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18 DTヨウルプッキの奮闘⑥
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彼女が極上の笑みをくれる。処刑されてもおかしくないほどの事をしでかした僕を許してくれて、こうして向かい合いお茶を飲んでくれるなんて。思った通り優しくて。
身分が違いすぎて彼女と結婚どころか恋人になどなれないけれど、好きになった気持ちはどんどんふくれあがった。
帰ろうとする愛しい人から物凄い魔力を感じた。
──これは、転移魔法?
ガチャの中身は恋人たちのための物だから、彼女の帰りたいと言う願いは叶えられなくて口ごもっていた。願いが叶えられないと悟った彼女は自力で帰るつもりなのだ。
ここから王都まではかなりの距離がある。見た所転移は出来るだろうが、その先でほぼ魔力がなくなるだろう。
「待ってください! 僕が! ガチャ一回分の代わりに、僕が送りますから!」
転移魔法が完成する前に叫んだ事で、彼女の魔力が鎮まった。
「貴方が? でも……」
「僕なら貴女を安全かつ迅速に送れます。サンタクロース協会の名誉にかけて、僕が犯した罪を貴女が許してくださった寛大なお心に応えて。必ずお送りいたします!」
彼女は僕の言葉を訝しげに聞いていたけれど、瞳の中の強大な魔力の証であるゆらぎを見て頷いた。きっと協会から大目玉をくらう。だけど、あと少し、ほんの数秒でいい。彼女といたい。
「では、お願いいたします。わたくしの家は……」
「アールトネン伯爵の本邸であればわかります。どうぞ僕の手を取ってください」
「頼みましたよ」
大好きな彼女の白くて小さな手が僕の手の平に乗せられる。きゅっと握ると、彼女は少し目を見開いたが微笑みをくれた。
──やった。これでもう少しの間だけでも彼女といられる……
決して報われない恋だけど、この時がとても大切で。何かを決意している彼女の瞳の強さに見惚れてしまう。一瞬でもその輝きを目と心に焼き付きたくて、じっと見つめながら転移を唱えた。
国の最北端にある自宅から、アールトネン伯爵家まで一瞬だった。
「流石ですわ。その瞳を持つから恐らくとは思っていましたが、ヨウルプッキ様はとても素晴らしい魔法使いでいらっしゃるのね」
「いえ、そんな……」
時空の乱れもなく心身の変調もないことで彼女に感嘆された。僕の魔力は強すぎて人に忌み嫌われているというのに、本心でそんな風に言われて心が少し痛みを覚えるような温かさを感じてしまった。
孤児である僕には魔力しかないから、褒めて貰えて泣きたいくらいにとても嬉しい。
「ヨウルプッキ様、ありがとうございました。貴方の助力に心からの感謝を。わたくし、すぐに行かねばならないのです!」
焦りながら話す彼女は心配そうに本邸を見上げていた。何かがあったのか、確かに大勢の人々の魔力が乱れた痕跡が屋敷から感じられた。
「何か、僕に手伝えることはないのでしょうか? 御恩に報いるためにも是非お手伝いさせてください」
「ですが、今、長距離転移を終えたばかりですし、無関係の貴方を巻き込むわけには……」
「魔力ならまだまだあります。長時間魔力を使用し続ける事には慣れていますから。それに、僕は社交界に行くような貴族じゃないし絶対に起こった事を他人に漏らしません」
「ヨウルプッキ様……」
一体何が、彼女をこんな風に不安にさせているのだろう。他者に助けを求めない強さの中に、心細げにすがるような気持ちを見つけた。
「シンディ様、僕が必ず貴女をお守りします。貴方が守りたいものも全力で。だから、連れて行ってください!」
身分が違いすぎて彼女と結婚どころか恋人になどなれないけれど、好きになった気持ちはどんどんふくれあがった。
帰ろうとする愛しい人から物凄い魔力を感じた。
──これは、転移魔法?
ガチャの中身は恋人たちのための物だから、彼女の帰りたいと言う願いは叶えられなくて口ごもっていた。願いが叶えられないと悟った彼女は自力で帰るつもりなのだ。
ここから王都まではかなりの距離がある。見た所転移は出来るだろうが、その先でほぼ魔力がなくなるだろう。
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「貴方が? でも……」
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彼女は僕の言葉を訝しげに聞いていたけれど、瞳の中の強大な魔力の証であるゆらぎを見て頷いた。きっと協会から大目玉をくらう。だけど、あと少し、ほんの数秒でいい。彼女といたい。
「では、お願いいたします。わたくしの家は……」
「アールトネン伯爵の本邸であればわかります。どうぞ僕の手を取ってください」
「頼みましたよ」
大好きな彼女の白くて小さな手が僕の手の平に乗せられる。きゅっと握ると、彼女は少し目を見開いたが微笑みをくれた。
──やった。これでもう少しの間だけでも彼女といられる……
決して報われない恋だけど、この時がとても大切で。何かを決意している彼女の瞳の強さに見惚れてしまう。一瞬でもその輝きを目と心に焼き付きたくて、じっと見つめながら転移を唱えた。
国の最北端にある自宅から、アールトネン伯爵家まで一瞬だった。
「流石ですわ。その瞳を持つから恐らくとは思っていましたが、ヨウルプッキ様はとても素晴らしい魔法使いでいらっしゃるのね」
「いえ、そんな……」
時空の乱れもなく心身の変調もないことで彼女に感嘆された。僕の魔力は強すぎて人に忌み嫌われているというのに、本心でそんな風に言われて心が少し痛みを覚えるような温かさを感じてしまった。
孤児である僕には魔力しかないから、褒めて貰えて泣きたいくらいにとても嬉しい。
「ヨウルプッキ様、ありがとうございました。貴方の助力に心からの感謝を。わたくし、すぐに行かねばならないのです!」
焦りながら話す彼女は心配そうに本邸を見上げていた。何かがあったのか、確かに大勢の人々の魔力が乱れた痕跡が屋敷から感じられた。
「何か、僕に手伝えることはないのでしょうか? 御恩に報いるためにも是非お手伝いさせてください」
「ですが、今、長距離転移を終えたばかりですし、無関係の貴方を巻き込むわけには……」
「魔力ならまだまだあります。長時間魔力を使用し続ける事には慣れていますから。それに、僕は社交界に行くような貴族じゃないし絶対に起こった事を他人に漏らしません」
「ヨウルプッキ様……」
一体何が、彼女をこんな風に不安にさせているのだろう。他者に助けを求めない強さの中に、心細げにすがるような気持ちを見つけた。
「シンディ様、僕が必ず貴女をお守りします。貴方が守りたいものも全力で。だから、連れて行ってください!」
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