婚約破棄を卒論に組み込んだら悪魔に魅入られてしまい国から追放されました

犬社護

文字の大きさ
9 / 36
第一章 不遇からの脱出

九話 選別試験終了

しおりを挟む
……パズルが浮いた!! 
 
 再度バラされてから、私の手元に戻ってくる。

 キューブを驚愕させるほどの結果をお見舞いしてやる。
 負けてたまるか…必ず生還する‼︎

 全部品が何処に配置されているのかを細かく分析していく。さっきの時間で、なんとか私なりの対策を立てることができた。ここからは時間との戦い、一気に組み上げていく‼︎ この三十分の段階で、床から出てくる湯の量が、かなり上昇している。多分、通常であれば、私の膝上ぐらいには到達していると思う。台座のおかげで、まだ余裕がある今のうちに完成させてやる‼︎

○○○

……苦労の末、パズルを完成させた瞬間、パズルが勝手に浮き上がり、そのままスッと消えていったけど、肝心のシールドが消えてくれない。

 間違いなく四十五分以内に終えているのに、何故? 
 やはり、弄ばれただけ?
 私たちの力では、キューブに太刀打ちできないわ。
 ここで生涯を終えてしまうの?

 いや……諦めたらだめ‼︎
 諦めたら、そこで私の寿命も尽きる。

 試験が終わり、キューブが再び語り出したら、なんとしてでも帰還方法を吐かせてやる。

「私は終わったけど、皆の調子はどうかな?」

 ……あれ、返事がない。そういえば、さっきから皆の声が聞こえないわ。

「みんな~~私の声が聞こえているかな~~」

 返事がない。ザアア~という流れ出る湯も聞こえてくる。
 まさか、全員が終えるまで、全部解除されないってこと?
 しかも、終えた人の声だけが周囲に聞こえないってこと?

……やられた!!

 これじゃあ最低でも九十分経過しないと、このシールドも解除されないだろうし、声が聞こえない以上、こちらからは何も出来ない!!

「う…」

 気が抜けたせいか、立ち眩みが……本調子でない状態で初めて魔法を行使しながらパズルを全力で解いたから、風邪を拗らせた? まずい…もう湯量が台座付近まで到達しているし、こんな状態で気絶したら、最悪溺死するわ。魔力の放出に関してはやり続けないと、脱水症状を起こしてしまうし、かなり危うい状況ね。

「シールドを背もたれにすれば、なんとかなる…かな?」

 みんな、私の魔力が尽きないうちに終わらせてよ。


……しばらくの間、身体をシールドに預けていたのだけど、湯の方は私の膝下付近にまで到達している。これって普通に立っていれば、私の首付近よね? みんな、大丈夫なのかな?

 考え事をしていると、急に背中に伝わる固い感触が無くなり、私はバランスを崩す。全身が湯に浸かると思ったら、何故かあれだけあった大量の湯が消失しており、私は背中を地面にぶつけてしまう。

「痛!! あれ? あの大量の湯はどこにいったのよ?」

 シールドも湯も消えたのだから、全員が終わらせたってこと?
 それに、室内温度が急速に冷えていくのを肌で感じる。

 皆の方を見ると、ミルフィア様は軽く汗をかいている程度ね。クリス様と兄は疲労困憊で汗だくとなっているけど、服自体は湯で濡れているような形跡がない。多分、魔法でシールドのようなものを形成させることで、湯の侵入を阻んだのね。でも、気温だけは下げきれなかったから、蒸し暑い状況の中、パズルを組んでいったってところか。

