奴隷商人(仮免)~異世界で奴隷商人になりました~

(゚∀゚)アヒャ

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第一章:奴隷商人(仮免)始めました。

第五話

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 翌朝目が覚めると、昨夜のことは何も無かったかのようにすっきりとしたファノンの姿が見ることが出来た。変に意識してしまう私と違って、ファノンはいつも通りだった。

 勘の鋭いエリーが仕事に向かっているのが幸いか、私のいつもとはちょっと違う行動は怪しまれずに済んだ。

 ちなみに昨日ケツ穴をこれでもかといじられていたミアは、寝る前に彼女にかけておいた回復魔法(奴隷専用)によって特に痛みなどは無いようであった。
 

 朝食を終え、今日やらないといけないことを先に済ませていこうと二階の自室へ向かった。やることは二つある。一つ目は相も変わらず、ミアの調教メニューの変更だ。彼女の調教というか教育メニューは順調という言葉では表せないほどの速度で消化されている。この2週間で、もともと予定していた三か月の予定のうちの三分の一、つまり1か月分を消化していた。このまま早めに教育を終えるか、追加で教育を施しスーパーミアにするかで悩んでいるのだ。

 この世界で高級奴隷というのは、ある程度の教育が施されており、肉体労働以外で何かしら主人にとって有用であるならだれでも高級奴隷になるのだ。主人が商人であれば、高い計算能力やコミュニケーション能力なんかが求められるし、娼館であれば、磨き上げられた美貌や生まれ持った出自、床の技術なんかが重要視される。

 そして、私が狙っている貴族相手になると、それこそ求められる能力は様々だ。先ほど述べたものはもちろんのこと、使用人としての礼儀作法、いざという時の高い教養などが求められる。正直な話、何が求められるかわからないのが貴族相手だ。奴隷商人の店主も貴族相手の交渉は骨が折れると言っていた。


 ちなみに悪徳貴族なんてものは、この世界ではほぼ存在しない。この世界で貴族に任命されるのは、王の信認を十分に得ていること、優れた成績を残していること、そして神のことを崇拝していること。この3点でなることが出来るのだ。

 万が一、神に対して不義理な行動。例えば、神の子である人民を不当に搾取するだとか、治世を乱そうとするだとかすると、容赦なく王様に連絡が入り最悪お家断絶、良くて当主交代になる。

 そのため、領民を不当に搾取する悪徳領主等存在せず、馬鹿な貴族も存在しない。これの何がやばいかというと、基本的に高スペックな人しかいないのだ。そこに奴隷を売り込もうとしても生半可なスキルでは、門前払いだ。

 以上のことを考えると、当初の3ヵ月間の時間を使ってみっちり教育を施すのが重要だろう。

 二つ目の問題だ。それは……。


「貴族とのコネクションはどうやって作ろうかな……。」

 そもそも、貴族とのつながりがないということである。もちろん最初は、彼女をもらったところの奴隷商人を使って売り込もうと思ったが、どうやらとてつもなく高い手数料を取られそうなのだ。今でも、ダナンさんのところで仕事を2日に1回ペースでして何とか調教を続けられているのに、紹介料に払うような金なんか財布を逆さに振っても落ちてこないという状態だ。

 あそこまで高い手数料を取るとは知らなかった。ダナンさんに聞いたところ、別におかしな話では無く、それほど貴族とのコネクションというものは価値のあるものだというのだ。いざという時は、ダナンさん経由で紹介してあげると言われたが、家までもらっている以上更に頼るわけにはいかないというのが私の考えであった。

「いい天気だし、外歩いてくるか。」

 リビングで勉強している二人に声を掛け外を歩くことにした。仕事を増やそうにも、ダナンさん以外の住民のつながりと言えば宿屋の親父とリサぐらいだ。一応顔見知りと言える人は何人かいる者の、交流というと本当に数えるしかいないのがなんとも寂しさを感じさせる。

 元の世界でもそこまで交流を広めるタイプではなく、狭く深くが基本だった私にはつらい状況だった。そんなこんなで、街をぶらぶらと歩きまわり、ちょっとした小道に入ったときにそれは起こった。

