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4章 ガルディア帝国 闘技会編
闘技会終了
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サーシャ視点に戻ります。
○○○
この光景は、絶対私の加護の影響だろう。スオウの人柄に関しては、シュリから一通り聞いていた。慎重派で頭の回転が早く、なかなか尻尾を出さない奴らしい。ここに来てスオウの顔を見た時、ふと思った。皇帝を殺した時、ニヤと笑って全員に目撃されたら面白いだろうなーとか、邪族も空間切断で現れた後、私の気配を感じ身体が動こかなくなるのなら、顔だけや左半身だけが出てきたら面白いだろうなーとか、公衆の面前で悪事がバレれば、それもまた面白いだろうなーと思ってしまった。---まさか、全部本当にそうなるとは思わなかった。スオウの最後に関しては、多分シュリが無意識下で思っての事だろう。今、邪族達が討伐され無数の死体が転がっている中で、観客達は大歓声をあげている。そして、皇帝が今回の闘技会の優勝者はシュリ改めキースである事を高々に宣言した。
普通なら、この出来過ぎた状況に疑問を持つ者がいるはずだが、私達以外の観客達は全く気付いていない。
「ねえリッチ、こんな展開予想していた?」
「いいえ、邪族が現れ身体が動けなくなり、そこをシュリが攻撃する---そこは予想通りですが、まさか左半身だけや逆さまに頭だけ出たままになるとは思いもしませんでした」
ちなみに、リッチは元の20代中盤ぐらいの男に戻っている。ジンは隙を見計らい、空間切断の中に入ってもらって、現在余った邪族を掃討中だ。
「ねえ、これってやっぱり---」
「我が主が原因ですな」
「やっぱりかー。こんな展開になったら面白いだろうなーとは思ったけどさ」
「お姉様の期待通りの展開になりましたよ。始め、邪族達は馬鹿なんだろうかと思いましたが、リッカさんがスオウに話し出した辺りから、まるでお芝居を見ているかのようでした」
「そうですよ、師匠。特に、スオウの人柄が聞いていた話と全く違いますよ。皇帝が殺されてニヤと笑っているし、問い詰めたらすぐにボロを出したし、おまけにあのバルバリンとかいうS級邪族は、思いっきりスオウと手を組んでいることを宣言してましたよ。しかも私達以外の観客達は、それを不自然と思っていません。どう考えてもおかしいです。リッカはともかく、シュリさんも気付いて、こっち見てましたよ」
うん、私が全面的に悪いね。シュリには謝っておいた。
「あ~、システムの上限を超えた影響が、こんなところで現れるとは思いもしなかった。そういえば、フィンが模擬戦で戦った貴族のことも思ったのよ。その貴族の親が激怒して、フィン達に襲いかかってきて返り討ちにあい、失禁貴族として皆の見せしめにあったら面白いだろうなーと」
「あれ、師匠の仕業なんですか!」
「あくまで、思っただけだからね」
「つまり、お姉様の思った事が現実になってしまったという事ですか?」
「そういう事になるわね。でも、おかしいわね。システムの上限を超えてから、これまでにも、色々と考えたりもしたんだけど」
「おそらく、思いの強さが違うのでしょう。貴族に関してはフィンが関与し、スオウに関してはキースが大きく関与しています。展開次第では、バルバリンがキースを殺す可能性もあった。力の差は、あまりありませんでしたからな。今回の闘技会の件に関しては、その思いが非常に強かったため、人の性格を捻じ曲げてまで現実となったのでしょう」
リッチの言っている事に筋が通っている。
「そうなると師匠は、今後あまり変な事を考えちゃダメって事ですよね?」
「お姉様が私達の事を思ってくれるのは嬉しいんですが、こんなヘンテコリンな結果はなぜか嫌です」
こうなる事がわかっていたら、私だって思わないわよ。
「面白い戦いになったし、犠牲者はスオウのみ。理想的な結末に終わったから、今回はまあ良いんじゃないかな?次からは、私も気をつけるわ」
「お姉様の場合、次も何かやらかしそうな気がします」
「師匠、キース皇子も何か言ってきますよ」
「でしょうね。私にとっても今回は想定外の事が起こったから、後でキースに謝っておくわ」
今回の出来事が、私の思いから発したのなら『邪神の加護』と新たなスキルが関連しているわね。邪神にそんなスキルなかったんだけど、試しにステータスを確認してみよう。
名前 サーシャ・フォーリング
年齢 16
種族 女神
!
