【完結・R18】迷子になったあげく、いかがわしい場面に遭遇したら恋人が出来ました

にじくす まさしよ

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 学生生活は、最終学年という事もあり、進学する人たち以外は余裕を持ちながら残りの数か月を楽しんでいる。そんな中、私はゼニアオイ侯爵家と学園を行ったり来たりの毎日を送っていた。

 マロウ様に恥をかかせる事になった初日。
 翌日、ドキドキしながら周囲の反応を伺ってみると、マロウ様が何度も何度も私を気遣って言ってくれたように、妻の勤めを果たせなかった事は全く問題になってなさそうだった。
 それどころか、そんな不出来な嫁である私の事を、お義父様やお義母様を筆頭に、使用人の皆さんも大層心配してくれて大切にしてもらったのである。
 マロウ様は、仕事で忙しい毎日を過ごしていて、時々他国に行ったりして帰ってこない日があった。
 彼はいずれ侯爵になるし、子供の様なわがままな感情は隠して、彼に心配かけないようにするのがいいのかもしれない。だけど、やっぱり会いたかったし、数日だけでも仕事でいなくなるなんて我慢が出来なくて、2週間ぶりに帰ってきてくれた彼の胸に抱き着いて、こう言ってしまった。

『マロウ様、お帰りなさいませ。お仕事お疲れ様です。無事に帰って来てくれてとても嬉しいです。だけど……寂しかったです。わたくし、ずっとマロウ様のお側にいたいんです……お仕事が大変なのもわかるんです。だけど、毎日帰って来て欲しい。そんな事、無理ですよね。わかってるんです。……でも、会いたくて堪らなかったです』

『ただいま、ビオラ。俺もだ、俺の方が毎日、一日中ビオラと一緒にいたかった。本当は仕事になど行きたくないが、そうもいかない。いっそ、ポケットにビオラを入れて連れて行きたいくらいなのだが……。出来る限り毎日帰るようにする。その、今日も一緒に過ごしていいか?』

 すると、マロウ様はそんな我がままな私の言葉を受け止めて許してくれた。なんて心の広い人なのだろう。それどころか、私が気を使わないようにそんな風に冗談まで交えながらとても喜んでくれるなんて、私の旦那様は世界一素敵だ。

 男女のあれこれは、一応習っている。特に、チェリーから赤裸々に色々聞いていたし、わかりやすい、旦那様をつかんで離さないための閨の技が書かれた教科書も母から手渡されていた。だから、男の人を満足させるためのあれこれも知識だけはあるつもりだ。

 結婚まであと数か月。その間、私とのつながりを待ってくれるということは、マロウ様だって欲求不満になってしまうだろう。すると、浮気に走ったり、そういうお仕事の女性と関係を持ったりすると聞いた時、そんなのは絶対に嫌だと思った。
 だから、シーツの中でそれとなく彼の様子を伺っていたし、はしたないけれど、中心の状態を気にはかけていた。マロウ様が眠っている時に、こっそり気づかれないように触れた事もある。だけど、そこは本に描かれたいたように、硬く大きく反り返ったりしていなかったから、まだ色々しなくても大丈夫なのかなと思っていた。

 ある日、マロウ様が夜半過ぎに、私が眠っているのか確認するように覗きこんできた。実は半分起きていたけれど、なんだか目を開けにくい雰囲気を感じて寝たふりをしていた。
 すると、私の頭をそっと枕に置いて、キスをしたあと、たぶんトイレに行ったんだと思う。なかなか帰って来てくれなくて、彼の温もりのなくなった冷たいベッドに取り残された感じがして悲しくなった。

 暫くすると、静かにマロウ様が部屋に入って来たから、寝たふりなんてやめて抱き着いた。

『ビオラ、起きていたのか?』

『マロウ様……どちらに行かれていたのですか? グスッ』

 ぎゅうぎゅう抱きつく、我がままで子供っぽくて泣き虫な私を撫でてくれる優しい彼が好き。片時も離れず、ずっと側にいて欲しい。
 どこに行っていたのか聞くと、やっぱりトイレだった。長いのは、ひょっとしてお腹をこわしていたのかもしれないと思った私は、すぐに胃腸薬を準備してマロウ様に飲んでもらったのである。