「おい、ぶつかって。詫びもなしかよ。」

 よくいるチンピラが、まだ10歳ぐらいであろう少年にガンをつけていた。チンピラの方は、酒に酔っているのか昼だというのに酒瓶を片手にふらふらしていた。この様子を見るに、チンピラが酔ってぶつかったのにも関わらず難癖をつけているようだった。

「さっき謝ったではないか!」

 少年の方も、負けず劣らず威勢の良い感じだった。おそらく両親の教育が良かったのだろう、一応避けれなかった非を認めたらしかった。しかし、相手が悪かった。

「なーに、いってんだ。詫びって言ったらこれに決まってるだろうが!」

 チンピラの方は指を輪っかにして、お金のマークを作った。この世界のチンピラなんて元居た世界のチンピラよりもたちが悪い。要するに想像を絶する馬鹿なのだ。切れたらすぐに手が出る、それならば元居た世界でも変わらないが、そのレベルが違う。それこそ、死ぬまで暴行するのだ。そして、死んだ後の死骸から身包みをはがす。

 正直よくファンタジー小説で書かれている山賊なんかよりもたちが悪い。山賊は町の中に居ればエンカウントしないが、チンピラは小道で出会ったのが最後、素直に金を払うのが吉なのである。ちなみに夜道では大通りですら危険だ。

「金なんぞお前に払うわけがないだろう!」

 少年は勢いよく啖呵を切った。少年の言いたいことは良くわかる。元居た世界なら国によっては通用する言葉だろう、しかしこの世界では最悪だ。

「てめぇ、ぶち殺すぞ。」
「やってみるか!」

 どうやらチンピラの切れやすい堪忍袋の緒が切れたらしかった。普段ならここで見捨てる選択をとっていたと思うが、この時の私は違った。彼の身に着けている服装に目がいったのだ。

 少年の服装は、町中にいる人に頑張って似せようとした形跡が見受けられるが、どう考えても高級品だろうと予想がつく出来栄えだった。推測するにどこかの箱入り息子なのだろうと予想して、彼を助けたときの打算も含め助けようという選択を選んだのだった。

「おい、そこの兄ちゃんちょっとこっちを見てくれ。」
「あ、なんだ?てめ……。うわっ、何しやがる。」

 チンピラの前で見せたのは小さな木の球であった。ただし、これはただの木の球ではない。びっしりと魔法陣が書かれた魔道具だった。これはダノンさんと出会ったときに、私があまりに貧相だったので逃走用にとくれたものだった。魔力を消費するため、もう一度使うには誰かに魔力のチャージをして貰う必要があるが、効果は絶大だった。これは、見たものの視力と平衡感覚を一時的に奪う魔道具だ。

 一見とても強そうな魔道具だが、魔力の強い人や魔物には通用しないし、あくまで一時的なので切れる前に逃げないといけなかった。

「逃げるぞ!」

 私は、少年の手を握ると一目散に大通りへと逃げ始めた。最初は何がなんやらわかっていないようだったが、次第に私の横を軽々と並走して大通りまで逃げることが出来た。

 荒く息を吸ったり吐いたりしている横で全く息が切れていない少年は、私の方を見ていった。

「なんで、逃げた?」
「ん?そりゃ……はぁはぁ……君が戦って死ぬのを見るよりかは、生きているほうを見たほうがいいだろ。」
「俺が負けるだって⁉」
「君は丸腰だろ。相手は腰にナイフを刺していた。正直あのまま戦っていても勝てる見込みは薄いよ。」
「そんなこと……。」

 彼はその言葉を言うとうつむいてしまったが、顔をあげたときには理性を感じさせる目をしていた。

「いや確かに、そうかもしれん。助かった。」
「いいってことよ。で、君の家はどこだい?送っていくよ。」
「いや、それでは……。」
「抜け出してきたのかい?」

 彼は私の言葉を受けて小さくうなずいた。家から抜け出したのにも関わらずすぐ家に連れ戻されるのは嫌なのだろう。

「まあ、いいや。で、これからどうするの?」
「そうだな……。飯を食いたい!」

 悩んだ末に出てきた言葉が飯を食いたいとは、なんというか庶民的な坊ちゃんだった。しかし、彼の服装を見るに金を持っているような様子はなかった。

「お金は持っているのか?」
「俺が持っているのは、これだけだ。」

 そう言って見せてきたのは、10万ユリスの小金貨だった。これで庶民の食事処で飯を食うとか、いったい何人前頼むつもりなんだと言いたくなった。さらに言えば、そのお金は私の全財産とほとんど変わらなかった。

