婚約破棄を卒論に組み込んだら悪魔に魅入られてしまい国から追放されました

犬社護

文字の大きさ
30 / 36
第二章 波乱の魔導具品評会

三十話 事件の顛末 

しおりを挟む
 魔導具の暴走事故、その衝撃は凄まじいもので、あの火柱は王都全土で観測される。大火傷を負った兄とベイツ様は、すぐさま病院に連行され、品評会自体は中止という前代未聞の結末となる。

 翌日の新聞には、空魔石の応用性と危険性が取り沙汰され、使用には注意が必要と記載され、おそらく今回の事件は王都どころか他国にまで広がるでしょうね。去年の中等部メンバーにとって、かなり不利になる内容と思われがちだけど、二人の先輩方はこの程度で絶対にめげない。むしろ、危険性を他国にまで知られたことで、今後世界中の研究者たちは、細心の注意を払い、空魔石の研究を続けていくことになる。

 私はというと、魔導具事故の事故調査委員会に抜擢されてしまう。去年と今年の件で、私の魔導具に関する知識と技術は専門職並みにあると証明された証拠ね。これまで欠陥品と言われてきたけど、私の存在が着実に認められつつある。

 今回自分で設計したものだから、暴発事故の原因に関しては大凡わかっているものの、事故直後にそれを口にすれば、絶対に怪しまれる。また、その場で兄のこれまでの監視映像を見せれば、すぐさま事情も把握され、事件解決となるのだけど、プライズの力を公表できない以上、ここは通常の調査方法で解析を進めることにした。

 調査解析対象となる肝心の二つの魔導具が木っ端微塵となっており、私たちは高等部のクラブメンバーから魔導具の設計図と製作方法を教えてもらいながら、それらだけで調査を進めていき、解明に至るまでの道中、私が少しずつ正解へ導けるよう誘導しながら、原因は空魔石の同調方法が不完全であることを指摘し、その歪みとダメージの肩代わり分が魔石に少しずつ蓄えられたことで、初級魔法約十数発分の大爆発を引き起こしたと結論付けることとなった。

 そして事故調査委員会の調査も終了し解散となる頃には、暴走事故から五日が経過していた。兄とベルツ様の意識は不明であるものの、回復魔法の使い手が事故後すぐさま招集され、四六時中魔法を行使されたこともあり、大火傷に関してはほぼ完治している。私とアデリーヌが水魔法による消化作業を行ったこと、この応急処置が二人の命を救ったとされており、私たちの評価が学園内だけでなく、今では王都中において際限なく高まっている。

○○○

 調査委員会も解散されたことで、私とルミネは父から招集を受ける。国王の執務室には、父と母がソファーに隣同士で座っており、私たちの到着を待っていた。話し合いの準備が整ったところで、父が口を開く。

「ティアナ、ウィンドルが目を覚ました」

 その一言で、私たちはほっと胸を撫で下ろすものの、父は衝撃の一言をつける。

「起きて早々……『くそ、全てティアナのせいだ』と呟いたそうだ。すぐ近くに看護師がいたことに気づき、そのまま医師や看護師に問い詰められても、ずっと口を閉ざしたままらしい」

 あの男、命の恩人に対して、何を言っているのかしら?
 父と母には、兄の監視映像を見せているため、全ての事情を把握している。

《設計図の盗難》《魔導金庫の盗難》《私の誘拐》

 これらは私の都合で、全て表に出ていない。
 全ての状況を把握しているからこそ、兄の行く末を妹に委ねようとしているのかもしれない。

「はあ~~~」

 兄の態度を聞き、私は不敬承知で盛大な溜息を吐く。

「あの事故の原因も私のせいにするとは……お仕置き確定ですね。お父様、お母様、私の卒論で発表しても構いませんよね?」

 二人共、かなり悩んでいるわね。
 兄の件を卒論で明るみにするということは、私のプライズも各国に知られることになる。せっかく各諸侯を納得させたところに、また兄と私が問題を起こそうとしているのだから、そういった顔をするのもわかるわ。

「キューブの件が知られることになるが……仕方あるまい」
 
 おお、父は納得してくれたわ。

「このまま放置すると、後々今以上のことが起こりそうね。あの子が反省しないのならやむなしです」

 二人とも苦渋の表情に満ちているものの、このままでは兄の王位継承すら危ういと踏んだのか、卒論発表の場で兄の監視映像を流すことを承諾してくれたわ。

 当然、事前に各諸侯たちに、卒論の場で私のプライズを明かすことを納得させないといけないけど、これに関しては私なりの考えがある。後で説明して、両親に納得してもらいましょう。

「ただし、レインブルク公爵家の許可を得てからだ。私と王妃が公爵と奥方を説得しよう。ティアナはミルフィアを必ず説得しなさい」

 そう、私の卒論のタイトルには、《婚約破棄》が含まれている以上、レインブルク家の承諾が必要不可欠、必ず説得してみせるわ。

「無論です。この件は、ミルフィア様の許可が必要不可欠ですもの。二人の関係がどうなるかは、お兄様の態度次第ですわ」

 ただ、卒論発表後でもああいった態度を示すのであれば、兄の王位継承を剥奪して臣籍降下してもらうことになる。でも、それは最悪の手段、兄が更生する場合もありうるから、もう一度監視映像を全て見直して、兄の心境を知る必要があるわ。発表まで残り三週間ほど、まだ時間がある。

 私の手で、兄の将来を潰したくない。
 急いで、兄の更生手段を考えないといけないわ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

落ちこぼれの【無属性】魔術師、実は属性そのものを定義する「概念魔法」の創始者だった

風船色
ファンタジー
「魔法とは才能(血筋)ではなく、記述されるべき論理(ロジック)である」 王立魔導学院で「万年最下位」の烙印を押された少年、アリスティア・レイロード。属性至上主義のこの世界で、火すら出せない彼は「無属性のゴミ」と蔑まれ、ついに卒業試験で不合格となり国外追放を言い渡される。 しかし、彼を嘲笑う者たちは知らなかった。アリスティアが、既存の属性魔法など比較にならないほど高次の真理――世界の現象を数式として捉え、前提条件から書き換える『概念魔法(コンセプト・マジック)』の使い手であることを。 追放の道中、彼は石ころに「硬度:無限」の概念を付与し、デコピン一つで武装集団を粉砕。呪われた最果ての森を「快適な居住空間」へと再定義し、封印されていた銀嶺竜の少女・ルナを助手にして、悠々自適な研究生活をスタートさせる。 一方、彼を捨てた王国は、属性魔法が通用しない未知の兵器を操る帝国の侵攻に直面していた。「助けてくれ」と膝をつくかつての同級生や国王たちに対し、アリスティアは冷淡に告げる。 「君たちの誇りは、僕の昼寝より価値があるのか?」 これは、感情に流されない徹底した合理主義者が、己の知的好奇心のために世界の理を再構築していく、痛快な魔導ファンタジー。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

処理中です...