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──なぜ? なんで裸なの? なんで裸で知らない男の人と同衾しているの?
悲鳴をあげながら目と頭が回り、二日酔いの頭にクリティカルヒットの鐘が鳴り響いて堂々巡りの同じ事しか考えられない。
「ご、ごめ! も、ももも、申し訳! ございませんっ!」
さっきまで痛みで息を詰めていた男性が大きな声で必死に謝罪をし始めた。その声もズガーンと頭に響いて辛い。痛みと気持ちの悪さから顔をしかめながら片目を開けて彼を見ると、彼は膝と両手を床について、額をがんごんぶつけている。
「ま、まさか、伯爵様とは思わず……! その、最初は、テラスで泥酔して倒れた貴女を放っておけなかったんです!」
わたくしは、必死でシーツで体を隠しながら、ずりずり後ろに移動した。
「その、ですね! 抱えた所、貴女がその……。あの……」
──明るく、好感の持てる好青年だと思い、謝礼をはずもうとしていたというのに。なんてこと。大切な部分にはお母様がかけていくれた結界がまだ残っているため、最後まではされていないだろうけれども。到底許される行為ではないわ!
先ほどまで勢いよく謝罪をしていたのにいきなり口ごもった。わたくしは、酔った女性に対して狼藉を働いたであろう青年を、冷めた目で見下ろしながら次の言葉を待つ。
「い、胃の中のものを、口からたくさん……! だから、服が汚れて! 体もすごくて! だから、ミストに入れてあげないとと思って僕の家に連れて来たんです! その、邪な心はなかったんです!」
怒りと羞恥でくらくらする思考で聞きながら、とんでもない内容が耳に入り数瞬時がとまった。
「あの、今なんて……? え?」
問いかけながらも、心臓が嫌な音とリズムを奏で始めてドキドキする。
「だ、だから。僕は下心なんてなくて」
「いえ、その前……に……。あの、わたくし、まさか……貴方も汚してしまったとか……?」
──ただでさえ穴があったら入ってしまいたいのに、その上、他人、しかも助けてくれた恩人に振りかけたなんて考えたくない。お願い、違うとおっしゃって……!
「え……、と。ぼ、僕のつけていたひげとか、上着とかベルトとかズボンとか、支えた手とかにちょびっとだけですから! ええ! 伯爵様がお気になさらずとも大丈夫です!」
──終わった……
わたくしの小さな願いは、塵芥のごとく細かくなりどこかに追いやられた。
彼に対して途方もない迷惑行為をしたようだ。記憶がないのがくやしい。いや、記憶があったほうが死にたくなっただろう。
「ヨウルプッキ様、と仰いましたか。とんだ粗相をしてしまい、その……」
恐る恐る、裸にされ同衾している事などふっとび、未だに額をつけて恐縮している彼を座らせようと声をかけた。
「それに! 意識がなかったとはいえ、服を取り払ったあと、その。あの、全身をバスタオルごしとはいえ、貴女様に触ってしまいました!」
──なるほど、ようやく状況を冷静にとらえるようになれたわ。汚れた体を綺麗にするために裸にして洗い拭き取ったと。それは確かに、誰でもそうするだろう。あの時、わたくしは一人だったし、彼も途方にくれていたに違いない。他人がパニックになると冷静になれるって本当だわ……
「そ、そのまま眠りについた貴女様がその……」
──またもや言いづらそうだ。まだ何かあったのだろうか。そう言えばさっき、わたくしが彼の初めてをなんとか言っていたわ。いや、やめて! もう何も言わないで!
「服を着る前に、ぼ、僕を押し倒して……! 全身くまなく触れられて……! その、気持ち良くなって抵抗できず……。ぼ、僕が拒否しなかったから……! すみませぇん! 僕なんかの穢れた粗末な股間に貴女の指先で触らせるなど! 申し訳ございません!」
──誰か! 嘘だと言ってくださいましっ!
