邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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5章 レーデンブルク 悪魔討伐編

バーンからの定期連絡

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今、私はジンの神獣形態(ユニコーン改)に乗っている。そして、フィンとイリスはリッカの神獣形態(グリフォン)に乗っている。

ワイバーン達がフィン・イリス・リッカと楽しそうに話している。さっきのパトロールで良い事があったのかな?

「ジン、ワイバーン達がリッカ達と楽しく談笑しているんだけど、何かあったの?」

「暇だったもので、ワイバーン達とレースをしたんですよ。そうしたら、ワイバーンの奴等、速さは我々より遅いのですが、時折ある障害物を軽々と回避するんです。その回避方法に全く無駄がないので、徐々に差が詰まってきて、私もリッカも少々焦りましたね。結果は私達のギリギリの勝利でした。私もリッカもワイバーン達を甘く見ていました。レース後、障害物の回避方法を教えてもらったのですが、その時にお互いが意気投合し、今の状態となりました」

うんうん、仲良くなったのは良いことだ。たださ、そのレース、どこでやったのよ。障害物があるということは、確実に一部地上が入っているよね?

「----ジン、そのレースどこでやったのかな?」

「レーデンブルク上空を駆け回りましたからね。所々人気のない峡谷を通りましたが、迷惑は掛けていません」

「獣人達に迷惑を掛けていないのならいいわ、まあ仲良くなれたんだからいいか」

これで獣人達に迷惑を掛けていたら、トラウマに残る程のグリグリ攻撃をするところだったわ。

《ピピピピ》

む、これはバーンさんからだ。ドーピング勇者とドーピング聖女の意味がやっと明らかになるわね。

《バーンさん、ドーピング勇者と聖女の理由を聞かせて下さい》

《ああ、順々に説明していこう。俺達は大森林を抜けた後、シルフィーユ王国のマルティークの街に辿り着いた。そこで、ギルド長直々にある依頼を受けた。とある村に向かった冒険者達が戻ってこないというもので、原因を解明して欲しいというものだ》

ふーん、そこから始まったんだ。

《村に到着した途端、ある奇妙な視線を感じた。その時点で視線の正体はわからなかった。村周辺を探索して見たが、何も見つからなかった。変化があったのは夕食の前からだ。ハルトの精神一到で、数人の村人に何か妙な気配を感じたらしい。その気配をさらに探ろうとしたが、何も感じなかったそうだ。》

村人から妙な気配を感じたけど、探っても何も感じなかったか。

《そして、夕食時に大きな動きが起こった。スープに入っていた直径2cm程のドス黒い実があって、俺・リフィア・ハルト・ミカはそれを食べても問題なかったが、ヨシキとシンヤが死にかけた。ユミは食べていない》

死にかけた!穏やかじゃないわね。その黒い実というのは何かしら?

《ハルトのおかげで、ヨシキとシンヤも無事だ。黒い実の正体もわかった。名前はトイフェルベリー、中に悪魔が入っている。トイフェルベリーを食べたものは、精神を侵され悪魔に乗っ取られる。乗っ取られた後、身体の中で悪魔と人が戦い、悪魔が勝った場合は乗っ取った奴の能力全てが奪われ、悪魔自身と人の身体が完全に一体化される。ハルトが精神一到で見た限り、悪魔の討伐方法には2つある。一体化した後に殺すこと、もう1つはサーシャ本人かサーシャの加護を持った奴が食べれば、それだけで討伐完了だ。討伐が完了すると、一体化した人ごと灰となる》

悪魔は、トイフェルベリーという形になって召喚されていたのか。でも、どうして直接召喚しないのかしら?

《バーンさん、悪魔はどうして人の身体を乗っ取るという面倒くさい手段をとっているんですか?》

《そこは俺も気になったがわからん。わかっているのは、どの異世界でも魔王は勇者によって必ず討伐されている。その魔王の討伐以降、魔族は他の種族によって、必ず虐められている。そのせいで、全ての異世界の魔族達は1つの思いに辿り着いた。【魔王を討伐する勇者がいるのなら、勇者を討伐してくれる者がいるはずだ】----とな。それらの思いが異世界間にある次元の狭間で混ざり1つとなって生まれたのが悪魔だそうだ。おそらくだが、次元の狭間で生まれたせいで、実体が伴っていないのかもしれん。これまでに奴らは、他の異世界で数多く召喚され、多くの勇者を葬ってきたそうだ。俺の直感だが、どの異世界でも召喚の際は、直接ではなくトイフェルベリーのように間接的に召喚され、誰かに乗り移り一体化しているんじゃないかと思う》

