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『政略に心を求めてはいけません』
亡き母の、大切な言葉をもっとしっかり胸に持っていれば良かった。
言葉だけを聞き、笑顔と優しい仕草と触れ合いをしつつ、一番見なくてはいけない所を見逃していたのである。
彼の瞳は、初対面の頃から冷めきっていたのだと今ならわかる。
「ひっく、ひっく……。う……ぅ……」
ほんの一刻前、テッポから告げられた言葉と情景を思い出した瞬間、わたくしは目が回りクラクラしだした。倒れそうになるほど平衡感覚がなくなり、雪が積もり出した冷たいテラスの手すりを持つ。
ぐるぐる回る世界。なんだか気分が高揚している。
ここにはだーれもいない、わたくしだけのせかいだ!
さっきまでの夜会は、王家主催でクリスマスを祝うものだ。つまり、あっちを向いても、こっちを向いても、イチャイチャイチャイチャイチャイチャしているカップルだらけなのである。
どうせ、誰も聞いていないし見ていない。さっき婚約者からこっぴどくフラれたのだ。もともと、モテモテとは真逆の自分を気にかけている人などいない。
そう思ったらなんだか全てがどうでもよくなった。
「なんなのよー、うわーん。政略だし、そんなに好きじゃなかったけどさー。相思相愛、理想の夫婦になろうねって言ってくれてたのにぃ。わたくしを守って幸せにしてクレるクレる詐欺師~!」
思いっきり大きな声で、雪の向こう側の星空に向かって叫んだ。すごく気持ちがいい。
はははは、と大きな口を開けてこんな風に笑うのは何年振りだろう。母が亡くなって5年。そう言えば笑った事がなかったなと思う。1年後、未成年だから伯爵家を守るためだと父が愛人と妹を連れてやってきた。
あっという間に、明るく美しく誠意はないのに口だけは上手な彼らに本邸を乗っ取られた。今はわたくしは別邸の隣に備え付けられている庭師の家に追いやられたのである。
でも、18歳になった今日。成人したわたくしに、伯爵家の全権が戻るのだ。母が決めた婚約者と結婚して、三人を追い出し、わたくしを虐げた使用人全てを追い出す予定だったのに。
さっきまであんなに楽しい気分だったのに、なんだか怒りが沸いて来る。
「リア充爆発しろーっ!」
感情のまま、大きな声でさらに叫ぶ。すると、本当にBOMっと爆発したかのような音がして煙が現れた。
「は? え……?」
煙がもくもく視界を遮っていたのも数秒で、あっというまに晴れた。何が何やら全くわからず呆然としていると、たくましいサンタさんがにっこり笑って、ソリにのせた白い袋ではなく、ガチャを差し出してきた。
「や、やぁ、愛を語らう恋人た……ち……? す、素敵なレディ! えーと。どうやら間違ってここに来たようだ。すまない、本当なら別のカップルの所に持って行くはずが……」
キョロキョロとテラスを見渡す恰幅のよいサンタさん。赤いもこもこの服に白いふわふわのあったかそうなファーをつけている。わたくしがここに一人なので首を傾げて困り果てているようだ。
わたくしは、再びぐらぐら体が揺れていった。酷いめまいが襲ってきて、このまま冷たいテラスの床に倒れてしまうんだと思うと悲しくなり、そして、どうでもよくなった。
「あ、危ないっ! ちょ、大丈夫か!」
「はえ……?」
倒れるかと思っていたのに、今は、ふわっふわのファーがほっぺに当たる。大きな腕ががっしりと体を支えて、目の前に、白い眉とお鬚のさっきのサンタさんがいた。
「きれーい。青宝魔石と緑宝魔石みたい」
「は? おい、あんた、しっかり……」
「う……、きもぢわるいぃ……」
わたくしは、慌てふためくサンタさんが何かを叫んでいる中、記憶が途切れたのであった。
※青宝魔石と緑宝魔石→異世界ネームを勝手につけました。こっちの世界ではサファイアとエメラルドというあの宝石です。これに魔力が込められているんだなと思っていただければ幸いです。
この名前で別のものがこの世界にあったらすみません。
亡き母の、大切な言葉をもっとしっかり胸に持っていれば良かった。
言葉だけを聞き、笑顔と優しい仕草と触れ合いをしつつ、一番見なくてはいけない所を見逃していたのである。
彼の瞳は、初対面の頃から冷めきっていたのだと今ならわかる。
「ひっく、ひっく……。う……ぅ……」
ほんの一刻前、テッポから告げられた言葉と情景を思い出した瞬間、わたくしは目が回りクラクラしだした。倒れそうになるほど平衡感覚がなくなり、雪が積もり出した冷たいテラスの手すりを持つ。
ぐるぐる回る世界。なんだか気分が高揚している。
ここにはだーれもいない、わたくしだけのせかいだ!