げ、種族が邪神から女神になってる!スキルは見れないから、頭の中でイメージして探索しよう。-----新たなスキルがあった。名前は『予定調和』、しかもユニークスキルだ。内容は、リッチが言った事と同じだ。今回、邪神じゃなくて女神の加護と予定調和が大きく影響したんだ。はあ~、本当に女神になってしまった。あ!そうなると、キースの加護も変化しているはずだ。なんか恥ずかしいわね。
「師匠、どうしたんですか?顔が赤いですよ?」
「ステータスを確認したら、種族が邪神から女神に変化してたわ。今回の原因に繋がった新たなスキルも見つけた」
「ふぇーーー、女神ですか!凄いです!」
「お姉様が女神!凄すぎです。これからの崇拝対象は、女神スフィア様から女神サーシャ様に変更ですね」
ぐは!
やめてよ~。恥ずかし過ぎる。
「主様、予定調和の能力はどういったものですか?」
「リッチが言った事と、ほぼ同じよ。ただし、このスキルは神族には通用しないわ」
「ふぇ~、残念。一気に解決すると思ったのに」
「まあ、いいわ。このスキルは、当分の間OFFにしておく」
「その方が良いでしょうな。今後、思い方次第で、周りに悪影響が生じる可能性が非常に高いです」
でも予定調和か、最悪の場合、このスキルに頼る可能性もあるけど、出来れば今後使いたくないわね。
周りの人達の性格を捻じ曲げてまで、現実になるのは私としても嬉しくない。
○○○
闘技会も無事?終了し、現在邪族達の解体に取り掛かっている。なんせ数百体もあるので、冒険者ギルドや闘技ギルドに連絡して、大勢で解体中である。私達は、今回の功労者であるキースを観客席で待っているところだ。リッカも呼ばれていたけど、話が長くなるだろうから、キースが断ってくれたらしい。
「師匠、手伝わないんですか?」
「あの人達は、ギルドの正式依頼でやっているわ。依頼に関与していない人が手伝ってしまうと、効率は良くなるかもしれないけど、その分全員に支払われる依頼料が減らされる可能性がある。そんな事になったら、みんな怒るでしょう」
「あ、そっか」
「さて、空間の修復も終わったし、ジンを召喚しましょう」
ジンを召喚すると、満面の笑みとなっていた。ああ、闘技会に出れなかった分のストレスをここで発散したのね。
「ジン、その様子だと、暴れまくったようね」
「はい。空間を出ると、どこか遠い島に移動していましたね。すぐに邪族共に襲われましたよ。もちろん全員返り討ちにしました。ただ、周辺を探索している時、ステータスに変化を感じたので調べると、種族『神獣』の詳細が変化していました。『邪神の僕』から『女神に使える心優しき神獣』となっていました。サーシャ様、女神への昇格、おめでとうございます」
そうなると、リッチやリッカも変化しているわね。
「うん、ありがとう。それで、周辺に人間はいたの?」
「原住民の方々が隠れていたので、邪族を全滅させたことを伝えておきました。喜んでくれるのはいいのですが、どういうわけか、みんな俺のことを神様扱いしてきたので、一言言っておきました」
【女神スフィアは、もうこの世界にはいない。私は新しく女神となられたサーシャ様の使いだ。感謝はサーシャ様にしてくれ】
こういった事で、原住民の人達は『サーシャ様、感謝します。』と連呼していましたよ。いやあ、あの人達は良い人ばかりでした。サーシャ様の石像を作りたいから、どういった方か教えて欲しいと言われたので、細かく伝えておきました。座標は覚えておきましたので、いつでもサーシャ様の転移で移動出来ます」
私の像があるところに行けるか!恥ずかしいわ!
