記憶喪失となった転生少女は神から貰った『料理道』で異世界ライフを満喫したい

犬社護

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10話 新たな出会い

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ロイドさんが受付嬢ミリムさんのもとへ行き、フロストヴァイパーの話をすると、かなり驚かれ、隣接されている解体所へと移動して、そこでロイドさんの持つ魔道具[収納鞄]から出されたかのように、私が保管庫から魔物を出した。かなりの大きさだったけど、解体師さんがあっという間に解体していき、革、内臓、骨、肉など全て含めて28万ゴルドで買い取ってくれた。

お金はロイドさんの口座に全額入れられ、その後に私の口座へ送金されたけど、1万ゴルド(銀貨10枚)だけは、私のポケットの中に入っている。何処かで高額商品のお買い物をする場合は、店側に冒険者カードを提示し、魔道具を経由することで、口座から使用金額分を引き落とされる仕組みになっているけど、カード引き落とし可能な魔道具を持っていない店もあるので、平民や冒険者たちは、現金払いが出来るよう、1万前後を手元に残しているんだって。

お買い物の方法を教えてくれたところで、ロイドさんは街の観光案内ついでに、ガイドブックに掲載されている安くてオシャレな服屋へ連れて行ってくれたので、私はサイズに合う手頃な冒険服と従魔用の首輪、荷物入れ用のリュックサック、財布、ハティス用のブラシなどを購入し、その後は武器屋に行った。本当なら、訓練で自分に見合う武器を探してから購入するものだけど、生活費にも余裕があるので、護身用として短剣を購入した。

購入金額を全部合わせると、合計で54000ゴルド。
まだまだ余裕があるけど、無駄遣いは禁物。

自分で荷物を持ち、ハティスに従魔用の首輪を付けたので、そのまま地面に下ろし歩かせて、1時間くらい街中を案内してもらい、街の地理をある程度理解したところで、足を止める。そこはメイン通りから外れた場所にあって、不思議な静けさが漂っているせいか、とても気分がいい。私たちの足を止めた場所には、1つの建物があり、看板には【せせらぎの宿】とある。

「ここはの宿泊費用は、1日3000ゴルドと良心的だ。その上、料理も美味く、接客態度も良く、従魔の寝泊まりも部屋内で可能だから、ユイやハティスも快適に暮らせるはずだ」

「そんな良い宿なら満室なんじゃあ?」

「心配ない。冒険者ギルドで魔物を解体中、時間があったから使い魔を召喚して、空き状況を確認している。1室空いていたから、私のお金で1週間分予約しておいた」

「1週間も!」

「始めの1週間だけは、私が宿泊費を持つ。後見人としての表立った支援はここまでだが、何か困っている事が起きたら、ガイドブックに掲載されている私の邸へ訪れるといい」

解体中、私もガイドブックを拝見したけど、最初にロイドさんが写真付きで掲載されていた。彼は、ネルヘン樹海に接するドライトーク子爵領を治める領主で、樹海のバランス維持や領地内の治安維持が、主な任務となっていて、領民の人たちからの支持も高い。こんな街に住める許可を貰えて私も嬉しいし、ロイドさんやブライトさんが、後方から見守ってくれていると思うと、不思議と安心感を感じてしまう。

「ロイドさん、色々と支援してくれてありがとうございます! 私はハティスと一緒に、この街で生活できるよう頑張ります」

「冒険者ギルドでは、定期的にランクFのみ参加可能な新人教育訓練がある。これからは、私も訓練教官として定期的に参加するから、そこで私かロベルトさんに相談するのもありだ。ここでお別れだが、やっていけそうか?」

「はい!」
「任せてよ、僕がユイを守るから!」

私たちは笑顔で手を振りながらロイドさんと別れて、せせらぎの宿へと入っていく。

○○○

「美味しい!」
「お、嬉しいね~。ユイちゃん」
「僕の夕飯も美味しい!」
「ハティスもありがと」

せせらぎの宿は個人経営のため、部屋数は6室しかない。経営者はベイツさんという男性で、料理人でもあるから驚きだ。受付担当は奥さんのマリアンネさん、男勝りな女性で、元気のない宿泊者がいても元気づけてくれる。

