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20 お嬢様が帰ってきません③
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執事らしからぬ単語が出ますが、彼の怒りの表れです。筋肉の素敵な執事のイケオジが、まさかそんな事言うはずはないからきっと気のせいねと温かく読んでいただければ幸いです。
執事は亡き母を思いながら還って来ないお嬢様を夜空に思い浮かべる。
お嬢様に痛めた肩の周囲をマッサージしてもらった部分が痛みだし、そっと手を乗せた。お嬢様は先代の女伯爵様に手づから指導されたためマッサージの天才なのだ。
無事に爵位を継承したとの報告は受けている
別邸にお嬢様がいては、保護した彼らに愛人やあの娘がまた酷い事をする可能性が高い。
口封じに命を絶たれるかもしれない。
お嬢様は あのテ〇ポ・エローヤーネンを一心に信頼されていた。テ〇ポが何かほざくたびに何度心の中で滅多打ちにしたことか。だが、亡き女伯爵さまが他界されてからは、テ〇ポもお嬢様に心を寄せ始めていたので様子を見守っていた。
事態が急変したのは、寄生虫がその愛人と娘を連れて来たところからだ。
あいつらは、馬鹿馬鹿しいが不吉とされている色を持つお嬢様を厭っていた使用人を抱き込んだ。
お嬢様の部屋から形見の宝石をあの娘が盗んだのにも拘らず冤罪をかけられたと憤慨した。娘は侍女を抱き込み、寄生虫に都合のいいよう泣きついたのだ。自分たちに反抗的なお嬢様と、お嬢様をかばう侍女を鞭で打った。
早く助けたくて、うまく言い含めて寄生虫を外に連れ出した。殺人になりかねないと忠告しても面倒な事は知らないとそっぽを向かれる。寄生虫は、すでに愛人に飽きているようだが娘がいるためしぶしぶ連れて来たような気もする。いや、どちらかというと、愛人の娘を見る眼が怪しいのでひょっとしたら……。
神をも恐れぬ事をやろうとしているかもしれないとぞっとしたが、愛人と娘の出自を調べると寄生虫の好きにしろと放っておいた。愛人と娘は、ある男と懇意にしていた。その男は常軌を逸する性格をしているようで、本邸に堂々と出入りして愛人といちゃついていた。
その後、侍女は盗人として屋敷を追い出されたが、探そうにも一人では不可能であり出来なかった。すでに、屋敷の中の誰が味方で誰が敵かわからない状態になっていたからだ。
この本邸は次々に愛人と娘に媚を売る者たちで溢れかえった。私はお嬢様の願いでスパイをしており、少しずつ味方を増やしていく。
冤罪で傷ついた者たちを保護して別邸で過ごしてもらおうというお嬢様の提案のため、今すぐにもあいつらをひねりつぶしたいのを我慢していた。お嬢様も、最初は使用人たちがあまりにも無残な姿にされていると知らなかったようだ。
ある日、婚約者が来ていると聞きサロンに向かうと娘とテ〇ポが話をしているのを聞いて、その残虐さに驚愕したらしい。しかも自分がしたとあの娘が言っているのであとで訂正しようとしても、テ〇ポはあろうことか、お嬢様ではなくあの娘を信じた。
私も鞭打ちはともかく、肉体を切っているなど、まさかと思った。すぐさま味方になった使用人たちで調べる。鞭打たれ右手を切られた侍女を始め、たくさんの辞めさせられた人々がいずれもぼろ雑巾のようになっているのを貧民街で発見した。幸い、気づくのが早く重度の後遺症が残った被害者は2名で、他は今は回復している。
「セパスチ・わたくしは力が欲しい。どうすればいいですか?」
「私をお使いください。そして、傷ついた彼らを救済して仲間を増やしましょう」
「彼らを守ると言っても……。毎日のようにわたくしをいじめに彼女たちが別邸にくるし……。そうだ、別邸にわたくしがいなくなれば、ここには彼女たちはこないわ。ねえ、セパスチ、どこかわたくしが過ごせる場所はない?」
