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今日も俺のビオラは可愛い③ あれ?主人公はビオラのはずなのですが俯瞰視点のほうが多いような……
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すでに俺とチェリー嬢の婚約解消の手続きなどは、伯爵のサインを貰えればいいだけになっている。
『え? 婚約解消ですか……?』
『ああ、少々問題が生じてね。このまま私と結婚しては、チェリー嬢が不幸になってしまう。それほどの重大事案なんだ。チェリー嬢はよくやってくれていたと思う。残念だが……君や伯爵を道連れにはできないからね』
『まあ、マロウ様……残念ですわ』
こらこらこら。目の前のチェリー嬢は、非常に残念そうに言っている。まったく残念そうに思っていないのがまるわかりの言葉だけ。口元と目がにっこにこだぞ。せめて、気の毒というか少しは残念そうな顔が出来ないのかとため息を吐きそうだ。
人を比べるのはあまり好まないが、素晴らしい女神のような俺の妻は、例え俺が困窮しそうであっても一緒について来てくれるだろう。
父も頼りない部分があるとはいえ、あれでも優秀な侯爵なのに、伯爵相手に手こずりすぎだ。だが、父から伯爵の言葉を聞くと、どうしたらそんな返事になるのかわからないほど、自信満々に伯爵オンリーワン理論をぶちかましてくる。伯爵は、常識人では考えられないような思考回路のようで、話をしているうちに、こちらのほうがおかしいのかと思うほどの物言いらしい。
因みに、父は伯爵にも例の写真を見せている。証人もいて、拗れるようなら出るとこ出ると伝えているし、今なら、慰謝料など形だけでいいと言っているのに、写真を合成だ、別人だ、間違いだ、結合部分が見えていないからこんな写真は無効だなど叫んだらしい。なぜ俺とチェリー嬢の婚約にそこまで固執するのか理解不能だ。
で、やはりというか、伯爵がチェリー嬢に対して、本人が乗り気じゃないのに俺との婚約を無理に頷かせたようだ。そうなると、チェリー嬢も被害者でもある。節度や俺に対する礼儀のレの字もなくて無礼ではあるが。
だが、俺だって本心では愛する唯一の女性がいるのだから、頭ごなしにチェリー嬢だけを責める事ができない。
父だけに任せていては、俺と愛しいビオラの幸せな未来が来ないと判断した。俺のビオラは、かわいそうに、俺が未だに婚約状態のままだから、一日千秋の思いで愛する俺と結ばれる日を切なく指折り数えている……。一日も早く、涙で枕が濡れるその愁いを取り除いてやりたい。
正攻法ではなかなか伯爵親子と縁が切れなさそうだ。だから、俺から逃げまくっているチェリー嬢をとっ捕まえて、そんな事実はないのだが俺の家が危ないというミスリードを狙った言い方で、彼女からも婚約解消に向けて動いてくれるようにアプローチする事にしたのだ。殿下との浮気を言えばしらばっくれて意地を張られてはたまらないからな。
このまま俺と結婚したら貧乏まっしぐらだと思い込ませて、俺から全力で逃げてもらおうじゃないか。逃亡先は、殿下の胸の中へご案内したい。
俺は、申し訳なさそうに、嘘ではない事実を織り交ぜながらチェリー嬢にしんみり伝えた。
『すまないが、伯爵は当方の窮地を知り、なおさら支援をしたいと、婚約を継続してくれるようなのだ。だが……このままでは誰も幸せになれない……申し訳ない……』
『マロウ様、どうか謝らないでください。困った事になりましたね。ですが、お父様だって、わたくしが苦労をするのは本意ではありませんでしょうし……。マロウ様のお気遣いに感謝します。わたくしには、侯爵夫人の地位は無理だと思っていましたの。ええ、マロウ様はとても立派ですし、誠実ですから、マロウ様個人に対して含みはありませんのよ? ですが、何のとりえもないわたくしが、窮地のマロウ様の妻になっても足手纏いにしかなりませんものね。お父様には、母を見初めていただいて後妻の連れ子であるわたくしを大切にしていただいていましたの。マロウ様との婚約をどうしても締結させたいって常日頃から言われていたので、ご恩を返すためにもこのまま結婚したかったのですけれど……。そういう事情なら、わたくしからもお父様に申し出てみますわね』
