転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

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本編

77話 ゴースト、むかつく!

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ゴースト、私にとって因縁の相手でもある。

家族と死に別れ、トーイと共に聖域へ向かう道中、私を追い回してきた謎の黒い手、あれも一種の生き霊でゴーストと教えられた。

あの手に散々追いかけ回されたし、私は直接見ていないけど、聖域では怨恨や憎悪の結晶とも言える怨念体とも、至近距離で会っているせいもあって、恐怖耐性が少し付いた。今なら、人族のゴーストを見ても、怖くはないと思う。

問題は、どうやって相手の自我を取り戻させるかだよ。[異界読経]は、肝心のゴーストを討伐しちゃうことになるから論外だ。

「来訪神はダメかな? 悪疫除去や厄祓いの効果で、憎しみだけ祓えるかも?」

「う~ん、どうだろうね。ゴーストは魂そのもの、全てが怨恨に染まっていた場合、ゴースト自体が[悪疫]や[厄]と認定されてしまい、無と化すかもしれない」

そうなると、残るは…口寄せか。

「トーイ、あまり好まない方法なんだけど聞いてくれる?」

「いいよ、なんでも言って」

私の思いついた案は、至ってシンプル。

敷地内に入り、邸から出てきたゴーストたちを反射シールドに閉じ込め、話し合いの場を作る。話し合いが無理でも、私たちに対して、恨みの怨嗟の言葉を語ってくるだろうから、その声を利用して、伝統魔法[口寄せの儀]でこの世に漂う関係者の魂をここへ呼び寄せる。

「それは無理があるよ。協力者がいないし、怨恨に囚われたゴーストたちが、自身の話を見ず知らずの僕たちにするとは思えない」

やっぱり、無理か~。

そうなると、ゴーストの自我をどうにかして取り戻さないといけない。この場合なら怨恨だけを除去出来る伝統魔法が必要になってくるけど、そんな都合の良い日本伝統なんて知らないよ。

「一応、ダメもとで口寄せをやってみる」
「それなら、僕も手伝うよ」
「ありがとう、2人で協力してやってみよう!」

今回は、トーイとの共同作業だ!
私たちは、きちんと作戦を練ってから敷地内へと入る。

こうして目を開けた状態でゴーストたちと対面するのは初めてだけど、どんな姿をしているのだろう? ゴーストたちを驚かせたくないから、まずはご挨拶しておこう。

「今から敷地内に入りま~~す」
「ゴースト共、ユミルに手を出したら…」
「トーイ、威圧禁止」
「う…」

全く、話し合った意味がないじゃん。

威圧は相手を怯ませるだけでなく、レベル差が大きくあった場合、相手を死なせる危険性がある。既に死んでいるゴーストにやった場合、恐れをなしてその場から逃亡する可能性が高い。

何故多くのゴーストがこの邸に留まっているのか、その理由は不明だけど、今逃げられると大問題へと発展してしまう。トーイには注意しておいたのに、すぐに威圧しようとするんだもん。

とはいえ、彼女が心配するのもわかるよ。敷地に入った途端、空気が重くなり、視線が私たちに集中しているもん。

「ゴーストさ~ん、私と話し合おうよ~」

ほんの少しでいいから、話し合いに応じてほしい。

私たちが庭の中心付近に来たところで、玄関扉がば~んと開き、そこから宙に浮く漆黒の何かが私たちに向けて押し寄せてくる。

あれがゴースト?

漆黒の何かで、かろうじて人と判断でき、片足や片腕、片目、両目、下半身の無い者までいる。

ていうか……何人いるの!?
多過ぎなんですけど!
とにかく、まずはダメもとで話し合いを試みよう。

「みんなの死んだ原因を私に教えて~~~犯人を見つけ…」

私は4歳の幼児。

元気はつらつ愛くるしい笑顔をめいいっぱい浮かべれば、ゴーストだって立ち所にメロメロに……なってくれないよ~~~!!

すっごい唸り声をあげて、私の声に耳を傾けることなく、漆黒のシルエットの彼らは、私たち目掛けて突っ込んでくるんですけど~~~。

「みんな、私の話を…」
「予想通りだね」

ダメだ、全く聞く耳を持ってくれない。

事前に、私たちを中心に半径10メートルの全方位反射シールドを張っておいたおかげで、ゴーストたちはシールドに阻まれる。

「俺の左半身は何処だ~~」
「右足~~~」
「左足~~~」
「私の首~~」
「私の下半身~」

みんなが反射シールドにくっついていき、私たちを凝視して、失った身体の一部を求めている。

それが成仏出来ない1番の原因? いや、身体を探して、そうなった根源の人物を殺したいのかもしれない。

「みんな、私の話を…」

…ダメだ。

ゴーストの怨嗟の声の方が大きいせいで、私の声が届かない。

多くのゴーストが次々とシールドにくっついていくせいで、内部がかなり暗くなりつつある。

少しでも話し合いが出来たら口寄せも可能かと思ったけど、ここまで怨恨に囚われた状態で口寄せを無理に実行したら、良くない奴を呼び寄せちゃうよ。全員が大陸共通語を話しているから、種族こそ不明だけど人族なのはわかる。

「哀れな奴らだ。自身が何者かに殺され、失った身体を求めて、現世を彷徨っているのだから」

「ここのゴーストたち、みんなが身体の何処かを欠落しているよね?」

「そうだね。さぞ、酷い死に方だったのだろう」

いつ頃死んだのだろう? この中から、私たちの求めるゴーストはいるのだろうか?

「ユミル、これは無理そうだね」
「うん、自分のことを少しでも話してくれたら口寄せできたかもと思ったのに……残念」

私の考えが甘かったか。

仕方ない…来訪神に変身して、何体か討伐して逃げ道を作ろう。

『お前たちの身体をよこせ~~』
『下半身をよこせ~~~』
『左腕~~~』
『右足~~~』

なんか…ゴーストたちの言葉が、よからぬ方向へと変化している。

『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』

さっきまで身体を探し求めていたのに、今ではあらゆる方向から、身体をよこせよこせと訴えてくる。

当初は気の毒な人たちに同情しちゃったけど、ゴーストたちから漏れるよこせコールの声を全方位から聞いていくうちに、同情なんて消え去り、私の心には怒りが沸々と湧いてくる。

こっちは口寄せをするため、話を聞こうと真剣に訴えているのに、怨恨に侵食された影響で、話も全く通じない。

訴えることは、【身体をよこせ】のみ。

身体が欠損して辛いのはわかるけど、私は4歳の幼児だよ? 

死者にとって、生者の年齢なんてどうでもいいの? 

私に取り憑いたら、私の意思が最悪無くなるかもしれないんだよ?

そういえば、日本の幽霊たちも、自分の未練を聞いてもらうため、子供にも憑くとテレビとかで言ってたけど、自分さえ良ければ、憑かれた子供がどうなろうと構わないってこと? 

それは自身を殺した人たちと同じ行為なのに、それでいいの?

そう考えると、なんか怒りが沸々と湧き上がってくる。どいつもこいつも、暗闇の中で私の身体をよこせの一点張り。

もう……限界だ。
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