもしれない」
「まあ!凛、あなたもう親バカが始まったの?」
「違うよ!いやそうなのかな。いや、違うよ!凛真ってさ、話したり撫でたりすると、ぽやんて温かくなるし、動くんだよ。温かくなる感覚はオレだけかもだけど、動くんだって!メイに教えてもらった胎教のおかげかもしれない。メイも話しかけてみてよ」
「えっいいの?」
メイは隠せているつもりだろうけどね。しっかり顔がにんまりでれでれしているよ。もちろん気がつかないふりをした。
メイは、オレのお腹に顔を寄せて、思いっきりの可愛い笑顔で、
「凛真ちゃ~ん、いつもの可愛いお姉さんですよ~今日も元気かな~?」
メイもキャラぶれがひどいよ。
ぽこぽこぽこ、ぐりゅりゅん
「きゃーっ凛!お返事したわよ。メイちゃんって呼んだわっ!天才!はい天才!ねえ凛!凛真ちゃんは天才だわ」
「だよね!やっぱりそうだよね!」
きゃっきゃっきゃっ
はしゃぎたおすオレ達に、京利が若干ひいていたことを二人は知らない。
なんと、今オレは京利とお風呂に入っている。京利がリハビリをどんどん進めて、片足を上げて、縁を跨ぎ、湯船に入り、座って浸かる。この動きができるまでに復活できたのだ。もう超嬉しい。
身体も隅々まで綺麗に洗ってあげられる。特に異常なところや傷ができていないか、自分の目で確かめられるのが良い。
京利は、終始でれでれしていた。京利の大きな身体の周りをぐるぐる回って確認して、あっちやこっちや真剣に洗っているのに、蜂蜜色の瞳は、オレの裸を遠慮なく舐め回すように見ていた。おっさんか!?
京利のものがすごく元気になっているけど、一旦無視して、先に湯船に浸かってもらった。
「ありがとう、凛。洗ってくれて気持ち良かった」
「良かった。オレも洗っちゃうね」
オレも素早く洗って、湯船に入る。
なんて大きな湯船なんだよ。って思ってたんだけど、そもそも浅く出来ているから、京利みたいにリハビリ中でも安全に入られるようになっているんだろう。
ひとりのときは、お腹が浸かるぐらいにためて、いつもゆっくり温まっていた。
気をつけて、縁を跨ぐ。本当にお腹おっきくなってて重いんだよ。京利が腕を伸ばして支えてくれようとしている。はう、幸せ。
無事に湯船に入り、浸かろうとして、座った着地点はなぜか、京利のお膝だった。
「凛、ずっとこうしたかったんだ」
京利がオレを後ろからぎゅうぎゅう抱きしめた。
「すごい力が戻ってきているね。オレもして欲しかったんだよ」
ますますぎゅうぎゅうされる。オレは京利の胸に頭を預けて、お腹を撫でた。その手に京利が手を重ねてきて、大きな掌ですっぽり覆われる。
「凛、愛してる」
「うん。オレも愛してる」
京利は甘えるように、オレの肩や首をかぷかぷしてくる。
「凛、最高に美しい。それに今は凛真がここにいる。一層美しい」
素晴らしい賛辞を頂戴した。
...したんだけど、そんな硬いもの擦り付けながら言うなよ。オレは顔を真っ赤にして照れた。
32
あなたにおすすめの小説
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる
ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。
そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。
「一緒にコラボ配信、しない?」
顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。
これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。
※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる