【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

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期待をこめて

厨房は聖域 1

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 棗と同棲をして、朋志が一番にしたことは、近所の”簡単!””初心者向け”と枕のついた料理教室に通うことだった。

 


 生徒はだいたい、朋志よりも若い女性が多い。

 女子力を上げるため、花嫁修業をするため、美味しいものが食べたい人…
 理由はいろいろだったが、どの生徒も手際がよく、朋志は上級者コースに迷い込んだかのような錯覚を受けた。
 初心者とはいえ、教室に通おうという人は、意識が高く、料理に関心があるので、最低ラインのことはできるのだ。
 
 生徒たちも、もたつく朋志を気の毒そうな目で見ている。
 土付きのサツマイモを洗いながら、うなだれる。
 なかなかきれいにならない。サツマイモ一本を洗うために、死罪レベルの水量を使っていることに気づいていない朋志である。
 「丸目さん、変わってあげる」
 「あっ」
 同じ生徒の葛山かつらやまさんがササッと洗い上げる。すごい。
 「ありがとうございます」
 「…いいよ」


 ――― 夢は遠いなあ…

 いや、朋志も意識は高い。意識だけは。

 教室に通う前の朋志は、疲れた棗にタンパク質豊富なメニューを主菜、副菜、汁物、デザートを毎日提供している姿を想像していた。
 さらに、誕生日には、ケーキやチキンのパーティメニュー。カレンダー行事には見合った食事…。

 「これを朋志さんが?嬉しいです」 
 美味しい、ありがとうございますと言って微笑む棗がいたのだが…。

 もはや生きているうちには実現しなさそうな、壮大な夢に思えてきた。弟子に思いを託すか、記憶を持ったまま生まれ変わるか。異世界召喚されたらチートになれるというが…。いやいや、千里の道も一歩からと言うし、通い続けることに意義があると言い聞かせ、今日も包丁や調味料と格闘した。

 

 ちなみに。
 この教室通い…棗には内緒である。


 なぜなら、棗に知られたら、「僕に作らせてください」「朋志さんは食べてくれるだけでいいですよ」と、朋志を傷つけないようにキッチンから遠ざけられる気がするからだ。
 いや、棗に他意はないと思う。彼は親切1000%で朋志を食べ専に育てようとしていると思うのだ。
 適材適所で言うなら、確かに朋志は食べ専だ。作る方の才能がない。才能を置き忘れたところを思い出せたら取りに行きたいと思うほどだ。

 しかし、同棲する前から薄々わかっていたことだが、棗は忙しい。朋志よりもずっと。
 フルタイム勤務になった朋志よりもさらに倍の倍は忙しい。
 そんな中、朋志の三食を気にかけてくれている。
 ありがたいが、申し訳ない。

 掃除と洗濯はだいたい朋志の仕事なので、分担といえばそうだが…。なにかのときには朋志を頼ってくれるくらいにはなっておきたい。
 戦局は厳しいが、”棗の笑顔”というモチベーションがある。


 棗の、「朋志さんすごいです!」の称号を獲得するため、若い女性に混ざって今日も頑張るのだ。


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