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19 ※R18

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 マロウ様に触れられる前には知らなかった快楽の果ては、苦しい様で逃げたくもなるけれど、もっともっとして欲しくなる不思議な中毒ような感情を呼び起こす。

「ビオラ、力を抜いて」

 切っ先が、お互いの恥ずかしい水分をまぶすかのように、抜かるんだ私の入り口に当てられた。いよいよかと思うと、体が強張ってしまう。息を詰めずになるべく力を抜こうとしても、押し返すかのようにどうしても力が入ってしまって、スムーズには入って来れなさそうだった。

「う……ビオラ、辛いか?」

「ん……はぁ、はぁ。マロウ様、大丈夫、です。思ったほど痛くありません……マロウ様こそ、とても辛そうです。大丈夫ですか? わたくしもマロウ様が欲しいですから、どうぞそのまま……」

 ちょっとだけ嘘を言った。だって、物凄く痛いし、無理やりこじ開けられて体が壊れそうなほどだったから。でも、それ以上にマロウ様に満足してもらいたいし、繋がりたかった。


「辛くはない。ビオラのここは狭くて、あまりにも気持ちが良すぎるんだ。ああ、ビオラ、俺は世界一幸せだ。ゆっくりすすめるから耐えてくれ」


 多分、私が無理をしているのをわかっているのだろう。私がそう言っても、ゆっくりゆっくりしか進んで来てはくれなかった。だけど、先にある丸い所が全部入ったのか、そこからはスムーズに奥を目指してマロウ様が近づいて来る。

 息が詰まる。苦しさが私をせめたてて追いかけてくるかのようで、それから逃れられなかった。

 ずっと、痛くて苦しい時間が続くのが嫌で、早く終わって欲しいとしか思えなくなった。いっそ、一気に貫いて貰いたいなんて、恐ろしい事を考え始めた頃、ようやくマロウ様と私の足の付け根がくっついた。彼の動きが一旦止まり、上から囲い込むように抱きしめられた時、ほっとして、じわじわと中から生じる鈍い痛みを耐えていた。

「ビオラ、最後まで入った……愛している」

「嬉しい……これでようやく、マロウ様の妻になれたのですね」

「ビオラはもともと俺の妻だ。だが、もうどこにも逃げられないから覚悟して欲しい」

 マロウ様が、ちゅっちゅってたくさんキスをあちこちにくれる。とても嬉しいし、やっとこうしてつながる時を迎えられた事に、体中が喜びの歌を奏でる。


「マロウ様こそ、わたくしから離れないでください」

 だけど、私がそう言った事で、あんまりにも彼のが苦しさを酷くさせるほど私の中で大きくなったから、マロウ様にもっと気持ち良くなって貰いたいのに、今すぐ出て行って欲しくなったのは仕方がないと思う。

「え? ああ、マロウ、さま……あんまりおおきくしないでぇ……」

 せめて、小さくなってと願いながらそうお願いしたら、なんという事なのか。更にどんっと大きくなった。酷い。

 マロウ様から、失言だったのだろうけれど、彼のは小さいのだと、呟いたのが耳に入った事がある。だけど、全然小さくないと思う。だって、こんなにも苦しいくらいだもの。

「ぐぅ……可愛らしい事をいうビオラが悪い。無理だ。すまない」

 徐々に痛みが遠のくと、心に余裕が生まれて、やっと幸せな気分が苦しさを上回った。ふと、彼の眉間にしわをよせ汗ばむ顔から、輪郭をなぞるように視線を移動すると、彼の肩に爪を食い込ませるほど力を込めていた事に気付いた。血が滲んでいて、世界一大切な人を傷つけてしまったと血の気が引いた。すぐに謝ろうとした時、マロウ様が切羽詰まったかのように私にこう言ったのである。

