僕の甘美な眠り姫

須藤慎弥

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僕の甘美な眠り姫⑲※

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   発情期をズラしてこうする事に、多大な意味があった。

   千里の本心を知りたかったからだ。

   久遠と千里の想いは一緒なのだと、怖がらないで自分に正直になってほしいと、久遠は願っていた。

   ぐちゅぐちゅといやらしい音をわざとに立てながら、鼻先が当たるほど千里の蕩けた顔へ迫る。


「ちー君、言っていいんだよ。  僕が守ってあげるから。  絶対にちー君を傷付けたりしない。  ちー君の隣に居ていいのは、僕でしょう?」
「…っ…だめ、だめだってば…っ、赤ちゃん、作らないとだから…!」
「僕との赤ちゃんを産めばいいじゃない。  何がどう違うの?」
「久遠は、ヒトだもん…っ、あっ…やめて、そこ……やだ、だめっ」
「いいこと教えてあげようか」
「………っっ?」


   宿命に怯えて、千里はなかなか素直になってくれない。

   滴る愛液が久遠を絶えず誘ってくるので、もう我慢できないとばかりに膨張した自身を取り出した。

   現れたそのものの大きさに千里がビクついて離れようとしたが、細い腰を支えていた久遠の左手がそれを許さない。

   久遠は、千里のヘソを舐めてフッと微笑んだ。

   千里のすべてを手に入れるべく、早く挿入りたいと望んでやまないそこへ先端をじわりとあてがう。


「ヒトと獣人が結ばれても、血は絶えないんだよ」
「…………え……?」


   今から何が起こるのかを想像していたに違いない千里が、ぽかんと呆けた顔で久遠を見た。

   その説明はしてやらないまま、千里の頬に優しくキスを落として自身を握る。


「ごめんね、ちー君。  ちょっとだけ我慢してね」
「何っ…?  やっ……そんなおっきいのむりだ、よっ……あぁーーーっ」


   先端を挿れると、奥から溢れ出てくる千里の温かい愛液とぶつかり恍惚とした。

   今千里から放たれている甘い香りは、フェロモンではない。

   それなのにどうしてこんなにも意識が飛びそうになるのか、久遠はもう気付いてしまった。

   大好きな人を前に欲情するのは、ヒトも獣人も変わらないのだ。

   か弱く久遠の肩にしがみついてくる腕を取り、千里の唇を甘噛みして興奮を煽った。


「……はぁ…ちー君の中、最高だよ…。  とろとろなのにすごく狭い…」
「うぅっ、……久遠っ…ちーはどうしたら、どうしたらいいの…っ?  どうしたら…!」
「僕と結婚したらいいの。  ちー君からまだ聞いてないよ。  僕の事どう思ってるの?」
「…っ、ほんとに、血は絶えないの…っ…?  ちー、久遠と、結婚できるの…?」
「そうだよ。  しなきゃだめなんだよ」
「……っ…ちーは…、ちーは……っっ」


   惑う千里のために動きを止めてやる。

   ジッとしていると中が僅かに収縮し、まるで遊ばれているかのような感覚を覚えた。

   Ωである千里の性器を甘く見ていた久遠は、内心では早く動きたいと雄の本能が暴れていたが、ようやく本音が聞けそうな今、アイツがしていたように余裕綽々で居たかった。



「久遠のことが、好き……、結婚したいっ、久遠がいい…!」



   困ったように眉尻を下げ、笑顔ではなく泣き顔でそう告白された。

   ───愛おしくてたまらない。

   この言葉が聞けて、天にも登る気持ちだった。

   千里が大切に守り抜いてきた秘密は、久遠の騎士っぷりのおかげで誰にも気付かれていないけれど、それはもう今日でおしまいだ。

   震える体をふわりと抱き寄せて、愛おしい思いを伝えるように獣耳と髪を同時に撫でた。


「僕も大好きだよ。  ちー君、これからは何も隠さないで生きようね。  僕が守ってあげるから、これからちー君はありのままで…生きようね」
「…………うん…っ!」


   泣き笑う千里のもふもふな尻尾が喜びを表していて、もふもふと久遠の腕に絡みついてくる。

   指先が千里の愛液にまみれていなければ撫でてやるのに、今の久遠にはその余裕すら無かった。





   獣人だという枷を外してやれた事にホッと安堵した。

   この体も、耳も、尻尾も、お姫様のように繊細な造りの顔も、千里のすべてが自分のものになった喜びに久遠も胸がいっぱいだ。

   壊れる寸前まで激しく貫いてみたいという欲求を、その日久遠は目一杯果たしてやった。

   それは、夜は元気なはずの千里がグッタリとなるほどであった。






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