【完結】平民として慎ましやかに生きていたと思っていたのは僕だけだったようだ。〜平民シリーズ②アシェル編〜

華抹茶

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19 ノルベルside

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僕はノルベル・パーキンス。家は伯爵家。

僕の家は資産家としても有名で、とても大きな権力も持っている。魔法薬の大手だ。
魔法薬は今はなくてはならない物。だから他の家からも一目置かれている。

そしてなんといっても僕の容姿。僕はとっても可愛い。子供の時から大人気で婚約の打診は山の様に来た。

でもこんなに可愛い僕と釣り合うには、家格だけじゃなくて見た目も強さも必要だ。だって僕は可愛いからいろんな人から狙われる。そんな僕を守ってくれる王子様が必要だもの。本当はこの国の王子様と結婚したかったけど、年齢が釣り合わない。あー、残念。


でも子供の時、とあるお茶会でアーネスト様に出会った。

カッコいい!それにスタンディング辺境伯っていえば、武闘派で有名で強い騎士もいっぱいいるところ!きっと彼も強いに違いない!僕の結婚相手は彼しかいない!


それから父にお願いして婚約者になった。向こうも軍事費が嵩む家だし、僕の家は魔法薬の大手だ。薬関係も必要な辺境伯家にとって、パーキンス家は最も相応しい相手となる。

ふふふ。僕とアーネスト様は運命の相手なんだ。


アーネスト様はとても優しい。なかなか会う事は出来ないけれど、手紙も送ってくれるし贈り物だってくれる。
会えば優しく笑いかけてくれるし、気遣ってもくれる。僕の理想の王子様だ。


僕はアーネスト様が大好き。だから手紙でも会った時も「大好き」っていつも伝えてる。でもアーネスト様は僕に一度も「好きだ」とは言ってくれない。

会った時はいつもにこやかだけど、ふとした瞬間に眉間に皺を寄せている事がある。どうしたんだろう。僕にはその理由が分からなかった。

でもアーネスト様はいつも優しいから、僕は幸せだ。早く僕に好きって言ってくれないかな。

僕の家は、資産家で魔法薬の大手で、なによりも僕は可愛い。そんな僕を好きにならないなんてあり得ないもん。

アーネスト様はとっても真面目な人だから、きっと恥ずかしくて言えないだけなんだと思う。ふふふ。そんなアーネスト様もとっても素敵!




当主である僕のお父様はすごい人なんだ。魔法薬で成功しただけじゃなく、いろんな事も始めて成功してる。それにどうやったのか分からないけど、隣の国と大きな繋がりを持てたんだ。

それから我が家は更に大きくなった。どうしてなのか聞いてみたら、内緒だよっていって教えてくれた。

隣国との奴隷販売と違法魔法薬の取引。

リッヒハイム王国では奴隷売買は禁止されている。

でもお父様が言うには、孤児院の子供を売っているらしい。孤児なんて汚いし、平民だし、いらない子だし、僕たちの為になるんだったら奴隷で売られても仕方ないよね。むしろ僕たちの力になれるんだから、この国でも奴隷売買すればいいのに。


あとは違法魔法薬。違法っていっても、効果があり過ぎるだけで悪いものなんて入っていない。僕たちの事を気に入らない人達がただ騒いで違法だと言っているだけだ。

僕の家の魔法薬はとっても凄いんだ。特に美容薬は効果覿面!僕も毎日これを飲んでいる。僕の綺麗な肌を維持する為には必要だし、効果も高いから僕は愛用している。

たしかに入っている薬草の中には、強い幻覚や錯乱状態になるとかいわれているものも入っている。だけど僕にそんなものは現れていないし、全然問題ない。

なのになんで周りはそんなにうるさく言うんだろう。お父様もお母様もいつもそれに対して怒ってる。おかしいよね。僕たちが裕福で成功しているからって僕たちの評判を落とそうとするなんて卑怯だよ。


そんな素晴らしい魔法薬だけど、国内じゃ販売できないから隣国へ売って、それを僕たちの国に売るっていうちょっとめんどくさい事をやっている。

家が関わっているって分からない様にしているらしくって、容器も何もかも変えられている。


でもそれで家は更に大きくなった。お父様って本当にすごい!



そして僕は貴族学園に入学した。僕は剣も魔法も習ってはいない。だって僕が戦う必要はないでしょ?アーネスト様が僕を守ってくれるんだもの。

一般教養の理解を更に深める教養科に入った。ここは所謂貴族の為の『花嫁修行』をする為の科。

刺繍だったり、社交での立ち振る舞いだったり夫を支える為に必要な事を学ぶ科だ。

正直言って、わざわざ学園に入ってまで学ぶ事でもない。でも学園に入ればいろんな人と縁が結べるし、僕にとっても将来必要になる。

それにアーネスト様と毎日会えるんだ。行かない訳ないじゃない。

アーネスト様はとっても素敵な人だから、きっとアーネスト様に手を出そうとする人もいるはず。そんな人から僕はアーネスト様を守ってあげるんだ。アーネスト様もきっと喜んでくれるはず。


学園に入ってからは、毎日アーネスト様に会えるから僕はとっても幸せなんだ。
それに僕が可愛いから、取り巻きもできたしチヤホヤされてとっても気分が良い!

そうだよね。僕ってこうじゃなきゃ!


それなのにとある生徒の噂を聞いた。『魔法科の銀の天使』だと最近チヤホヤされている子だ。

取り巻きの人に調べてもらったら、平民なんだそう。なのに魔法の腕はかなり良くて、入学試験で最高得点を叩き出した逸材だって。それにとても綺麗な顔をしているから人気があるって。親衛隊までいるって。僕だってまだそんなのないのに!

平民のくせに生意気。

しかも、アーネスト様とダンスの授業で一緒に踊ったらしい。その時の平民の顔が美しすぎて、『天使の微笑み』だと言われたそう。

許せない!1番綺麗で可愛いのは僕なのに!

きっとアーネスト様が素敵な人だから手に入れようとしてるんだ。それに平民は貴族に憧れる。貧しいから貴族になって裕福な生活を送りたいと思っている生き物だ。


許せない。僕のアーネスト様に手を出そうとするなんて。


だから僕は身の程をわからせる為に会いに行った。


「ねぇ、アシェルっていう平民は君の事?」

「…はい。僕がアシェルです。」

こいつか。僕のアーネスト様に手を出そうとしている汚い平民は。

「ふーん…。まぁ確かに綺麗な顔してるよね。でも僕の方が可愛いかな。親衛隊が出来て調子に乗ってるようだけど、平民なんだから分を弁えてよね。」

「え…あの、僕は調子に乗ったつもりはなくて…。」

平民のくせに口答えするなんて!

「言い訳しないで!平民のくせにっ…。あと、僕の婚約者のアーネスト様と授業とはいえダンス踊ったんでしょ?僕のアーネスト様に手を出したらタダじゃおかないから。」


もしこれ以上アーネスト様を付け狙う様なら容赦しないから。

僕の家は大きな権力がある。お前の家なんて簡単に潰せる。
僕が優しいうちに諦めてよね。じゃなかったら…。



殺しちゃうかもね。

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