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5章 レーデンブルク 悪魔討伐編
「アルテハイムの異変」と「空を飛ぶ魔法」
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108話 「アルテハイムの異変」と「空を飛ぶ魔法」
さて、ワイバーン達が若干私を見て挙動不審な態度を見せているけど、上空にいた時よりマシかな。
「ジン、ワイバーンから話は聞けた?」
「はい、こいつらはよく鍛えられていて、通常のワイバーンより知能も高いですね。俺達と同じ言葉を話せるようです」
へ~、ワイバーンはドラゴン種の中でも知能が低いから、言葉は話せないはずだけど、飼っている人がきちんと管理し教育しているのね。
「それなら手間が省けるわね」
「こいつらは隣国アルテハイムの者達でした。レーデンブルクに偽装して侵入し、フィンが帰ってくるようなら即座に暗殺するよう命じられたそうです」
暗殺か。約1年前、邪族がソフィアを操って、ステータス異常を起こし人の手で殺されるように仕向けて、戦争の引き金にしようと企んだわけだけど、今回はアルテハイムの連中が仕掛けてきたか。あの時、騎手達を見た時点では、スフィアートのマウロ司祭やクリンカ大司教のように邪族に操られたような感じはしなかった。でも、騎手達は私を見て畏れた。確実に何かあるわね。
「ふ~ん、暗殺ね。レーデンブルクとアルテハイムは同盟を結んでいるはず、しかも第2王子レオンは、フィンの婚約者でもある。その状況で、どうして暗殺を?」
「それはワイバーン達にもわからないそうです。ただ、4ヶ月程前から、皆の雰囲気が変わったと言っています」
雰囲気が変わった?ガルディア帝国皇帝も、2ヶ月前に密偵を放ったけど帰ってこなかったと言っていたわね。
「どう変わったのかしら?」
「それが、外側から見る姿は以前のままなのに、中身の性格や力自体が何か違和感を感じると言っていました。それとサーシャ様を見た瞬間、ワイバーン達は得体の知れない畏れを感じ動けなくなりましたが、騎手達も動けない状態となりブツブツ言葉を言っていたそうです」
ワイバーンと騎手達で、私を見て感じた反応が違うか。
「なんて言っていたの?」
「小さい声だったので、殆ど聞こえなかったそうですが、聞き取れたのは【話が違う。あの方より、遥か格上の存在だ】ですね」
話が違う?あの方?私はそいつより遥か格上の存在?
そう言った後、墜落して灰になったということかな?
通常の人なら死んでも灰にはならない。邪族は、そのまま死体として残る。人でも邪族でもない存在----悪魔?---そう決めつけるのは、まだ早いわね。
「うーん、情報が足りないわね。それだけだと、こいつらが何者か判断出来ないわ」
「お姉様、悪魔と関係あるのでしょうか?」
「現時点では、なんとも言えないわね。ただ、私を見て畏れた以上、人ではない事は確かね。この子達はどうしようかな?騎手がいなくなって、野良のワイバーンになったわけだけど、一緒にレーデンブルクの王都に行く?」
『『『行きます。サーシャ様、なんでもしますから食べないで下さい』』』
「食べないわよ。どうして、その思考になるのよ!」
「師匠、リッカのせいです。小さな声で美味しそうと言ってました」
「リッカ」
「ひい!すいません。少しお腹が空いてきたから、つい思ってしまいました」
全く。
「安心しなさい。あなた達をレーデンブルクの王都に連れて行きます。そこで、新たな騎手を探しなさい」
『『『ありがとうございます!!!』』』
レーデンブルクとアルテハイム間で、大きな事件が起こらないと良いんだけど。
そろそろ、お昼になるし昼食にしましょう。
「せっかく、ここで降りたんだし昼食にしましょう」
「やった!昼食だ!」