「ビオラ、もう我慢できない。そのまま肩を掴んでいてくれ」

「え? あ……ああっ!」

 マロウ様の腰が、ずるっと引き抜かれてやっと終わるのかと思ったら、ぎりぎりの所で再び私の奥に戻って来た。そうだ、いつだって、マロウ様のマロウさまは、出さないと満足してくれなかった。その事を思い出して、私は彼に一旦、外に出してもらってから、いつものように手ですると伝えようとしても、体が揺さぶられるのと、上手く声がだせないほどの苦しさのために言葉が上手く紡げなかった。


「マロウさまっ! わ、わたくし、ちゃんと、し……ああぁん! あ、すご……」

「ああ、ビオラ、ビオラ……! ビオラも感じてくれているのか? もっと良くなってくれ!」

 痛みがぶりかえしてしまった。物凄く辛くて目が回りそうでそう伝えようとけれど、彼はなにやら違う意味で勘違いしているっぽい。ますます激しく奥を突かれて、中を擦られているうちに、変になりそうな足の付け根を可愛がられた時以上の感覚が産まれて来た。

「ああ、マロウ様、わたくしぃ、へんになりそ……でぇ……! ああっ!」

「う……ビオラ。中が蠢いて……ダメだ。出すぞ」

 一際大きく激しく腰を打ち付けられると、思い切り体の中心を貫かれたかのような衝撃とともにマロウ様が止まった。腰をしっかり大きな手で保持されて、これ以上はないほど密着する。

 汗すらも混じり合い、息も絶え絶えになっていると彼のが今私の中に振りかけられているのが分かったような気がした。

「あ、ぁ……マロウ様、わたくし、しあわせ……」

「……っ。はぁ……はぁ。俺も幸せだ」

 マロウ様が中から出て行く時、なんだか寂しさと切なさが押し寄せてきて、出て行かないで欲しいと思った。さっきまでは一秒でも早く終わって欲しいと考えていたのに、自分のあっち行ったり、こっち来たりする気持ちを持て余してしまう。



 体を覆ってくれていた彼の温もりが消えて、すぐに冷たさを感じてしまう。本当にさっきまで彼と繋がっていたのかわからないほど、少しぼんやりと宙を見つめていた。

 だけど、確かにお腹の中がじんじんしているし、マロウ様のがそこに居座っているかのような変な感覚がまだある。

「あ、マロウ様、わたくしが」

「ビオラはそのまま横になっていてくれ」

「ですが……」

 起き上がったマロウ様が、なにやらゴソゴソしているので、そちらを見ると、備え付けられていたタオルで中心を拭いていた。慌てて私が綺麗にしようと手を伸ばすと、やんわり止められて、あろうことか私の足の付け根までマロウ様が綺麗にしようとタオルをそこに当てられた。

「きゃ! マロウ様、そこは自分でやりますからぁ!」

「何を言うんだ。血が出ているんだじっとして。止まっているようだが……。すまない、俺が自制をせず無理やりしたから……」

 マロウ様が、心から申し訳なさそうに私を気遣ってくれるその気持ちだけで十分だ。だから、そのタオルを渡してくださいと何度も懇願した。
 願いもむなしく、自分でするよりも丁寧に綺麗にされてしまい、ある意味放心状態になった私を見て、マロウ様は先ほどの行為で私が無理をしていたのかと勘違いした。

「ビオラ、もう休もう」

 そっと、私の下腹に大きくて高い温度の手の平が当てられた。何度も何度も謝罪された。
 ぎゅっと抱きしめられて、とんとん背中を叩かれると、まるで小さな子供のような扱いだななんてクスっと笑ってしまう。

「マロウ様、わたくし、少しだけじんじんしますけれど、本当に大丈夫ですから。そんなに自分を責めないでください。愛しています」

「ビオラ……」

 ちゅっと、彼の唇には届かなかったから顎にキスをすると、少しだけ驚いて目を見張った彼が、しょんぼりしている表情から一転して笑顔を見せてくれた。

「マロウ様、明日も一緒にいてくださいますか?」

「ああ。明日だけといわず、ずっとだ」

 柔らかな月明かりだけが、私たちを照らす。

 彼の温もりと愛をたっぷり感じながら、素肌をぴたりと合わせて眠りについたのだった。








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