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12話 カード戦士、聖獣フィリアナの一端を知る
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使役カードがフィリアナの中に入り、数分程経過したところで、彼女を覆う淡く緑の光が次第に消失していく。
一メートル程浮いていた彼女の身体も、少しずつ大地へと落ちていく。完全に地面へ到着した瞬間、光は消え失せ、フィリアナの小さな身体がピクッと動き出す。
「本当に蘇生できたのか? 後遺症を残していないだろうか?」
彼女の目がゆっくりと開け、小さな身体がムクッと起き上がる。
『フィックス、大丈夫。使役カードの効果は絶大のようです。娘の体力は完全に回復し、何の後遺症もありません』
良かった~フリーゼ様がそう言うのなら問題なさそうだ。
「ここは……あ……其方が母上の言っていたフィックスという男か?」
生き返ったせいか、フィリアナの毛並みから艶が現れており、何処か光っているように見える。この姿なら、俺でも一目で聖獣と判断できる。
「ああ、そうだよ。その……すまない。もう聞いていると思うけど、蘇生の代償として、君を俺の従魔にしてしまった」
こういうことは、先に言ったほうがいい。俺の言葉に反応してか、彼女がゆっくりと足元へ近づいてきて、俺の匂いを嗅いでいるのか、鼻がピクピクと動いている。白く気品ある尻尾もふりふりと振っており、今すぐもふりたい衝動に駆られてしまう。
「ふむ、母上の言う通りじゃ。お主からは、あやつらのような邪な匂いを感じん。御主が、妾のご主人様になったのか……うん、悪くない」
今、俺の心はあなたをもふりたい衝動でいっぱいなんだが?
これって邪な思いに入らないの?
「あはは…喜んでくれて嬉しいよ。俺はフィックス、これから宜しく」
俺の顔は、きちんと笑顔になっているかな?
ヒクついてないといいのだけど。
「妾は聖獣パピヨン種フィリアナ、宜しく頼むのじゃ!」
聖獣だからか、顔を見ても喜んでいるのかわからないが、尻尾や耳を見ればブンブン振ってくれているので、本当に喜んでくれているようだ。
『フィリアナ、その姿では背丈の差がありすぎ不便でしょう。これから王都へ向かう以上、獣人形態に変化しておきなさい』
フィリアナは、《聖獣》と《獣人》の両方に変身できるのか。
「わかったのじゃ」
一人称は《妾》だけど、母親には勝てないようだ。彼女の身体が少し光ったと思ったら、形態がどんどん《獣人》へと変化していく。
これが、獣人化か。
光が収まると、そこに佇んでいたのは先程の小さな《獣》ではなく、可愛い獣人の女の子だった。年齢は十三歳くらいか? 長い銀髪、少し吊り上がった目と眉、喋り方と顔が見事に一致している。服装は、やや地味なショートパンツと半袖のブラウスだ。
「聖獣とバレたら、あの女のような輩が集まってくる。フィックスの寝ぐらは、王都にあるんじゃろ?」
あの女、おそらく俺が先程出会ったマリエルのことだろう。
「ああ、そうだよ」
「王都に滞在する以上、こっちの姿で生活する」
俺としても助かるよ。
街中で聖獣状態だと、絶対目立つ。
『フィックス、貴重なカードを使ってまでフィリアナを蘇生させたことに感謝します。その御礼として、私の加護を授けましょう。この加護があれば、あなたの身体能力と魔力量も大幅に向上し、《光属性》と《状態異常耐性》スキルを取得できます。まずは弱い魔物や魔獣と戦い、身体の状態に慣れておきなさい』
光属性を取得だって!
それは、非常に嬉しい行為だ。
光属性の攻撃魔法はかなり強力と聞いているから、早速覚えてみよう!
「フリーゼ様、ありがとうございます!」
剣術や身体強化スキルのない俺にとって、この行為はマジで嬉しい!
『フィリアナ、これからも頑張りなさい。王都での生活が落ち着いたら、故郷に顔を出してね。皆が、あなたの帰還を待っていますよ』
彼女の故郷、やはり聖獣達だけが住んでいるのだろうか?
