Over the Forty ー夢を見れないお年頃ー

真田 真幸

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恋人編 初恋を追っていた頃

未来に繋ぐ為に

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 試合は一哉たちが逃げ切りで勝利を収め、試合後体育館のロビーに設けられた休憩所で私は持参した海苔巻き風のおにぎりを振る舞った。

おにぎりは…残念ながら一哉口には1つも入らなかった。

聞いていた人数よりも集まった人数が多かったからもあるけれど、それでも1つは一哉の口に入る筈だったのだけど…。

一哉は二人の仲間によって抑えられ、その間に他の仲間によって全て食べられてしまったのだ。

男の友情って…全くもって手荒すぎて、女の私には理解しがたいものだ。

 久しぶりに全員が集まったこともあり、飲み会へ行こうという話になっていたが、本日は日曜日。

一般常識を重んじる社会人組の意見が尊重され、後日仕切り直しとなり名残惜しくも体育館で解散となった。

「理彩、車で待っててくれる。太一とちょっと話してくる。」

仲間たちが帰るのを見送ったあと、一哉は私に言った。

「うん、分かった。」

 拗れた友情がどうなるのか…。

とても心配だし気になるけど、私は部外者だ。

でも…

私は一哉を呼び止めた。

「一哉!」

振り向いた一哉に、私は駆け寄った。

「素直に…後悔しないように…太一くんと話してきて。」

「理彩…うん…分かった。」

 紫色の雲と夕陽のコントラストが眩しい空の下、一哉は太一くんの元へ歩いていった。





「ただいま…」

「お帰り!」

 30分後、車の運転席に乗ってきた一哉の右手は腫れていた。

(これは…太一くんを殴ってきたってことかな…。)

私は無言で一哉の右手を取り、保冷剤をタオルに入れて巻いた。

「…太一には執行猶予つけた。」

「…そっか。」

「本当は今日…決着をつけて…太一からも仲間からも離れるつもりだったんだ。でも…やっぱり一緒に過ごせば楽しくてさ…離れるのが辛くなった。太一は謝ってくれたけど、まだ俺は太一を許せない。でも…いつか…俺はアイツを許したい。だから…それまでは繋がっていることにした。」

「うん…それでいいと思う。」

「いいの?」

「何で?」

「…太一は…理彩を危ない目に合わせた。」

「ああ…そう言えば、そんなこともあったね。まぁ…それも含めて執行猶予ってことで!」

私が笑って言うと一哉は泣きそうな顔をした。

「一哉は太一くんのこと大切な友達だと少しでも思っているんでしょ?」

「うん…。」

「太一くんも一哉を大切な友達だと思ってる。間違えた分、お互いの気持ちをゼロに戻すのは凄く大変だと思う。でも、きっと許せるときが来る。私はそう思ってる。」

「理彩…」

私は一哉の頭をくしゃくしゃに撫でて、お互いに目を合わせながら笑った。





 


 走り出した車の中で私は、夕御飯の相談を一哉にした。

「お腹空いたね!何処か寄ろうか?それとも何かテイクアウトして帰ろうか?」

「理彩のご飯が食べたい!」

「え!?今からだと出来上がるまでに時間かかるよ?」

「俺が車と荷物を置きに行ってる間に作ってくれればいいよ。」

「…ご注文は?」

「焼肉丼!大盛りで!」

「…牛丼屋さん寄った方が早くありませんか?」

「理彩の愛情が入ってないから却下!理彩のおにぎり食べ損なったし…。」

それを言われると、さすがに拒否できない。

私は一哉の注文を了承した。

 途中で自宅近くのスーパーの前で下ろして貰らおうとしたが結局、一哉は買い物に付いてきて丁寧に私をマンションまで送ってくれたあと、車を置きに戻った。

マンションに戻って直ぐに私は、保存用に炊き直した5合のご飯では心許ないと判断し、追加で米を研いで浸水させた。

試合を頑張った一哉の為に、ちょっと奮発した少し厚切りの焼肉用バラカルビを焼肉のたれに漬け込み、電子レンジで“もやし”と細く刻んだ“ニンジン”、“ほうれん草”を加熱して、あらかじめ“焼肉のたれ” “塩” “煎りごま” “ゴマ油”を合わせて作った調味料を混ぜて“ナムル”を作り、ストックしておいた鶏ガラスープを使い“わかめと卵のスープ”を完成させた。

(よし、これで出来立てのタイミングで食べられるよね!)

昼間の一哉の所要時間を思い出し、シャワーを浴びてから戻ってくると言っていたことも考慮して、私は明日の準備をしながら一哉を待った。




 私のマンションに戻ってきた一哉は思った通り、3合のご飯をペロリと平らげ、綺麗サッパリ食卓に並んだ物を全てお腹に収めた。

私の食べた量の6倍を食べ、少しポッコリ出た一哉のお腹を見て、正直、良く入るものだと驚いていた。

「美味かったぁ~!ご馳走様でした!」

「お粗末様でした。ちゃんと足りた?」

「うん、もう大満足!」

(間に合ったんならいいか…。)

やっぱり追加で米を研いでおいて正解だったと胸を撫で下ろしながら、私はテーブルの上の汚れた食器に手を伸ばした。

「俺が片付けておくから、理彩はお風呂に入ってきなよ。」

「え…でも…」

「食べ過ぎたぐらいだから、腹ごなしに片付けぐらいさせて?」

少し私は悩んだが一哉の言葉に甘えて頷き、私はバスルームへ向かった。



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