「そんな、お嬢様がそんな事をする必要は……」
そんなやりとりのあと、お嬢様は粗末な壁に穴が空きネジュミなどの害獣が出る庭師の家で暮らし始めた。助けれた全員に、お嬢様の真意を知らせると、より一層私たちの結束が強まる。
お嬢様は、自分に割り当てられた金銭や残された宝石を売りはらい、莫大な治療費がかかる欠損の全回復を被害者たちに施してくださった。
「お嬢様、テッポ様との婚約を破棄なされませ。あまりにもお嬢様に対して酷い仕打ちをなさる。それに……」
その先は言えなかった。信頼する婚約者が、まさかあの娘と恋仲になり深い絆を結んでいるなどと。
「一時的なものよ。大丈夫、きっとテッポ様は、わたくしが何もしていないと気付いてくださるわ。それに、彼には後がないでしょう? あの彼に裏切るような勇敢さはないわ」
「ですが……」
「……セパスチ。わたくしは幼い頃に温かい言葉をかけてくださったテッポ様を信頼しているのです。今はすれ違っていますが、これから真摯に向き合い、お母様が残してくださった伯爵家を継ぎ、次代につなげたい」
「……かしこまりました」
だと言うのに、あのチ……、テ〇ポは下半身と己の欲望のまま生きるあの娘とともに、大切なお嬢様……、いや、シンディ・アールトネン女伯爵に対して、不相応にも婚約破棄を告げたと言うではないか。しかも、なぜかあの娘が正当な伯爵家の跡継ぎであると声高々に叫んだらしい。
有り得ない。どこをどうすれば、そんな結論がはじき出されるのか、海綿体よりも柔らかくなっているだろう、チ……、テ〇ポの頭をかち割りたくなる。
夜会から帰るや否や、元伯爵代理と愛人、そして娘が高笑いをしながら酒を煽りつまみをくらっている。やつらを孤立無援にするため、使用人全てを制圧せねばならない。
同志たちと乗り込んだ館で、裏切り者たちをつぎつぎに昏倒させ縛り上げていった。
偽りの勝利に酔いしれているアイツらは、襲撃にまだ気づいていないようだと思いながら、また一人昏倒させる。
シンディ様、わが主。今どちらにいらっしゃるのですか……。皆が心配しております。どうか、ご無事で……
執事は亡き母を思いながら還って来ないお嬢様を夜空に思い浮かべる。
お嬢様に痛めた肩の周囲をマッサージしてもらった部分が痛みだし、そっと手を乗せた。お嬢様は先代の女伯爵様に手づから指導されたためマッサージの天才なのだ。
無事に爵位を継承したとの報告は受けている
別邸にお嬢様がいては、保護した彼らに愛人やあの娘がまた酷い事をする可能性が高い。
口封じに命を絶たれるかもしれない。
お嬢様は あのテ〇ポ・エローヤーネンを一心に信頼されていた。テ〇ポが何かほざくたびに何度心の中で滅多打ちにしたことか。だが、亡き女伯爵さまが他界されてからは、テ〇ポもお嬢様に心を寄せ始めていたので様子を見守っていた。
事態が急変したのは、寄生虫がその愛人と娘を連れて来たところからだ。
あいつらは、馬鹿馬鹿しいが不吉とされている色を持つお嬢様を厭っていた使用人を抱き込んだ。
お嬢様の部屋から形見の宝石をあの娘が盗んだのにも拘らず冤罪をかけられたと憤慨した。娘は侍女を抱き込み、寄生虫に都合のいいよう泣きついたのだ。自分たちに反抗的なお嬢様と、お嬢様をかばう侍女を鞭で打った。
早く助けたくて、うまく言い含めて寄生虫を外に連れ出した。殺人になりかねないと忠告しても面倒な事は知らないとそっぽを向かれる。寄生虫は、すでに愛人に飽きているようだが娘がいるためしぶしぶ連れて来たような気もする。いや、どちらかというと、愛人の娘を見る眼が怪しいのでひょっとしたら……。
神をも恐れぬ事をやろうとしているかもしれないとぞっとしたが、愛人と娘の出自を調べると寄生虫の好きにしろと放っておいた。愛人と娘は、ある男と懇意にしていた。その男は常軌を逸する性格をしているようで、本邸に堂々と出入りして愛人といちゃついていた。