「その金は、高すぎて基本的に使えないぞ。」
「そうなのか⁉」
「しょうがない、俺の家で食っていくか?今から戻ればうちの人が作ってくれると思うぞ。」
「本当か⁉かたじけない!」

 少年は、人を疑う事を知らないようだった。世間の波にもまれ人を信じることよりも疑うことの方が多くなってしまった私には非常にまぶしい物が感じられた。

「君の名前は?」
「うーん。レンと呼んでくれ。」

 自分の名前で悩むやつがいるのかと言いたい。おそらく偽名だろう、この時点でこの少年が結構上の地位にいる方のご子息だろうと考えた。さっきの謝る時の動作も、この国の礼儀作法に則ったものだった。

「お前の名前は?」
「私の名前はヒサシと呼んでください。」
「ヒサシか、さっきの魔法具と良い。お前はなにものだ?」
 
 レンは若干警戒しているようだった。チンピラに襲われ、都合よく魔法具を持った男がそれを助ける。そういわれてみると、都合がよすぎると考えるのも無理はなかった。

「私はしがない奴隷商ですよ。さっきの魔法具は恩人に、お前弱そうだから上げると渡されたものです。」
「な、奴隷商⁉」

 レンは私が奴隷商ということに驚いたうえに、更に警戒を強めた。

「あなたを誘拐するなら、奴隷商と名乗らんでしょう。それに奴隷商といっても、まだ奴隷を売ったことがないのですよ。」
「奴隷を売ったことがない?」
「そうですよ。一応、奴隷を教育して高値で貴族に売ろうと考えているのですが、伝手がなくてね。さあ、着きましたよ。」

 ついついそんな事をレンに愚痴りながら歩いていると、家についた。
 
「ただいま。」
「お帰りなさいませ。ご主人様、その少年は?」
「チンピラと言い争ったところを助けたんだ。彼の分の昼飯をつくってくれとファノンに伝えてくれ。あと いい機会だから、彼を主人として練習してみろ。名前はレンだ。」
「承知いたしました。」

 出迎えてくれたのはミアだった。主人が返ってくるところを出迎える所作も十分なものになっているし、粗もなくなっている。ファノンがいい教育を施している証拠だった。

「初めましてレン様。私はミアと申します。短い間ですが、私をご主人様の奴隷のように扱っていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「……。」
「ん、レン様?」

 レンは顔を赤くしていた。
 ミアはこの2週間で非常に美人に成長していた。毎日あっているためそこまで意識していなかったが、素朴ながらも野原に元気に咲く一凛の華というべき美しさを持っていた。そんなミアがドストライクだったのか、レンは顔を真っ赤にして棒立ちになってしまっていた。

 内心もしかしたら気に入ってくれるだろうかと思っていたが、予想以上だ。

「返事をしてあげてください。」
「あ、ああ。ミアだなわかった。」
「はい。」

 棒立ちになってしまったレンの手をミアが取り、リビングへと歩いていく。ミアの方が背が高いため後ろから見ると姉と弟に見えてしまうのは致し方ないことだった。

 彼が来てから数十分、レンをリビングに座らせるとミアは厨房へと言ってしまった。さっきまで握ってもらっていた手をにぎにぎとし、ボケっとしているレンがいたが次第に冷静さを取り戻しているようだった。

「ヒサシ、あのミアという少女は奴隷なのか?」
「そうですよ。彼女は私の手がけている奴隷第一号です。」
「そ、そうなのか。奴隷とは思えぬ所作だったが、元はどこかの貴族の娘か?」
「いや、北方の村で奴隷商に買われて連れてこられた一般奴隷ですよ。」
「北方の村ということは、去年あった飢饉の影響か。」
「そういうこと、そしてそれを私が貰って教育してるってわけです。」

