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世界冒険編/第一章
第一話 魔王、冒険者になる
しおりを挟む魔界─
「皆よく集まってくれた」
魔王城エンケラ・ヴェウス。楼神ノ間。机と椅子が並び、十数人の者が座り話している。
「どうされました」
魔王軍の最高幹部よりも偉く恐ろしく強い帝のひとりが口を開く。
(魔王様、魔王軍の最高幹部…ましてや帝ノ拾皇全員が出席するなど…)
と会議室の警備をしているものは心の中で思う。
「私は少し旅に出るとする。その間は帝ノ壱が魔界を仕切ってくれ」
「魔王様の言うこととあらば我々はそうします」
「ゲルラ・リヴェナ …少し黙れ。そして魔王様。なぜ旅などそんなことを…?」
「リネ。それはのちのちわかるだろう。だから俺から言うことは無い」
魔王は席をたち「あとは頼んだ」と言い残し消えた。
「ピール。魔王様は神殺しを行うため旅へ出たと全魔族に伝えよ」
ここが…人界。
魔王ディスタは2000年振りに人界を見た。
魔界とは随分違うな。色んな色があり実に綺麗だ。2000年前とは違うな。
「よぉそこの兄ちゃん。金くれよ」
盗賊がディスタにしゃべりかける。鍛えられぬいた筋肉が輝いている。
「貴様、頭が高いぞ。我の前だぞ」
「いいから。金出せや!」
盗賊は腰にかけていた剣を抜く。
「愚かな。…死滅」
急に盗賊は倒れ込み息をしなくなった。
「雑魚にも程があるな。いやしかし人界に来たのだ。人格を変えんと行かぬようだな」
魔王ディスタ・ロスタには人格が複数ある。魔王としての人格。そして人間よりの人格もある。ディスタはそれに切りかえた。
居酒屋のような冒険者ギルドに到着したディスタ。
(なんだここ…酒くせぇ…)
「いらっしゃいませ!登録ですか?鑑定ですか?」
「冒険者登録はここですか?」
「はい!ならば先に属性、魔力量測定しますね」
随分と面倒になったな。2000年前は木の棒持って土ほじくってたのによ。
「えぇぇぇぇぇ!!!!????属性…神聖属!?」
「ざわざわ…ざわざわ…」
酔っ払いで溢れていたギルド内は酒は吹き飛び理性を保ち全員驚いた顔をした。
「し、神聖属って冗談レベルだよな…!?」
「それも…闇王、光王…火王、水王…そして神王…偽王い、一体何者…!?!?!?魔王かなんか…なの…!?」
「い、いやいやち、違いますよ~魔王なんかそんな~」
「魔力量は39兆~19垓。規格外のおおさ…大国の発魔量10年分相当…やばすぎる…!!」
一般の人間は5000程良くて10000。悪くて1000程。100万は稀にいるが1億ましてや1兆など類を見ない。
「もうこれは…G級レベル…」
「G級!?3人目のG級!?」
「今冒険者身分証を発行しますので…」
その後ディスタはディル・ヘッドロスタという名前でG級冒険者となったのだ。
G級冒険者。それは7ある階級のトップ。世界には3人しかいない勇者と同じほど強い。
数日経つと至る所に俺のことが書かれた新聞が貼られているな。
「あれ…噂のG級…?」
「でも本当にそんなに強いのか…?」
そんな中一人の男が─
「おいお前。俺と勝負しやがれ」
「あれって─」
「もしかして─」
と民衆の声が高まる。
「騎士様だ!!!」
一気に盛り上がり騎士を讃えようとする民衆。この存在の何がそんなことをさせるのだ。
「なぜだ?俺は貴様と戦うメリットがないと思うんだが」
「俺に勝ったら騎士に勝ったって言えるぞ?まぁ負けんがな」
このプライド。ズタボロにしてやりてぇな。
と心の中で邪悪な笑みを浮かべるディル。
「いいぞ。乗ってやる。貴様のプライド諸共ぶち壊してやるよ…」
久しぶりに戦う気があるディル。
「では俺から行くぞ。超強火!」
「神聖属…『火王』火属性魔法解除」
超強火がディルにあたる前に消えた。
「なっ、なに!?どういうことだ!?」
「お前の実力はそんなものか?神聖属『闇王』無限暗黒死滅道…」
謎の衝撃波が騎士を襲い騎士が着ていた鎧を粉々に壊した。
「手加減する。殺さないではあげよう。とっととどっかに行くんだな」
戦いとなるとディルは人が変わる。
「弱き者は強き者には抗えんのだよ」
そういいディルはその場を後にする。
「騎士が一瞬で…!?」
「この強さは異例だ!」
大聖堂のような会議室で会議を行う
「新しい階級を用意すべきか…否か…」
「しかしそれでは他のG級が黙っ─」
「るわけねぇよ」
その声が聞こえた瞬間会議室がざわめく。
「元G級2位…シヴィル…」
「昨日登録したばっかのやつがいきなりG級。ましてやその上の階級を作るほど…これほど屈辱なことはねぇーよ…数多のクエストを受注して解決…50000P貯めたのがバカみたいだ。今は引退したと言え俺の立場がどうなる」
「シヴィル。貴様も引退した身だ。少しはぶをわきまえ─」
シヴィルは怒りで魔法をはなとうとした。だが─
「シヴィルさん。やめてください」
「あ?てめぇ誰だよ」
「S級6位のテビル・ズ・ソレイユ。幹部様達には手は出させませんよ?」
「ちっ…」
「…で、ゴブリン退治。すぐ終わっちまったな…なんか弱すぎやしないか?」
「そりゃ~これB級クエストだもんね。貴方みたいなG級じゃ余裕だよさすがに。そんななら─」
そうこいつ。さっきからずーっとついてくる変なやつ。名前も知らんし唯一A級冒険者ということがわかるだけでほかは本当に何も知らない。
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