助けていただいた青年に、泥酔した挙句ピーを振りかけた上に全裸の彼を性的に襲ったなどと……。でも、彼が嘘を言っているようには見えない。わたくしは、信じたくないけれど信じざるを得ないと項垂れた。
──婚約破棄されたあげくこの醜態……。もう泣きたい……天に召されたお母様、わたくし、痴女になってしまいました……
悲鳴をあげながら目と頭が回り、二日酔いの頭にクリティカルヒットの鐘が鳴り響いて堂々巡りの同じ事しか考えられない。
「ご、ごめ! も、ももも、申し訳! ございませんっ!」
さっきまで痛みで息を詰めていた男性が大きな声で必死に謝罪をし始めた。その声もズガーンと頭に響いて辛い。痛みと気持ちの悪さから顔をしかめながら片目を開けて彼を見ると、彼は膝と両手を床について、額をがんごんぶつけている。
「ま、まさか、伯爵様とは思わず……! その、最初は、テラスで泥酔して倒れた貴女を放っておけなかったんです!」
わたくしは、必死でシーツで体を隠しながら、ずりずり後ろに移動した。
「その、ですね! 抱えた所、貴女がその……。あの……」
──明るく、好感の持てる好青年だと思い、謝礼をはずもうとしていたというのに。なんてこと。大切な部分にはお母様がかけていくれた結界がまだ残っているため、最後まではされていないだろうけれども。到底許される行為ではないわ!
先ほどまで勢いよく謝罪をしていたのにいきなり口ごもった。わたくしは、酔った女性に対して狼藉を働いたであろう青年を、冷めた目で見下ろしながら次の言葉を待つ。
「い、胃の中のものを、口からたくさん……! だから、服が汚れて! 体もすごくて! だから、ミストに入れてあげないとと思って僕の家に連れて来たんです! その、邪な心はなかったんです!」
怒りと羞恥でくらくらする思考で聞きながら、とんでもない内容が耳に入り数瞬時がとまった。
「あの、今なんて……? え?」
問いかけながらも、心臓が嫌な音とリズムを奏で始めてドキドキする。
「だ、だから。僕は下心なんてなくて」
「いえ、その前……に……。あの、わたくし、まさか……貴方も汚してしまったとか……?」
──ただでさえ穴があったら入ってしまいたいのに、その上、他人、しかも助けてくれた恩人に振りかけたなんて考えたくない。お願い、違うとおっしゃって……!
「え……、と。ぼ、僕のつけていたひげとか、上着とかベルトとかズボンとか、支えた手とかにちょびっとだけですから! ええ! 伯爵様がお気になさらずとも大丈夫です!」
──終わった……
わたくしの小さな願いは、塵芥のごとく細かくなりどこかに追いやられた。
彼に対して途方もない迷惑行為をしたようだ。記憶がないのがくやしい。いや、記憶があったほうが死にたくなっただろう。
「ヨウルプッキ様、と仰いましたか。とんだ粗相をしてしまい、その……」
恐る恐る、裸にされ同衾している事などふっとび、未だに額をつけて恐縮している彼を座らせようと声をかけた。
「それに! 意識がなかったとはいえ、服を取り払ったあと、その。あの、全身をバスタオルごしとはいえ、貴女様に触ってしまいました!」
──なるほど、ようやく状況を冷静にとらえるようになれたわ。汚れた体を綺麗にするために裸にして洗い拭き取ったと。それは確かに、誰でもそうするだろう。あの時、わたくしは一人だったし、彼も途方にくれていたに違いない。他人がパニックになると冷静になれるって本当だわ……
「そ、そのまま眠りについた貴女様がその……」
──またもや言いづらそうだ。まだ何かあったのだろうか。そう言えばさっき、わたくしが彼の初めてをなんとか言っていたわ。いや、やめて! もう何も言わないで!
「服を着る前に、ぼ、僕を押し倒して……! 全身くまなく触れられて……! その、気持ち良くなって抵抗できず……。ぼ、僕が拒否しなかったから……! すみませぇん! 僕なんかの穢れた粗末な股間に貴女の指先で触らせるなど! 申し訳ございません!」
──誰か! 嘘だと言ってくださいましっ!
助けていただいた青年に、泥酔した挙句ピーを振りかけた上に全裸の彼を性的に襲ったなどと……。でも、彼が嘘を言っているようには見えない。わたくしは、信じたくないけれど信じざるを得ないと項垂れた。
──婚約破棄されたあげくこの醜態……。もう泣きたい……天に召されたお母様、わたくし、痴女になってしまいました……
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