 レンはきょろきょろとあたりを見回した。

 この家は人をもてなすほど家具があるわけではない。一応応接室なんかもあるが、この金欠の状況では整備できずに物置と化している。

「この家はヒサシの物か?」
「まあ、貰いものだけど一応は私のものだよ。」
「そうなのか……。他に奴隷はいるのか?」
「売り物じゃない奴隷なら二人いるよ。今のところ商品はミアだけだな。」
「一人だけなのか?ふつうはもっと大量の奴隷を扱うのではないのか?」
「まだ駆け出しだからなぁ。しかも、うちは貴族様や上級商人相手の商売をしようと思っているから一人相手のコストが段違いなんだよ。」

 まあ、その分値段は高く設定するけどなというと、レンはなるほどと納得したような反応を見せた。正直10歳やそこらの少年にする話では無いが、この坊ちゃんなら通じるだろうと思って話してみた。

 そんな話をしているうちに、食事が運ばれてきた。今日の食事はサラダとパスタ、それと後からカツレツが出てくるようだった。

「ほら、冷めないうちに食べるぞ。」
「お、おう。」

 腹をすかした少年であるレンはミアから出された食事を一口食べてうなるように旨いと高らかに言った。そして、まるで飢えた獣のような速度で出されたものを食べきったのだった。

「これはミアが作ったのか?」
「そうでございます。お口に合いませんでしょうか?」
「いや、こんなにうまい物は久しぶりに食べた。」
「お代わりをお持ちしましょうか?」
「頼む!」

 ミアのお手製ジェノベーゼは彼のお口に合ったらしかった。こちらの世界にはバジルのソースをパスタに絡めるなんて発想がなかったのだ、そのためこの料理は私が提案しファノンとミアの二人で再現したレシピだった。

「これはなんていうんだ?」
「ジェノベーゼですよ。野草とナッツ後は植物油などを使って作ったソースです。」
「本当にうまい!」
「もしよろしければ、瓶詰にしたものをお土産に持って帰りますか?」
「いいのかヒサシ!」

 このソースのいい所は保存がきくところである。大量の油が基本となるこのソースでは腐ることはそんなにない。そして、最近大量に作ってストックしておいたので大丈夫だろうと考えたのだ。こんなものでこの少年に気に入られるのなら安いものだ。

「これもうまい!」

 レンは次に持ってこられたカツレツもおかわりをした。どこに大量の食事が入っているのかわからないが、少年の時なんてそんなものだと思い。ほほえましく思った。

「ミアの料理は本当にうまいな。」
「そんな事ございません。ヒサシ様やファノン様に教えてもらったからできるのです。」
「そうなのか……。」

 レンはその言葉を聞いて何か考え込むと、私の方を向いた。

「聞きたいのですが、ミアの値段はいくらなのでしょうか?」
「ミアの値段ですか……。」

 これを聞くということは、ミアを買いたいということだ。正直自分がしつけた奴隷を欲しいという人に会えるのはうれしいが、ミアは未だ教育の途中だ。

「値段がつけられません。」
「どういうことだ?」
「正直に申しますと、ミアは修行中なのです。後少なくとも2か月半は私の元で修行を付けます。それからの販売となるので、その時次第としか言いようがありません。」
「そうなのか……。およそでいいから値段を聞きたいのだが。」
「使い捨ての一般奴隷の相場は一人3万ユリス前後です。ですが彼女はもはや一般奴隷ではありません。今だけでも、文字の読み書き、簡単な計算、炊事、礼儀作法、それに夜のお作法も身に着け始めています。三か月後には高級奴隷でも高位のランクになるでしょう。」
「それで、いくらなのだ。」
「最低でも500万ユリス。おそらく1000万ユリス以上の取引となるでしょう。」
「1000万ユリスか……。」
「これはあくまで予想。ミアがさらなる成長をなせばおのずと金額は上がって行くでしょう。」

 これは嘘でもなく本当だ、三か月後のミアの価値はこの家と同等のものになっていると推測された。これは見学に行った奴隷商にいた高級奴隷の値段を参考に出した金額だ。もしもミアがエルフならこれの百倍は下らない値段を付けられる。