それにしても、私の存在がどんどん大きくなっているわね。涼見は、「存在が希薄だから見つけるのに苦労した」と言っていたけど、このままだとサリアにもいずれバレるわね。涼見とサリアで共通しているのは神族だ。おそらく、ユニークスキルの対象を女神サリアに設定したからエラーが起こって、対象は神族限定になったんだ。それなら辻褄があうわ。現状はまだ大丈夫だろうけど、涼見も討伐しているし、これ以上目立てば気付かれる可能性があるわね。
「ジン、ご苦労様。あとは、キースのみか」
キースが、これまでの事を詳細に言ってるんでしょうね。当然、私の事も言っているわね。私からは、明日学園で言えばいいでしょう。
「お姉様、スフィア様の件や女神になったことをエレノア様達に伝えた方が良いのでは?」
「そうね、エレノア様達には伝えておかないとまずいわね。女神スフィアが別の異世界に逃走していたなんて内容、一般の人達には絶対言えないわね」
「言える訳ないですよ。ああ、今後どうるんだろう。いっそ、スフィア教からサーシャ教に変更しましょうか!お姉様は生きているし、女神様なんですから崇拝されてもなんの問題もないですよね」
「それいいかも!逃げた神様より、今スフィアタリアのために戦っている女神様の方が、絶対崇拝されると思う!どうでしょうか、師匠」
「お願いだから、やめてちょうだい。私が外を出歩けなくなるわ。そもそも、宗教の一番重要とされる部分を簡単に変更出来ないわ」
「我が主よ、『予定調和』を使えば、簡単に出来ると思います」
「絶対に使いません」
「「えーーー」」
勘弁してよ。出歩く度に、サーシャ様と拝まれるのは嫌だ。それでも報告だけはしておこう。
あれ?不意に上空を見ると、風精霊達がいた。私が女神になったからか、何か伝えに来たのかな?邪神になった時、1度だけ会いにきたわね。その時は恐る恐る話しかけてきたっけ。女神サリアに察知される可能性があるから、全ての精霊は勇者達を全面支援して欲しいと言っておいたけど、
【弱体化しているから無理。でも、君なら僕達に力を与えてくれると思う。今はまだ無理だけど、時が来たら尋ねるね。それまでは、全ての精霊に話だけはしておくよ。回復次第、勇者達を支援したいからね】
と言っていたのよね。あれは、邪神から女神なることをわかっていたのかもね。今の私なら、精霊達に力を与えれそうだ。
「少し精霊と話をしてくるから、あなた達はここにいてね」
「ふぇ、精霊とですか?わかりました」
姿を隠密スキルで隠し、上空500m付近まで飛ぶと、風精霊達が群がってきた。
「やったー、思った以上に早く女神になれたね。おめでとう~!」
全員が喜んでいるわね。こんなにいて大丈夫かしら?女神サリアに察知される可能性があるわよ。
「女神サリアのことなら大丈夫だよ。サーシャが持っている『存在隠蔽』は、サーシャが強くなったことで、進化してサリアを基点に神族全員に強力に働いているんだ。まず、サリアには気付かれないよ」
なるほどね、だから涼見にも察知されにくかったのか。
「私の力で、あなた達の弱体化を治療出来るかしら?」
「うん、出来るよ。そのために、ここに来たんだ!精霊王様もサーシャ様のことは女神と認めているから問題ないよ」
精霊王か。女神スフィアが創り出した初めての精霊と習ったわね。いつか会って、女神や邪神について問い質したいわ。以前、精霊に聞いた時は何も知らなかったけど、精霊王なら何か知っているでしょう。
「この宝珠に限界まで魔力を入れて欲しいんだ。これを精霊王様に渡せば、力が回復して、全ての精霊達の弱体化も解消されるよ」
この宝珠に魔力を入れればいいのね。割らないように注意しよう。
魔力を手に集中させ、宝珠にどんどん入れていった。-----なかなか満タンにならないわね?かなりの量が入るようね。-----む、そろそろかな。うん、これで満タンだ。うーん、1/5近く取られた気がする。
