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本編
78話 お怒りのユミル *トーイ視点
おかしい。
ユミルの言う通り、ここのゴーストたちは怨恨に染まり漆黒状態、皆が身体の何処かを欠落させている。
『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』
ゴーストたちの言葉も、《身体をよこせ》とそればかり訴えてくる。何者かに殺害されたのは明白だけど、怨恨による魂の汚染度が酷すぎる。普通殺されたとしても、残された家族への悲しみや未練から、多少の良心は残るもの。
ここのゴーストたちには、それが全くない。全てを怨恨に染めた連中は、自我がないに等しいのに、何故か群れている。
もしかして、こいつらをまとめる奴が、何処かに潜んでいる? 仮説が当たっていたら、厄介なことになる。
幸い、ユミルとは敷地前で話し合い、もしゴーストとの会談が不可能と判断した場合、来訪神となって奴等を怯ませてから、その場から撤退する手筈となっている。
ゴーストたちも侯爵家の騎士たちとここで交戦して、彼らの撤退を許しているし、敷地外で何の騒動も起きていないのだから、僕らを追ってくる事もないだろう。
ここは素直に諦めて撤退……
「よこせよこせとうるさ~~い」
え…ユミル?
「来たれ、来訪神!」
ユミルが鬼の仮面を被る。
その瞬間、ゴーストたちの動きが止まる。
アイリスを守るために創造された来訪神と呼ばれる仮面、それを被った瞬間、彼女から神気が放たれる。
この姿を直で見るのは、2度目だ。
君は気づいてないだろうけど、その魔法は常軌を逸している。
一時的にしても、人の中に神の力が宿るのだから。
この世界の神様が、その力をユミルの魔力量とレベルに依存するよう調整してくれた事で、現在も扱えていることを長から聞いているけど……そのレベルと魔力量が問題なんだよ。
ユミルは、自身のレベルを1、魔力量を1500くらいだと思っているけど、実際は全く違う。先代長にまとわりついていた黒き怨念も魔物も一種、アレを大量討伐したのだから、レベルが1のはずがない。それを悟られないよう、長は彼女のステータス内容を改竄している。
伝統魔法の効果を示す説明欄にしても、神様は魔法規模がどの程度かを具体的に記載せずぼかしている。ユミルはその事に気づく事なく、伝統魔法を使い続けているけど、今の年齢で自身の力の真実を知ってしまうと、その力に驚き、魔法自体を暴走させてしまう恐れがあるし、場合によっては性格だって悪い方向へ変化するかもしれない。
そうさせないための長と神様による措置だろう。
僕が長にその日起きた出来事を教えていき、経験を重ねさせることで、ほんの少しずつ改竄した数値を上げ、枷を外していくことで、力を上げ過ぎないよう制御させている。
そして、今回のように怒りで力を周囲に放出させた場合は、僕が周囲を反射シールドで覆い、皆にわからせないようにする。
それが僕の役割だ。
ステータス欄の魔法規模と効果をぼかすことにより、ユミルの心掛け次第で、その威力と効果が大きく変化する。
さっきは、《来訪神でも、ゴーストの中にある怨恨だけを無にする事は困難》と言ったけど、本当はユミルの心掛け次第で実現可能なんだよ。伝統魔法には、それだけの可能性が秘めていることを、彼女に知ってもらいたい。
ここで撤退する予定だけど、どうやらユミルは激怒りの状態だ。僕が無理矢理連れて行っても構わないけど、彼女の可能性をこの場で見たい欲求もある。
ここは、とりあえず様子見でいこう。
危険に陥ったら、即撤退だ。
「幼児に殺気を向けるな!」
うわあ~、そこを指摘するんだ~。
怨恨に塗れた死者の魂は、生者全てを敵と認識する。
そこに、身分や年齢は関係ないのに。
それは、ユミルもわかっているはず。
わかっていても、怒りが収まらないんだね。
ゴーストたちもユミルの神気に触れた影響で動けないでいる。
「悪い怨恨はいねが~悪い怨恨はお前らだ~~~お仕置き~~~」
ユミルから教わった日本伝統だと、そこは『悪い子供はいねが~』だったはず、子供を怨恨に変化させたのね。
