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妻が作る花のスイーツの行程ように、丁寧に花を開かせようと努力はするつもりはあったのだが① ※R15~
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絶対に、両親はビオラを気に入ると思ったんだ。特に母は可愛いものが大好きで、恋愛ものの小説や劇などが大好物。
実は父が最近伯爵の家にしょっちゅう行っているから浮気を疑われてしまい、母にあわや実家に逃げられるところだったため父がぽろっと全部白状した。
母はチェリー嬢の本質を見抜いていたようで、そこそこ俺の妻になって結婚後に交流を持つ事を楽しみにしていたようだ。だが、俺たちがお互いに気持ちがないどころか、特にチェリー嬢の状況や苦しい恋心を知り、病床にいる伯爵を問い詰める事に気が引けていた俺たちの尻をけ飛ばす勢いで解消のサインを貰ってこいと高らかに命令したのである。
『あなた、わたくし、実は気になっている事がありますの。1週間以内に解消の手続きがなされなければ、破壊された柵や、やすりですり傷だらけになりずたぼろになったテーブルについて話し合う事に致しましょうか? あと、あなたのコレクションルームのスペアキー、実はわたくし持っておりますのよ? 中にあるものをそろそろ処分させていただいてもよろしいかしら? 同じ工具ばかりをずらりといくつも並べていますものねぇ。ずっと、がらくたの粗大ごみだと仰っておられましたから構いませんわよね?』
なんと、父の子供の様な隠し事は母に全部バレていて、告白して謝罪しない父を呆れながらも許していたようだ。母が一度怒ると手が付けられない。暴れるとかはないが、静かに口を閉ざすのだ。挨拶などはするし、夜会は一緒にいく。だが、人形よりも冷たい何も感情を映さない瞳で2か月ほどは見つめられる。
あれはかなり精神的に堪える。悪い事をしたのは父だが、あれをされると数分で心が折れるというのに、それが2か月も続くのだ。最後のほうには、正々堂々と謝罪すれば母もあそこまで怒らせないのに、父の自業自得をしらーっと見ていたのが、憐れになっていくほど。
今回は俺に対しても、情けないやらなんやら、くどくどくどくど、夜中を過ぎて空が薄紅色に染まり始める頃まで説教された。俺は夫じゃなくて子だから、父のように無視されはしないが、長時間の母からの説教もかなりしんどい。
『マロウ、わたくしの育て方が間違っていたのかしら? 恋人になってくれそうな女の子がひとりもいないからチェリーさんとの婚約を支援していたのに。チェリーさんと縁がなくなったら、また縁談を組まないといけないわねえ。いるかしら……この際お金目当ての子でも誠実なら……』
父や弟に比べたら小さいが、そこそこガタイの大きい俺は、説教を受けている間、珪藻土マットの上におかれたカタツムリのようだったらしい。ちなみに、ウスベニもこれまで共犯だったから隣で叱られている。
大男三人を叱る母の姿は、まさに猛獣使いの可憐な少女のようだ、と使用人たちは感心していて母はますます尊敬されるのだ。
『母上、その言い方はあんまりです。それに、俺には大分前から愛し合っている女性がいます! ですから縁組など不要です』
『まあ、そのような女性が? どこのどなたなの? どんな子? いつどこで知り合ったの? 出会いは? デートはどこに行ったの?』
俺は、目をらんらんと輝かせる母に、ビオラの秘蔵の写真を見せた。生クリームをほっぺたにつけて、楽しそうにスイーツを作っている幸せな様子をこっそり撮ったもので一番のお気に入りだ。
『まあ、なんて可愛らしい子なの。こんなにも愛らしい子がマロウを? 本当に? あなたが無理やりこの子を彼女にしたとか、あなたの単なる勘違いとかではなくて?』