その後、侍女は盗人として屋敷を追い出されたが、探そうにも一人では不可能であり出来なかった。すでに、屋敷の中の誰が味方で誰が敵かわからない状態になっていたからだ。
この本邸は次々に愛人と娘に媚を売る者たちで溢れかえった。私はお嬢様の願いでスパイをしており、少しずつ味方を増やしていく。
冤罪で傷ついた者たちを保護して別邸で過ごしてもらおうというお嬢様の提案のため、今すぐにもあいつらをひねりつぶしたいのを我慢していた。お嬢様も、最初は使用人たちがあまりにも無残な姿にされていると知らなかったようだ。
ある日、婚約者が来ていると聞きサロンに向かうと娘とテ〇ポが話をしているのを聞いて、その残虐さに驚愕したらしい。しかも自分がしたとあの娘が言っているのであとで訂正しようとしても、テ〇ポはあろうことか、お嬢様ではなくあの娘を信じた。
私も鞭打ちはともかく、肉体を切っているなど、まさかと思った。すぐさま味方になった使用人たちで調べる。鞭打たれ右手を切られた侍女を始め、たくさんの辞めさせられた人々がいずれもぼろ雑巾のようになっているのを貧民街で発見した。幸い、気づくのが早く重度の後遺症が残った被害者は2名で、他は今は回復している。
「セパスチ・わたくしは力が欲しい。どうすればいいですか?」
「私をお使いください。そして、傷ついた彼らを救済して仲間を増やしましょう」
「彼らを守ると言っても……。毎日のようにわたくしをいじめに彼女たちが別邸にくるし……。そうだ、別邸にわたくしがいなくなれば、ここには彼女たちはこないわ。ねえ、セパスチ、どこかわたくしが過ごせる場所はない?」
「そんな、お嬢様がそんな事をする必要は……」
そんなやりとりのあと、お嬢様は粗末な壁に穴が空きネジュミなどの害獣が出る庭師の家で暮らし始めた。助けれた全員に、お嬢様の真意を知らせると、より一層私たちの結束が強まる。
お嬢様は、自分に割り当てられた金銭や残された宝石を売りはらい、莫大な治療費がかかる欠損の全回復を被害者たちに施してくださった。
「お嬢様、テッポ様との婚約を破棄なされませ。あまりにもお嬢様に対して酷い仕打ちをなさる。それに……」
その先は言えなかった。信頼する婚約者が、まさかあの娘と恋仲になり深い絆を結んでいるなどと。
「一時的なものよ。大丈夫、きっとテッポ様は、わたくしが何もしていないと気付いてくださるわ。それに、彼には後がないでしょう? あの彼に裏切るような勇敢さはないわ」
「ですが……」
「……セパスチ。わたくしは幼い頃に温かい言葉をかけてくださったテッポ様を信頼しているのです。今はすれ違っていますが、これから真摯に向き合い、お母様が残してくださった伯爵家を継ぎ、次代につなげたい」
「……かしこまりました」
だと言うのに、あのチ……、テ〇ポは下半身と己の欲望のまま生きるあの娘とともに、大切なお嬢様……、いや、シンディ・アールトネン女伯爵に対して、不相応にも婚約破棄を告げたと言うではないか。しかも、なぜかあの娘が正当な伯爵家の跡継ぎであると声高々に叫んだらしい。
有り得ない。どこをどうすれば、そんな結論がはじき出されるのか、海綿体よりも柔らかくなっているだろう、チ……、テ〇ポの頭をかち割りたくなる。
夜会から帰るや否や、元伯爵代理と愛人、そして娘が高笑いをしながら酒を煽りつまみをくらっている。やつらを孤立無援にするため、使用人全てを制圧せねばならない。
同志たちと乗り込んだ館で、裏切り者たちをつぎつぎに昏倒させ縛り上げていった。
偽りの勝利に酔いしれているアイツらは、襲撃にまだ気づいていないようだと思いながら、また一人昏倒させる。
シンディ様、わが主。今どちらにいらっしゃるのですか……。皆が心配しております。どうか、ご無事で……
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