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放心しつつ、色んな話をしていたような気がする。気が付くと、平民の女の子が着るようなワンピースを着ていた。
──いつ誰が用意して、いつの間に着用したのかしら……。ふふふ、かわいいし動きやすくて楽だわ。
彼もまた服を着ている。すでに床に膝はついていない。
──目の前で立ち上がられた時に見えた、彼の大きな中心の記憶は朧気にも無いったら無いっ!
今は、彼の家にあるテーブルにつき向かい合っていた。彼が淹れてくれた温かいお茶を飲む。
──ふぅ……美味しい。あら、この茶葉はサンタクロース協会に先日寄贈したものと同じね。
現実逃避中の思考は二人とも同じようなものだ。先ほどまでの騒動など無かったかのように世間話が弾む中、彼の正体を明かされた。
「僕は、孤児で。ここに一人で住んでいます。働ける年齢になってからは世界のためにサンタクロース協会で働いているんです」
サンタクロース協会とは、魔法に長けた平民が所属する超ブラック企業だ。シーズン中はいわずもがな、シーズンオフの間には、世界中から届く願いや手紙などを処理し、次の年のプレゼントの準備をしているだけで時間が経つらしい。
福利厚生は、過去の職員たちが発起した組合の働きにより待遇が良くなったとはいえ、繁忙期には15日間休みがないとか。
わがアールトネン家は、代々、サンタクロース協会に出資をしていて彼らのライフワークを支援している。彼らが過労死して絶滅すれば、世界からクリスマスが消えるといっても過言ではない。
誰もなりたがらないため万年マンパワー不足なのだ。
そのため、国の認定も受けており、そこで働く職員たちは領地はないが男爵位が与えられているのだ。といっても貴族としての実体はない名誉職のようなものだが。
──こういうのをなんといったかしら? やりがい詐取? 社畜?
ヨウルプッキ様は、他に付ける職業が当時なかったらしい。そこで、生きるために協会で働く事を決意してすでに10年以上が経過しているという。すぐに転職し離職率が非常に高いのにも拘らず残っているのは、自分が抜ける事で仲間が苦労してしまうからなどという気持ちからだろう。
よくある、ブラック企業の職員そのものの戦士になってしまっている彼を憐れに思った。
──きっと、孤児だからと、なんだかかんだで言い含められていたのね……
優しい、言い方を変えれば単なるお人よしの彼を改めて見た。
鍛え抜かれた体は大きく、先ほどの対応から察するにあまり世間になれていないのだろう。素直で単純で、簡単に騙されそうだ。
彼の魔力が高いとされる色を持つオッドアイの瞳を見ると、何かを思い出せる気がした。きっとその記憶は一生思い出さないほうが二人にとっていいのかもしれない。
「ヨウルプッキ様」
照れくさそうに境遇を話していた彼の背筋がピンと伸びて、両手を膝においた。
「アールトネン伯爵様、なんでございますか?」
「あなたの謝罪は受け入れましょう。救護活動の一環ですし謝罪も今後必要ありません」
「で、ですが」
「必要ありません。いいですね?」
「はい、寛大なお言葉、ありがとうございます」
大きな体を精一杯縮こまらせる彼を見ると、なんだかヨシヨシと頭をなでてあげたくなる。
「では、この度の事は他言無用でお願いいたします。それでは、わたくし帰りますわね。やらねばならない事がありますの」
「あの、もう? あの、あの、僕がお送りしますから、もう少し……」
帰る事を伝えると、急に焦り出した。なぜだろう、まるでここにいて欲しいみたいだ。
「ヨウルプッキ様、この度は誠にありがとうございました。後日改めて謝礼に伺いましょう」
「謝礼なんて、僕は……! それよりも、……その、僕と……! そうだ! あの、クリスマスプレゼント、貴女がラストワン賞だったのです! だから、三回、ガチャを回していただいて!」
「その時に本当に望んでいる願いが叶うというガチャでございますね?」
「……、はい。中身はその、あの、アレなんですが……望むものが出てきます」
「……? では、ヨウルプッキ様。わたくし今の願いは帰る事ですの。魔力はなるべく残しておきたいのでお願い聞いてくださる?」
「……いやアレは、そういった類の物じゃなくてですね……」
わたくしは、まだ何かを言い足りそうな彼を最後に見て微笑むと、魔力を練り上げた。なんと、現在地を調べると自宅から遠く離れた北の地ではないの。
──成人して伯爵となった今、伯爵家に伝わる魔力が受け継がれて身体中に漲っている。一晩、わたくしが消えている間にセパスチたちが早まってなければいいのだけれども。お願い、間に合って!