リッカがこれ以上お腹を空かせたら、ワイバーン達が胃潰瘍になる気がするわ。
○○○
う~ん、フィンの様子が少しおかしい。やはり、ワイバーンの話を聞いたせいだろう。昼食(ハンバーク、サラダ、餃子、唐揚げ、ライス)をいつもの半分くらいしか食べていない。レオン王子やアルテハイムが気になるのかな。それにしても、現状レーデンブルクは平和で、同盟国であるアルテハイムは何かが水面下で動いている。レーデンブルクの王様も何か知っているはずだから、王都に到着次第、話を聞かないとダメね。
「フィン、元気出しなさい。アルテハイムが気になるのはわかるけど、今からレーデンブルクの王に会いに行くのよ。1年ぶりの再会なんだから、まずは家族団欒に集中しなさい。その後にアルテハイムの話を聞いて、対処すればいいわ」
「そ、そうですね。はい、そうします。1年ぶりに家族に会えるんですから、今はそれだけを考えておきます!」
急に食べ始めたわ。うん、いつものフィンに戻ったようね。
「そうそう、王都にある王宮にはワイバーンの着陸場所があるの?」
「はい、ありますよ。王宮の端に広い場所があります。そこがワイバーンの着陸場所で、騎士団の訓練場所でもあります」
ふむふむ、せっかく家族に会えるんだし、少し驚かせてあげようかな。
「フィン、王様達を驚かせましょうか?」
「ふぇ、どうやって驚かすんですか?」
「簡単よ。あなたが空を飛べるようになればいいのよ」
「うおおぉぉぉぉーーー」
「師匠、是非教えて下さい!」
「お姉様、私にも教えて下さい!ここなら、練習しても問題ありません」
「それじゃあ、昼食を食べ終わってから練習ね」
「「はい!」」
----昼食を済ませ、練習を開始しようかなと思っていた時、イリスが真剣な顔で悩んでいた。
「ジンさん、お願いがあります!」
「なんだ?イリスからお願いというのは珍しいな」
ジンにお願いね、内容は察しが付くわ。私達は、今から空を飛ぶ魔法『フリット』を練習する。イリスはスカートを履いている。ジンは今、人間形態でいる。イリス的に見れば、当然抵抗はあるか。
「私達が訓練している間、ワイバーン達と一緒に周辺を警戒していてくれませんか?」
「----わかった。せっかくだがら、王都周辺までワイバーン達と遊ぶか」
ジンもわかったようね。
「ジン、私も行く。見てるだけだとつまんないよ」
結局、ジンとリッカは神獣形態となり、ワイバーン3体と周辺のパトロールに向かった。
「イリスにも羞恥心があって良かったよ」
「ええーー、フィン姉、急に何を言いだすんですか!私にだって、羞恥心はありますよ!」
「マルコ遺跡での件があるからね」
「あそこでは男性が誰もいなかったから、ああ言っただけです!」
さあ、始めますか!
「今のあなた達の魔法レベルなら、すぐにマスターするでしょう」
『フリット』に必要なのは、風魔法と空間魔法の2つ。2人とも虚無魔法の練習で、空間魔法のレベルも8になったから全く問題ない。というか、基礎能力値の高さの割に魔法レベルとスキルレベルが伴っていない。全部私の所為なんだけど、レーデンブルクでは、今持っている魔法とスキルレベルを全て10以上になってもらおう。
フリットの説明を行い、実際にやって見せた。2人の飛び方は、始めは拙かったけど30分程でコツを掴めたようだ。慣れた頃に少しずつ高度も上げていき、現在私達は上空500mにいる。
「2人ともフリットで飛び続けている限り、1秒で1ずつ魔力が減っていくから注意しなさい。あと、飛ぶ速度も速ければ速い程、魔力消費が激しくなる。それを抑えるには、風魔法と空間魔法のレベルをどんどん上げていきなさい」
「「はい!!」」
「イリス、これ凄いね。まだ慣れないけど、これをマスターしたらワイバーンとレースが出来るよ!」