『ああ、優しい伯爵の事だ。当事者の君の気持ちを無碍にはなさらないだろう。その、チェリー嬢は本当に好いた相手がいるのではないか? 今回、こんなにも迷惑をかけたのだ。そういった相手がいるのなら是非とも協力させて欲しい』
チェリー嬢にはさっさと殿下と結ばれて欲しい。フリーのままだと、伯爵だって諦めなさそうだ。今すぐ生徒会の仕事をしている殿下の所に案内して、結婚おめでとうと祝福したい。
『え? ちょっと、この人ったらチョロいだけじゃなくてお人よしすぎない? そんなんだから没落貧乏になりかかってしまうのよ。道連れにされなくて良かったわぁ……ん、ゴホンゴホン。何やらのどにつっかえてしまいましたわ。申し訳ございません。マロウ様、そのお気持ちだけで十分ですわ。マロウ様と婚約していましたし、わたくしにはそういった相手は一切おりませんでしたからお気になさらず!』
『そうか?』
とんでもなく失礼な事を言われた。無事に婚約解消できた暁には、少々お礼をしたくなるほど不愉快極まりない。俺が殿下とのあれこれを知っているなど夢にも思っていないのだろう。殿下と愛し合っているという言質をとりたかったが、そりゃ、王族と浮気をしているなど、婚約状態の俺に言えるわけがないかと諦めた。
聞こえなかったふりで、チェリー嬢と二言三言話したあと別れた。
デンファレ殿下とローズ嬢の事はとりあえず後回しだ。まずは伯爵になんとかサインさせて婚約解消してもらうまで、殿下とチェリ―嬢のあれこれは、ローズ嬢にはきつすぎるだろうし秘密にしている。
ウスベニは、ローズ嬢を慕っている。小さな頃から、ずっと彼女を好きだったようで、殿下とローズ嬢の婚約で、あいつがげっそりやつれたのは記憶に新しい。
両親も俺もウスベニがこのまま儚くなるかと心配した。ほどなく気持ちを落ち着けたのか、徐々に笑顔が戻りほっとしたものだ。
表面上は殿下とローズ嬢は仲良く見えたし、愛するローズ嬢の幸せを思って身を引いたはずだ。
だが、
チ
ェ
リ
ー
嬢、襲来
……登場で、ローズ嬢が殿下から少々蔑ろにされているのを見て、ウスベニも思うところがあったのだろう。未だに慕うローズ嬢に近づきたくて彼女の発足した部会に入ったようだ。
ウスベニもまだ知らないが、殿下とチェリー嬢は深い関係になっているし、弟のためにも、ローズ嬢にも一日も早く婚約を解消させたいと思う。
その足で、俺を待ち続けているだろうビオラのいる、ローズ嬢の部会の場所にやってきたのというわけだ。
「ひゃいっ! マロウ様っ! なん、なな、なんでございましょう?」
ぼんやり、ローズ嬢(視線の先はウスベニではないに決まっている)をうっとり見つめていた俺のビオラが、俺の呼びかけに瞬時に反応してくれた。
耳まで真っ赤になって、俺を上目遣いでチラチラ恥ずかしそうに見上げて来るなんて可愛すぎるだろう。
その真っ赤になっている耳をぱくりと口に含んでもいいかな? いや、それはまだ早い。俺とビオラはまだ手をつないですらいないのだから。
「今日の活動が終わったら、少々時間を貰えないかな? 相談があるんだが……」
「は、はい。先日仰っていた事でございますわね? よ、喜んで……」
俺とふたりきりになるのを、喜んで、なんて本心をぽろっと口にした。こういう言葉や態度で、ますます俺を好きな様子がわかるのだ。俺とふたりきりになれるからか、嬉しそうに真っ赤になって最後の仕上げに入る俺の妻。
うん、素直で可愛いすぎて俺はどうにかなってしまいそうだ。
「ローズ嬢、ウスベニ。仕上げももう終わりだろう? あとの片づけはやっておくから、ふたりは先に帰ってくれないか?」
「ええ、マロウ様。マロウ様ならビオラさんに酷い事をなさらないでしょうし……。片付けなど後の事は心苦しいですが、お任せしてもよろしいかしら?」
「兄上、僕はローズ様を送り届けてきます。ビオラ嬢の事をよろしくお願いいたします」
「ああ、彼女の事は俺に任せて欲しい」
可愛い妻が、ローズ嬢が帰るのを残念そうに見送ったあと、出来上がったムースを冷蔵庫に入れた。
てきぱきと片づけを始める俺の妻は、料理上手だし、家庭的で素晴らしい。言動だって侯爵夫人に相応しい思慮深さと懸命さがある。こんな素敵な人が、今までフリーで、しかも俺を愛しているだなんて、俺はなんという幸運な男なのだろうか。
ふたりで共同作業(後片付け)をするこのひと時の、なんと心が満たされる事か。