 そう考えてみると、ファノンを正式に買うとなると膨大なお金が必要になる。本当に、彼女を選ぶことが出来てよかったと思う。

「分かった。」
「どうにか、父上を説得して買ってもらえるようにする。」
「本当ですか?」
「二言はない。」
「では、一応ミアはレン様が予約を一番に入れたということにしましょう。」
「うむ。」
「万が一、御父上を説得できなかった場合は、別の方にお売りすることになりますがよろしいですか。」
「大丈夫だ。必ず説得して見せよう。」
「分かりました。」
「ヒサシ。」
「なんでしょうか?」
「またこの家に来ていいか?」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ。」
「ありがとう。」

 レンはそういうと、ミアの手を握り絶対に私のものにしてみせると宣言をし、渡したお土産のジェノベーゼソースの入った瓶をもって外に出て行ってしまった。

「なんというかすごい方でしたね。でもいいんでしょうか?」
「なんだ、ミア?」
「その、彼が私を購入するという約束は……。」
「無理だったらしないだろう。おそらく彼は貴族のご子息だ。難しく考える必要はないだろうよ。」
「それならいいんですが。」

 おそらくミアに一目ぼれした様子であった少年の心は、未だミアには通じていないようだった。どちらかというと実家にいた弟に重ねているのだろう。

 私はミアとファノンに食事をとるように言うと、二階に上がり一応正式な予約書を制作することにしたのだった。


 レンという名の少年と出会ったその夜、昨日に引き続きミアのケツ穴を開発し、エリーを犯した。しかし、いつもと違ったところがあった。今日は、エリーにミアと一緒に寝るように言ったのだ。

 レンという少年との出来事でミアの心がどうなるかわからないから一緒に寝てあげてくれなどと適当な理由をつけてミアと寝させたが、本当の理由は違った。

「入ってもいいですか?」

 昨日約束した通り、ファノンが私の部屋にやってきたのだ。

「入っていいよ。」
「失礼します。」

 ファノンは、私の勝手あげた寝間着を着ているようだった。特に装飾などは着いていない無地のだったが、その代わり触り心地の良い素材で作られている。ちなみに私も男用の同じようなものを着ている。

「あの、その……。」
「こっちに座らないか?」

 私は自室に備え付けられているソファーに彼女を誘った。彼女を呼ぶ前に、ちょっとした軽食とワインを部屋に運んでいたのだ。

「失礼します。」
「これを……。」
「はい。」

 私は陶器のグラスを彼女に渡し、ワインを注いだ。自分の分にも注ぐと、小さく乾杯と言ってワインをあおった。久々に飲むワインだったが、悪くはなかった。近くにワインの産地があるらしく、この街では美味しいワインが安く飲めるのだ。

 エリーと一緒にいるとすぐに寝てしまうため、このように夜食を食べることが出来ない。一応、夕食でも出そうとすれば出せるのだが、誰かと一緒に飲まない酒はどこか寂しくて、飲む気分にならないのだ。

「美味しいかい?」
「はい、おいしいです。」

 ファノンはどうやらいける口らしかった。今まで一人だけ飲むことはできませんと、断ってきていた彼女だったが、人目がなければ一緒に飲んでくれるようだった。

 下から持ってきたバケットに大豆のペーストを載せて食べると、久しぶりに元の世界の居酒屋に来たような感覚になる。この世界でも居酒屋というか、気軽に入れるバーみたいなものはあるがそこまで夜遅くまではやっていない。遅くとも夜の9時には閉まってしまうのだ。夕食が基本的に5時に始まると考えると妥当なのかもしれないが、私としてはもっと遅くまで飲みたいなと考えてしまう。社畜時代の唯一の楽しみと言えば酒ぐらいしかなかったのだ。

「ご主人様……。」
「なんだ?」
「私は、こんなに良くしてもらっていいのでしょうか?」
「どうした?」
「私はご主人様の奴隷です。」
「そうだな。」
「でも、ご主人様は私を奴隷のように扱いません。このように私にワインをついでくれたり、一緒にお酒を飲ませてもらっています。」
「私がそう望んでやっているんだ。そんなに気にしなくてもいいんじゃないか?」
「確かにそうかもしれませんが……。私は、ご主人様に恩を返したいです。」