「凄い凄い!強くなった邪王に対抗するために作った新型宝珠は、旧型の10倍近い容量があるのに、あっという間に満タンになったよ。スフィア様でも旧型を満タンにするのに、1日近くかかったのに!凄いや!」
「これで大丈夫かしら?」
「うん、サーシャ様ありがとう。これだけ巨大な魔力があれば、全ての精霊が以前より強くなれるよ!早速、精霊王様に届けてくるね」
「精霊王に、いつか会いに行くからと伝えておいてね」
「うん、あと精霊王様からの伝言を伝えるね。
【新たな女神サーシャ様、我々精霊一同、あなたをスフィアタリアの新の主として迎え入れる所存です。女神サリア達をどうか討伐して下さい。ただ、私自身、女神サリアがいる管理世界へは行った事がありません。スフィア様が座標をメッセージとして残してくれているはずですので、それを見つけて下さい。不躾なお願いというのは重々承知しておりますが、我々では太刀打ち出来ません。どうか宜しくお願い致します】
サーシャ様なら、絶対サリアを討伐出来るよ。それじゃあね~~」
陽気な精霊ね。あっという間に言ってしまった。まあ、これで弱体化は解除されて、精霊王や大精霊の力も回復するでしょう。
フィン達の場所へ戻ると、丁度キースが戻ってきたところだった。
「よう、女神様。加護のおかげか、スオウとの決着がついたよ。決着がつくまでの過程はともかく、理想的な結末になった」
《グサ》
「女神様はやめて欲しい。今回の事はごめんなさいね。こちらも想定外の事が起こったの。スオウの人柄を聞いていたから、決着がつくまでの過程が明らかにおかしいと思って調べたら、新しいスキルがあったわ。今回、そのスキル『予定調和』が大きく影響したの」
キースに予定調和の機能を説明すると、
「おいおい、なんてスキルだ。思った事が現実になるだと!」
「今回、スオウや邪族がこうなったら面白いだろうなーと思ったのよ。そしたら、相手の性格を捻じ曲げてまで本当にそうなってしまった。ただ、スオウの結末は、キースの潜在的な思いが反映していると思うわ」
「人の性格を捻じ曲げてまで、その行動をとらせるのか、恐ろしいスキルだな。おかしいと思ったんだ。リッカの発言はともかく、スオウやバルバリンが馬鹿なのかと思ったんだが、スキルが影響していたんだな。まだ王都での後始末があるけど、一応の目標は達成出来た。サーシャありがとう。皇帝も、明日学園で会えるのを楽しみにしていたよ。あ、女神サーシャ様と言った方がいいかな?」
「お願いだから、普通に呼んでね。王都には、私達も同行するわ。王都の中にある遺跡に、スフィアのメッセージがあるはず」
「わかった、皇帝にも伝えておく。今後は皇帝と行動を共にすることになるから、別邸で寝泊まりするよ。それじゃあ、明日学園で」
キースと別れ、私達はゴールド闘技場から出て行った。外では、今回の邪族乱入とスオウの裏切り、それら全てをキース皇子1人で片付けた事になっていた。
「むー、ボスのバルバリンは私が討伐したのに。なんか気に入らない」
「まあまあ、リッカも凄かったよ。観客達にとったらキース皇子の氷円斬の方がインパクトあったからね」
「そうですよ、リッカさん。むしろ私達としては、その方が都合が良いです」
リッカ、フィン、イリスのやりとりを見ながら、ここガルディア帝国に来てからの事を思い返すと、色々なことがあった。ゾンビハウス、涼見凌一、そして女神への変化と新たなスキル『予定調和』----か。涼見の方はたまに見てるけど、性格に全く変化ないから放っておこう。予定調和に関しては、当分OFFのままでいいわね。
バーンさんやウィルさん達にどう影響しているのかが気になるところだ。
1度連絡を取ってみよう。
○○○
