カモミールの香る指輪

花嗚 颺鸕 (かおう あげろ)

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1日目 出会い

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「あなたの恋人になるために人間になりました」口角をあげ、挙手した体制で言い放った。先ほどまで植木鉢に埋まっていたカモミールである。

そう植物である。

一人暮らしのワンルームでガサゴソと変な音がするので行ってみれば、根っこが足になり、葉っぱは耳になり、茎は胴体になった。まごうことなき人間になった。

体つきは青年のようで、顔は球体関節人形によくある大きな瞳に小さなお鼻、上気した頬と唇である。顔立ちは幼く、体は成人。ちぐはぐな見た目だ。

だがしかし、その生命体がどんな美少年であろうと、植物が人間になった異空間が私は恐怖した。

急いで台所に行き、フライパンをもって頭を引っ叩こうとしたところ、「イヤー、ちょっと待ってよ。」と目に涙を浮かべた美少年。

私は認識可能な言葉で声を掛けられたことで少し冷静になった。この謎の生命体らしきものと意思疎通ができそうである。「元に戻れ、カモミール」と淡泊に言う。

すると「なんでよ!僕は君の恋人になりたいんだから」とほほを膨らましている。前言撤回しよう、意志疎通はできない。俺はもう一度フライパンを掲げると、「ちょちょ、駄目よ」と私のまえからちょこまかと逃げ始めた。俺はフライパンを懇親の力でぶん回す。だが当たらない。かれこれ1時間くらいは追いかけっこをしていたのだろうか。

お互いの体力が底をついたタイミングで、その生命体らしきものが話し始めた。「あのね、僕を道端で見つけてくれて、家に持って帰ってからいつもいつも愛してくれてたでしょ?」
私は顔から火を噴きそうなほど赤面した。

おもむろにそいつは口を開く。「いつも愛してるって言葉を聞いて、お水も栄養もたくさんくれて、太陽でぽかぽかしてたの」
「だからね人間になったら愛し合えるでしょ?」

俺は右手で顔を覆い、項垂れた。

「私は対物性愛者なんだ」
「え、どういうこと?」
「つまりだな、人間は愛せない」
「そ、そんな。ぼくすんごい頑張って人間になったのに、振られるの早くないか」


「とりあえず、裸もあれだから、風呂にでも入って服を着ろ」
「え、お風呂ってどう入るの?」
「まずはそこからからなのか」
「ていうか、なぜ話せる?」
「だって、いつも話しかけてくれたでしょ」
私はまた赤面することになった。

植物相手に、私は人には見せられないほどの、愛情を注いでいたからだ。

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