俺も、いつか行ってみたいものだ。
「絶対、帰還するのじゃ。フィックスの従魔となった以上、ずっと居続けることはできなくとも、妾も母上や仲間達と会いたい!」
フィリアナの言葉の節々から、何か特殊な事情が絡んでいるのだろうけど、今尋ねるべきじゃないのは、俺でもわかる。彼女のステータスを見れば、何かわかるかもしれない。後で、確認してみよう。
『フィックス、事情に関しては後でフィリアナに聞くといいでしょう。あなたとフィリアナが訪れる日を待っていますね』
フリーゼ様の声が聞こえなくなった途端、周囲の気配が伝わってくる。
当然だけど、ここは森の中だ。
まだ、騒動も鎮静化していないだろう。
「フィリアナ、魔力暴走による大火事が発生して、今学生達が色々と動いてくれているはずなんだ。大火事を鎮火可能な魔法を持っているか?」
この騒動を見過ごしたまま、王都へ帰還できない。今の俺に対処すべき手段は持ち合わせていないが、フィリアナなら何か打開できる魔法を所持しているかもしれない。
「ぬ、火事か。それなら魔法《ミストフォッグ》がいいじゃろう。あれは聖属性じゃが、術者のイメージ次第で、聖属性を帯びた水蒸気の霧を広範囲に行き渡せることもできるし、湿度を向上させることで火の勢いを抑えることも可能となる。後は、そこにおる者達に任せるといい。それに、妾は回復特化型の職業を持っておるから、この魔法で木そのものを癒す効果もある」
「聖魔法、便利すぎだろ?」
聖魔法は、光の上位属性。
《光》に適正を持つ人族は少なく、その上の《聖》となると、世界中を探しても極少数しかいないと言われている。そのため、《光属性》を持つ人は、必ず各国の王都にある学園へと進学し教養を教えられる。入学金や学費も免除されるし、その家族には支援金が給付されるため、選ばれた平民達はこの好待遇を喜んでいる。それが女性ならば、聖女候補となる。
フィリアナは聖獣なのだから、聖魔法を扱えて当然か。おまけに、回復特化型の職業を持っているのなら、聖女以上の存在かもしれない。
「何を言っておる! 妾から見れば、フィックスの力の方が異常じゃぞ? 死者を復活させる魔法は、何処の国々でも秘匿扱いされていて、スキルも魔法も公式で公開されておらん。まして、御主のような若い男が、それを何の代償もなく行使できるのはおかしいぞ」
俺自身、針・うんち・使役・ふっとべカードの効果を実体験と紙面で確認しているけど、全てが俺の知る魔法体系と大きく異なる効果を持っている。全て代償がない代わりに、今後入手不可の可能性が高い。
ある意味、それが【代償】かもしれない。
だけど……全て女神様の力だけで片付けるのもおかしいよな?
まさかとは思うけど、カードを行使するにあたっての代償って、他にもあるんじゃあ?
「話も長くなるから、その件に関しては騒動を鎮静化させてから話していくよ」
とにかく、今はここを離れよう。
「わかった。なら、さっさとこの騒動を鎮静化させるとしよう。《ミストフォッグ》発動じゃ!」
フィリアナが右手を掲げると、掌から白い霧が大量に出現し、それが急速に周囲を覆っていく。濃度がどんどん増加していき、俺の視界も急速に狭まっていく。
……十分後
「ふむ、これで完全に鎮火したはずじゃ。さあ、フィックスの住む場所へ帰ろうではないか」
え…ちょっと待ってくれませんか?
霧が晴れて、俺の視界も回復したけどさ、さっきまで見た光景と全く変化ないんだけど?
魔力暴走の起きた近辺も鎮静化したのか?