「今から、悪い怨恨に天誅を下します! オラオラオラオラ」
鬼の仮面を被ったユミルが反射を切って、動けなくなったゴーストの眉間に容赦なく包丁を次々と刺していく。黒い影と化しているからグロい状況に陥ってないけど、壮絶な光景だ。
これじゃあ、どっちが悪者なのかわからないよ。
僕はゴーストたちを敷地外から出さないよう、敷地全体に反射シールドをしっかりと保持しておこう。眉間を刺されたゴースト共は悲鳴を上げ、次々と空へと逃げていく。
でも残念、僕のシールドは空や地下にも張っているのさ。
逃げられないと悟り、標的を僕に変更し、かなりの速度でこっちに向かってくるけど、ゴーストの漆黒が少しずつ薄くなっていくのを確認する。それに伴い、自我を取り戻しつつあるのか、動きを止める。
ユミルは怒りつつも、目的をしっかりと覚えているようだ。そういえば、《怨恨を始末する》と言ってたよね。彼女は理解して動いているのか、無傷のゴースト共を次々と襲撃していく。
「お前らの真っ黒な怨恨、私によこせ~~~」
謎の攻撃が怖いのか、奴らは悲鳴をあげて散開していく。
「逃がさない!」
全員が屋敷に逃げ込もうとしたので、ユミルはすかさず反射を使い、奴らの逃げようとする力のベクトルをこっちに反射させると、あら不思議、逃げ惑うゴースト共は彼女の方へと寄ってくる。
理性が少し残っているのか、ゴースト共が自身の動きに戸惑いを感じたまま、やけくそになって、身体をよこせと集団でユミルへと迫る。
「お前らは、連携もとれないのか!」
ゴーストたちは群れてこそいるけど、連携をとる事なく襲ってくるから、動きも読みやすい。だから、ユミルは反射で奴らの動きを止めて、自ら突進して漆黒の身体の眉間らしき箇所に刺し、次のターゲットを見つけては刺していく。
人の形をしているだけの魔物と思えばいいわけで、彼女は何の躊躇いもなく攻撃し、無我夢中で襲撃を繰り返していくと、包丁で刺されたゴーストたちは僕の後方へと集まり、無傷のゴーストたちは空中へと逃げていく。
「こら~~降りてこい~~」
来訪神、超高性能な伝統魔法だ。
さあ、空中にいる奴らに、どう行動する?
「降りてこないのなら…引き摺り下ろしてくれるわ~~」
ユミル、まじで怖いんですけど?
反射の力を応用して、包丁を空中へと投げていってる!
「あははは、スキルで重力を反転させて、振り上げる包丁で生じる気流を上昇させる力へと変化させれば、こんな事もできるんだからね~~」
重力を反転だって!?
そんなこと教えてもいないのに、自分で実行するとは。
来訪神の包丁って1つだけかと思ったけど、ユミルが空中へ投げた途端、すぐに次の包丁が右手に現れて、次々と空へと放出されていく。
気づけば、全てのゴーストが僕の後方へと集まっており、僕に助けを求める事態に陥っている。
ユミル、君は毎回僕たちを驚かせてくれるね。
そろそろ、怒りを鎮めてもらおうかな。
ユミルの言う通り、ここのゴーストたちは怨恨に染まり漆黒状態、皆が身体の何処かを欠落させている。
『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』『よこせ』
ゴーストたちの言葉も、《身体をよこせ》とそればかり訴えてくる。何者かに殺害されたのは明白だけど、怨恨による魂の汚染度が酷すぎる。普通殺されたとしても、残された家族への悲しみや未練から、多少の良心は残るもの。
ここのゴーストたちには、それが全くない。全てを怨恨に染めた連中は、自我がないに等しいのに、何故か群れている。
もしかして、こいつらをまとめる奴が、何処かに潜んでいる? 仮説が当たっていたら、厄介なことになる。
幸い、ユミルとは敷地前で話し合い、もしゴーストとの会談が不可能と判断した場合、来訪神となって奴等を怯ませてから、その場から撤退する手筈となっている。
ゴーストたちも侯爵家の騎士たちとここで交戦して、彼らの撤退を許しているし、敷地外で何の騒動も起きていないのだから、僕らを追ってくる事もないだろう。
ここは素直に諦めて撤退……
「よこせよこせとうるさ~~い」
え…ユミル?
