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しおりを挟む我が家の天使、ヨアヒムの為!! と気合を入れて勉強して試験を受けて。
必死に頑張ったおかげで学院の入学試験の結果はなんと3位。努力が報われた瞬間だった。
学院のクラスは成績順で振り分けられるから、これで一番良いクラスになるのは間違いない。まずは一歩夢に近づいた。
そして私が振り分けられたクラスは、私以外は全員上級貴族の方々だった。しかもこの国の第二王子殿下までいらっしゃる始末。
しかも上級貴族や特に王族の方なんかは、顔がとてつもなく良い。顔面偏差値にこんなにも差があるなんて神様は不公平だ。だから私はこのクラスの中でかなり浮いている。とてつもなく浮いている。
だって考えてもみて? ものすごーい平凡顔がキラッキラの集団の中にポツンといるのよ? 浮かない方がおかしいわ……。
しかも家格だって底辺の底辺。最下層にいる平凡顔の女が、キラッキラの上層にいらっしゃる方の中にいるんだから。
おかげで私は友達が1人も出来ないまま学院で数か月過ごしている。だが別に気にしていない。だって友達や結婚相手を探しに学院に来たわけではないのだから。
授業が終わればすぐさま図書室で勉強。部屋に戻ってからも勉強。集中して勉強が出来る素晴らしい環境! ひゃっほー! だから食事は独りぼっちだって寂しくなんかない!
……嘘です。ほんとはちょっと寂しい。くすん。
だけど友達どころか、周りのご令嬢には冷めた目で見られている。
男爵家のくせに上級貴族の男を漁るために上位クラスへ入ったガリ勉女。
顔はお世辞にも綺麗とは言えないから、頭で勝負するしか能がないガリ勉女。
散々な言われようだ。私にそんなつもりは一切ないけど、そんなことは関係ない。
彼女たちの憧れの方たちと私が同じクラスにいるだけで気に入らないのだから。
でも週末は家に帰れるし可愛いヨアヒムに会えるから、それを楽しみに毎日勉強に明け暮れている。ヨアヒムに会えるだけで疲れもストレスも何もかも吹っ飛ぶんだから平気だもん!
そして学院始まってから初めての試験。私は余すことなく全力をぶつけた。
その結果――
「嘘……。私が、1位?」
なんと張り出された成績の一番上には『ベティーナ・アルタマン』の文字が。それを見た瞬間歓喜で体が震えた。
どうしよう。嬉しすぎて叫びたい。あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘、もうだめ! この喜び感動を声に出して叫びたい!!
そう思った私は、その場をそっと離れて学院の奥にある庭園へとやってきた。ここは教室棟からかなり離れていてこんなところまで人はなかなか来ない。到着するなり私はガッツポーズをかましながら思いっきり叫んでやった。
「よっしゃー-----!! やった! やったわ! 1位よ! 1位になったのよ! 最っ高の気分だわ! あははははは! 平凡顔だろうが関係ないわ! 結果が全てよ! あはははは!」
こんなところに人は来ないから飛んだり跳ねたり高笑いしたり、令嬢にあるまじき振る舞いをした自覚はある。だって誰かに見られるなんて思わないもの。
「1位おめでとうございます。アルタマン嬢」
「うひぃっ!?」
そんな『まさか』が起きて変な声を出してしまった。ぎぎぎぎぎと音がするような動きで振り向いてみれば、そこには誰もが見惚れる微笑みを張り付けたコンラート・ブランディス様が立っていた。
ブランディス侯爵家のご令息。第二王子の側近候補として常に殿下のお側に侍っていらっしゃる、見目麗しき御仁。そして入学試験は1位の秀才。
だが今回の試験は2位。私はこの人を押しのけて1位を取ったのだ。
え、え、え? なぜここに?
しかもこんなところを思いっきり見られている。私はあまりのことに動けず変なポーズのまま固まってしまっていた。
「アルタマン嬢はなかなか面白い方のようですね。こんな奇妙なダンスを踊ったり奇声を発する方だとは思いませんでした」
「あ、はは……。えーっと、いつからそこに?」
「最初からですね。貴方が成績をご覧になってその場を離れたので付いてきました」
さ、最悪なんですけど!? しかもなんで付いてきてんの!?
「私を押しのけ、1位になった貴女に興味がありまして……。
少しお時間をいただけますか?」
にっこり笑ったその顔は、目だけが笑っていなかった。
「えーと、あのー………。ごめんなさい!! 予定がありますので!!」
そう一言告げてダッシュでその場から逃げ出した。令嬢とは思えないたくましい走り方を見せてしまったけど、あんなところを見られているんじゃ今更だ。
そのまま寮の部屋へと戻ってきたけどよくよく考えたら私、ブランディス様と同じクラスじゃない!?
明日も普通に授業があるから嫌でも顔を合わせてしまう……。授業を休むなんて選択肢はないから嫌でも行くけど。
どうしよう……。よく考えれば私、めちゃくちゃ失礼なことしたんだよね。
だってだって、あんなあられもない姿を最初から最後まで見られていたのに「少しお時間いいですか?」と言われて「もちろんですわ♡」なんて言えるわけない!! そんな強靭なメンタルは持ち合わせていないわよ!! 平凡顔だとしても私だって花も恥じらう乙女なんだから!!
はぁ……。やってしまったものはどうしようもない。明日ちゃんと謝ろう。うん。もうそれしかない。
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