全然、わからん。
聖獣のフィリアナが自信を持って言うのだがら間違いないのだろうけど、自分の目で確認できないから、何処か不安だ。俺が木の天辺に登り、直に確認することも可能だけど、その行為は彼女を傷つけるかもしれない。
ここは、彼女を信じるしかない。
一メートル程浮いていた彼女の身体も、少しずつ大地へと落ちていく。完全に地面へ到着した瞬間、光は消え失せ、フィリアナの小さな身体がピクッと動き出す。
「本当に蘇生できたのか? 後遺症を残していないだろうか?」
彼女の目がゆっくりと開け、小さな身体がムクッと起き上がる。
『フィックス、大丈夫。使役カードの効果は絶大のようです。娘の体力は完全に回復し、何の後遺症もありません』
良かった~フリーゼ様がそう言うのなら問題なさそうだ。
「ここは……あ……其方が母上の言っていたフィックスという男か?」
生き返ったせいか、フィリアナの毛並みから艶が現れており、何処か光っているように見える。この姿なら、俺でも一目で聖獣と判断できる。
「ああ、そうだよ。その……すまない。もう聞いていると思うけど、蘇生の代償として、君を俺の従魔にしてしまった」
こういうことは、先に言ったほうがいい。俺の言葉に反応してか、彼女がゆっくりと足元へ近づいてきて、俺の匂いを嗅いでいるのか、鼻がピクピクと動いている。白く気品ある尻尾もふりふりと振っており、今すぐもふりたい衝動に駆られてしまう。
「ふむ、母上の言う通りじゃ。お主からは、あやつらのような邪な匂いを感じん。御主が、妾のご主人様になったのか……うん、悪くない」
今、俺の心はあなたをもふりたい衝動でいっぱいなんだが?
これって邪な思いに入らないの?
「あはは…喜んでくれて嬉しいよ。俺はフィックス、これから宜しく」
俺の顔は、きちんと笑顔になっているかな?
ヒクついてないといいのだけど。
「妾は聖獣パピヨン種フィリアナ、宜しく頼むのじゃ!」
聖獣だからか、顔を見ても喜んでいるのかわからないが、尻尾や耳を見ればブンブン振ってくれているので、本当に喜んでくれているようだ。
『フィリアナ、その姿では背丈の差がありすぎ不便でしょう。これから王都へ向かう以上、獣人形態に変化しておきなさい』
フィリアナは、《聖獣》と《獣人》の両方に変身できるのか。
「わかったのじゃ」
一人称は《妾》だけど、母親には勝てないようだ。彼女の身体が少し光ったと思ったら、形態がどんどん《獣人》へと変化していく。
これが、獣人化か。
光が収まると、そこに佇んでいたのは先程の小さな《獣》ではなく、可愛い獣人の女の子だった。年齢は十三歳くらいか? 長い銀髪、少し吊り上がった目と眉、喋り方と顔が見事に一致している。服装は、やや地味なショートパンツと半袖のブラウスだ。
「聖獣とバレたら、あの女のような輩が集まってくる。フィックスの寝ぐらは、王都にあるんじゃろ?」
あの女、おそらく俺が先程出会ったマリエルのことだろう。
「ああ、そうだよ」
「王都に滞在する以上、こっちの姿で生活する」
俺としても助かるよ。
街中で聖獣状態だと、絶対目立つ。
『フィックス、貴重なカードを使ってまでフィリアナを蘇生させたことに感謝します。その御礼として、私の加護を授けましょう。この加護があれば、あなたの身体能力と魔力量も大幅に向上し、《光属性》と《状態異常耐性》スキルを取得できます。まずは弱い魔物や魔獣と戦い、身体の状態に慣れておきなさい』
光属性を取得だって!
それは、非常に嬉しい行為だ。
光属性の攻撃魔法はかなり強力と聞いているから、早速覚えてみよう!
「フリーゼ様、ありがとうございます!」
剣術や身体強化スキルのない俺にとって、この行為はマジで嬉しい!
『フィリアナ、これからも頑張りなさい。王都での生活が落ち着いたら、故郷に顔を出してね。皆が、あなたの帰還を待っていますよ』
彼女の故郷、やはり聖獣達だけが住んでいるのだろうか?