『本当です。ビオラは、すっと以前に俺を初めて見た時から恋に落ちて、ひそかに慕って愛してくれていたんです。ただ、俺には婚約者がいたから涙を流して密かに耐え忍んでいたようで……。今回、偶然にもビオラと接触する機会があり、俺も彼女に好意を抱いてたから、お互いに気持ちを伝えあい、今ではチェリー嬢も応援してくれているほど愛し合っています』
『まあ……マロウをそんなに……ビオラさんというのね。おうちの事を気にしているそうだけれど、由緒あるバイオレット子爵家のご令嬢なら問題ないわね。母としては嬉しい限りだわ』
物好きな子もいるのねえ……とぽそっと呟いた母の言葉は、実の息子に対してあまりにも失礼だ。しかし、今その事に反論すれば100倍になって『だいたい、あなたときたら~そもそも~』から始まって説教がぶり返すのがわかる。ここは口をチャックしておこう。
『母上、ビオラ嬢はローズとも仲が良く、とても気立ての良い優しい令嬢です。兄の先ほどの話は、僕としては少々思う所はありますが、どうやらビオラ嬢は兄を世界一素敵だと本気で公言しているほどですので、彼女の現在の気持ちは間違いないかと思います』
『それなら、なおさらチェリーさんとの事を一日も早くちゃんとなさい。いいこと? チェリーさんの名を傷つけるような方法は許しませんよ。それから、そうね、マロウの学園卒業からビオラさんをうちで預かれるように、もろもろの手配をお願いしますわ。家の準備はわたくしがきちんとしておきましょう』
そんな経緯があったので、すぐに母からビオラへ渡すよう家宝を託された。指輪はすぐにつけられるようサイズを直してビオラに贈った。
ビオラも両親と無事に仲良くなったようだし、彼女のために厳選した侍女たちとも上手く行っているようでほっとした。
『それでは若旦那様、若奥様の準備が整いましたので私どもは下がります。若奥様も若旦那様を心待ちにしておいでですわ』
『あ、ああ。何かあれば呼ぶ。お前たちは休むと良い』
俺の部屋に、侍女頭が訪れてビオラの就寝の準備が整った事を伝えられた。花嫁修業に来たのだ。ビオラもそういう事も考えてくれているだろう。結婚前に子が出来るような事は気をつけねばならない。両親にはビオラを気に入っているから、今日にも子供が出来てもいいとは言われているが。
ビオラには世界一幸せな花嫁になって欲しい。女の子は自分の夢見る結婚式のイメージがあるそうだ。お腹の大きな状態での式はあまり望まないだろうと思う。それに、妊娠中に疲れる式は大丈夫かもしれないが、やはり母子ともに危険だ。絶対に避けねばならない。
俺は、準備していた箱から、避妊具を数枚抜き取りポケットにつっこんでビオラの部屋に向かった。
上手くできるか不安だが、いよいよ待ちに待ったビオラとの愛の一夜を迎えるのだ。心臓が足先にまであるかのようにドクドク五月蠅く存在を主張している。
「マロウ様!」
肌がすけるほど薄いレースのネグリジェ姿のビオラが俺に向かって駆けて来る。小さくて華奢な体にそぐわない、大きな二つのふくらみが、足の動きに合わせてぽよんぽよん動いてるのがまるわかりだ。寝る時に上の下着はつけないから、その、先端の位置もばっちり目に映っているからその動きに合わせて目が動いていたかもしれない。
裾は足の付け根をぎりぎり隠す程度だから、跳ねた裾から、下のほうの逆三角の頼りない面積の布地もちらちら覗いている。
ぶはっと鼻血が出そうなほどの破壊力だ。
女慣れしている男なら平気だろうが、俺はもうこのまま襲い掛かりたくなって仕方がない。
今日は俺たちの一生涯のメモリアルな一夜になるのだ。そのような野蛮な行為は決してしてはいけない。決して。静まれ、俺の息子!