「ハティス、おかわりあるよ~~~」
「欲しい!」

ハティスに話しかけているのは、2人の子供レイナちゃん。
まだ、7歳の女の子。

私たちが宿に入ると、初めに出迎えてくれたのがレイナちゃんで、接客態度も文句なしで、しっかりと教育されていることに驚いた。

「はい。これで10ゴルド追加だね~」

にっこり可愛く笑うレイナちゃん。
あの笑顔で勧められたら、誰でも断れないと思う。
これ、狙ってやっているのかな?

「う…ユイ…」

ハティスのお皿に追加された従魔用のフード、見た目は固形で小粒タイプのドッグフードやキャットフードに似ている。

「初日だし余裕もあるから、大丈夫だよ。いっぱい食べて」
「ありがとう!」

余程気に入ったのか、フードをパクパク食べているハティスも可愛い。

「ユイお姉ちゃんは、明日から冒険者として活動するの?」
「そうだよ。当面は私とハティスだけで活動して、この街での生活に慣れたいかな」

明日から、私たちの冒険者活動が始まる。ランクFの依頼をこなしながら、新人教育訓練も受けて、どんどん強くなっていかないとね。私の場合、これ以上魔法とスキルを習得できないから、統合型スキル[料理道・極み]の中にあるスキルだけで魔物とも戦わないといけないから、勉強も必要だ。

「腹へった~~~」

私とレイナちゃんが話し合っていると、入口の玄関扉が開いて、歳の近い茶髪の男の子が入ってきた。

「あ、リオンだ! おかえり~~~遅かったね」

あの子は、リオンって言うんだ。

「ああ、今日はダンジョンに入り浸っていたからな」
「また、ダンジョン? ……大丈夫なの?」

レイナちゃんが、心配そうな顔でリオンを見る。

「今日潜ったのはランクEのダンジョン、アイテム集めが目的だから、深い階層まで行ってないから安心しろ」

あれ? そういえば、仲間が入ってこない。

「もう、また1人で潜ったんでしょ!」
「仕方ないだろ…って、あれ? 宿泊客が1人増えた?」

あ、こっちに気づいてくれた。

「初めまして、私はユイ。こっちは、従魔のハティス」
「俺はリオン、よろしく。従魔って……もしかしてブラックフェンリルの子供?」
「そうだよ。小さいけど、強いんだから」

リオンが興味を持ってくれたのか、フードにがっついているハティスを見ている時、マリアンネさんが声をかけてきた。

「リオン、ユイとパーティーを組んでみたら?」
「はあ!? いきなり、何を?」

リオンが驚くのも無理ないけど、私たちがこの人とパーティー?
会ったばかりだし、断るのも気を悪くしちゃうからどうしよう?

「あんた、危なっかしいのよ。見ていて、ハラハラするもの。あなたの強さと性格を受け止められる仲間がいれば、安心するんだけど?」

「だからって、会ったばかりの彼女を紹介するのはおかしいでしょ! そもそも、この子たちにも選ぶ権利があるわけで…」

この人、ちゃんと私やハティスのことを考えてくれているんだ。
他人を気遣える人なら、一緒に行動してもいいかもしれない。

「あの…私たちは構いませんけど、今日登録したばかりのランクFです」
「ど新人じゃん!」
「それじゃあ、こうしましょう。ユイは、2日後に実施される冒険者ギルドでの新人教育訓練に参加して、能力をリオンに見極めてもらうの。その能力次第で、判断するってのはどうかしら?」

「まあ、それなら構いませんけど」

話の流れで、私の能力次第ってことになったけど、強奪されたばかりで料理しか取り柄のない状態なのに大丈夫かな?
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