ふとした拍子に、手が触れ合うだけで恥ずかしがる初心な妻の姿に、俺は我慢が出来なくなりそうで困ったのである。
※次回から本編に戻り、さらに進んでいきますね
『え? 婚約解消ですか……?』
『ああ、少々問題が生じてね。このまま私と結婚しては、チェリー嬢が不幸になってしまう。それほどの重大事案なんだ。チェリー嬢はよくやってくれていたと思う。残念だが……君や伯爵を道連れにはできないからね』
『まあ、マロウ様……残念ですわ』
こらこらこら。目の前のチェリー嬢は、非常に残念そうに言っている。まったく残念そうに思っていないのがまるわかりの言葉だけ。口元と目がにっこにこだぞ。せめて、気の毒というか少しは残念そうな顔が出来ないのかとため息を吐きそうだ。
人を比べるのはあまり好まないが、素晴らしい女神のような俺の妻は、例え俺が困窮しそうであっても一緒について来てくれるだろう。
父も頼りない部分があるとはいえ、あれでも優秀な侯爵なのに、伯爵相手に手こずりすぎだ。だが、父から伯爵の言葉を聞くと、どうしたらそんな返事になるのかわからないほど、自信満々に伯爵オンリーワン理論をぶちかましてくる。伯爵は、常識人では考えられないような思考回路のようで、話をしているうちに、こちらのほうがおかしいのかと思うほどの物言いらしい。
因みに、父は伯爵にも例の写真を見せている。証人もいて、拗れるようなら出るとこ出ると伝えているし、今なら、慰謝料など形だけでいいと言っているのに、写真を合成だ、別人だ、間違いだ、結合部分が見えていないからこんな写真は無効だなど叫んだらしい。なぜ俺とチェリー嬢の婚約にそこまで固執するのか理解不能だ。
で、やはりというか、伯爵がチェリー嬢に対して、本人が乗り気じゃないのに俺との婚約を無理に頷かせたようだ。そうなると、チェリー嬢も被害者でもある。節度や俺に対する礼儀のレの字もなくて無礼ではあるが。
だが、俺だって本心では愛する唯一の女性がいるのだから、頭ごなしにチェリー嬢だけを責める事ができない。
父だけに任せていては、俺と愛しいビオラの幸せな未来が来ないと判断した。俺のビオラは、かわいそうに、俺が未だに婚約状態のままだから、一日千秋の思いで愛する俺と結ばれる日を切なく指折り数えている……。一日も早く、涙で枕が濡れるその愁いを取り除いてやりたい。
正攻法ではなかなか伯爵親子と縁が切れなさそうだ。だから、俺から逃げまくっているチェリー嬢をとっ捕まえて、そんな事実はないのだが俺の家が危ないというミスリードを狙った言い方で、彼女からも婚約解消に向けて動いてくれるようにアプローチする事にしたのだ。殿下との浮気を言えばしらばっくれて意地を張られてはたまらないからな。
このまま俺と結婚したら貧乏まっしぐらだと思い込ませて、俺から全力で逃げてもらおうじゃないか。逃亡先は、殿下の胸の中へご案内したい。
俺は、申し訳なさそうに、嘘ではない事実を織り交ぜながらチェリー嬢にしんみり伝えた。
『すまないが、伯爵は当方の窮地を知り、なおさら支援をしたいと、婚約を継続してくれるようなのだ。だが……このままでは誰も幸せになれない……申し訳ない……』
『マロウ様、どうか謝らないでください。困った事になりましたね。ですが、お父様だって、わたくしが苦労をするのは本意ではありませんでしょうし……。マロウ様のお気遣いに感謝します。わたくしには、侯爵夫人の地位は無理だと思っていましたの。ええ、マロウ様はとても立派ですし、誠実ですから、マロウ様個人に対して含みはありませんのよ? ですが、何のとりえもないわたくしが、窮地のマロウ様の妻になっても足手纏いにしかなりませんものね。お父様には、母を見初めていただいて後妻の連れ子であるわたくしを大切にしていただいていましたの。マロウ様との婚約をどうしても締結させたいって常日頃から言われていたので、ご恩を返すためにもこのまま結婚したかったのですけれど……。そういう事情なら、わたくしからもお父様に申し出てみますわね』
『ああ、優しい伯爵の事だ。当事者の君の気持ちを無碍にはなさらないだろう。その、チェリー嬢は本当に好いた相手がいるのではないか? 今回、こんなにも迷惑をかけたのだ。そういった相手がいるのなら是非とも協力させて欲しい』
チェリー嬢にはさっさと殿下と結ばれて欲しい。フリーのままだと、伯爵だって諦めなさそうだ。今すぐ生徒会の仕事をしている殿下の所に案内して、結婚おめでとうと祝福したい。