思い出せ、ビオラが一枚一枚、丁寧に花弁を並べていた時の事を。ゆっくり焦れるほどの繊細な工程があるからこそ、美しく美味しいスイーツが出来たではないか。
スイーツよりも甘くて美しいビオラを、乱暴に引き裂くような態度は厳禁だ。
『乱暴もののマロウ様なんて大嫌い! ……だいきらい……きらい……らい……い……』
本能に従い、ネグリジェを破り捨てる鼻息荒く破落戸のような俺に対して、ビオラがそんな風に泣き叫ぶのを想像してみた。これはこれで、先ほどとは全く違う意味合いで物凄い破壊力だった。想像の中の野獣のような俺を殴りたくなった。
落ち着け、おちつけー。おちつけ、おれ! すーはーすーはー
閨教育で習ったように、優しくそっと、ビオラを抱き留めた。この間、長いようでいて、実際は5秒にも満たない。
ふわっと香る、入浴後につけられた程よいフレグランスの香りが、鼻腔を擽る。ふにゃっとしたやわかな肌が、折角落ち着かせようと頑張っている俺の繊細な理性を、ぼこぼこにしてやっつけようとしているかのようだ。
耐えろ、まだ耐えるんだ、俺の理性!
俺はたまらず彼女を横抱きにしてベッドに急いだ。だが、ここでいきなり組み敷くのは嫌われると閨の教科書に書いてあった。まずは膝の上に乗せて、普段の雰囲気と、これからの艶事をにおわせるためにそっと抱きしめる。
健気で美しい、俺だけの妻をこれから……そう思うと、からからになってヒリヒリするような微かな痛みを感じる咽を上下させた。
だんだんいい雰囲気になって来たと思った、その時……。
「ええ、わたくしはこの家にいますわ。今日からこの家で花嫁修業をするのですもの。マロウ様をしっかり支えられるよう、頑張りますわね」
あれ?
俺は、ここに来てようやく、ビオラの言動が、どう見ても初夜の前の新妻じゃない事に気付いてしまった。普通、初めての夜を迎える新妻というものは、こんなにも体育会系のノリでがんばるぞーという風に小さくガッツポーズなんてしないような……。
いや、これもビオラ流の照れ隠しなのだ。そうに違いない。それとも、全くの無知だから今からの事を知らないのか? 純真無垢な花の妖精のような乙女なのだから、それはあり得る。
俺も初めてなんだが……この状況は、ちょっと上級すぎないか?
だが、俺はもう待つなんて無理だ。知らなければ、俺が教えたらいい。きちんと、スマートにできるはずだ。たぶん。
そう決意して、ビオラをそっとベッドのシーツに横たえ、少し驚いた様子の彼女にキスを落したのだった。
②に続く。文字数増えてしまいまして。②でも予定外なので③は作らないようにしたいと思います。
実は父が最近伯爵の家にしょっちゅう行っているから浮気を疑われてしまい、母にあわや実家に逃げられるところだったため父がぽろっと全部白状した。
母はチェリー嬢の本質を見抜いていたようで、そこそこ俺の妻になって結婚後に交流を持つ事を楽しみにしていたようだ。だが、俺たちがお互いに気持ちがないどころか、特にチェリー嬢の状況や苦しい恋心を知り、病床にいる伯爵を問い詰める事に気が引けていた俺たちの尻をけ飛ばす勢いで解消のサインを貰ってこいと高らかに命令したのである。
『あなた、わたくし、実は気になっている事がありますの。1週間以内に解消の手続きがなされなければ、破壊された柵や、やすりですり傷だらけになりずたぼろになったテーブルについて話し合う事に致しましょうか? あと、あなたのコレクションルームのスペアキー、実はわたくし持っておりますのよ? 中にあるものをそろそろ処分させていただいてもよろしいかしら? 同じ工具ばかりをずらりといくつも並べていますものねぇ。ずっと、がらくたの粗大ごみだと仰っておられましたから構いませんわよね?』
なんと、父の子供の様な隠し事は母に全部バレていて、告白して謝罪しない父を呆れながらも許していたようだ。母が一度怒ると手が付けられない。暴れるとかはないが、静かに口を閉ざすのだ。挨拶などはするし、夜会は一緒にいく。だが、人形よりも冷たい何も感情を映さない瞳で2か月ほどは見つめられる。