「来たれ、来訪神!」
ユミルが鬼の仮面を被る。
その瞬間、ゴーストたちの動きが止まる。
アイリスを守るために創造された来訪神と呼ばれる仮面、それを被った瞬間、彼女から神気が放たれる。
この姿を直で見るのは、2度目だ。
君は気づいてないだろうけど、その魔法は常軌を逸している。
一時的にしても、人の中に神の力が宿るのだから。
この世界の神様が、その力をユミルの魔力量とレベルに依存するよう調整してくれた事で、現在も扱えていることを長から聞いているけど……そのレベルと魔力量が問題なんだよ。
ユミルは、自身のレベルを1、魔力量を1500くらいだと思っているけど、実際は全く違う。先代長にまとわりついていた黒き怨念も魔物も一種、アレを大量討伐したのだから、レベルが1のはずがない。それを悟られないよう、長は彼女のステータス内容を改竄している。
伝統魔法の効果を示す説明欄にしても、神様は魔法規模がどの程度かを具体的に記載せずぼかしている。ユミルはその事に気づく事なく、伝統魔法を使い続けているけど、今の年齢で自身の力の真実を知ってしまうと、その力に驚き、魔法自体を暴走させてしまう恐れがあるし、場合によっては性格だって悪い方向へ変化するかもしれない。
そうさせないための長と神様による措置だろう。
僕が長にその日起きた出来事を教えていき、経験を重ねさせることで、ほんの少しずつ改竄した数値を上げ、枷を外していくことで、力を上げ過ぎないよう制御させている。
そして、今回のように怒りで力を周囲に放出させた場合は、僕が周囲を反射シールドで覆い、皆にわからせないようにする。
それが僕の役割だ。
ステータス欄の魔法規模と効果をぼかすことにより、ユミルの心掛け次第で、その威力と効果が大きく変化する。
さっきは、《来訪神でも、ゴーストの中にある怨恨だけを無にする事は困難》と言ったけど、本当はユミルの心掛け次第で実現可能なんだよ。伝統魔法には、それだけの可能性が秘めていることを、彼女に知ってもらいたい。
ここで撤退する予定だけど、どうやらユミルは激怒りの状態だ。僕が無理矢理連れて行っても構わないけど、彼女の可能性をこの場で見たい欲求もある。
ここは、とりあえず様子見でいこう。
危険に陥ったら、即撤退だ。
「幼児に殺気を向けるな!」
うわあ~、そこを指摘するんだ~。
怨恨に塗れた死者の魂は、生者全てを敵と認識する。
そこに、身分や年齢は関係ないのに。
それは、ユミルもわかっているはず。
わかっていても、怒りが収まらないんだね。
ゴーストたちもユミルの神気に触れた影響で動けないでいる。
「悪い怨恨はいねが~悪い怨恨はお前らだ~~~お仕置き~~~」
ユミルから教わった日本伝統だと、そこは『悪い子供はいねが~』だったはず、子供を怨恨に変化させたのね。
「今から、悪い怨恨に天誅を下します! オラオラオラオラ」
鬼の仮面を被ったユミルが反射を切って、動けなくなったゴーストの眉間に容赦なく包丁を次々と刺していく。黒い影と化しているからグロい状況に陥ってないけど、壮絶な光景だ。
これじゃあ、どっちが悪者なのかわからないよ。
僕はゴーストたちを敷地外から出さないよう、敷地全体に反射シールドをしっかりと保持しておこう。眉間を刺されたゴースト共は悲鳴を上げ、次々と空へと逃げていく。
でも残念、僕のシールドは空や地下にも張っているのさ。
逃げられないと悟り、標的を僕に変更し、かなりの速度でこっちに向かってくるけど、ゴーストの漆黒が少しずつ薄くなっていくのを確認する。それに伴い、自我を取り戻しつつあるのか、動きを止める。
ユミルは怒りつつも、目的をしっかりと覚えているようだ。そういえば、《怨恨を始末する》と言ってたよね。彼女は理解して動いているのか、無傷のゴースト共を次々と襲撃していく。
「お前らの真っ黒な怨恨、私によこせ~~~」
謎の攻撃が怖いのか、奴らは悲鳴をあげて散開していく。
「逃がさない!」
全員が屋敷に逃げ込もうとしたので、ユミルはすかさず反射を使い、奴らの逃げようとする力のベクトルをこっちに反射させると、あら不思議、逃げ惑うゴースト共は彼女の方へと寄ってくる。
理性が少し残っているのか、ゴースト共が自身の動きに戸惑いを感じたまま、やけくそになって、身体をよこせと集団でユミルへと迫る。
「お前らは、連携もとれないのか!」
ゴーストたちは群れてこそいるけど、連携をとる事なく襲ってくるから、動きも読みやすい。だから、ユミルは反射で奴らの動きを止めて、自ら突進して漆黒の身体の眉間らしき箇所に刺し、次のターゲットを見つけては刺していく。
人の形をしているだけの魔物と思えばいいわけで、彼女は何の躊躇いもなく攻撃し、無我夢中で襲撃を繰り返していくと、包丁で刺されたゴーストたちは僕の後方へと集まり、無傷のゴーストたちは空中へと逃げていく。
「こら~~降りてこい~~」
来訪神、超高性能な伝統魔法だ。
さあ、空中にいる奴らに、どう行動する?
「降りてこないのなら…引き摺り下ろしてくれるわ~~」
ユミル、まじで怖いんですけど?
反射の力を応用して、包丁を空中へと投げていってる!
「あははは、スキルで重力を反転させて、振り上げる包丁で生じる気流を上昇させる力へと変化させれば、こんな事もできるんだからね~~」
重力を反転だって!?
そんなこと教えてもいないのに、自分で実行するとは。
来訪神の包丁って1つだけかと思ったけど、ユミルが空中へ投げた途端、すぐに次の包丁が右手に現れて、次々と空へと放出されていく。
気づけば、全てのゴーストが僕の後方へと集まっており、僕に助けを求める事態に陥っている。
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