ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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101.座った着地点

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「ねぇメイ!聞いてよ」


「何よ凛、来てそうそう。京利さん、今日もお元気そうで何よりです」


「来てくれてありがとう、高梨くん。ゆっくりしていってくれ」


 京利への挨拶が終わったメイを引っ張って、ソファに連れていき座らせる。因みにメイが京利を呼ぶとき四ノ宮様だとオレも四ノ宮様なわけで、京利様になったんだけど、オレはなんとなくの直感で、『京利さん』で定着させることにした。あんまり呼ばないでほしいけど。これは嫉妬だ。まぁそのうち慣れるだろう。逆にメイを『高梨さん』と呼ぶのもどうかと思ったんだけど、それはメイの未来のパートナーに任せることにした。


「あのね、オレ達の凛真がね、天才かもしれない」


「まあ!凛、あなたもう親バカが始まったの?」


「違うよ!いやそうなのかな。いや、違うよ!凛真ってさ、話したり撫でたりすると、ぽやんて温かくなるし、動くんだよ。温かくなる感覚はオレだけかもだけど、動くんだって!メイに教えてもらった胎教のおかげかもしれない。メイも話しかけてみてよ」


「えっいいの?」


 メイは隠せているつもりだろうけどね。しっかり顔がにんまりでれでれしているよ。もちろん気がつかないふりをした。


 メイは、オレのお腹に顔を寄せて、思いっきりの可愛い笑顔で、


「凛真ちゃ~ん、いつもの可愛いお姉さんですよ~今日も元気かな~?」


 メイもキャラぶれがひどいよ。


 ぽこぽこぽこ、ぐりゅりゅん


「きゃーっ凛!お返事したわよ。メイちゃんって呼んだわっ!天才!はい天才!ねえ凛!凛真ちゃんは天才だわ」


「だよね!やっぱりそうだよね!」


 きゃっきゃっきゃっ

 はしゃぎたおすオレ達に、京利が若干ひいていたことを二人は知らない。





 なんと、今オレは京利とお風呂に入っている。京利がリハビリをどんどん進めて、片足を上げて、縁をまたぎ、湯船に入り、座って浸かる。この動きができるまでに復活できたのだ。もう超嬉しい。

 身体も隅々まで綺麗に洗ってあげられる。特に異常なところや傷ができていないか、自分の目で確かめられるのが良い。
 京利は、終始でれでれしていた。京利の大きな身体の周りをぐるぐる回って確認して、あっちやこっちや真剣に洗っているのに、蜂蜜色の瞳は、オレの裸を遠慮なく舐め回すように見ていた。おっさんか!?
 
 京利のものがすごく元気になっているけど、一旦無視して、先に湯船に浸かってもらった。


「ありがとう、凛。洗ってくれて気持ち良かった」


「良かった。オレも洗っちゃうね」


 オレも素早く洗って、湯船に入る。

 なんて大きな湯船なんだよ。って思ってたんだけど、そもそも浅く出来ているから、京利みたいにリハビリ中でも安全に入られるようになっているんだろう。

 ひとりのときは、お腹が浸かるぐらいにためて、いつもゆっくり温まっていた。

 気をつけて、縁を跨ぐ。本当にお腹おっきくなってて重いんだよ。京利が腕を伸ばして支えてくれようとしている。はう、幸せ。

 無事に湯船に入り、浸かろうとして、座った着地点はなぜか、京利のお膝だった。


「凛、ずっとこうしたかったんだ」


 京利がオレを後ろからぎゅうぎゅう抱きしめた。


「すごい力が戻ってきているね。オレもして欲しかったんだよ」


 ますますぎゅうぎゅうされる。オレは京利の胸に頭を預けて、お腹を撫でた。その手に京利が手を重ねてきて、大きな掌ですっぽり覆われる。


「凛、愛してる」


「うん。オレも愛してる」


 京利は甘えるように、オレの肩や首をかぷかぷしてくる。


「凛、最高に美しい。それに今は凛真がここにいる。一層美しい」

 素晴らしい賛辞を頂戴した。

 ...したんだけど、そんな硬いもの擦り付けながら言うなよ。オレは顔を真っ赤にして照れた。




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