邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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間章2 勇者達、シルフィーユ王国へ

ハイエルフへの畏怖

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○○○ 桜木春人 視点

バーンさんの部屋に行こうとしたら部屋から魔力を感じた。そして、部屋の音が一切聞こえなくなった。『サイレント』か、何らかの通信をやっているのか。通信が終わるのを待つか。

通信が15分程で終わり、ノックをしようとしたところで。

「春人か、入っていいぞ」

やはり、わかりますか。

「失礼します」

リフィアさんもいるのか。

「誰からの通信か気になるか?」

当たり前だ。

「そりゃ気になりますよ。何か進展があったんですか?」
「いや、残念ながら進展なしだ」

進展なし---か、残念。

「それで、ハルトは用件はなんだ?」

おっと忘れるところだった。

「バーンさん、邪心薬という薬とカプリースボックスというのをご存知ですか?」
「カプリースボックスは有名だから当然知っているが、邪心薬とは何だ?」
バーンの心の中
(邪心薬ね、サーシャのことだな。確か、テルミア王国の王都にいる連中で、サーシャ=清水茜に気付いているのは誰1人いないはずだ)



俺は、バーンさんとリフィアさんに王国の訓練で起こった事件を詳細に説明した。ただし、名前は伏せておいた。調べれば1発でわかるけど、サリアは清水を嫌ってるからな。名前が出た時点で、なんか勘付かれる気がする。

1) クラスメイトの女の子がカプリースボックスから聞こえた声の主サリアに嫌われ、邪心薬を飲まされた
2) その女の子は、姿はそのままで人間から邪族に変化し、現在テルミア王国のどこかに潜伏中である
3) 俺と美香は生存していることを知っているが、他のみんなは死亡していると思っている
4) 現在、邪心薬についての情報を探索中
5) それと並行して、種族変更が可能性なアイテムを探していること

「なるほどな。で、俺達が邪心薬もしくは種族変更のアイテムを知っているか聞きに来たわけか?」

「はい」

「----残念ながら、邪心薬も種族変更のアイテムも聞いたことがないな」

「ごめんなさいね、ハルト。私も知らないわ。元に戻す可能性があるとしたら、サリア本人に聞くしかないわね」

「相手は神だが、そいつを見つけ、ボコボコに痛めつけてから聞くのが手っ取り早いな」

それが出来たら、もうやってます。

「俺からも質問がある。ハルト達は召喚当初、女神に1度会っているはずだ。女神スフィアとサリアどっちだ?」

「女神スフィアです。俺自身、サリアの姿や声は知りませんが、真也と義輝はカプリースボックスの声を聞いています。声のトーンはスフィアと全く異なっていたようです」

「スフィアと出会った時、どんな場所だったか覚えているか?」

「場所ですか?やたら広い平地で、周囲が白く覆われていたはずです」

バーンさんとリフィアさんが何か考え込んでいるな。その場所に何かあるのか?

「ハルト、もしお前が転移の魔法を覚えていたとして、今からその場所に行けと言われたら行けるか?」

転移て、小説の場合、座標設定やイメージが重要となっていたよな?あの場所を強くイメージすることは出来るけど、座標はわからないぞ。

「あの、この世界の転移というものが、どういった仕組みかは知りませんが、強くイメージすることは出来ますが、座標はわからないです」

「それだとダメね。この世界の転移を成功させるには、座標設定が重要なの」
「その場所に何かあるんですか?」

「簡単なことよ。私達がサリア以上に強くなって、サリアのいる世界に転移し討伐する」
リフィアの心の中
(もっとも、それをするのはサーシャだけどね)



おいおい、それで聞いて来たのか。確かに、女神スフィアがいたということは、あの世界のどこかに女神サリアもいるはずだ。あれ?

「精霊の言っていたあの方は行けないんですか?」

「あの方は神ではないから、行き方を知らないのよ。もし、誰か行き方を知っているものがいたらと思ってね」

なるほどね。確かに座標さえわかれば、その世界に行くことは可能か。

「シルフィーユ王国の国王様は知らないんですか?」

《ビク》

珍しいな、リフィアさんがビビっている?