この光景は、絶対私の加護の影響だろう。スオウの人柄に関しては、シュリから一通り聞いていた。慎重派で頭の回転が早く、なかなか尻尾を出さない奴らしい。ここに来てスオウの顔を見た時、ふと思った。皇帝を殺した時、ニヤと笑って全員に目撃されたら面白いだろうなーとか、邪族も空間切断で現れた後、私の気配を感じ身体が動こかなくなるのなら、顔だけや左半身だけが出てきたら面白いだろうなーとか、公衆の面前で悪事がバレれば、それもまた面白いだろうなーと思ってしまった。---まさか、全部本当にそうなるとは思わなかった。スオウの最後に関しては、多分シュリが無意識下で思っての事だろう。今、邪族達が討伐され無数の死体が転がっている中で、観客達は大歓声をあげている。そして、皇帝が今回の闘技会の優勝者はシュリ改めキースである事を高々に宣言した。
普通なら、この出来過ぎた状況に疑問を持つ者がいるはずだが、私達以外の観客達は全く気付いていない。
「ねえリッチ、こんな展開予想していた?」
「いいえ、邪族が現れ身体が動けなくなり、そこをシュリが攻撃する---そこは予想通りですが、まさか左半身だけや逆さまに頭だけ出たままになるとは思いもしませんでした」
ちなみに、リッチは元の20代中盤ぐらいの男に戻っている。ジンは隙を見計らい、空間切断の中に入ってもらって、現在余った邪族を掃討中だ。
「ねえ、これってやっぱり---」
「我が主が原因ですな」
「やっぱりかー。こんな展開になったら面白いだろうなーとは思ったけどさ」
「お姉様の期待通りの展開になりましたよ。始め、邪族達は馬鹿なんだろうかと思いましたが、リッカさんがスオウに話し出した辺りから、まるでお芝居を見ているかのようでした」
「そうですよ、師匠。特に、スオウの人柄が聞いていた話と全く違いますよ。皇帝が殺されてニヤと笑っているし、問い詰めたらすぐにボロを出したし、おまけにあのバルバリンとかいうS級邪族は、思いっきりスオウと手を組んでいることを宣言してましたよ。しかも私達以外の観客達は、それを不自然と思っていません。どう考えてもおかしいです。リッカはともかく、シュリさんも気付いて、こっち見てましたよ」
うん、私が全面的に悪いね。シュリには謝っておいた。
「あ~、システムの上限を超えた影響が、こんなところで現れるとは思いもしなかった。そういえば、フィンが模擬戦で戦った貴族のことも思ったのよ。その貴族の親が激怒して、フィン達に襲いかかってきて返り討ちにあい、失禁貴族として皆の見せしめにあったら面白いだろうなーと」
「あれ、師匠の仕業なんですか!」
「あくまで、思っただけだからね」
「つまり、お姉様の思った事が現実になってしまったという事ですか?」
「そういう事になるわね。でも、おかしいわね。システムの上限を超えてから、これまでにも、色々と考えたりもしたんだけど」
「おそらく、思いの強さが違うのでしょう。貴族に関してはフィンが関与し、スオウに関してはキースが大きく関与しています。展開次第では、バルバリンがキースを殺す可能性もあった。力の差は、あまりありませんでしたからな。今回の闘技会の件に関しては、その思いが非常に強かったため、人の性格を捻じ曲げてまで現実となったのでしょう」
リッチの言っている事に筋が通っている。
「そうなると師匠は、今後あまり変な事を考えちゃダメって事ですよね?」
「お姉様が私達の事を思ってくれるのは嬉しいんですが、こんなヘンテコリンな結果はなぜか嫌です」
こうなる事がわかっていたら、私だって思わないわよ。
「面白い戦いになったし、犠牲者はスオウのみ。理想的な結末に終わったから、今回はまあ良いんじゃないかな?次からは、私も気をつけるわ」
「お姉様の場合、次も何かやらかしそうな気がします」
「師匠、キース皇子も何か言ってきますよ」
「でしょうね。私にとっても今回は想定外の事が起こったから、後でキースに謝っておくわ」
今回の出来事が、私の思いから発したのなら『邪神の加護』と新たなスキルが関連しているわね。邪神にそんなスキルなかったんだけど、試しにステータスを確認してみよう。
名前 サーシャ・フォーリング
年齢 16
種族 女神
!