 彼女はそういうと、目をつぶり私の方へと顔を向けてきた。工芸品のような彼女の顔はとても美しく、私なんかが手を出して本当にいいのか一瞬考えさせるほどだった。しかし、ここまでしてくれる彼女の心を無駄にできないと気を持ち直して、彼女の肩に手をやりそっと唇を落とした。

「ん……。」

 彼女の唇は昨日したキスよりも格段にいい物だった。緊張のない柔らかな唇、ほのかに香ってくる彼女の匂い、そのどれもが素晴らしいものだった。一回だけでは物足りず、私から何度もキスを求めてしまった。

「ご主人様……。」

 瞳を潤ませこちらを見てくるファノンはとても可愛いらしかった。そっと彼女の腰に腕を回し、自分の身体に引き寄せた。彼女の身体がぴとっとくっつくと、最近感じていなかった巨大な双丘が私との間でつぶれるのを感じた。ドクンドクンと高鳴る鼓動を押さえ、彼女の髪に鼻を埋めると、香しい華の匂いがした。

「いつまでも、こうしていたい。」

 そうつぶやいてしまうほどに、彼女の身体は抱きしめやすかった。柔らかい女性の身体、いつまでも嗅いでいたい匂いそのどれもが心を落ち着かせてくれる。

「私もです。」

 いつまでも続けばいいのにと思う時間であったが、その時間を崩したのは私自身であった。

「んっ……。」

 私の手はいつの間にか下に降りて行って、彼女のおしりを撫でまわしていた。さらさらとした寝間着の下に隠された大きな臀部は気持ちの良い暖かさと、弾力があった。エリーやミアのような弾むような弾力ではなく、指が沈み込みはするが優しく跳ね返してくれるものだった。ついつい手をで揉みこんでしまいそうになる極上の尻を思う存分堪能し始めたのだ。

「気持ちいいです。」

 私の耳元でささやかれる彼女の綺麗な声は私の興奮を高めてくれる。先ほどよりも、強く彼女を抱きしめ彼女の身体を探っていく。服の下に入れた手で感じる彼女の肌はきめ細やかな触り心地で、エルフの身体とはどれだけ気持ちの良いものかと驚愕させるほどだった。サキュバスとも、人間とも違う触り心地の良い肌を触っているとそれだけで一物が立ち上がってくる。

「あぁ、はぁはぁ……。」

 いつの間にか、彼女の服は乱れに乱れていた。ズボンは半分下げられそのきれいなケツを見せていて、上着も開けさせていた。カメラがもしあるのならば、永久保存しておきたいと思うほどの色気を感じさせていた。そして、それを自由にできるということが嫌にでも私の心を高ぶらせていく。

「脱がせるぞ。」

 彼女にそういうと、私は服を完全に脱がせた。エルフの姿のファノンは言葉に言い表せないほど美しいものだった。綺麗にくびれた腰にそこから伸びるすらりとした脚、目線を上に持っていくと、片手でつかみきれないほどの巨乳にもかかわらず、重力に逆らい上を向いている釣り鐘型のおっぱい。正直自分の心に従って彼女を今すぐ押し倒し自分のものを入れたかった。しかし、それと同時に彼女の姿を見たいという私がいた。

「そんなに見つめないでください。恥ずかしいです……。」

 彼女は自分の胸を手で隠すようにして身を縮こませた。それは悪手だった。彼女の白い腕につぶされる巨乳は更にいやらしく形を変えるだけだったのだ。

「ひゃん。」

 彼女をだきよせると、彼女の巨乳に吸い付いた。別に巨乳に限ったわけじゃないが、乳を見るとどうしても吸い付きたくなる性分なのだ。それが極上の物であればなおさらだろう。

 彼女の胸は、今まで吸ったどの胸よりも私を受け入れてくれた。ツンととがった乳首を嘗め回せばびくっと体が動き、彼女の乳房にキスを落とせば、唇に彼女のいつまでも触っていたくなる肌が出迎えてくれる。これは触った時も同様だ。おしりを触ったとき以上に柔らかい乳房はどこまでも私の指を出迎えてくれる。

