【完結】【R18】クリスマスプレゼントは、魅惑のガチャ~婚約者をNTRれた令嬢は、ガチャでサンタさんを引き当てたい!

にじくす まさしよ

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「おい、おい! しっかりしろっ!」
「あ、ヨウルプッキちゃん、あんまりゆすったら……!」

 暗闇の側で、二人の声がする。気持ち良く寝ているのに邪魔しないで欲しい。

 ぐらぐらぐらぐら

 なんだろう、体と頭が揺らされて、荒波に浮かぶ小舟に乗っているみたいだ。気持ち悪さがみぞおちから上がって来る。

「だって、突然倒れたし! 泣いているみたいだったし! こんな可愛い女の子をほっとけないよ!」
「いや、だからさ、あ、あ……!」
「もう、トナカイさんはだまって……」

「きもぢわる、ぃ……、うっぷ……」

「うわああああっ!」
「あーぁ、いわんこっちゃない……」




※※ピ──…………。番組の途中ですが、しばらくの間美しい風景と音楽をお楽しみくださいませ※※





「ん……」

 目を開けると、真っ白だった。

「どこ、ここ……、あ、頭いったぁ……」

 顔にまで被されていたシーツをはぎ取り体を起こす。どうやらベッドのようで、ガンガンと痛む頭を押さえながら片目を開いてそろっと周囲を見渡す。

「わたくし、えっと、昨日は……」

 自室ではない。見知った王宮のアールトネン伯爵家に与えられた休憩室でもない。小さいけれど、綺麗に片付けられた部屋には暖炉があって、寒くないように温熱の魔法石が発動して部屋を温めている。

「そうだ、わたくし、ワインを一杯飲んだ後、テラスにいて。……そこから何があったの?」
「……起きたかい?」

 頭痛がおさまらず、こめかみに指を当てていると、右隣から聞いた事のない声がした。

「え?」
「僕の事を覚えている?」
「……」

 じーっと部屋の一部であるかのように、景色のように彼を見た。絹のようにふんわりした金の髪が鎖骨くらいまで伸びていて、前髪は眉毛よりも少し下まで緩いカーブを描いて隠している。すっと通った鼻筋に、大きい肉厚の下唇。ごつごつした顔は強面というより、男らしい。

「どちらさまでしょうか?」

 初対面の男性が、なぜ、わたくしと隣同士でベッドにいるのだろうか?

 コテンと首を傾けて素直にそう言うと、彼が目を見開いたあとため息をついた。

「僕に、あんなことをしておいて、忘れたって言うの?」

 僕という一人称は、彼の顔にはあまり似つかわしくない気もするけれど、悪戯っ子みたいな瞳でわたくしを見つめてくるので似合っている。

 その瞳は、青宝魔石と緑宝魔石のように、水中をゆらゆらときらめく光を湛えていて吸い込まれそう。

「青宝魔石と緑宝魔石……。ん~?」

 どこかで見た気もしなくもない。だけど、こんな珍しい色の人など、一度見れば忘れられないはずだ。

「……あの、どこかでお会いした気もしますけれど、詳細が思い出せず……、申し訳ございません……。わたくし、シンディと申します」
「シンディ……。可愛い名前だね。僕はヨウルプッキ。ああ、昨日が初対面だよ」
「ヨウルプッキ様と仰るのですね。ひょっとして助けてくださったとか?」
「確かに、寒いテラスで倒れる君を助けたけど。でも、忘れたんだ? 僕にあんなことをしたのに?」
「あんなこと……?」
「そして、そんなことも」
「ソンナコト……」
「僕、初めてだったのに……」

 一体、わたくしは何をしたのでしょうか? 頭痛も忘れてさあっと血の気が引いた。

「あ、あの! わ、わたくし、本当に何もお、おお、覚えていませんの! その、どんな失礼をしたのかはわかりませんが、アールトネン伯爵家の名誉をかけて誠心誠意お詫びを……!」

 慌てて彼にそう言うと、彼がベッドに寝っ転がったまま、びっくりしたように口を開いた。

「アールトネン?」
「はい」
「伯爵家? ご令嬢?」
「はい。昨日、成人と共にわたくしが伯爵家を継ぎました」

 ヨウルプッキと名乗った青年は、がばっとシーツを剥ぐと、ベッドから床に飛び降りた。ごちんと、何か硬いものが床に当たる音がして、彼が痛そうに顔をしかめて息を詰める。

「~~~~~~っ!」

「あの、ヨウルプッキ様、大丈夫でしょうか?」

 わたくしは、おそらく膝を強打したのだろう彼に声をかけて手をのばした。

「え……?」

 なぜ、視界にうつる、わたくしの腕は肌しか見えないのでしょうか?

「え……」

 彼の存在を忘れて、指先から肘、そして肩から胸元を見下ろす。上半身を起こしているため、シーツがおへそのあたりまでずり落ちていた。

「ひゃ……、や、や……、いやあああああああ!」

 腕どころか、何も身に纏っていない事を頭が理解した瞬間、わたくしの悲鳴が部屋中に響いたのであった。

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