げ、種族が邪神から女神になってる!スキルは見れないから、頭の中でイメージして探索しよう。-----新たなスキルがあった。名前は『予定調和』、しかもユニークスキルだ。内容は、リッチが言った事と同じだ。今回、邪神じゃなくて女神の加護と予定調和が大きく影響したんだ。はあ~、本当に女神になってしまった。あ!そうなると、キースの加護も変化しているはずだ。なんか恥ずかしいわね。
「師匠、どうしたんですか?顔が赤いですよ?」
「ステータスを確認したら、種族が邪神から女神に変化してたわ。今回の原因に繋がった新たなスキルも見つけた」
「ふぇーーー、女神ですか!凄いです!」
「お姉様が女神!凄すぎです。これからの崇拝対象は、女神スフィア様から女神サーシャ様に変更ですね」
ぐは!
やめてよ~。恥ずかし過ぎる。
「主様、予定調和の能力はどういったものですか?」
「リッチが言った事と、ほぼ同じよ。ただし、このスキルは神族には通用しないわ」
「ふぇ~、残念。一気に解決すると思ったのに」
「まあ、いいわ。このスキルは、当分の間OFFにしておく」
「その方が良いでしょうな。今後、思い方次第で、周りに悪影響が生じる可能性が非常に高いです」
でも予定調和か、最悪の場合、このスキルに頼る可能性もあるけど、出来れば今後使いたくないわね。
周りの人達の性格を捻じ曲げてまで、現実になるのは私としても嬉しくない。
○○○
闘技会も無事?終了し、現在邪族達の解体に取り掛かっている。なんせ数百体もあるので、冒険者ギルドや闘技ギルドに連絡して、大勢で解体中である。私達は、今回の功労者であるキースを観客席で待っているところだ。リッカも呼ばれていたけど、話が長くなるだろうから、キースが断ってくれたらしい。
「師匠、手伝わないんですか?」
「あの人達は、ギルドの正式依頼でやっているわ。依頼に関与していない人が手伝ってしまうと、効率は良くなるかもしれないけど、その分全員に支払われる依頼料が減らされる可能性がある。そんな事になったら、みんな怒るでしょう」
「あ、そっか」
「さて、空間の修復も終わったし、ジンを召喚しましょう」
ジンを召喚すると、満面の笑みとなっていた。ああ、闘技会に出れなかった分のストレスをここで発散したのね。
「ジン、その様子だと、暴れまくったようね」
「はい。空間を出ると、どこか遠い島に移動していましたね。すぐに邪族共に襲われましたよ。もちろん全員返り討ちにしました。ただ、周辺を探索している時、ステータスに変化を感じたので調べると、種族『神獣』の詳細が変化していました。『邪神の僕』から『女神に使える心優しき神獣』となっていました。サーシャ様、女神への昇格、おめでとうございます」
そうなると、リッチやリッカも変化しているわね。
「うん、ありがとう。それで、周辺に人間はいたの?」
「原住民の方々が隠れていたので、邪族を全滅させたことを伝えておきました。喜んでくれるのはいいのですが、どういうわけか、みんな俺のことを神様扱いしてきたので、一言言っておきました」
【女神スフィアは、もうこの世界にはいない。私は新しく女神となられたサーシャ様の使いだ。感謝はサーシャ様にしてくれ】
こういった事で、原住民の人達は『サーシャ様、感謝します。』と連呼していましたよ。いやあ、あの人達は良い人ばかりでした。サーシャ様の石像を作りたいから、どういった方か教えて欲しいと言われたので、細かく伝えておきました。座標は覚えておきましたので、いつでもサーシャ様の転移で移動出来ます」
私の像があるところに行けるか!恥ずかしいわ!