「ふふふ、まるで赤ちゃんですね。」

 彼女は私の頭をなでながら背中を叩いてくれる。これは人によっては恥ずかしくなるかもしれないが、極上の胸を堪能している私にとっては興奮を高めてくれるスパイスにしかならなかった。

「ん、はぁ。き、気持ちいい……。」

 ふと漏れ出るファノンの声は彼女が高ぶってきていることを教えてくれる。昨日と同じようにエリーのサキュバスの唾液の効果を受けている影響だろう。予想よりも早く、彼女の肌は汗ばんで塩気をもたらしていた。そして同時に、彼女の股が濡れてきていた。

「ああああぁ、そこは。」

 私は胸に吸い付いている間フリーになった手で下半身を攻め始めた、彼女の内ももをそっと触り、次第に陰部へと向かって行く。そしてそこにたどり着いたら手のひらで優しく触るのだ。

 もう、そこは濡れ濡れだった。手入れの行き届いた下の毛はぐちょぐちょに濡れており、膣からあふれ出てくる蜜は指を濡らした。第一関節だけ膣内に入れると、柔肉が私の手を奥に迎えようと運動を繰り返していた。

「ふぁああ、そこ!そこ気持ちいいです。」

 彼女は白い首をのけぞらせ叫んだ。ちょっと膣を触っただけなのにも関わらず、ぐちょぐちょに濡れたそこはもう準備万端だった。

「ご主人様、もう、もう!」

 彼女は興奮する自分を押さえられないのか、私を求めて叫んだ。その求めに応じようと、私は自分の亀頭を彼女の蜜壺に合わせた。亀頭を合わせただけなのにもかかわらず、彼女の膣がぐにゃぐにゃと動いているのが分かった。早く早くと言っているかのように動くファノンのくびれた腰をつかむと、勢いよく腰を前に進めた。

「ああああぁぁああ!」

 彼女は涙を流しながら喜びの雄たけびを上げた。私の肉棒が彼女の下がってきている子宮を突き上げたのだ。グネグネと動く膣肉は私の息子を優しくダメにしていく。強い力ではないがドロドロにとろけているそこは、あり得ないぐらいに気持ちが良かった。

「うをぉぉぉーーー。」

 私はそんな彼女の身体を我慢が効かない子供のようにがむしゃらに腰をふるった。今まで経験してきたことなど忘れてしまったような腰の振り方だった。彼女を気遣う余裕などみじんも見せずに、ただ自分の快楽のために腰をふるう。

 腰をふるうたびに揺れる乳房を思う存分揉み下し、彼女の柔らかな唇を奪った。まるで母親にわがままをぶつける少年のようだった。

「は、は、ああぁあああぁ。きもちいいい!もっともっと。」

 彼女ももう訳が分からなくなっているようだった。彼女の白い肌には汗が浮かび、パンパンパンという音とともに彼女の口から嬌声が漏れる。いつの間にか彼女の脚は私の腰に巻きついていた。

「いくぞ!」
「きて、きて、きて!」

 私は今日一番腰を前に突き出し、子宮の穴を突破しそうなほどの力を込めた。そして彼女の子宮の目の前で私は爆発した。ここ最近では一番の射精だった。彼女の母のように柔らかく包み込んでいる柔肉はここでも、私を優しく迎えてくれた。ドクンドクンと脈拍するたびに彼女の肉がきゅっと閉まり、射精を助けてくれる。ダメになってしまいそうな射精であった。
 
「はぁはぁはぁ……。」

 荒く息を吐く彼女はぐったりとしていた。柔らかな乳房には汗が浮き、手足はだらんと力が抜けている。しかし、そんな状態でも彼女の膣は優しく肉棒を刺激してくる。そんな彼女の状態を見ていると再度私は高ぶってきてしまった。

 半立ち状態だったペニスは、彼女の膣の中で元気を取り戻していき、再び腰をふるえるほどの硬さまで戻っていた。私が、彼女の腰をつかみ再度腰を振り始めると、彼女はびっくりしたように言った。

「まだ、ですか……。」
「今日は寝かさない。」

 私は、そう宣言するとどこまでも優しく迎えてくる彼女の身体におぼれていくのだった。
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