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エナジードレイン①

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 俺たちの前に現れたブラックドラゴンはすでに戦闘態勢だった。対してこちらは、突如現れたブラックドラゴンによって浮き足立っており、士気が下がったままである。ガーンだな、出鼻をくじかれた。
 もしかしたら、それを狙ってここまで急いで駆けつけたのかも知れない。ちょっと息があがってハアハア言ってる。

 ブラックドラゴンは息を整えると、一気にこちらを片付けるべく、必殺のブレスの態勢に入った。上体を起こし、大きく鼻から息を吸い込み始める。これはまずい。そうはさせじと、ブラックドラゴンに向かってこやし玉を投げつけた。

 炸裂した鼻が曲がりそうな臭さに耐えきれず、ブラックドラゴンの顔が苦痛でゆがんだ。フッフッフ、臭かろう! これでしばらくは必殺のブレスを吐く気にはなるまい。

「テオってさ、えげつないことするよね。あ、その手でボクを触らないでよね」

 ミケが俺から距離を取った。ひどい。みんなのピンチを救ったヒーローなのに。持っても匂いが付かないような対策くらいしてあるのに……。
 俺の作り出した時間を好機と見るや否や、一斉に攻撃を開始した。

「アイシクル・ランス!」

 父上の魔法が炸裂したが、堅い鱗を貫くことはできなかった。ここは森の中。火力の高さに定評がある炎系の魔法は、延焼する危険性があるため使いにくい。使うとしても最後の手段だろう。
 父上の魔法と同時に魔法騎士団も攻撃を仕掛けたが、やはり堅い鱗に跳ね返されていた。

 タートルなどの装甲が堅く魔法が通りにくい魔物は、落とし穴にはめて蒸し焼きにするのが一般的な対処方法だが、空を飛べるドラゴンにはそれができない。たとえドラゴンの体を拘束できたとしても、その強力な力ですぐに拘束を破ることだろう。

「くっ、まさかこれほどまで堅いとは! やはりここは最大火力を出さねばならないか……いや、だが、それでも倒せるかどうか……」

 父上の顔色が悪い。どうやら相当分が悪いように感じているみたいだ。

「テオがダイヤモンドスピアーで串刺しにしたら? あれならドラゴンの鱗くらいへっちゃらだよ」

 ミケが事もなげに言った。ダイヤモンドスピアーねぇ。確かに貫通力はあるから、あの堅い鱗でも貫けそうな気はするけど……。

「それをやったらダイヤモンドの価値が無くなっちゃうよ。きっと宝石商人たちやダイヤモンド鉱山を持ってる領地とかが予想外の大誤算になるはずだよ。恨みを買うのはごめんだね」
「……」

 あれ? 父上がものすごく微妙な顔をしている。それを聞いていたであろう周りの人たちも俺から目をそらしている。まさに、見ざる聞かざる言わざるの構えである。
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