「ワイバーンとレースする意味がわかりませんが、凄く気持ち良いのはわかります。高さにも、大分慣れてきました。フィン姉はどうですか?」
「ジンさんやリッカに乗っていた時に感じた高さの感覚と、自分で飛んでる時に感じる感覚が違う時は少し驚いたけど、もう大丈夫だよ」
うーん、何やら楽しんでいるのは構わないけど、危険性も教えておいた方がいいわね。
「さて、2人とも大分慣れてきたのはいいけど、飛んでいる時の危険性も教えておくわね」
「ふぇ、危険性ですか?」
「お姉様、どういった危険があるのですか?」
ごめんね2人とも。危険性を教えるために、天敵である【あれ】を使わせてもらうね。
「空を飛んでいる時、最も怖いのが魔法を解除されること!それはわかるわね?」
2人は互いの顔をお見合わせた後、当然の如く頷いた。
「時には、地上もしくは空から予期しない攻撃が来る。それが最も怖いのよ。今から実践します。ただ、この高度は高いから、もう少し降下しましょう」
私達は、ビル10階に相当する高度30m付近のところまで降下した。
「お姉様、確かにこの程度の高さなら攻撃が届きますね」
「でも師匠、仮に攻撃が来たとしても、今の私達なら感知して避けれますよ。試してくれても良いですよ?」
ほほう、それなら試させてもらいましょうか!
「言ったわね?それじゃあ、試させてもらいましょう。もう攻撃してるわよ。もし、これに5分間耐えきれたら、あなた達が望むご馳走をありったけ作ってあげるわね」
「「ふぇーーーありったけのご馳走ーーーーー!!!頑張ります!!!」」
さあ、どうなるかな?
「?それらしき気配がない-----ひ!全身に鳥肌が!か、か、むぐぐううぅぅぅぅーーーー、じ師匠、まさか、攻撃というのはあれでずか?」
「お、おねえざま、またでずが!く、くく、た、耐えてみせ-----まず」
「そうよ~、外にいる間は無色無臭だけど、身体の中に入ると、刺激臭を発生させるの。外に出してるだけだから、察知系スキルが余程高レベルじゃないと反応出来ないわよ。さあ、耐えてみなさい!」
さあ、私が改良したアンモニア刺激臭に耐えられるかな?本来なら至近距離になると、匂いで気付くだろうけど、そこから少し改良したのよね。
「言っておきますけど、嫌がらせでやっているわけじゃないからね。実際にこういう攻撃をしてくる邪族がいるのよ。Sクラスの『ラフレシア』とかいう奴は、能力値こそAランクに近いけど、ありとあらゆる匂いで敵を死に導く厄介な奴なの。獣人にとって、天敵となる邪族ね」
へえ、前回の虚無魔法の罰ゲームで、耐性が出来たみたいね。結構耐えてるじゃない。
「ぐううぅぅぅぅーーーー、ご馳走のだめ、耐えてみせ-------じまった~~制御が~~うわあぁぁぁぁぁーーー落ちる~~~」
《ヒュゥゥゥゥーーー》
フィン脱落っと。
「あれ、止まった?あ、匂いが消えた!」
「さあ、イリスはどうかな?あと2分よ」
「ぐ、まだ、----半分ぐらいある?な、が、いよ------うう---限界、制御が~~~」
はい、イリスも脱落っと。
地面に激突すると、さすがに危ないので、地上3m程の所で止まるようにしておいた。
「どう、予想外の攻撃で制御が出来なくなった時の怖さは?」
「「怖すぎますよ!!」」
「この恐怖を克服しないとダメよ。空中戦の時、頻繁に動き回るから制御もかなり大変なの。こういった恐怖を感じたら、死に直結するわ。今のあなた達のスキル・魔法レベルだと、正直危ないわ。せめて、レベル20ぐらいまで上げておきなさい。虚無魔法の訓練を続けていけば大丈夫だから」
「「うう、わかりました。ご馳走は?」」
「ない!」
「「うわあぁぁぁぁぁーーー」」
2人は、泣き崩れてしまった。
前回は酷いことになったから作ってあげたけど、もうそんな甘い事はしません。
さて、『フリット』も修得させたし、王都に向けて出発しますか!