 三人の中でも余力を残しているミルフィア様が焦った顔で、こちらへ慌てて駆け寄ってくる。  

「ティアナ様、大丈夫ですか? え…濡れているのは、膝下だけ? 汗だってあまり出ていませんね。あ…身体が凄く熱いじゃないですか‼︎」

 そっか、目覚めたばかりの私では魔法を行使できないと思われていたから、ミルフィア様は驚いているのね。

「緊張感のせいもあって、風邪がぶり返したようです。あと、台座の上でパズルを組み上げたことで、濡れるのを極力防ぎました」

「え…でも、膝から上の部分が一切濡れてませんよ? これだけ高温多湿なら、普通全身汗だくなのに…どうして…」

 その声が届いたのか、クリス様がこちらへ駆けてくる。
 兄だけは、私たちと少し距離をとっている。

「自分の魔力を《低音の水蒸気》と《冷風》へと変換させて、その後周囲に対流させることで、気温と湿度を大幅に低下させたんです」

 湯気に関しては、低音の水蒸気を低地に留めれば、ある程度防ぐこともできる。そうして快適な空間を作り出したことを伝えると、皆が私を凝視したまま固まる。

「目覚めたばかりなのに、複数の属性を同時に行使させるなんて…それにその方法なら魔力消費も最小限に抑えられる…ここにいる誰よりも、魔力の制御能力が高いです。やっぱり、ティアナ様は王族を血をひいています」

 学園一の才女と呼ばれるミルフィア様に言われたことで、自分の行使したことが凄いことだと実感してきたわ。

「ティアナ様、お疲れ様です。ご助言もあって、全員が九十分以内にパズルを完成させましたから、私たちは帰還できますよ‼︎」

 クリス様が満面な笑みを浮かべ、私を褒めてくれたよ。
 普段、褒められないこともあって、少しくすぐったいわね。

【これにて、選別試験を終了とする。お前たちは、本当におめでたい連中だ。何を根拠に、全員が九十分以内にパズルを組み上げたと思っている? 腕時計で、現在時刻を確認してみろ】

 腕時計と言われても、私は寝込んでいたこともあり身に付けていない。
 三人が慌てて、自分の腕時計を見て時刻を確認すると…

「何だと!? 試験開始から二時間近く経過してるぞ‼︎ クリスの時計は?」
「あ、私の時計も同じもです。まさか…」

 あの悪魔~~~やってくれるじゃない‼︎
 
【何か言いたいようだが、皆がパズルを完成させたから、我はシールドを解除しただけだ。何か、文句があるのか?】

 九十分以内に完成させろとは言ったけど、制限時間を超えたらシールドを解除するとは一言も言ってない。さっきまで明るかった皆の顔色が、どんどん悪くなっていく。特に、兄とクリス様の顔色が異様に悪い。

 ルールに則れば、私たち全員が確実に元の世界へ帰還できる。
 だって、私のクリアタイムは間違いなく四十五分を切っているのだから。

 でも、ここがキューブの中である以上、私の口からは言えない。あのキューブのことだから、気が変わって私たちに絶望を味合わせると言いかねないもの。

【只今より順位を発表する。ククククク、これは面白い結果だ】

 引き伸ばしはいらないから、早く結果を言いなさい。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

落ちこぼれの【無属性】魔術師、実は属性そのものを定義する「概念魔法」の創始者だった

風船色
ファンタジー
「魔法とは才能(血筋)ではなく、記述されるべき論理(ロジック)である」 王立魔導学院で「万年最下位」の烙印を押された少年、アリスティア・レイロード。属性至上主義のこの世界で、火すら出せない彼は「無属性のゴミ」と蔑まれ、ついに卒業試験で不合格となり国外追放を言い渡される。 しかし、彼を嘲笑う者たちは知らなかった。アリスティアが、既存の属性魔法など比較にならないほど高次の真理――世界の現象を数式として捉え、前提条件から書き換える『概念魔法(コンセプト・マジック)』の使い手であることを。 追放の道中、彼は石ころに「硬度:無限」の概念を付与し、デコピン一つで武装集団を粉砕。呪われた最果ての森を「快適な居住空間」へと再定義し、封印されていた銀嶺竜の少女・ルナを助手にして、悠々自適な研究生活をスタートさせる。 一方、彼を捨てた王国は、属性魔法が通用しない未知の兵器を操る帝国の侵攻に直面していた。「助けてくれ」と膝をつくかつての同級生や国王たちに対し、アリスティアは冷淡に告げる。 「君たちの誇りは、僕の昼寝より価値があるのか?」 これは、感情に流されない徹底した合理主義者が、己の知的好奇心のために世界の理を再構築していく、痛快な魔導ファンタジー。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

処理中です...