うーん、悪循環している。どの異世界の神達も、平和のための工夫をしないのだろうか?それとも、単に面白がって放置しているのだろうか?そして悪魔、おそらくバーンさんの直感は正しいと思う。そうでも考えない限り、トイフェルベリーにする意味がわからない。なんとなくだけど、ドーピング勇者とドーピング聖女と連呼された意味がわかったわ。

《もしかして、悪魔討伐する前にトイフェルベリーを大量摂取しましたか?》

《当たりだ。村長に説明して、トイフェルベリーを集めてもらったら3kg程の大量のトイフェルベリーを持って来やがった。加護のある俺達だけで、1人100個近くは喰ったんじゃないか?》

《あはは、急激に力を上げた状態で、悪魔に挑んだんですね?》
《ああ、俺とリフィアは勘付いていたが、ハルトとミカは戸惑っていたぞ》

そりゃあ、戸惑うでしょうね~。

《まあ、結果的に大量摂取しなければヤバかったな。今回の悪魔は中級で基礎能力値は約5万程だ。俺とリフィアは30万前後、ハルトとミカは13万前後になったぞ。2人は何の苦もなく、いきなり10倍近く上がったせいで、ドーピング勇者・ドーピング聖女と呼ばれたわけだ》

そりゃあ言われるわね~~。ネット小説で、喰っただけで強くなった勇者は私の知る限り知らない。多くの経験を積み、仲間が死んで強くなっていくのが鉄板だからね。久保君、竜崎君、夕実が怒るわけだ。3人にも加護与えたいけど、ごめんね。

《なるほど、それでドーピング勇者とドーピング聖女ですか。バーンさん、【これからも宜しくお願いします。ドーピング勇者とドーピング聖女のお2人】と伝えておいて下さい》

《ククク、ああ伝えておこう》
《でも、これでハイエルフ達に問題なく謁見出来そうですね》

《ああ、その後どうなるかが不安だがな》

《それは相手次第ですね。正体が佐江と努で、戦いになりそうな時は私の名前を出して下さいね。向こうも、涼見凌一に何か起こった事は勘付いているでしょうから》

《ああ、わかった。極力話し合いで済ませたいところだ》

悪魔か。そうなると、アルテハイムから送られた暗殺者達は悪魔で確定ね。

《バーンさん、こちらからも報告があります。つい先程、ワイバーン3体に乗った連中と遭遇したんですが、私を見るなりワイバーンも騎手も怯えて墜落しました。墜落した場所には、ワイバーンが3体いましたが、騎手の姿はなく灰だけが残っていました》

《なに、灰だと!そうなると、アルテハイムは?》

《最悪、悪魔の巣窟になっているでしょうね。レーデンブルクは見た感じ平和ですが、現状なんとも言えません。レーデンブルクの国王に会って、状況を確認したいと思っています》

《サーシャの方はレーデンブルクとアルテハイム間で、何かが起こるかもしれんという事か。俺達は、ハイエルフとの謁見、状況次第では戦いになる可能性もあるか》

ここから、お互いに大きな動きが発生するかもね。

《バーンさんの方は、戦いは避けて下さい。絶対に勝てませんからね!》

《強くなったとはいえ、1000万を超える連中と戦うつもりはない!そっちも気を付けろよ。悪魔の階級には、下級・中級・上級・帝級・王級が存在する。中級で5万となると、王級は相当な数値となっているはずだ。油断するなよ》

《わかっていますよ。見つけ次第、徹底的に潰します。そちらも、虚無魔法を早く使いこなして下さいね》

《ああ、こいつを使いこなせれば、また強くなれるんだからね。徹底的にやってやる。勇者達にはもっと強くなってもらわんとな》

ああ、みんな、バーンさんがやる気に満ちているよ。訓練、頑張ってね。


○○○


バーンさんとの通信も終わり、私は悪魔について考えていた。バーンさん達が急激に強くなった事を考えると、下級悪魔の基礎能力値は恐らく2万くらいだろう。中級悪魔は5万程となると、上級・帝級・王級はかなりの高さになるわね。多分、帝級になってくると、邪王より強いかもしれない。今のフィン達で勝てるかどうかわからないわね。まずは、ここレーデンブルクで虚無魔法の訓練を行い、スキルレベルを上げておきましょう。