さて、ワイバーン達が若干私を見て挙動不審な態度を見せているけど、上空にいた時よりマシかな。
「ジン、ワイバーンから話は聞けた?」
「はい、こいつらはよく鍛えられていて、通常のワイバーンより知能も高いですね。俺達と同じ言葉を話せるようです」
へ~、ワイバーンはドラゴン種の中でも知能が低いから、言葉は話せないはずだけど、飼っている人がきちんと管理し教育しているのね。
「それなら手間が省けるわね」
「こいつらは隣国アルテハイムの者達でした。レーデンブルクに偽装して侵入し、フィンが帰ってくるようなら即座に暗殺するよう命じられたそうです」
暗殺か。約1年前、邪族がソフィアを操って、ステータス異常を起こし人の手で殺されるように仕向けて、戦争の引き金にしようと企んだわけだけど、今回はアルテハイムの連中が仕掛けてきたか。あの時、騎手達を見た時点では、スフィアートのマウロ司祭やクリンカ大司教のように邪族に操られたような感じはしなかった。でも、騎手達は私を見て畏れた。確実に何かあるわね。
「ふ~ん、暗殺ね。レーデンブルクとアルテハイムは同盟を結んでいるはず、しかも第2王子レオンは、フィンの婚約者でもある。その状況で、どうして暗殺を?」
「それはワイバーン達にもわからないそうです。ただ、4ヶ月程前から、皆の雰囲気が変わったと言っています」
雰囲気が変わった?ガルディア帝国皇帝も、2ヶ月前に密偵を放ったけど帰ってこなかったと言っていたわね。
「どう変わったのかしら?」
「それが、外側から見る姿は以前のままなのに、中身の性格や力自体が何か違和感を感じると言っていました。それとサーシャ様を見た瞬間、ワイバーン達は得体の知れない畏れを感じ動けなくなりましたが、騎手達も動けない状態となりブツブツ言葉を言っていたそうです」
ワイバーンと騎手達で、私を見て感じた反応が違うか。
「なんて言っていたの?」
「小さい声だったので、殆ど聞こえなかったそうですが、聞き取れたのは【話が違う。あの方より、遥か格上の存在だ】ですね」
話が違う?あの方?私はそいつより遥か格上の存在?
そう言った後、墜落して灰になったということかな?
通常の人なら死んでも灰にはならない。邪族は、そのまま死体として残る。人でも邪族でもない存在----悪魔?---そう決めつけるのは、まだ早いわね。
「うーん、情報が足りないわね。それだけだと、こいつらが何者か判断出来ないわ」
「お姉様、悪魔と関係あるのでしょうか?」
「現時点では、なんとも言えないわね。ただ、私を見て畏れた以上、人ではない事は確かね。この子達はどうしようかな?騎手がいなくなって、野良のワイバーンになったわけだけど、一緒にレーデンブルクの王都に行く?」
『『『行きます。サーシャ様、なんでもしますから食べないで下さい』』』
「食べないわよ。どうして、その思考になるのよ!」
「師匠、リッカのせいです。小さな声で美味しそうと言ってました」
「リッカ」
「ひい!すいません。少しお腹が空いてきたから、つい思ってしまいました」
全く。
「安心しなさい。あなた達をレーデンブルクの王都に連れて行きます。そこで、新たな騎手を探しなさい」
『『『ありがとうございます!!!』』』
レーデンブルクとアルテハイム間で、大きな事件が起こらないと良いんだけど。
そろそろ、お昼になるし昼食にしましょう。
「せっかく、ここで降りたんだし昼食にしましょう」
「やった!昼食だ!」
リッカがこれ以上お腹を空かせたら、ワイバーン達が胃潰瘍になる気がするわ。
○○○
う~ん、フィンの様子が少しおかしい。やはり、ワイバーンの話を聞いたせいだろう。昼食(ハンバーク、サラダ、餃子、唐揚げ、ライス)をいつもの半分くらいしか食べていない。レオン王子やアルテハイムが気になるのかな。それにしても、現状レーデンブルクは平和で、同盟国であるアルテハイムは何かが水面下で動いている。レーデンブルクの王様も何か知っているはずだから、王都に到着次第、話を聞かないとダメね。
「フィン、元気出しなさい。アルテハイムが気になるのはわかるけど、今からレーデンブルクの王に会いに行くのよ。1年ぶりの再会なんだから、まずは家族団欒に集中しなさい。その後にアルテハイムの話を聞いて、対処すればいいわ」