さっきまでの夜会は、王家主催でクリスマスを祝うものだ。つまり、あっちを向いても、こっちを向いても、イチャイチャイチャイチャイチャイチャしているカップルだらけなのである。
どうせ、誰も聞いていないし見ていない。さっき婚約者からこっぴどくフラれたのだ。もともと、モテモテとは真逆の自分を気にかけている人などいない。
そう思ったらなんだか全てがどうでもよくなった。
「なんなのよー、うわーん。政略だし、そんなに好きじゃなかったけどさー。相思相愛、理想の夫婦になろうねって言ってくれてたのにぃ。わたくしを守って幸せにしてクレるクレる詐欺師~!」
思いっきり大きな声で、雪の向こう側の星空に向かって叫んだ。すごく気持ちがいい。
はははは、と大きな口を開けてこんな風に笑うのは何年振りだろう。母が亡くなって5年。そう言えば笑った事がなかったなと思う。1年後、未成年だから伯爵家を守るためだと父が愛人と妹を連れてやってきた。
あっという間に、明るく美しく誠意はないのに口だけは上手な彼らに本邸を乗っ取られた。今はわたくしは別邸の隣に備え付けられている庭師の家に追いやられたのである。
でも、18歳になった今日。成人したわたくしに、伯爵家の全権が戻るのだ。母が決めた婚約者と結婚して、三人を追い出し、わたくしを虐げた使用人全てを追い出す予定だったのに。
さっきまであんなに楽しい気分だったのに、なんだか怒りが沸いて来る。
「リア充爆発しろーっ!」
感情のまま、大きな声でさらに叫ぶ。すると、本当にBOMっと爆発したかのような音がして煙が現れた。
「は? え……?」
煙がもくもく視界を遮っていたのも数秒で、あっというまに晴れた。何が何やら全くわからず呆然としていると、たくましいサンタさんがにっこり笑って、ソリにのせた白い袋ではなく、ガチャを差し出してきた。
「や、やぁ、愛を語らう恋人た……ち……? す、素敵なレディ! えーと。どうやら間違ってここに来たようだ。すまない、本当なら別のカップルの所に持って行くはずが……」
キョロキョロとテラスを見渡す恰幅のよいサンタさん。赤いもこもこの服に白いふわふわのあったかそうなファーをつけている。わたくしがここに一人なので首を傾げて困り果てているようだ。
わたくしは、再びぐらぐら体が揺れていった。酷いめまいが襲ってきて、このまま冷たいテラスの床に倒れてしまうんだと思うと悲しくなり、そして、どうでもよくなった。
「あ、危ないっ! ちょ、大丈夫か!」
「はえ……?」
倒れるかと思っていたのに、今は、ふわっふわのファーがほっぺに当たる。大きな腕ががっしりと体を支えて、目の前に、白い眉とお鬚のさっきのサンタさんがいた。
「きれーい。青宝魔石と緑宝魔石みたい」
「は? おい、あんた、しっかり……」
「う……、きもぢわるいぃ……」
わたくしは、慌てふためくサンタさんが何かを叫んでいる中、記憶が途切れたのであった。
※青宝魔石と緑宝魔石→異世界ネームを勝手につけました。こっちの世界ではサファイアとエメラルドというあの宝石です。これに魔力が込められているんだなと思っていただければ幸いです。
この名前で別のものがこの世界にあったらすみません。
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