それにしても、私の存在がどんどん大きくなっているわね。涼見は、「存在が希薄だから見つけるのに苦労した」と言っていたけど、このままだとサリアにもいずれバレるわね。涼見とサリアで共通しているのは神族だ。おそらく、ユニークスキルの対象を女神サリアに設定したからエラーが起こって、対象は神族限定になったんだ。それなら辻褄があうわ。現状はまだ大丈夫だろうけど、涼見も討伐しているし、これ以上目立てば気付かれる可能性があるわね。
「ジン、ご苦労様。あとは、キースのみか」
キースが、これまでの事を詳細に言ってるんでしょうね。当然、私の事も言っているわね。私からは、明日学園で言えばいいでしょう。
「お姉様、スフィア様の件や女神になったことをエレノア様達に伝えた方が良いのでは?」
「そうね、エレノア様達には伝えておかないとまずいわね。女神スフィアが別の異世界に逃走していたなんて内容、一般の人達には絶対言えないわね」
「言える訳ないですよ。ああ、今後どうるんだろう。いっそ、スフィア教からサーシャ教に変更しましょうか!お姉様は生きているし、女神様なんですから崇拝されてもなんの問題もないですよね」
「それいいかも!逃げた神様より、今スフィアタリアのために戦っている女神様の方が、絶対崇拝されると思う!どうでしょうか、師匠」
「お願いだから、やめてちょうだい。私が外を出歩けなくなるわ。そもそも、宗教の一番重要とされる部分を簡単に変更出来ないわ」
「我が主よ、『予定調和』を使えば、簡単に出来ると思います」
「絶対に使いません」
「「えーーー」」
勘弁してよ。出歩く度に、サーシャ様と拝まれるのは嫌だ。それでも報告だけはしておこう。
あれ?不意に上空を見ると、風精霊達がいた。私が女神になったからか、何か伝えに来たのかな?邪神になった時、1度だけ会いにきたわね。その時は恐る恐る話しかけてきたっけ。女神サリアに察知される可能性があるから、全ての精霊は勇者達を全面支援して欲しいと言っておいたけど、
【弱体化しているから無理。でも、君なら僕達に力を与えてくれると思う。今はまだ無理だけど、時が来たら尋ねるね。それまでは、全ての精霊に話だけはしておくよ。回復次第、勇者達を支援したいからね】
と言っていたのよね。あれは、邪神から女神なることをわかっていたのかもね。今の私なら、精霊達に力を与えれそうだ。
「少し精霊と話をしてくるから、あなた達はここにいてね」
「ふぇ、精霊とですか?わかりました」
姿を隠密スキルで隠し、上空500m付近まで飛ぶと、風精霊達が群がってきた。
「やったー、思った以上に早く女神になれたね。おめでとう~!」
全員が喜んでいるわね。こんなにいて大丈夫かしら?女神サリアに察知される可能性があるわよ。
「女神サリアのことなら大丈夫だよ。サーシャが持っている『存在隠蔽』は、サーシャが強くなったことで、進化してサリアを基点に神族全員に強力に働いているんだ。まず、サリアには気付かれないよ」
なるほどね、だから涼見にも察知されにくかったのか。
「私の力で、あなた達の弱体化を治療出来るかしら?」
「うん、出来るよ。そのために、ここに来たんだ!精霊王様もサーシャ様のことは女神と認めているから問題ないよ」
精霊王か。女神スフィアが創り出した初めての精霊と習ったわね。いつか会って、女神や邪神について問い質したいわ。以前、精霊に聞いた時は何も知らなかったけど、精霊王なら何か知っているでしょう。
「この宝珠に限界まで魔力を入れて欲しいんだ。これを精霊王様に渡せば、力が回復して、全ての精霊達の弱体化も解消されるよ」
この宝珠に魔力を入れればいいのね。割らないように注意しよう。
魔力を手に集中させ、宝珠にどんどん入れていった。-----なかなか満タンにならないわね?かなりの量が入るようね。-----む、そろそろかな。うん、これで満タンだ。うーん、1/5近く取られた気がする。
「凄い凄い!強くなった邪王に対抗するために作った新型宝珠は、旧型の10倍近い容量があるのに、あっという間に満タンになったよ。スフィア様でも旧型を満タンにするのに、1日近くかかったのに!凄いや!」
「これで大丈夫かしら?」
「うん、サーシャ様ありがとう。これだけ巨大な魔力があれば、全ての精霊が以前より強くなれるよ!早速、精霊王様に届けてくるね」
「精霊王に、いつか会いに行くからと伝えておいてね」
「うん、あと精霊王様からの伝言を伝えるね。
【新たな女神サーシャ様、我々精霊一同、あなたをスフィアタリアの新の主として迎え入れる所存です。女神サリア達をどうか討伐して下さい。ただ、私自身、女神サリアがいる管理世界へは行った事がありません。スフィア様が座標をメッセージとして残してくれているはずですので、それを見つけて下さい。不躾なお願いというのは重々承知しておりますが、我々では太刀打ち出来ません。どうか宜しくお願い致します】