「そ、そうですね。はい、そうします。1年ぶりに家族に会えるんですから、今はそれだけを考えておきます!」
急に食べ始めたわ。うん、いつものフィンに戻ったようね。
「そうそう、王都にある王宮にはワイバーンの着陸場所があるの?」
「はい、ありますよ。王宮の端に広い場所があります。そこがワイバーンの着陸場所で、騎士団の訓練場所でもあります」
ふむふむ、せっかく家族に会えるんだし、少し驚かせてあげようかな。
「フィン、王様達を驚かせましょうか?」
「ふぇ、どうやって驚かすんですか?」
「簡単よ。あなたが空を飛べるようになればいいのよ」
「うおおぉぉぉぉーーー」
「師匠、是非教えて下さい!」
「お姉様、私にも教えて下さい!ここなら、練習しても問題ありません」
「それじゃあ、昼食を食べ終わってから練習ね」
「「はい!」」
----昼食を済ませ、練習を開始しようかなと思っていた時、イリスが真剣な顔で悩んでいた。
「ジンさん、お願いがあります!」
「なんだ?イリスからお願いというのは珍しいな」
ジンにお願いね、内容は察しが付くわ。私達は、今から空を飛ぶ魔法『フリット』を練習する。イリスはスカートを履いている。ジンは今、人間形態でいる。イリス的に見れば、当然抵抗はあるか。
「私達が訓練している間、ワイバーン達と一緒に周辺を警戒していてくれませんか?」
「----わかった。せっかくだがら、王都周辺までワイバーン達と遊ぶか」
ジンもわかったようね。
「ジン、私も行く。見てるだけだとつまんないよ」
結局、ジンとリッカは神獣形態となり、ワイバーン3体と周辺のパトロールに向かった。
「イリスにも羞恥心があって良かったよ」
「ええーー、フィン姉、急に何を言いだすんですか!私にだって、羞恥心はありますよ!」
「マルコ遺跡での件があるからね」
「あそこでは男性が誰もいなかったから、ああ言っただけです!」
さあ、始めますか!
「今のあなた達の魔法レベルなら、すぐにマスターするでしょう」
『フリット』に必要なのは、風魔法と空間魔法の2つ。2人とも虚無魔法の練習で、空間魔法のレベルも8になったから全く問題ない。というか、基礎能力値の高さの割に魔法レベルとスキルレベルが伴っていない。全部私の所為なんだけど、レーデンブルクでは、今持っている魔法とスキルレベルを全て10以上になってもらおう。
フリットの説明を行い、実際にやって見せた。2人の飛び方は、始めは拙かったけど30分程でコツを掴めたようだ。慣れた頃に少しずつ高度も上げていき、現在私達は上空500mにいる。
「2人ともフリットで飛び続けている限り、1秒で1ずつ魔力が減っていくから注意しなさい。あと、飛ぶ速度も速ければ速い程、魔力消費が激しくなる。それを抑えるには、風魔法と空間魔法のレベルをどんどん上げていきなさい」
「「はい!!」」
「イリス、これ凄いね。まだ慣れないけど、これをマスターしたらワイバーンとレースが出来るよ!」
「ワイバーンとレースする意味がわかりませんが、凄く気持ち良いのはわかります。高さにも、大分慣れてきました。フィン姉はどうですか?」
「ジンさんやリッカに乗っていた時に感じた高さの感覚と、自分で飛んでる時に感じる感覚が違う時は少し驚いたけど、もう大丈夫だよ」
うーん、何やら楽しんでいるのは構わないけど、危険性も教えておいた方がいいわね。
「さて、2人とも大分慣れてきたのはいいけど、飛んでいる時の危険性も教えておくわね」
「ふぇ、危険性ですか?」
「お姉様、どういった危険があるのですか?」
ごめんね2人とも。危険性を教えるために、天敵である【あれ】を使わせてもらうね。
「空を飛んでいる時、最も怖いのが魔法を解除されること!それはわかるわね?」
2人は互いの顔をお見合わせた後、当然の如く頷いた。
「時には、地上もしくは空から予期しない攻撃が来る。それが最も怖いのよ。今から実践します。ただ、この高度は高いから、もう少し降下しましょう」
私達は、ビル10階に相当する高度30m付近のところまで降下した。
「お姉様、確かにこの程度の高さなら攻撃が届きますね」
「でも師匠、仮に攻撃が来たとしても、今の私達なら感知して避けれますよ。試してくれても良いですよ?」
ほほう、それなら試させてもらいましょうか!
