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中学生になったら
中学受験
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「なんですか?
これから塾なんで、手短に済ませて欲しいんですけど」
「お忙しいのに付き合ってくれるの?
ありがとう。
手短に済ませられるかはあなたの出方次第だけど」
「ちょっと、さっきから何なのよ、転入生」
「感じ悪いんだけど~?」
帰り支度で背負おうとしていたランドセルを机の上にいったん置きなおして、ふたりの女生徒が原田の背中に立つ。
同じく机に書かれた筆跡から、彼女に加担しているのはせいぜい二、三人かなと当たりはつけていたのだが。
わかりやすく出てくるものだから可笑しくて笑ってしまった。
「な……なに、笑ってんのよ?」
ほんの一瞬前まで三対一の優勢、強気の構えだったというのに。
羽香奈の笑みに実年齢以上の歪みを見て、そう言いながらひとりが半歩ほど引いた。
この程度で怖気づく癖に、あんな証拠の残るような行為がよく出来るものだと呆れてしまう。
「気持ち悪い……
潮崎君の親戚なんですって?
同じ血縁だとそういうところも似るんですか?」
自分だけならまだしも、葉織のことを貶められては……
しかし羽香奈の心は冷えたままだった。
この程度の人間性の相手であると、はなからわかって相対しているのだから心の準備は出来ている。
「原田さん……
あなた、本当は気付いているんでしょう?
葉織くんのおかげで、あの日からしばらく、心がすーっと軽くなった……
そんな感じがしたって」
葉織は小学五年生の修了までは、何の問題もなく学校に通っていた。
葉織と同じクラスになった子供達は家庭環境等に深刻な問題を抱えた者は少なく、葉織の目は安定した心の色ばかりを見て過ごすことが出来ていた。
六年生になって原田が転入してきたことで、その環境は変わってしまった。
彼女は「授業中のみ」、板書をノートに書き写す手や授業を聞いている耳などに黒い靄を放っていた。
たまたま彼女が葉織のすぐ後ろの席になってしまったこともあって、気になって仕方がなかった。
気付かれませんように、大事になりませんようにと祈りながら、葉織は授業中に思い切って振り返り、彼女の手の付近から靄を掴みとった。
幼さゆえの浅慮であり、無論、大事にならないはずもなく。
直接、手に触れたわけではなくとも、原田は数人の友人を巻き込んで騒然とした。
当人から靄を剥ぎ取っただけではその人のストレスは解消されず、かといって下校までの数時間自分が持ちっ放しということも出来ず。
葉織は校内の人目につかない場所で人形に変えた。
それも運悪く人に見られてしまった。
これから塾なんで、手短に済ませて欲しいんですけど」
「お忙しいのに付き合ってくれるの?
ありがとう。
手短に済ませられるかはあなたの出方次第だけど」
「ちょっと、さっきから何なのよ、転入生」
「感じ悪いんだけど~?」
帰り支度で背負おうとしていたランドセルを机の上にいったん置きなおして、ふたりの女生徒が原田の背中に立つ。
同じく机に書かれた筆跡から、彼女に加担しているのはせいぜい二、三人かなと当たりはつけていたのだが。
わかりやすく出てくるものだから可笑しくて笑ってしまった。
「な……なに、笑ってんのよ?」
ほんの一瞬前まで三対一の優勢、強気の構えだったというのに。
羽香奈の笑みに実年齢以上の歪みを見て、そう言いながらひとりが半歩ほど引いた。
この程度で怖気づく癖に、あんな証拠の残るような行為がよく出来るものだと呆れてしまう。
「気持ち悪い……
潮崎君の親戚なんですって?
同じ血縁だとそういうところも似るんですか?」
自分だけならまだしも、葉織のことを貶められては……
しかし羽香奈の心は冷えたままだった。
この程度の人間性の相手であると、はなからわかって相対しているのだから心の準備は出来ている。
「原田さん……
あなた、本当は気付いているんでしょう?
葉織くんのおかげで、あの日からしばらく、心がすーっと軽くなった……
そんな感じがしたって」
葉織は小学五年生の修了までは、何の問題もなく学校に通っていた。
葉織と同じクラスになった子供達は家庭環境等に深刻な問題を抱えた者は少なく、葉織の目は安定した心の色ばかりを見て過ごすことが出来ていた。
六年生になって原田が転入してきたことで、その環境は変わってしまった。
彼女は「授業中のみ」、板書をノートに書き写す手や授業を聞いている耳などに黒い靄を放っていた。
たまたま彼女が葉織のすぐ後ろの席になってしまったこともあって、気になって仕方がなかった。
気付かれませんように、大事になりませんようにと祈りながら、葉織は授業中に思い切って振り返り、彼女の手の付近から靄を掴みとった。
幼さゆえの浅慮であり、無論、大事にならないはずもなく。
直接、手に触れたわけではなくとも、原田は数人の友人を巻き込んで騒然とした。
当人から靄を剥ぎ取っただけではその人のストレスは解消されず、かといって下校までの数時間自分が持ちっ放しということも出来ず。
葉織は校内の人目につかない場所で人形に変えた。
それも運悪く人に見られてしまった。
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