転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

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本編

4話 家族との別れ[*]

伯父への恨みはあるけど、私は家族の願いを尊重する。

「大丈夫だよ。私も、伯父さんのことが大っ嫌いだから戻りたくない。今の私には、精霊カーバンクルのトーイがいる。力の扱い方をトーイに学んで、一人で生きていく!! 復讐には走らない!! 約束する!!」

私の宣言を聞いたお兄様は、私の背中をポンっと叩く。

「ユミル、逞しくなったな。前世の記憶を取り戻した人たちって年齢に関係なく、精神が逞しくなると学園で習ったけど、真実なんだな。4歳とは思えないよ」

そうだ!! 
せっかくだから、私の前世のことも少しだけ話そう!!
年齢を知ったら、絶対安心してくれる!!

「ふふふ、お兄様、私は前世で25歳まで生きていたんだよ」
「「25歳!?」」「25!? 僕よりも、ずっと歳上!?」

お父さんから少し離れて、胸を張って言った。3人とも私の年齢を聞いて、かなり驚いているけど、すぐに優しげで慈愛に満ちた微笑みを私に向ける。

「そうか。25歳の精神なら、私としても安心して逝けるな」

「ふふ、そうね。精霊様もついているし、私も安心して逝けるわ。なんだか、これでお別れとは思えないわね」

「僕も、なんだか急に安心感が芽生えてきた。でもさユミル、周囲にいる奴らを無闇に信じるな、疑え。お前は4歳なんだから、誘拐される危険性もある。まずは、自衛手段を身に付けるんだ」

お兄ちゃんからの真面目な忠告、これはきちんと聞き入れないといけない。

「うん、わかった。精霊カーバンクルの能力は反射なんだって。それを習得できれば、相手に触れられないようにできるよ」

これは、家族を安心させるための嘘だ。トーイとは一時的な契約だから、いずれ使えなくなる。私が悲しみの感情からようやく抜け出すと、突然那須と胡瓜の精霊馬と亡骸の馬2頭が輝き出す。馬の魂が身体から出てきて、那須と胡瓜に入っていくと、二つの光が一つに合わさり、光が収まると、2頭のユニコーンを繋いだ豪華な1台の荷馬車へと変化しており、扉が勝手に開く。その光景を見た私たちは、固まってしまう。

「あのヘンテコな那須と胡瓜の精霊馬が、こんな劇的な変身を遂げるとはね。時間切れだよ、ユミル。3人に、お別れの言葉を」

トーイ、もうお別れの時間なの? 

確か精霊馬が出現したら、3分以内に乗れって書いていた。それに乗り遅れると、儀式が失敗する。この儀式は10日に1度しか行使できないから、絶対に乗ってもらわないといけない。

「お父さん、お母さん、お兄ちゃん。私は復讐に走らず、自分の好きなように悠々自適に暮らしていくから心配しないでね。さあ、あの馬車に乗って!!」

「もうお別れの時間か…ユミル、お父さんたちは天国からいつでも見守っている。それを忘れるな」

「お父さんの言う通りよ。私たちは、あなたを愛しているわ」

「当然、僕もさ。こうして魂が成仏できるのだから、僕たちの亡骸なんて気にせず、ここを去るんだ」

みんなが、私に激励の言葉を贈ってくれる。前世のお父さんたちも、こう思っていたのかな? 今はもうわからないけれど、今世の両親に心配をかけたくないから、私はこの世界で楽しく生き抜いていくためにも、笑顔で3人を見送ろう。

「うん!! 私、頑張って生きていくね!!」

3人が笑顔で荷馬車に乗ると、扉が閉じられ、荷馬車全体が輝き出し、ふわっと動き出す。すると、鏡が強く輝きだし、光の道が現れ、天上へと伸びていくと、ある地点から螺旋を描くよう徐々に下ってきて、地上の荷馬車へと到達する。

その時、馬車の残骸付近からドス黒い何かが無数に出現し、それらの先が手となって、ユニコーンの荷馬車へと向かっていく。

「トーイ、あれってなに!?」
「人の悪意や憎悪が、具現化したものだよ。どうやら犯人は、君たち家族を相当憎んでいるようだね」

私の方にも向かってきたけど、トーイのシールドに触れると弾かれ消滅する。荷馬車に向かった無数の手も触れることなく、途中で消滅していく。あの画面に記載されていた通り、どんな悪意にも妨げられることがないんだ。

「あ、荷馬車が動く。お父様~お母様~お兄様~~、天国に行っても、私を見守っていてね~~~」

私が両手を空いっぱいに振り上げると、3人が手を振り返してくれた。荷馬車が空高く舞い上がると、そこから一気に急降下し、どんどん小さくなり手鏡の中へ入っていった。亡骸の光も消失し、周囲は薄暗いものへと変化していく。

「これで儀式は終了だ。荷物に関しては不審に思われないよう、全部置いていく。さあ、憎悪の追手が届かないカーバンクルの聖域へ行くよ」

馬車に向っていた無数の黒い手が、標的を失ったことで、一斉に私の方を向く。

「聖域!?」

「あれは、かなり達が悪い憎しみだ。反射があるとはいえ、どこまでも追ってくる。君を聖域に入れて、あの悪意から君の存在を感知出来ないようにする」

「行っていいの?」
「勿論さ。君は、僕たちにとっての救世主かもしれないからね」
「へ?」
「詳しい理由は、到着してから話す。さあ、行くよ‼︎」

話し合っている間にも、手の数がどんどん増えてきて、私に狙いを定めている。もう、考えている時間もない。ここにいつまでもいたら、危険だ。

「わかった、行こう‼︎」

お父様、お母様、お兄様。
私-ユミルは平民として、今から一人で生きていくね。
さよなら!!

私とトーイが駆け出すと、無数の手が一斉に追いかけてきた。

「ユミル、細かいことは省くけど、君自身があの黒い手を受け入れない限り、あれらは僕たちに対して絶対に手出しできない。だから、怖がらず、気にせず、全力で僕についてくるんだ」

「あんな気持ち悪いもの、受け入れないよ!!」

反射のシールドにバシバシと弾かれるも、諦めることなく、私目掛けて追ってくる無数の黒い手、トーイを見失わないよう、目的地まで全力で走ろう。

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