 その事を、後日久しぶりに会ったチェリーに伝えると大笑いされた。男の人の下半身事情を鎮めに行ったのだと知りびっくりした。

 まだ妻じゃないけれど、彼の妻としてそのような事は私がしなければと思い、後日同じように彼が部屋を出て行こうとした時にしがみ付いて行かせなかった。

『ビオラ、ちょ、待て、待ってくれ! ここはビオラが気にしなくていいから。だから、手を離して……うあっ』

『つ、妻として、せめてこのくらいはさせてください! わたくし、一生懸命頑張りますから! マロウ様、観念してズボンから手を離してくださいっ! えいっ!』

 なんだかんだの押し問答の末、かなり恥ずかしがられたけれど、ほぼ無理やりズボンを降ろした。すると、大きく膨らんでいるそこが、勢いよく私の目の前で反動をつけながら現れた。
  見た瞬間、今まで覚えてきた色んな事がふっとんで真っ白になってしまった。
  どうしていいかわからなくて、泣きそうになりながら、マロウ様を見上げて尋ねた。

『これがマロウ様の……。おっきい……あ、あの!  あの、あの。えっと……どうして欲しいか教えてください……』

『ビオラ……』
  
 初めて見た時は、なんだか怖いようなマロウ様のソコも、その日から彼に教えてもらいながら手でしている。
  恥ずかしかったし、照れて恐々からスタートしたけれど、見慣れたのもあり、今ではとても愛しいし、なんならもっとしてあげたいと思える。両手でなんとか握れるくらいのとても大きな彼のを擦ったり色々試したりして、今では大分上達したと思う。

 熟睡している本体にバレないように見た、穏やかに寝そべっているマロウ様のマロウさまの姿は、ふにゃっとしている。
 本体が寝ている時の明け方のマロウ様のマロウさまは、触ってもないのに、なぜだかとっても元気だ。勿論、本体が起きていて私が彼のを愛している時とは、太さも、長さも、硬さも、全然違う。何倍も膨れ上がっていて、とても同じマロウ様のマロウさまだとは思えない。全く別の生き物のようだ。

 一体、何がどうなって、こうなっているのだろう?

 出来れば、こっちのマロウさまで繋がりたいけど……この大きさのまま、元気になってくれないかしら? ちょっとツンってしただけで、あっという間にむくむく育っちゃうから無理よねえ……

 なんて、ちょっと馬鹿な事を考えたりする余裕まで出て来た。

 痛くないのか聞くと、痛くはないが、ずっとその状態だと辛いらしい。そういう時は、教えてもらった通りに、マロウ様のマロウさまを満足させてあげると、本体であるマロウ様もとても気持ち良さそうで幸せそうだから、もっとしてあげたくなる。

 他の男にこんな事するな、絶対に見てはいけないときつく言われたけれど、そんな事するはずがない。

 私にはずっとマロウ様だけだ、マロウ様のしかこんな事したくないと言うと、なぜだか泣きそうになったマロウ様にぎゅうぎゅう抱きしめられたのであった。

 家の事も、お義母様や周囲の人たちに教わりながら少しずつ覚えて行っている。先日私が主催したお茶会は大成功で、笑顔で太鼓判を押されたのだった。

 そして、今日。

 私は大粒のアレキサンドライトのネックレスとイヤリング、そして指輪をつけて、私を綺麗に身支度してくれた皆と一緒に愛しい彼の訪れを待っていた。

 今日のために作られた、世界でたった一つのドレスは、美しいグラデーションで、夜が明けて新しい朝を迎えようとする希望に満ちた空の色だ。マロウ様を身にまとっているようでとても愛おしく感じる。嬉しいし、これで堂々と彼の婚約者として胸を張れると思うと誇らしくもある。
 大きくて重みを感じる、このアレキサンドライトたちに恥じないよう、彼と共に未来を歩いて行きたい。まだ少しだけ怖いような気もするけれど、彼がいてくれるのならどんな事だって乗り越えられると思った。

「ビオラ、さあ行こう。とても美しいよ」
「はい、マロウ様……マロウ様も、とても素敵です」

 私を迎えに来たマロウ様は、私の髪の色のスーツに身を包んでくれていた。少し驚いて、私に見惚れて言葉すら失ったと言ってくれた彼の指し出された腕に、そっと手を添える。

 お義父様の挨拶も終わり、私たちが招待客の前に姿を見せると、あちこちから温かい笑顔と共に祝辞を贈られた。

 予定通り殿下が私たちを祝いに来てくれた時、殿下がエスコートして来た女性が、彼の婚約者であるローズ様じゃない事から会場が騒然となった。

 事情を全く知らない人々が、殿下と、特に一緒にいる女性──チェリーに非難の視線と言葉を、聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで呟く大人たちが多い中、若い世代は、そんなふたりを微笑ましそうに見ているという、会場内の雰囲気が真っ二つに分かれていた。

 そんな会場内の視線を集めた殿下たちが、私たちにお祝いを述べた後、ほどなくしてローズ様がウスベニ様と現れたのである。




※ 続きは朝方にアップできればします。
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