俺も、いつか行ってみたいものだ。
「絶対、帰還するのじゃ。フィックスの従魔となった以上、ずっと居続けることはできなくとも、妾も母上や仲間達と会いたい!」
フィリアナの言葉の節々から、何か特殊な事情が絡んでいるのだろうけど、今尋ねるべきじゃないのは、俺でもわかる。彼女のステータスを見れば、何かわかるかもしれない。後で、確認してみよう。
『フィックス、事情に関しては後でフィリアナに聞くといいでしょう。あなたとフィリアナが訪れる日を待っていますね』
フリーゼ様の声が聞こえなくなった途端、周囲の気配が伝わってくる。
当然だけど、ここは森の中だ。
まだ、騒動も鎮静化していないだろう。
「フィリアナ、魔力暴走による大火事が発生して、今学生達が色々と動いてくれているはずなんだ。大火事を鎮火可能な魔法を持っているか?」
この騒動を見過ごしたまま、王都へ帰還できない。今の俺に対処すべき手段は持ち合わせていないが、フィリアナなら何か打開できる魔法を所持しているかもしれない。
「ぬ、火事か。それなら魔法《ミストフォッグ》がいいじゃろう。あれは聖属性じゃが、術者のイメージ次第で、聖属性を帯びた水蒸気の霧を広範囲に行き渡せることもできるし、湿度を向上させることで火の勢いを抑えることも可能となる。後は、そこにおる者達に任せるといい。それに、妾は回復特化型の職業を持っておるから、この魔法で木そのものを癒す効果もある」
「聖魔法、便利すぎだろ?」
聖魔法は、光の上位属性。
《光》に適正を持つ人族は少なく、その上の《聖》となると、世界中を探しても極少数しかいないと言われている。そのため、《光属性》を持つ人は、必ず各国の王都にある学園へと進学し教養を教えられる。入学金や学費も免除されるし、その家族には支援金が給付されるため、選ばれた平民達はこの好待遇を喜んでいる。それが女性ならば、聖女候補となる。
フィリアナは聖獣なのだから、聖魔法を扱えて当然か。おまけに、回復特化型の職業を持っているのなら、聖女以上の存在かもしれない。
「何を言っておる! 妾から見れば、フィックスの力の方が異常じゃぞ? 死者を復活させる魔法は、何処の国々でも秘匿扱いされていて、スキルも魔法も公式で公開されておらん。まして、御主のような若い男が、それを何の代償もなく行使できるのはおかしいぞ」
俺自身、針・うんち・使役・ふっとべカードの効果を実体験と紙面で確認しているけど、全てが俺の知る魔法体系と大きく異なる効果を持っている。全て代償がない代わりに、今後入手不可の可能性が高い。
ある意味、それが【代償】かもしれない。
だけど……全て女神様の力だけで片付けるのもおかしいよな?
まさかとは思うけど、カードを行使するにあたっての代償って、他にもあるんじゃあ?
「話も長くなるから、その件に関しては騒動を鎮静化させてから話していくよ」
とにかく、今はここを離れよう。
「わかった。なら、さっさとこの騒動を鎮静化させるとしよう。《ミストフォッグ》発動じゃ!」
フィリアナが右手を掲げると、掌から白い霧が大量に出現し、それが急速に周囲を覆っていく。濃度がどんどん増加していき、俺の視界も急速に狭まっていく。
……十分後
「ふむ、これで完全に鎮火したはずじゃ。さあ、フィックスの住む場所へ帰ろうではないか」
え…ちょっと待ってくれませんか?
霧が晴れて、俺の視界も回復したけどさ、さっきまで見た光景と全く変化ないんだけど?
魔力暴走の起きた近辺も鎮静化したのか?
全然、わからん。
聖獣のフィリアナが自信を持って言うのだがら間違いないのだろうけど、自分の目で確認できないから、何処か不安だ。俺が木の天辺に登り、直に確認することも可能だけど、その行為は彼女を傷つけるかもしれない。
ここは、彼女を信じるしかない。
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