あれはかなり精神的に堪える。悪い事をしたのは父だが、あれをされると数分で心が折れるというのに、それが2か月も続くのだ。最後のほうには、正々堂々と謝罪すれば母もあそこまで怒らせないのに、父の自業自得をしらーっと見ていたのが、憐れになっていくほど。
今回は俺に対しても、情けないやらなんやら、くどくどくどくど、夜中を過ぎて空が薄紅色に染まり始める頃まで説教された。俺は夫じゃなくて子だから、父のように無視されはしないが、長時間の母からの説教もかなりしんどい。
『マロウ、わたくしの育て方が間違っていたのかしら? 恋人になってくれそうな女の子がひとりもいないからチェリーさんとの婚約を支援していたのに。チェリーさんと縁がなくなったら、また縁談を組まないといけないわねえ。いるかしら……この際お金目当ての子でも誠実なら……』
父や弟に比べたら小さいが、そこそこガタイの大きい俺は、説教を受けている間、珪藻土マットの上におかれたカタツムリのようだったらしい。ちなみに、ウスベニもこれまで共犯だったから隣で叱られている。
大男三人を叱る母の姿は、まさに猛獣使いの可憐な少女のようだ、と使用人たちは感心していて母はますます尊敬されるのだ。
『母上、その言い方はあんまりです。それに、俺には大分前から愛し合っている女性がいます! ですから縁組など不要です』
『まあ、そのような女性が? どこのどなたなの? どんな子? いつどこで知り合ったの? 出会いは? デートはどこに行ったの?』
俺は、目をらんらんと輝かせる母に、ビオラの秘蔵の写真を見せた。生クリームをほっぺたにつけて、楽しそうにスイーツを作っている幸せな様子をこっそり撮ったもので一番のお気に入りだ。
『まあ、なんて可愛らしい子なの。こんなにも愛らしい子がマロウを? 本当に? あなたが無理やりこの子を彼女にしたとか、あなたの単なる勘違いとかではなくて?』
『本当です。ビオラは、すっと以前に俺を初めて見た時から恋に落ちて、ひそかに慕って愛してくれていたんです。ただ、俺には婚約者がいたから涙を流して密かに耐え忍んでいたようで……。今回、偶然にもビオラと接触する機会があり、俺も彼女に好意を抱いてたから、お互いに気持ちを伝えあい、今ではチェリー嬢も応援してくれているほど愛し合っています』
『まあ……マロウをそんなに……ビオラさんというのね。おうちの事を気にしているそうだけれど、由緒あるバイオレット子爵家のご令嬢なら問題ないわね。母としては嬉しい限りだわ』
物好きな子もいるのねえ……とぽそっと呟いた母の言葉は、実の息子に対してあまりにも失礼だ。しかし、今その事に反論すれば100倍になって『だいたい、あなたときたら~そもそも~』から始まって説教がぶり返すのがわかる。ここは口をチャックしておこう。
『母上、ビオラ嬢はローズとも仲が良く、とても気立ての良い優しい令嬢です。兄の先ほどの話は、僕としては少々思う所はありますが、どうやらビオラ嬢は兄を世界一素敵だと本気で公言しているほどですので、彼女の現在の気持ちは間違いないかと思います』
『それなら、なおさらチェリーさんとの事を一日も早くちゃんとなさい。いいこと? チェリーさんの名を傷つけるような方法は許しませんよ。それから、そうね、マロウの学園卒業からビオラさんをうちで預かれるように、もろもろの手配をお願いしますわ。家の準備はわたくしがきちんとしておきましょう』
そんな経緯があったので、すぐに母からビオラへ渡すよう家宝を託された。指輪はすぐにつけられるようサイズを直してビオラに贈った。
ビオラも両親と無事に仲良くなったようだし、彼女のために厳選した侍女たちとも上手く行っているようでほっとした。
『それでは若旦那様、若奥様の準備が整いましたので私どもは下がります。若奥様も若旦那様を心待ちにしておいでですわ』
『あ、ああ。何かあれば呼ぶ。お前たちは休むと良い』
俺の部屋に、侍女頭が訪れてビオラの就寝の準備が整った事を伝えられた。花嫁修業に来たのだ。ビオラもそういう事も考えてくれているだろう。結婚前に子が出来るような事は気をつけねばならない。両親にはビオラを気に入っているから、今日にも子供が出来てもいいとは言われているが。