「まあ、聞くしかないか、国王とその上の連中に。リフィア、諦めろ!」

国王の上が存在するのか?

「はあ~、仕方ないか」
「その上の連中というのは?」

「ここシルフィーユ王国を建国したのは、4人のハイエルフ様なの。そのうち2人は500年前の邪王戦で亡くなってしまったけど、残り2人の方は現在も生存して私達を見守ってくれているわ。エルフの寿命は400年程、ハイエルフ様の寿命は2000年程、その方々に話を聞けば、もしかしたらわかるかもしれない。ただね~」

ハイエルフの寿命、凄いな。確かに、それだけ長生きなら神の住む世界への行き方を知っているかもしれない。ただ、さっきからリフィアさんが、もの凄く憂鬱そうな顔をしている。

「リフィアさん、そんなに会いたくないんですか?」

「ふふふ、2人のハイエルフ様に会ったことがあるのは、ハイエルフ様のお世話をしているメイドと国王様と王妃様の3名のみ。しかも、国王様と王妃様ですら、数十年に1度会えるかどうかなのよ。それだけ畏れ多い存在なの!普通に考えたら、絶対に謁見は不可能なの!」

リフィアさん、目が死んでますよ。それだけのプレッシャーということか。

「まあ、これが普通の邪王の再封印とかなら会えんだろうが、今回は事情が違う。神の世界で、何らかの異常が発生している。ハイエルフ達なら、何か知っているはずだ。必ず聞き出してやる」

「バーンさん、【力尽くで聞き出してやる】という表情になってますよ」

「絶対にやめてよ、バーン!勇者達は大丈夫でしょうけど、私達2人は確実に死刑になるからね!」

あの温厚なリフィアさんが、ここまで怒るとはな。あとで、美香達にきちんと説明しておこう。

「ハルト、あなた達もハイエルフ様達と謁見出来た場合、必ず敬意を払うように!特に、真也は要注意よ!」

釘を刺されたな。真也には、きつく言っておこう。召喚当初、魔王発言で死刑寸前になった前科があるから、マジでヤバイ。

「わかりました。みんなには、きつく言っておきます」

バーンさんとの話が終わり、俺は部屋に戻った。バーンさんやリフィアさんでも邪心薬や種族変更のアイテムについて知らないのか。頼みの綱はハイエルフだな。その人達に賭けるしかない。おっと、真也と義輝がドアの音で目覚めたようだな。

「悪い、起こしちまったな」
「ファ~~、それよりどうしたんだ?何か考え込んでいるようだけど」

真也に指摘されてしまったか。この際だから、さっきの話しを2人にしておくか。もちろん清水の件は省く。

「バーンさんに呼ばれて、今後のことを話しあっていたんだ」

1) 女神スフィアと出会った場所が神の世界で、神の世界に行くためには座標を知る必要があること
2) 国王より上位のハイエルフと謁見して、現在の事情を説明し、神の世界の座標を聞き出すこと
3) 2人のハイエルフは、国王ですら数十年に1回会えるかどうかというレベルの人で、エルフ全員から崇拝されている。もし機嫌損ねれば、バーンさんとリフィアさんが即刻処刑されること

この3点を真也と義輝に伝えた。

「真也、気をつけろよ。一番何かやらかしそうなのはお前だからな」
「義輝、もうあんなヘマはしねーよ。俺だって、師匠が処刑されるのは御免だからな」


本当に気をつけてくれよ。この後、俺は美香と夕実にも同じ内容を伝えておいた。ハイエルフとの謁見が最重要事項だな。あとは邪族の動きも気になるところか。スフィアートで大きな戦争が起こり、その結果は邪族側の大敗北だ。このまま黙っていないだろう。


ここシルフィーユ王国でも、何か起こりそうな気がする。

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