『え? ちょっと、この人ったらチョロいだけじゃなくてお人よしすぎない? そんなんだから没落貧乏になりかかってしまうのよ。道連れにされなくて良かったわぁ……ん、ゴホンゴホン。何やらのどにつっかえてしまいましたわ。申し訳ございません。マロウ様、そのお気持ちだけで十分ですわ。マロウ様と婚約していましたし、わたくしにはそういった相手は一切おりませんでしたからお気になさらず!』
『そうか?』
とんでもなく失礼な事を言われた。無事に婚約解消できた暁には、少々お礼をしたくなるほど不愉快極まりない。俺が殿下とのあれこれを知っているなど夢にも思っていないのだろう。殿下と愛し合っているという言質をとりたかったが、そりゃ、王族と浮気をしているなど、婚約状態の俺に言えるわけがないかと諦めた。
聞こえなかったふりで、チェリー嬢と二言三言話したあと別れた。
デンファレ殿下とローズ嬢の事はとりあえず後回しだ。まずは伯爵になんとかサインさせて婚約解消してもらうまで、殿下とチェリ―嬢のあれこれは、ローズ嬢にはきつすぎるだろうし秘密にしている。
ウスベニは、ローズ嬢を慕っている。小さな頃から、ずっと彼女を好きだったようで、殿下とローズ嬢の婚約で、あいつがげっそりやつれたのは記憶に新しい。
両親も俺もウスベニがこのまま儚くなるかと心配した。ほどなく気持ちを落ち着けたのか、徐々に笑顔が戻りほっとしたものだ。
表面上は殿下とローズ嬢は仲良く見えたし、愛するローズ嬢の幸せを思って身を引いたはずだ。
だが、
チ
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嬢、襲来
……登場で、ローズ嬢が殿下から少々蔑ろにされているのを見て、ウスベニも思うところがあったのだろう。未だに慕うローズ嬢に近づきたくて彼女の発足した部会に入ったようだ。
ウスベニもまだ知らないが、殿下とチェリー嬢は深い関係になっているし、弟のためにも、ローズ嬢にも一日も早く婚約を解消させたいと思う。
その足で、俺を待ち続けているだろうビオラのいる、ローズ嬢の部会の場所にやってきたのというわけだ。
「ひゃいっ! マロウ様っ! なん、なな、なんでございましょう?」
ぼんやり、ローズ嬢(視線の先はウスベニではないに決まっている)をうっとり見つめていた俺のビオラが、俺の呼びかけに瞬時に反応してくれた。
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その真っ赤になっている耳をぱくりと口に含んでもいいかな? いや、それはまだ早い。俺とビオラはまだ手をつないですらいないのだから。
「今日の活動が終わったら、少々時間を貰えないかな? 相談があるんだが……」
「は、はい。先日仰っていた事でございますわね? よ、喜んで……」
俺とふたりきりになるのを、喜んで、なんて本心をぽろっと口にした。こういう言葉や態度で、ますます俺を好きな様子がわかるのだ。俺とふたりきりになれるからか、嬉しそうに真っ赤になって最後の仕上げに入る俺の妻。
うん、素直で可愛いすぎて俺はどうにかなってしまいそうだ。
「ローズ嬢、ウスベニ。仕上げももう終わりだろう? あとの片づけはやっておくから、ふたりは先に帰ってくれないか?」
「ええ、マロウ様。マロウ様ならビオラさんに酷い事をなさらないでしょうし……。片付けなど後の事は心苦しいですが、お任せしてもよろしいかしら?」
「兄上、僕はローズ様を送り届けてきます。ビオラ嬢の事をよろしくお願いいたします」
「ああ、彼女の事は俺に任せて欲しい」
可愛い妻が、ローズ嬢が帰るのを残念そうに見送ったあと、出来上がったムースを冷蔵庫に入れた。
てきぱきと片づけを始める俺の妻は、料理上手だし、家庭的で素晴らしい。言動だって侯爵夫人に相応しい思慮深さと懸命さがある。こんな素敵な人が、今までフリーで、しかも俺を愛しているだなんて、俺はなんという幸運な男なのだろうか。
ふたりで共同作業(後片付け)をするこのひと時の、なんと心が満たされる事か。
ふとした拍子に、手が触れ合うだけで恥ずかしがる初心な妻の姿に、俺は我慢が出来なくなりそうで困ったのである。
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