【完結】高級男娼の俺を一週間買った男は不能でした

華抹茶

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「ん…」

 なんだろう。気持ちいい…。何かあったかいものに包まれてる。…あ、いい匂いもする。もっとその匂いが嗅ぎたくてすんすん鼻を近づける。すると鼻に何か硬い物が当たった。でも匂いの元はここからだ。いい匂いを思いっきり吸い込んだ。はぁ…幸せ。

「イルミリオ。…くすぐったいぞ」

「…んえ?」

 気持ちのいい重低音が聞こえてふと目を開けた。そこには褐色の壁。…いや、壁じゃない。胸板だ。

「はっ! すみませんっ俺! 寝ぼけてて!」

 いい匂いの元はテオ様だった。

 そうだった…。俺、昨日泣きべそかきながらそのまま寝ちゃったんだ。しかも今、犬みたいにすんすん匂いを嗅いでっ! 最悪だ!

「ホントに、すみません…。俺、俺…。テオ様を満足させるどころか、勝手に泣いて寝てしまって…」

「ははっ。気にするな。大丈夫だ。……それと君は本当は『俺』と言うんだな。今後はそうしてくれ。俺の前では自然にいてくれ。むしろその方がいい」

 あ、やべっ! 俺の被ってた猫が一匹どっかいっていたようだ。…怒られなくて良かった。むしろ頭を撫でてくれて、テオ様の優しさが身に染みる。


 それから顔を洗って歯を磨いて身支度を整えたら――と言ってもガウンを羽織るだけだが――朝食だ。小間使いを呼び準備させる。そして食事の間に軽く掃除とベッドメイキングをしてもらう。
 その間はのんびりテオ様とお茶を楽しむ。

「昨日も思ったが茶を淹れるのが上手いな」

 テオ様は俺がすることを何でも褒めてくれる。くすぐったくてすごく嬉しい。

 あまりこういう事を褒めて貰えたことがなかったから、変な気分だ。こんなにも良い人なんだから俺も何とかしてテオ様の悩みを解決してあげたい。

「テオ様は、俺の裸を見てどう思いました? 欲情しました?」

「ぶっ…ごほっ…何をいきなりっ…」

 あ、吹いちゃった。ごめんなさいテオ様。背中をさすってあげる。

「女の人がダメなのはわかりました。でも男の体、今だと俺ですけど、俺の体を見て欲情はしますか? まぁ、してくれないと困るんですけど…」

「いや…まぁ、欲情は、する…。するが…」

「するんですね! 良かった。それもなかったらどうしようかと思いました! じゃあ早速、ベッドも綺麗になったので向こう行きましょうか」

 テオ様の手を引いてベッドの上へ。そして俺はお腹の中を綺麗にする浄化の魔法をかける。そしておもむろに裸になってテオ様に良く見えるように座って足を広げた。

「イルミリオ…?」

「そこで見ててくださいね」

 手にたっぷりとローションを取り、そして下半身にもたっぷりかけてやる。今からするのは自慰だ。それをテオ様に見てもらう。俺の痴態を見て反応を見るためだ。

 ペニスへと手を伸ばし、ゆっくりと扱いていく。すると段々と硬くなってきた。

「ん…ふ…」

 胸が寂しくなって、自分でそこも弄っていく。くりくりしたり摘まんだり。

「あ…は…んぅ…はぁ……」

 段々と気持ち良くなって自然と声も上がる。ちらっとテオ様に目をやれば、少し赤らめながらもガン見している。見て少しは興奮してくれたみたいだな。

「はぁ…ねぇテオ様…も見て」

 そう言って尻にも指をあてて自分で穴をくちゅくちゅと広げて見せる。一本、二本、そして三本。段々と指を増やしてぐちゅぐちゅといやらしく音を立てていく。

「あっ…気持ちぃ…ん、テオ様…テオ様ぁ…」

 切なく名を呼びながら自慰を続ける。

「ねぇ、テオ様も触って。、テオ様に触って、欲しい…」

 涙目でお願い攻撃。ごくりと喉を鳴らしたテオ様はそっと指を差し出してくる。そうそう、早く俺のココ、テオ様の大きな手で弄って。

「あっ!…んあっ、あ、あんっ!…あっ」

 少し遠慮しながらゆっくりと指を入れて感触を楽しむようにした後すぐ、ぐちゅぐちゅと音をたてて激しくかき回し始めた。
 テオ様の長い指が行ったり来たり。ぐりぐりと押し込まれて広げられて、その動きが最高に気持ちいい。

「イルミリオっ…ミリオっ!」

 興奮したのかそのまま俺に嚙みつくようなキスをした。舌を絡ませくちゅくちゅと唾液が混じる。おっとこのまま気持ち良くなって流されちゃいけない。テオ様はまだガウンを着たままだ。それを脱がせ裸にさせる。
 首に腕を回し抱きしめるようにキスを続ける。テオ様も興奮しているのか息が荒くなっている。コレならイケるんじゃないか?

 そっとテオ様の股間へ手を伸ばすとそこには昨日とは違ってはっきりと起立したモノが。やった! イケる! 目指せ! 脱・不能!!
 手にはまだローションが残っているから滑りが良い。それを利用して上下に扱いてやった。

「はっ、はっ…ああ…」

 よしよし、いいぞいいぞ! その調子だテオ様! 感じて感じて感じまくれっ!

 心の中で声援を送りつつ、手の動きを速めていく。しっかり硬くなったのを確認して俺はその上に乗り上げた。

…欲しい。ちょうだい…」

 俺の蕾へ先端を充てがってゆっくりと腰を下ろし、テオ様をぐぷっと少しずつ飲み込んでいく。

「あ、はぁ…キタぁ……」

 テオ様の屹立は大きくて熱くて、入れてるだけで気持ちがいい。大きなソレを最後まで飲み込むと、休む間もなく俺は動き出した。

 パンっパンっと肌がぶつかる音が響いて、結合部分も卑猥な音を立てていく。これで射精まで出来れば、不能脱却だ!


 ……と途中までは良かったのに。


 テオ様は中折れしてしまった。

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