Over the Forty ー夢を見れないお年頃ー

真田 真幸

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恋人編 

下僕な彼氏

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 カーテンの隙間から一筋入ってきた光りに、私は目を醒ました。

「…」

いつものようなスッキリとした目覚めではない。

なんだか頭が凄く朦朧としている。

そんな頭に手をあてようとしたが、動かすのに凄く怠い。

オマケに身体は凄い倦怠感に見舞われており、特に腰の鈍痛が酷い。

異物感もある…。

ベッドサイドにある時計を確認する。

午前7時…完全に朝だ…。

そしてふと、自分の背中に身体にまとわりつく体温に気付く。

一哉の手が私のウエストを抱きしめて眠っていた。

私の首筋に擦り寄ってムニャムニャ言っている一哉はとても可愛い。

うん、可愛いんだが!しかし!

一哉に何度も意識を飛ばされるほど攻め立てられ、気を失った後の覚醒であることを自覚すると、恥ずかしすぎるやら、憎らしいやら!

 うん…分かっていたさ…。

一哉は若いし、初めてだし、一応は覚悟してたとも!

だけどさぁ…誰がこの歳になって初めて抱き潰されるって奴を経験するなんて思う?

しかも今、気が付いてことだけど、異物感が取れないのも当たり前、一哉と私がまだ繋がったままで寝ているって、どういうこと!?

ある程度、一哉が身体を拭いてくれたのか?体液まみれの気持ち悪さはないけど…。

(なんて色々と生々しい朝なんだ…。)

喉がカラカラだし、起きたいけど物理的に(動けないし、一哉に拘束されてるし!)起きられないし、なんの拷問だ!

仕方ないので、一哉が起きるまでもう一眠りすることにした。




「申し訳ありませんでした!」

お風呂から上がり身綺麗になってソファーに横たえている私に、一哉は今エプロン姿で土下座の真っ最中である。

 あのあと、10時近くに目覚めた一哉はあろうことか、朝勃ち一発コトに及び終わった後、流石に私はキレて自分の身体の状況がどれだけヤバイのかを説明し、それを聞いて青ざめた一哉は甲斐甲斐しく私の介護を始めた。

裸のまま腰が立たない私を横抱きして、バスルームへ連れて行ってくれたものの、一緒に入ろうとする一哉とひと悶着。

あまりに心許ない身体の事情もあり、仕方なく一緒に入ったのだが、下僕よろしく一哉は私の身体を洗いたがり、体力が残ってない私の抵抗虚しく身体の隅々まで洗われた。

更に体力を削がれて疲れた私は、抵抗するのも面倒になり、身体を拭くのも着替えも一哉に任せ、再び横抱きされてリビングのソファーに降ろされた。

一哉は寝室のドレッサーからドライヤーを持ってきて、丁寧に私の髪の毛を乾かし、風呂上がりに風邪を引かないようにとブランケットをかけられ、ペットボトルの水をテーブルに用意した後、一哉は持参したらしい黒いエプロン姿でベッドメイキングを始めとする家事に勤しみ始めたのには驚いた。

「理彩は寝てていいから!」

一通り、洗濯機の使い方や何が何処にあるのかをメモに取ったあと、そう言われたのでお言葉に甘えて私はソファーの上で横になった。

普段からやっているのか、一哉は手際よく洗濯と掃除をこなしている姿を見ていたのは最初だけで、疲労感から私は眠ってしまった。

私がうたた寝から起きる頃には、テーブルで温かい出来立ての朝食が並んでいた。

で、冒頭の誠心誠意の土下座である。

「…多少は無理させられるだろうとは思ってたけど、流石に抱き潰されると思わなかったわよ。」

「ゴメン…あそこまで歯止めが効かなくなるとは俺も思ってなくて…。」

「加減してくれ。本当に身が持たないから。」

「反省してます…。」

 お腹が空いてる私は、ほんの少し楽になった身体を起こそうとした。

テーブルにはチーズオムレツとサラダとこんがり焼き上がったトースト。

そして、野菜が沢山入ったスープが温かそうな湯気を立て並んでいる。

直ぐにでも食べたい!

「理彩、待って!」

何故か動きを止められられ、私は少し眉を寄せて一哉を見た。

いそいそとソファーの前に立ち、私を横抱きに抱えたかと思えば、そのまま私を膝の上に乗せてソファーに一哉は座った。

謎な行動に私はキョトンとして固まっていたが、暫くしてハッと気が付いた。

(ま、まさか!?)

「理彩、何が食べたい?あ、温かいスープにしようか?」

案の定、一哉は私に“アーン”と言いながらスプーンで掬ったスープを口元に近づけてきた。

一哉の顔を見れば、いつもの3割り増しで艶々した眩しい笑顔をしている。

「…一人で食べられるんだけど。」

「理彩に無理させたお詫びだから。」

「先程、謝罪は受け取った。」

「それだけじゃ俺の気がすまない。」

「気持ちだけで…」

「ダメ。それとも口移しがいい?」

予想外の言葉に私は面喰らい、一哉の顔を凝視した。

微笑む顔には、有無を言わせぬオーラが…。

(…本気で遣りかねない。)

つーか、どちらも羞恥プレイの2択ってどうなんだ!

仕方なく、目の前のスプーンを口に含んだ。

「美味しい?」

「うん…」

確かに美味しい。

優しいホッとするコンソメと野菜の味に、思わず顔が緩んだ。

(出来ればこんな羞恥プレイ込みじゃない状態で味わいたかった…。)

「じゃあ、次はオムレツにしょうか?」

抵抗を諦めて、黙って頷くと嬉しそうに一哉はオムレツを私の口に運ぶ。

オムレツもふわトロで美味しい。

私が美味しいと呟くと

「どれ、俺も味見。」

そういうと一哉はオムレツとではなく、私の唇をペロッと舐めた。

「な、なななな、何!?」

あまりに突然の行動に、私は赤い顔で一哉を見た。

「理彩の口元につけちゃったからね、オムレツの欠片。うん、美味しくできてる。」

ニコニコ笑いながら、ちぎったトーストにオムレツをのせて私の口に運ぶ。

(なんだ…この甘々な感じは…)

今までの数段上行く甘々な一哉の態度は、甘やかされることに慣れていない私には凶器だ。

時間をかけてゆっくりと食べさせられ、時折口に付いたオムレツの欠片やらドレッシングやらを舐め取られ、口づけも挟みながら全てを完食した。

まさに甘い拷問…。

身体は楽チンだったが、気疲れしてグッタリしたのは言うまでもない。





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