サーシャ様なら、絶対サリアを討伐出来るよ。それじゃあね~~」
陽気な精霊ね。あっという間に言ってしまった。まあ、これで弱体化は解除されて、精霊王や大精霊の力も回復するでしょう。
フィン達の場所へ戻ると、丁度キースが戻ってきたところだった。
「よう、女神様。加護のおかげか、スオウとの決着がついたよ。決着がつくまでの過程はともかく、理想的な結末になった」
《グサ》
「女神様はやめて欲しい。今回の事はごめんなさいね。こちらも想定外の事が起こったの。スオウの人柄を聞いていたから、決着がつくまでの過程が明らかにおかしいと思って調べたら、新しいスキルがあったわ。今回、そのスキル『予定調和』が大きく影響したの」
キースに予定調和の機能を説明すると、
「おいおい、なんてスキルだ。思った事が現実になるだと!」
「今回、スオウや邪族がこうなったら面白いだろうなーと思ったのよ。そしたら、相手の性格を捻じ曲げてまで本当にそうなってしまった。ただ、スオウの結末は、キースの潜在的な思いが反映していると思うわ」
「人の性格を捻じ曲げてまで、その行動をとらせるのか、恐ろしいスキルだな。おかしいと思ったんだ。リッカの発言はともかく、スオウやバルバリンが馬鹿なのかと思ったんだが、スキルが影響していたんだな。まだ王都での後始末があるけど、一応の目標は達成出来た。サーシャありがとう。皇帝も、明日学園で会えるのを楽しみにしていたよ。あ、女神サーシャ様と言った方がいいかな?」
「お願いだから、普通に呼んでね。王都には、私達も同行するわ。王都の中にある遺跡に、スフィアのメッセージがあるはず」
「わかった、皇帝にも伝えておく。今後は皇帝と行動を共にすることになるから、別邸で寝泊まりするよ。それじゃあ、明日学園で」
キースと別れ、私達はゴールド闘技場から出て行った。外では、今回の邪族乱入とスオウの裏切り、それら全てをキース皇子1人で片付けた事になっていた。
「むー、ボスのバルバリンは私が討伐したのに。なんか気に入らない」
「まあまあ、リッカも凄かったよ。観客達にとったらキース皇子の氷円斬の方がインパクトあったからね」
「そうですよ、リッカさん。むしろ私達としては、その方が都合が良いです」
リッカ、フィン、イリスのやりとりを見ながら、ここガルディア帝国に来てからの事を思い返すと、色々なことがあった。ゾンビハウス、涼見凌一、そして女神への変化と新たなスキル『予定調和』----か。涼見の方はたまに見てるけど、性格に全く変化ないから放っておこう。予定調和に関しては、当分OFFのままでいいわね。
バーンさんやウィルさん達にどう影響しているのかが気になるところだ。
1度連絡を取ってみよう。
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親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
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主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
幼女と執事が異世界で
天界
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宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
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貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
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仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
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三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
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パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
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