「リッカ、ジンの隣に来てちょうだい」
「わかりましたー」

「師匠、どうかしたんですか?」

「バーンさん達から通信があったわ。どうやら、悪魔は神によって、既にこの世界に召喚されていたそうよ」

「「「「えーーーーー!」」」」

バーンさんから聞いた流れを全員に伝えた。

「師匠、トイフェルベリーが全ての国に広まっていたら、レーデンブルクやアルテハイムは!」

「レーデンブルクは現状わからないけど、アルテハイムは最悪の状況を考えると、悪魔と邪族の巣窟になっている可能性が高いわ」

フィンには辛いだろうけど、この時点で伝えておいた方がいいわ。

「そ、そんな!」

「テルミア王国のエレノア様、ガルディア帝国の皇帝、ウィルさん達に伝えないといけないわね。そして、エレノア様経由でテルミア王国の国王に、皇帝経由で魔国レムナントの魔王様とシルフィーユ王国の国王やその他の国々にも伝えてもらいましょう。迅速に行わないと、手遅れになる可能性があるわ」

私は、早速エレノア様→皇帝→ウィルさん達順に通信を行なった。全員に、悪魔が既に召喚されている事を伝えると

《なんですって!》
《なんだと!》
《なんだと!》

大変驚いていた。悪魔は始めに【トイフェルベリー】として木々に召喚され、それを食す事で食べた人の身体を乗っ取り、精神を喰べる事で人と一体化する事を説明した。そして、悪魔の討伐方法をつ3つ教えておいた。

1) 私の加護を持つ者は、食べる事で討伐可能
2) 乗っ取りに関しては、虚無魔法で悪魔のみを討伐対象に指定し、人に当てれば討伐可能。ただし、その場合は人の身体の中にある悪魔の核を破壊しなければならない。
3) 一体化に関しては精神が喰われているため、人を救う事は不可能。普通に虚無魔法で乗っ取り同様、核を狙い討伐すればいい。

これに加護を持つウィルさん達は難色を示した。悪魔を進んで喰べる人はまずいないから当然の反応だ。【喰べる事で、強さを得ますよ】と言ったら渋々納得してくれた。全員に、最悪の状況になる前に迅速な対応をお願いしておいた。現在、私の加護を持つ人達は、ガルディア帝国にはキース皇子、テルミア王国にはアレイルさん、魔国レムナントにはウィルさん達4人、シルフィーユ王国には桜木君達4人いるから大丈夫だろう。他の国々にはいないから、皇帝に頑張ってもらおう。

「トイフェルベリーに関しては、フィンとイリスは加護があるから問題なし、リッチとリッカとジンは私と契約しているから加護と同等の効果があるので問題なし。よって、レーデンブルクに到着したら-----」

「ふぇーーーー、師匠待って下さい。もしかして----」
「そう食べるのよ。この際、悪魔とか忘れて美味しい果物と思って食べなさい」
「お姉様、私達全部聞いた後ですよ。果物と思えないですよ!」

「ジン、私達は問題ないよね。バクバク食べれるよね?」
「無論だ。何百、何千でも食べれるぞ」

その言葉を聞いて、フィンとイリスの顔が真っ青になっていた。

「「何百、何千!!」」

「2人とも、観念しなさい。レーデンブルクやアルテハイムの人達の為よ」

「!!うう、師匠、わかりました。みんなのために悪魔を食べます!」
「-----わ、わかりました、お姉様。トイフェルベリーを果物と思って食べます」

うん、それでいいのよ。なんか、私が脅迫しているような気もするけど良いでしょう。



『あの~サーシャ様、そろそろ王都に到着します』

ワイバーン達に言われ、前方を見ると大きな街が見えてきた。


あれがレーデンブルクの王都か。フィンの両親がいる場所ね。
これから当分は、この王都にいることになるわね。


さあ、フィンと家族の感動の再会後、悪魔討伐といきますか!
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