最後に、彼に極上の笑みを浮かべる。
どうやら、ガチャでは転移出来ない事情があるのだろう。とても断りづらそうだ。
しょうがない、これからたくさん使うから魔力はなるべく残しておきたいが、今のわたくしなら出来るだろう。
長距離の転移魔法を唱えた始めたのであった。
──いつ誰が用意して、いつの間に着用したのかしら……。ふふふ、かわいいし動きやすくて楽だわ。
彼もまた服を着ている。すでに床に膝はついていない。
──目の前で立ち上がられた時に見えた、彼の大きな中心の記憶は朧気にも無いったら無いっ!
今は、彼の家にあるテーブルにつき向かい合っていた。彼が淹れてくれた温かいお茶を飲む。
──ふぅ……美味しい。あら、この茶葉はサンタクロース協会に先日寄贈したものと同じね。
現実逃避中の思考は二人とも同じようなものだ。先ほどまでの騒動など無かったかのように世間話が弾む中、彼の正体を明かされた。
「僕は、孤児で。ここに一人で住んでいます。働ける年齢になってからは世界のためにサンタクロース協会で働いているんです」
サンタクロース協会とは、魔法に長けた平民が所属する超ブラック企業だ。シーズン中はいわずもがな、シーズンオフの間には、世界中から届く願いや手紙などを処理し、次の年のプレゼントの準備をしているだけで時間が経つらしい。
福利厚生は、過去の職員たちが発起した組合の働きにより待遇が良くなったとはいえ、繁忙期には15日間休みがないとか。
わがアールトネン家は、代々、サンタクロース協会に出資をしていて彼らのライフワークを支援している。彼らが過労死して絶滅すれば、世界からクリスマスが消えるといっても過言ではない。
誰もなりたがらないため万年マンパワー不足なのだ。
そのため、国の認定も受けており、そこで働く職員たちは領地はないが男爵位が与えられているのだ。といっても貴族としての実体はない名誉職のようなものだが。
──こういうのをなんといったかしら? やりがい詐取? 社畜?
ヨウルプッキ様は、他に付ける職業が当時なかったらしい。そこで、生きるために協会で働く事を決意してすでに10年以上が経過しているという。すぐに転職し離職率が非常に高いのにも拘らず残っているのは、自分が抜ける事で仲間が苦労してしまうからなどという気持ちからだろう。
よくある、ブラック企業の職員そのものの戦士になってしまっている彼を憐れに思った。
──きっと、孤児だからと、なんだかかんだで言い含められていたのね……
優しい、言い方を変えれば単なるお人よしの彼を改めて見た。
鍛え抜かれた体は大きく、先ほどの対応から察するにあまり世間になれていないのだろう。素直で単純で、簡単に騙されそうだ。
彼の魔力が高いとされる色を持つオッドアイの瞳を見ると、何かを思い出せる気がした。きっとその記憶は一生思い出さないほうが二人にとっていいのかもしれない。
「ヨウルプッキ様」
照れくさそうに境遇を話していた彼の背筋がピンと伸びて、両手を膝においた。
「アールトネン伯爵様、なんでございますか?」
「あなたの謝罪は受け入れましょう。救護活動の一環ですし謝罪も今後必要ありません」
「で、ですが」
「必要ありません。いいですね?」
「はい、寛大なお言葉、ありがとうございます」
大きな体を精一杯縮こまらせる彼を見ると、なんだかヨシヨシと頭をなでてあげたくなる。
「では、この度の事は他言無用でお願いいたします。それでは、わたくし帰りますわね。やらねばならない事がありますの」
「あの、もう? あの、あの、僕がお送りしますから、もう少し……」
帰る事を伝えると、急に焦り出した。なぜだろう、まるでここにいて欲しいみたいだ。
「ヨウルプッキ様、この度は誠にありがとうございました。後日改めて謝礼に伺いましょう」
「謝礼なんて、僕は……! それよりも、……その、僕と……! そうだ! あの、クリスマスプレゼント、貴女がラストワン賞だったのです! だから、三回、ガチャを回していただいて!」
「その時に本当に望んでいる願いが叶うというガチャでございますね?」
「……、はい。中身はその、あの、アレなんですが……望むものが出てきます」
「……? では、ヨウルプッキ様。わたくし今の願いは帰る事ですの。魔力はなるべく残しておきたいのでお願い聞いてくださる?」
「……いやアレは、そういった類の物じゃなくてですね……」
わたくしは、まだ何かを言い足りそうな彼を最後に見て微笑むと、魔力を練り上げた。なんと、現在地を調べると自宅から遠く離れた北の地ではないの。
──成人して伯爵となった今、伯爵家に伝わる魔力が受け継がれて身体中に漲っている。一晩、わたくしが消えている間にセパスチたちが早まってなければいいのだけれども。お願い、間に合って!
最後に、彼に極上の笑みを浮かべる。
どうやら、ガチャでは転移出来ない事情があるのだろう。とても断りづらそうだ。
しょうがない、これからたくさん使うから魔力はなるべく残しておきたいが、今のわたくしなら出来るだろう。
長距離の転移魔法を唱えた始めたのであった。
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