ビオラには世界一幸せな花嫁になって欲しい。女の子は自分の夢見る結婚式のイメージがあるそうだ。お腹の大きな状態での式はあまり望まないだろうと思う。それに、妊娠中に疲れる式は大丈夫かもしれないが、やはり母子ともに危険だ。絶対に避けねばならない。
俺は、準備していた箱から、避妊具を数枚抜き取りポケットにつっこんでビオラの部屋に向かった。
上手くできるか不安だが、いよいよ待ちに待ったビオラとの愛の一夜を迎えるのだ。心臓が足先にまであるかのようにドクドク五月蠅く存在を主張している。
「マロウ様!」
肌がすけるほど薄いレースのネグリジェ姿のビオラが俺に向かって駆けて来る。小さくて華奢な体にそぐわない、大きな二つのふくらみが、足の動きに合わせてぽよんぽよん動いてるのがまるわかりだ。寝る時に上の下着はつけないから、その、先端の位置もばっちり目に映っているからその動きに合わせて目が動いていたかもしれない。
裾は足の付け根をぎりぎり隠す程度だから、跳ねた裾から、下のほうの逆三角の頼りない面積の布地もちらちら覗いている。
ぶはっと鼻血が出そうなほどの破壊力だ。
女慣れしている男なら平気だろうが、俺はもうこのまま襲い掛かりたくなって仕方がない。
今日は俺たちの一生涯のメモリアルな一夜になるのだ。そのような野蛮な行為は決してしてはいけない。決して。静まれ、俺の息子!
思い出せ、ビオラが一枚一枚、丁寧に花弁を並べていた時の事を。ゆっくり焦れるほどの繊細な工程があるからこそ、美しく美味しいスイーツが出来たではないか。
スイーツよりも甘くて美しいビオラを、乱暴に引き裂くような態度は厳禁だ。
『乱暴もののマロウ様なんて大嫌い! ……だいきらい……きらい……らい……い……』
本能に従い、ネグリジェを破り捨てる鼻息荒く破落戸のような俺に対して、ビオラがそんな風に泣き叫ぶのを想像してみた。これはこれで、先ほどとは全く違う意味合いで物凄い破壊力だった。想像の中の野獣のような俺を殴りたくなった。
落ち着け、おちつけー。おちつけ、おれ! すーはーすーはー
閨教育で習ったように、優しくそっと、ビオラを抱き留めた。この間、長いようでいて、実際は5秒にも満たない。
ふわっと香る、入浴後につけられた程よいフレグランスの香りが、鼻腔を擽る。ふにゃっとしたやわかな肌が、折角落ち着かせようと頑張っている俺の繊細な理性を、ぼこぼこにしてやっつけようとしているかのようだ。
耐えろ、まだ耐えるんだ、俺の理性!
俺はたまらず彼女を横抱きにしてベッドに急いだ。だが、ここでいきなり組み敷くのは嫌われると閨の教科書に書いてあった。まずは膝の上に乗せて、普段の雰囲気と、これからの艶事をにおわせるためにそっと抱きしめる。
健気で美しい、俺だけの妻をこれから……そう思うと、からからになってヒリヒリするような微かな痛みを感じる咽を上下させた。
だんだんいい雰囲気になって来たと思った、その時……。
「ええ、わたくしはこの家にいますわ。今日からこの家で花嫁修業をするのですもの。マロウ様をしっかり支えられるよう、頑張りますわね」
あれ?
俺は、ここに来てようやく、ビオラの言動が、どう見ても初夜の前の新妻じゃない事に気付いてしまった。普通、初めての夜を迎える新妻というものは、こんなにも体育会系のノリでがんばるぞーという風に小さくガッツポーズなんてしないような……。
いや、これもビオラ流の照れ隠しなのだ。そうに違いない。それとも、全くの無知だから今からの事を知らないのか? 純真無垢な花の妖精のような乙女なのだから、それはあり得る。
俺も初めてなんだが……この状況は、ちょっと上級すぎないか?
だが、俺はもう待つなんて無理だ。知らなければ、俺が教えたらいい。きちんと、スマートにできるはずだ。たぶん。
そう決意して、ビオラをそっとベッドのシーツに横たえ、少し驚いた様子の彼女にキスを落したのだった。
②に続く。文字数増えてしまいまして。②でも予定外なので③は作らないようにしたいと思います。
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