「言ったわね?それじゃあ、試させてもらいましょう。もう攻撃してるわよ。もし、これに5分間耐えきれたら、あなた達が望むご馳走をありったけ作ってあげるわね」
「「ふぇーーーありったけのご馳走ーーーーー!!!頑張ります!!!」」
さあ、どうなるかな?
「?それらしき気配がない-----ひ!全身に鳥肌が!か、か、むぐぐううぅぅぅぅーーーー、じ師匠、まさか、攻撃というのはあれでずか?」
「お、おねえざま、またでずが!く、くく、た、耐えてみせ-----まず」
「そうよ~、外にいる間は無色無臭だけど、身体の中に入ると、刺激臭を発生させるの。外に出してるだけだから、察知系スキルが余程高レベルじゃないと反応出来ないわよ。さあ、耐えてみなさい!」
さあ、私が改良したアンモニア刺激臭に耐えられるかな?本来なら至近距離になると、匂いで気付くだろうけど、そこから少し改良したのよね。
「言っておきますけど、嫌がらせでやっているわけじゃないからね。実際にこういう攻撃をしてくる邪族がいるのよ。Sクラスの『ラフレシア』とかいう奴は、能力値こそAランクに近いけど、ありとあらゆる匂いで敵を死に導く厄介な奴なの。獣人にとって、天敵となる邪族ね」
へえ、前回の虚無魔法の罰ゲームで、耐性が出来たみたいね。結構耐えてるじゃない。
「ぐううぅぅぅぅーーーー、ご馳走のだめ、耐えてみせ-------じまった~~制御が~~うわあぁぁぁぁぁーーー落ちる~~~」
《ヒュゥゥゥゥーーー》
フィン脱落っと。
「あれ、止まった?あ、匂いが消えた!」
「さあ、イリスはどうかな?あと2分よ」
「ぐ、まだ、----半分ぐらいある?な、が、いよ------うう---限界、制御が~~~」
はい、イリスも脱落っと。
地面に激突すると、さすがに危ないので、地上3m程の所で止まるようにしておいた。
「どう、予想外の攻撃で制御が出来なくなった時の怖さは?」
「「怖すぎますよ!!」」
「この恐怖を克服しないとダメよ。空中戦の時、頻繁に動き回るから制御もかなり大変なの。こういった恐怖を感じたら、死に直結するわ。今のあなた達のスキル・魔法レベルだと、正直危ないわ。せめて、レベル20ぐらいまで上げておきなさい。虚無魔法の訓練を続けていけば大丈夫だから」
「「うう、わかりました。ご馳走は?」」
「ない!」
「「うわあぁぁぁぁぁーーー」」
2人は、泣き崩れてしまった。
前回は酷いことになったから作ってあげたけど、もうそんな甘い事はしません。
さて、『フリット』も修得させたし、王都に向けて出発しますか!
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